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私立大学医学部医学科入試情報【まとめ】

自治医科大学の偏差値67.5と学費全額貸与|2027年度入試

2026年08月18日 更新

こんにちは、太宰府アカデミーで広報/完全個別指導コースを担当している後藤です。

「学費が実質かからない私立医学部」と聞いて、多くの人が最初に思い浮かべるのが自治医科大学です。仕組みを正確に言うと、学費は全額貸与され、卒業後9年間、出身都道府県の指定するへき地等の医療機関で勤務すれば返還が免除される——つまり義務を果たせば実質負担なし、という設計です。

そしてこの大学、出口の数字が私立で1番です。「6年で医師になる確率」96.9%は私立31校中1位。全国の国公立を含めても最上位グループに入ります。

− 「実質無料」の条件はどれくらい重い?

− 都道府県ごとの選抜って、どういう仕組み?

− 2027年度入試の変更点はどこ?

お金・制度・出口。この大学を検討する3つの軸を、順に整理します。

 

自治医科大学の偏差値は67.5|合格者平均は私立16位

河合塾の予想ボーダー偏差値は67.5(2027年度入試・6月時点の予想値)。昭和医科・東京医科・大阪医科薬科と同じ上位帯です。

一方、河合塾の入試結果調査(2026年度)による合格者の記述模試平均は64.0(英64.2・数64.2・理63.5)で私立31校中16位(国公立を含む全81校中58位・防衛医科大学校を除く)。ボーダー67.5とのギャップが大きいのは、47都道府県ごとに2〜3名ずつ選抜するという入試の性質によるものです。県単位の競争なので、全国一律のボーダーでは実態を測り切れません。

自治医科大学の合格者平均偏差値64.0は私立31校中16位(河合塾 入試結果調査2026年度・全統模試)
出典:河合塾 入試結果調査(2026年度)をもとに太宰府アカデミー集計

英数理の凸凹がほとんどない、バランス型の合格者層。前年の64.4からは-0.4でした。

順位 大学 総合
13位 産業医科大学 63.7 64.4 64.7 64.3
13位 日本大学 64.8 63.8 64.2 64.3
15位 愛知医科大学 63.8 64.2 64.5 64.2
16位 自治医科大学 64.2 64.2 63.5 64.0
17位 兵庫医科大学 63.4 64.1 64.0 63.8
18位 久留米大学 63.0 64.4 63.8 63.7

※読み方の注意:この「合格者平均偏差値」は、その年に全統模試を受けて合格した人の記述模試平均です。自治医科のように県ごとに選抜する大学では、県による競争差も平均に含まれます。大学同士の位置関係をつかむ物差しとして使ってください。

同じ偏差値帯にどの大学が並ぶかを見るなら、医学部偏差値ランキング2027(国公立50校+私立31校)が早いです。自治医科大学の前後にいる大学がそのまま分かります。

 

学費は全額貸与|9年間の勤務で返還免除になります

入学者全員に学費相当額(当塾集計で6年間約2,260〜2,300万円)が貸与され、卒業後、出身都道府県が指定する医療機関で9年間勤務すれば全額免除。この9年には初期研修も含まれ、勤務先にはへき地・離島などの地域医療の現場が組み込まれます。

大事なのは「無料の医学部」ではなく「地域医療医師の養成契約」だと理解することです。義務を果たさず離脱すれば貸与額を返還することになります。9年間のキャリアを県に委ねる——その対価としての実質負担なし。順番を間違えないでください。

 

実質倍率は14.8倍|1,818名が受けて123名が合格

倍率には志願者数で計算するものと、受験者数で計算するものの2つがあります。自治医科は志願倍率15.5倍に対し、実質倍率は14.8倍。差は小さいほうです。

区分 人数 読み方
募集人員 123名
志願者数 1,903名 志願倍率 15.5倍
受験者数 1,818名 志願者の96%が受験
合格者数 123名 実質倍率 14.8倍
入学者数 123名 定員充足率 100%

出典:文部科学省「令和7年度 医学部医学科入学者選抜実施状況」(2025年度入試)をもとに太宰府アカデミー集計。※一般・共通テスト利用・学校推薦型・総合型を合わせた医学科全体の数字です。方式別・年度別の倍率は、このページの他の節で扱っています

出願した人の96%が実際に受験しています。受けに来る人はほぼ全員が本気、と考えたほうが実態に近い数字です。母集団の質が高いぶん、同じ倍率でも通りにくくなります。

成績開示についても触れておきます。自治医科は不合格だった人が自分の得点を確認できます。返ってくるのは1次の4科目(2次不合格者と繰上に至らなかった補欠者は2次の2科目も)です。申請の時期と方法はその年の大学発表で確認してください。

出典:各大学の成績開示要領をもとに太宰府アカデミー集計(実施の有無と開示内容は2022年度調査。申請期間は毎年変わるため、その年の大学公式発表で確認してください)

 

女子の合格率は5.7%|男子7.5%とほぼ同じです

2018年に医学部入試の男女差が問題になって以降、各大学は男女別の合格率を公表しています。自治医科の2025年度入試は、男子7.5%・女子5.7%。差は1.8ポイント。ほぼ横並びです。

区分 受験者数 合格者数 合格率
男子 1,051名 79名 7.5%
女子 767名 44名 5.7%
合計 1,818名 123名 6.8%

出典:文部科学省「令和7年度 医学部医学科入学者選抜実施状況」(2025年度入試)をもとに太宰府アカデミー集計

1年だけの数字では振れます。3年ぶんを並べます。

年度 男子合格率 女子合格率
最新年 7.5% 5.7% -1.8pt
前年 9.1% 7.9% -1.2pt
前々年 8.6% 9.8% +1.2pt

出典:文部科学省「医学部医学科入学者選抜における男女別合格率」(直近3年)をもとに太宰府アカデミー集計

年によって上下が入れ替わっています。単年の数字で判断しないでください。

入学者で見ると女子は47名・38.2%です。合格率は受験する層によって動くので、この数字は「自治医科が男女どちらを採りやすいか」ではなく「実際にこうなった」という結果として読んでください。

 

入試の仕組み|都道府県ごとに2〜3名を選ぶ入試です

自治医科の入試は全国一斉の学力試験のあと、出身都道府県ごとの枠で選抜が行われます。つまりライバルは全国の受験生ではなく、同じ県から出願した受験生。県によって出願者数もレベルも違うため、「どの県で受けるか」が実質的な倍率を決めます。

合格最低点は非公表です。県ごとの選抜という性質上、全国共通の「何点で合格」が存在しない入試だと考えてください。目安を立てるなら、合格者平均64.0前後の学力層が集まっている事実と、模試の志望者内順位(県内)を使うのが現実的です。

 

繰り上げ合格は「補欠=許可とは限らない」方式です

自治医科は2次発表と同時に補欠者を発表しますが、大学自身が「補欠者は入学を許可されるとは限りません」と明記する方式です。繰上人数も非公開。補欠を織り込んだ併願設計はできないので、正規合格前提で組んでください。

 

2027年度の変更点|栃木県で総合型選抜を新設します

大学公式の発表により、2027年度は栃木県で総合型選抜(栃木県地域枠2名程度)を新設。年内入試の実施県が富山・山梨・山口・佐賀に栃木を加えた5県に広がります。医学部定員は123名(栃木県地域枠3名含む・臨時定員増)。詳細は募集要項で確認してください。

年内に決まる枠が県単位で増えていく流れは、該当県の受験生には見逃せない変化です。

 

日程と合格発表|一次は1月25日・26日の見込みです

公表情報の集計では、2027年度の学力試験は1月25日・26日の見込み。2月1日以降ルールで1月入試が消えていく中、帝京・国際医療福祉・近畿と並ぶ数少ない「1月に受けられる医学部」です(自治医科は制度上の特殊性から例外的な日程が続いています)。合格発表日は県・大学の案内で確認してください。

 

科目と配点|詳細は要項・県の案内で確認を

学力試験(英語・数学・理科)と面接・集団討論等で選抜されます。配点・試験時間の詳細は、2027年度の学生募集要項と出身県の案内で確認してください(公表され次第この節に追記します)。

 

面接の配点は非公表|一般選抜に小論文はありません

自治医科の面接は配点が公表されていません。私立31校のうち17校が非公表か段階評価です。数字がないぶん、要項に書かれた扱いから読み取ります。

項目 内容 補足
面接の配点 非公表 配点欄が要項にありません
小論文 一般選抜では課しません

出典:各大学の2027年度(令和9年度)募集要項・入試概要をもとに太宰府アカデミー集計

2021年度以降、小論文はありません。配点が出ていない以上、「何点取れば」ではなく「引っかからない答え方」を準備するのが現実的です。

 

多浪・再受験でも受けられるか|要件は県の窓口で確認を

出願要件(年齢・卒業年・居住要件など)は都道府県ごとの取り扱いがあるため、必ず出身県の担当窓口と募集要項で確認してください。9年間の義務年限を考えると、多浪・再受験の方は「義務明けの年齢」からキャリアを逆算しておくことも大切です。浪人年数別の合格データは取得でき次第この節に追記します。

浪人年数と合格率の関係は、6校の実データを並べた医学部再受験は何浪まで可能かにまとめています。

 

国試合格率は99.3%|6年で医師になる確率96.9%は私立1位

出口の数字は圧巻です。令和元年度に入学した123名のうち、6年間ストレートで卒業したのは120名で97.6%。第119回医師国家試験の新卒合格率は99.3%。「6年で医師になる確率」は96.9%——私立31校中1位で、全国81校でも最上位グループです。

自治医科大学の6年ストレート卒業率97.6%・国試合格率99.3%・6年で医師になる確率96.9%(私立1位)
出典:文部科学省医学教育課調べ・厚生労働省(令和元年度入学者/第119回医師国家試験)

全寮制の6年間・国試を強く意識したカリキュラム・卒後の進路が最初から決まっている構造——「医師になる」ことへの一直線さが、この数字を作っています。

指標 数値 備考
6年ストレート進級率 97.6% 令和元年度入学123名中
6年ストレート卒業率 97.6% 卒業120名
新卒 国試合格率 99.3% 第119回(令和7年2月)
6年で医師になる確率 96.9% 私立31校中1位

「入ったらほぼ確実に、6年で医師になる」。この確実性は、私立ではここだけの水準です。

 

自治医科のレベルは全81校中58位|私立31校では16位

「自治医科のレベルはどのくらいか」は、偏差値の数字だけでは答えになりません。刻みが粗いぶん、同じ数字の大学が何校も並んでしまうからです。2026年度に全統模試を受けて合格した人の平均は64.0。私立31校中16位・全81校中58位で、全81校で下から数えると24番目にあたります。

全81校順位 大学 合格者平均偏差値 区分別順位
56位 香川大学 64.1 国公立41位
57位 佐賀大学 64.0 国公立42位
58位 自治医科大学 64.0 私立16位
59位 宮崎大学 63.9 国公立43位
60位 兵庫医科大学 63.8 私立17位

出典:河合塾 入試結果調査(2026年度)をもとに太宰府アカデミー集計

上の表は自治医科の前後2校ぶんです。偏差値64.0の前後には香川・佐賀・宮崎・兵庫医科大学が並んでいます。この並びが、模試の判定を読むときの物差しになります。 なおこの平均は一般・推薦・総合型を含む「合格した人たち」の記述模試平均で、合格可能性50%を示すボーダー偏差値とは計算の土台が違います。自分の偏差値と1対1で比べるのではなく、大学同士の位置関係をつかむ物差しとして使ってください。

 

太宰府アカデミーの視点|自治医科大学はどんな受験生に向くか

自治医科を勧めたいのは、「地域医療をやりたい」が先にある受験生です。学費の仕組みは強力ですが、9年間の勤務先を県が決めるという拘束は、目的意識がない人には長すぎる。逆に、へき地医療・総合診療に心が向いている人にとっては、学費・教育・キャリアの全部が噛み合う、他にない選択肢になります。

受験戦略としては、1月下旬の学力試験という日程が絶妙です。共通テスト後・私立本番前のこの時期に、本気の学力試験を受けられる。仮に縁がなくても、2月の連戦に向けた最高の実戦になります。県ごとの選抜なので、出身県の過去の採用状況(県の窓口で聞けます)を調べておくと、勝負の見通しが立てやすくなります。

1つだけ注意を。「実質無料だから」という理由が先行するご家庭には、9年後の自分を具体的に想像することをおすすめしています。24歳で卒業なら33歳まで、30歳卒業なら39歳まで。その年月を「投資」と呼べるかどうかは、本人の中にしか答えがありません。

 

自治医科大学のよくある質問

Q1. 本当に学費がかからないのですか?
A. 学費相当額が全員に貸与され、卒業後9年間、出身県の指定機関で勤務すれば全額返還免除になります。義務を果たさない場合は返還が必要です。「無料」ではなく「勤務と引き換えの免除」です。

Q2. 合格最低点は何点ですか?
A. 非公表です。都道府県ごとに2〜3名を選抜する方式のため、全国共通の合格ラインが存在しません。合格者平均偏差値64.0前後が学力層の目安です。

Q3. 補欠は回りますか?
A. 補欠者は発表されますが、大学は「入学を許可されるとは限りません」と明記しており、繰上人数も非公開です。正規合格前提で設計してください。

Q4. 2027年度の変更点は?
A. 栃木県での総合型選抜(地域枠2名程度)新設が公表されています。年内入試実施県は5県に拡大。要項と県の案内で最終確認してください。

 

まとめ|自治医科大学を受けるなら押さえる3つ

  • 学費は全額貸与・9年勤務で免除。「無料の医学部」ではなく「地域医療の養成契約」
  • 県ごとに2〜3名の選抜。ライバルは同じ県の受験生。県の採用状況を先に調べる
  • 6年で医師になる確率96.9%は私立1位。出口の確実性は全国最上位クラス

制度の重さと出口の確かさが、これほどはっきり釣り合っている大学は他にありません。志が合う人には最良の、合わない人には選んではいけない1校です。

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後藤 登(Goto Noboru)
仕事:総務・広報・完全個別指導コース担当
自己PR:高校・大学ボクシング部。釣りや登山が好き。新卒で当校に勤めて13年目。医学部受験の情報を調べて、ブログやInstagram、Twitterを更新しています。4年前から完全個別指導コースのコース担当。

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