こんにちは、太宰府アカデミーで広報/完全個別指導コースを担当している後藤です。
岩手医科大学のページを、また作り直しました。理由ははっきりしていて、2026年5月に大学が令和8年度(2026年度)入試の結果を公表し、数字が動いたからです。1次の合格最低点は64.6%から70.6%へ。「もう回らなくなった」と書いた繰上合格は、17名から38名へ戻しました。
岩手の大学をなぜ福岡の予備校が追いかけるのか、と思われるかもしれません。岩手医科大学は1次試験を福岡会場で受けられる東北の医大で、九州の受験生の併願リストに毎年名前が入ってくるからです。
このページで答えるのは、たとえばこんな疑問です。
− 結局いま、何点取れば受かるの?
− 補欠は回るの? 回らないの?
− 地域枠のほうが受かりやすいって本当?
− 浪人が長いと不利になる?
2026年度の大学公表データと、河合塾の入試結果調査。この2つを軸に、全部数字で答えていきます。
この記事の目次
- 1 岩手医科大学医学部の偏差値は62.5|合格者平均は私立24位
- 2 合格最低点は1次247点=70.6%|2年連続で上がっています
- 3 倍率は12.8倍|志願者3,001名は6年前から約600名増
- 4 繰り上げ合格は38名|「17名まで急減」から少し戻しました
- 5 地域枠C・Dの「逆転」は解消|2次はほぼ同水準です
- 6 学費は6年間3,400万円|1年次は全寮制で寮費88万円
- 7 女子の合格率は9.0%|男子との差は3.3ポイント
- 8 2027年度の日程と募集人員|一般66名・総合型15名以内
- 9 合格発表はいつ?|1次は2月9日・最終は2月18日
- 10 科目と配点|1次は350点満点・2次は面接を加えて400点満点
- 11 面接は2次の50点|小論文はありません
- 12 推薦・総合型の結果|公募4.6倍・総合型3.1倍でした
- 13 国試合格率は95.8%|6年で医師になる確率は71.1%
- 14 岩手医科のレベルは全81校中71位|私立31校では24位
- 15 多浪・再受験でも合格できるか|卒業年度別の合格率で見る
- 16 太宰府アカデミーの視点|岩手医科大学はどんな受験生に向くか
- 17 岩手医科大学医学部のよくある質問
- 18 まとめ|岩手医科大学医学部を受けるなら押さえる3つ
岩手医科大学医学部の偏差値は62.5|合格者平均は私立24位
河合塾の予想ボーダー偏差値は62.5です(2027年度入試)。ただ、ボーダーは2.5刻みで発表されるので、62.5の大学はほかにもいくつも並びます。これだけでは「その中で岩手医科はどのあたりなのか」までは分かりません。
そこでこのページでは、河合塾の入試結果調査にある「合格者平均偏差値」を使います。2026年度に全統模試を受けた生徒のうち、岩手医科大学医学部に合格した人の記述模試平均は62.6(英62.0・数62.6・理63.1)。この数字で並べ直すと、私立31校中24位(福岡大学と同率)、国公立を含めた全81校中71位です(防衛医科大学校を除く)。前年の62.4からほぼ横ばいで、立ち位置は安定しています。

読み方の注意を1つだけ。合格者平均は、ボーダー(合格可能性50%のライン)より高く出るのが普通です。「平均の62.6に届いていないから無理」と読むのは間違いで、62.6は“受かった人たちの真ん中あたり”。模試の判定はボーダー基準なので、62.5前後の力があれば十分勝負になります。
| 私立順位 | 大学 | 英 | 数 | 理 | 総合 |
|---|---|---|---|---|---|
| 21位 | 聖マリアンナ医科大学 | 64.4 | 62.4 | 62.6 | 63.1 |
| 22位 | 北里大学 | 63.4 | 63.1 | 62.8 | 63.1 |
| 23位 | 帝京大学 | 64.4 | 62.3 | 62.4 | 63.0 |
| 24位 | 岩手医科大学 | 62.0 | 62.6 | 63.1 | 62.6 |
| 24位 | 福岡大学 | 62.0 | 63.1 | 62.6 | 62.6 |
| 26位 | 東海大学 | 63.1 | 61.8 | 61.4 | 62.1 |
| 27位 | 埼玉医科大学 | 62.8 | 61.6 | 61.2 | 61.9 |
余談をひとつ。手元の1975年からの偏差値推移を見ると、岩手医科大学は1975年時点で偏差値52.5、1990年までずっと50台前半でした。親世代の「岩手は入りやすかった」という記憶は、この頃の話です。50年かけて10ポイント上がってきた大学だと知ると、いまの62.5の見え方も少し変わりませんか。
全国81校の中での位置を確かめたい方は、医学部偏差値ランキング2027(全81校の一覧表)をご覧ください。岩手医科大学を含む全大学を1つの表にしています。
合格最低点は1次247点=70.6%|2年連続で上がっています
一般前期の1次は350点満点。2026年度の合格最低点は247点=70.6%でした。2025年度の226点(64.6%)から、1年で21点、得点率にして6ポイントの上昇です。

2020年度の47.7%を底に、ここまで6年間で22.9ポイント上がりました。年による上下はあっても、方向は一度も変わっていません。ここまで一方向に動き続ける私立医学部は多くありません。
怖いのは、ネット上に古い数字のページが残っていることです。「5割取れれば通る」は2020年度の話で、いま同じ感覚で対策すると350点満点で70点以上足りません。目標は2026年度の247点を基準に置いてください。
| 年度 | 1次最低点 (350点満点) |
得点率 | 2次正規最低点 (400点満点) |
得点率 |
|---|---|---|---|---|
| 2026年度 | 247 | 70.6% | 283.5 | 70.9% |
| 2025年度 | 226 | 64.6% | 279 | 69.8% |
| 2024年度 | 219 | 62.6% | 275 | 68.8% |
| 2023年度 | 216 | 61.7% | 276 | 69.0% |
| 2022年度 | 205 | 58.6% | 269 | 67.3% |
| 2021年度 | 205 | 58.6% | 260 | 65.0% |
| 2020年度 | 167 | 47.7% | 230 | 57.5% |
| 2019年度 | 188 | 53.7% | 255 | 63.8% |
2次正規合格の最低点は283.5点/400点=70.9%。1次を通っても、最終合格には7割の水準が要ります。この「400点」の中身は後の「科目と配点」の節で説明します。
もう1つ、落ちたときの話をしておきます。岩手医科は不合格だった人が自分の得点を確認できます。返ってくるのは各科目の得点と評価(面接・小論文を含む)です。私立の中でもいちばん詳しい部類です。受験票の原本が要ります。申請の時期と方法はその年の大学発表で確認してください。
出典:各大学の成績開示要領をもとに太宰府アカデミー集計(実施の有無と開示内容は2022年度調査。申請期間は毎年変わるため、その年の大学公式発表で確認してください)
倍率は12.8倍|志願者3,001名は6年前から約600名増
2026年度の一般前期は、志願者3,001名・受験者2,923名。1次合格448名、最終的な合格者は229名で、実質倍率12.8倍でした(大学公表値)。2020年度の志願者が2,406名でしたから、6年で約600名増えたことになります。合格最低点が上がり続けている背景に、この志願者増があります。
| 方式(2026年度) | 募集人員 | 志願者 | 受験者 | 合格者 | 実質倍率 | 合格最低点 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 一般前期 | 73 | 3,001 | 2,923 | 229 | 12.8倍 | 1次247/2次283.5 |
| 地域枠C・D | C5+D7 | 122 | 118 | 21 | C11.8倍・D10.7倍 | 1次221/2次282 |
| 推薦(公募制) | 12名程度 | 61 | 60 | 13 | 4.6倍 | 306.6/450点 |
| 推薦(地域枠A) | 15 | 48 | 48 | 15 | 3.2倍 | 308.8/450点 |
| 推薦(地域枠B) | 8 | 35 | 35 | 8 | 4.4倍 | 291.6/450点 |
| 推薦(秋田県枠) | 2 | 4 | 4 | 1 | 4.0倍 | 非公表(合格1名) |
| 総合型選抜 | 8名程度 | 25 | 25 | 8 | 3.1倍 | 302.2/500点 |
| 医学部 計 | 130 | 3,296 | 3,213 | 295 | 10.9倍 | — |
医学部全体(推薦・総合型・地域枠を含む)では志願3,296名・合格295名で10.9倍。方式別でいちばん倍率が穏やかだったのは総合型選抜の3.1倍でした。倍率だけで方式を選ぶのは危険ですが、「一般だけが入口ではない」ことは押さえておいて損がありません。
公表資料でもう1つ目を引いたのが、入学者の卒業年度別内訳です。2026年度の医学部入学者130名のうち、現役は18%。1浪が35%、2浪が25%、3浪以上も19%います。約8割が浪人経験者という構成で、浪人の長さがそのまま不利になる入試ではないことが、データに表れています。
繰り上げ合格は38名|「17名まで急減」から少し戻しました
前回の版でこのページは、「補欠を当てにした併願設計は危ない」と書きました。繰上合格が2023年度81名→2024年度43名→2025年度17名と、2年で5分の1になっていたからです。
2026年度は38名でした。大学公表の合格者229名から初回発表の191名を引いた数字です。地域枠Cで5名、Dで4名も回っています。

「もう回らない」は言い過ぎになりました。ただし、2019〜2023年度の80〜106名という水準にはまだ遠い。10年分を並べて見えてくるのは、岩手医科の補欠が「よく回る」から「年によって大きく振れる」に変わった、ということです。
| 年度 | 一般前期 | 地域枠C | 地域枠D | 補欠がどこまで回ったか |
|---|---|---|---|---|
| 2026年度 | 38 | 5 | 4 | 合格者229名−初回発表191名(大学公表PDFから算出) |
| 2025年度 | 17 | 4 | 4 | 3月31日に補欠32番が繰り上がり |
| 2024年度 | 43 | 3 | 5 | 最終繰上は4月4日ごろ/130番台後半まで |
| 2023年度 | 81 | — | — | 190番前半まで |
| 2022年度 | 92 | — | — | — |
| 2021年度 | 88 | — | — | 補欠200番ほどが全員繰上。2次不合格者からも追加 |
| 2020年度 | 76 | — | — | この年から補欠に番号が付くように |
| 2019年度 | 106 | — | — | — |
補欠番号の参考情報です(受験生・卒業生からの聞き取りで、大学の公表値ではありません)。2023年度は190番前半まで、2024年度は130番台後半まで、2025年度は3月31日時点で32番まで。さかのぼれば、2021年度のように補欠200番まで全員が繰り上がった年もありました。
結論は前回から変えません。正規合格を取りに行く設計を組み、繰上は「来たら嬉しいもの」に格下げしておく。岩手医科に限らず、いまの私立医学部全体に通用する構えだと思います。
地域枠C・Dの「逆転」は解消|2次はほぼ同水準です
2025年度にこのページでいちばん反響があったのは、「地域枠のほうが難しくなった」という話でした。2次正規の最低点で、地域枠CDの291点が一般の279点を12点上回った年です。
2026年度は一般283.5点に対して地域枠CDは282点。逆転は1年で解消し、ほぼ同水準に戻りました。

むしろ面白いのは1次です。地域枠CDの1次最低点は221点で、一般の247点より26点低い。一般ほど志願者が集中しなかったぶん、1次通過のハードルには差がつきました。ただし2次で絞られるため、最終的な合格水準はほぼ同じ。「地域枠だから楽」とも「地域枠のほうが難しい」とも言い切れない——これが2026年度の実像です。
| 年度 | 一般 2次正規 | 地域枠CD 2次正規 | 差 | 一般 1次 | 地域枠CD 1次 |
|---|---|---|---|---|---|
| 2026年度 | 283.5 | 282 | 地域枠が−1.5点 | 247 | 221 |
| 2025年度 | 279 | 291 | 地域枠が+12点 | 226 | 220 |
| 2024年度 | 275 | 268 | 地域枠が−7点 | 219 | 201 |
| 2023年度 | 276 | 264 | 地域枠が−12点 | 216 | 208 |
| 2022年度 | 269 | 260 | 地域枠が−9点 | 205 | 205 |
制度のおさらいを短く。C・Dとも岩手県の医師修学資金の貸与を前提にした全国枠で、Dには診療科の指定がつきます。卒業後の従事条件は年度ごとに見直されることがあるので、点数の損得を考える前に、岩手県の募集ページで卒業後の条件を読み切ってから出願を決めてください。
最後に、なぜここに枠が置かれているのかを国の数字で見ておきます。厚生労働省の医師偏在指標——人口10万対医師数を、地域の年齢構成と医師の年齢・性別で補正した公式の指標です。全国平均255.6に対し、岩手県は182.5で全国47位、下位16県に入る医師少数県です。 岩手県は医師が足りていない側です。地域枠が厚く置かれているのは、この数字が背景にあります。卒業後9年前後の勤務という条件は重いですが、その条件が付く理由は数字で説明できる、ということでもあります。
出典:厚生労働省「医師偏在対策について」(第4回 地域医療構想及び医療計画等に関する検討会 資料1・令和7年9月11日)の都道府県別医師偏在指標をもとに太宰府アカデミー集計
学費は6年間3,400万円|1年次は全寮制で寮費88万円
学費は大学が内訳まで公表しています。初年度は900万円(入学金200万円+授業料250万円+実験実習費50万円+施設整備費100万円+教育充実費300万円)。次年度以降は年500万円で、6年間の合計は3,400万円。別途、諸会費が40万円かかります。
| 項目 | 金額 | 備考 |
|---|---|---|
| 入学金 | 200万円 | 初年度のみ |
| 授業料 | 250万円/年 | — |
| 実験実習費 | 50万円/年 | — |
| 施設整備費 | 100万円/年 | — |
| 教育充実費 | 初年度300万円 次年度以降100万円 |
— |
| 初年度納入額 | 900万円 | 分割納入可(入学手続時550万+9月下旬350万) |
| 次年度以降 | 500万円/年 | — |
| 6年間合計 | 3,400万円 | 別途 諸会費40万円 |
| 寮費(1年次) | 年額88万円 | 入寮時一時金8.8万+寮費44万+食費16.5万+管理費18.7万 |
忘れやすいのが寮費です。岩手医科大学は医学部の第1学年が全寮制で、矢巾キャンパス内の学生寮「ドミトリー圭友館」(定員220名・男女別)に入ります。寮費は年額88万円(寮費・食費・管理費込み)。つまり初年度に動くお金は、学納金900万円+諸会費40万円+寮費88万円=1,028万円です。
なお、学校推薦型の地域枠A(岩手県出身者枠)は、奨学金の貸与時期に合わせて納入期日が別に設定されています。該当する方は募集要項の日付を必ず確認してください。
女子の合格率は9.0%|男子との差は3.3ポイント
2018年に医学部入試の男女差が問題になって以降、各大学は男女別の合格率を公表しています。岩手医科の2025年度入試は、男子12.3%・女子9.0%。男子の合格率のほうが3.3ポイント高いという結果です。
| 区分 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
|---|---|---|---|
| 男子 | 1,519名 | 187名 | 12.3% |
| 女子 | 955名 | 86名 | 9.0% |
| 合計 | 2,474名 | 273名 | 11.0% |
出典:文部科学省「令和7年度 医学部医学科入学者選抜実施状況」(2025年度入試)をもとに太宰府アカデミー集計
1年だけの数字では振れます。3年ぶんを並べます。
| 年度 | 男子合格率 | 女子合格率 | 差 |
|---|---|---|---|
| 最新年 | 12.3% | 9.0% | -3.3pt |
| 前年 | 12.3% | 10.9% | -1.4pt |
| 前々年 | 11.3% | 13.5% | +2.2pt |
出典:文部科学省「医学部医学科入学者選抜における男女別合格率」(直近3年)をもとに太宰府アカデミー集計
年によって上下が入れ替わっています。単年の数字で判断しないでください。
入学者で見ると女子は44名・33.6%です。合格率は受験する層によって動くので、この数字は「岩手医科が男女どちらを採りやすいか」ではなく「実際にこうなった」という結果として読んでください。
2027年度の日程と募集人員|一般66名・総合型15名以内
大学の受験生サイトに、令和9年度(2027年度)の日程と募集人員が出ています。
一般選抜は出願が2026年12月4日(金)〜2027年1月8日(金)、1次試験が2月3日(水)、2次試験は2月12日(金)・13日(土)のどちらか1日を選択。1次の会場は矢巾・札幌・東京・名古屋・大阪・福岡の6か所、2次は矢巾・東京・大阪の3か所です。福岡で1次を受けられますが、2次には移動が必要になります。
募集人員は計130名。一般66名・地域枠C5名・地域枠D7名、学校推薦型は公募制12名程度・地域枠A15名・地域枠B8名・秋田県地域枠2名。総合型選抜(地域医療医師育成特別枠)が15名以内、学士編入学は若干名です。
見逃せないのは枠の動きです。2026年度に73名だった一般が66名に減り、8名程度だった総合型が15名以内に広がりました。年内に合格を決めにいく受験生への配分が増えた形です。正式な募集要項は例年9〜10月公表なので、出願要件は必ず最新版で確認してください。
合格発表はいつ?|1次は2月9日・最終は2月18日
2027年度の一般選抜は、1次試験の合格発表が2月9日(火)、2次試験(最終)の合格発表が2月18日(木)と案内されています。1次試験(2月3日)から発表まで6日、そこから2次試験(2月12日・13日)まで中2〜3日という短いサイクルです。2次会場への移動と宿は、1次の自己採点が終わった時点で仮押さえしておくと慌てません。発表方法の詳細は募集要項でご確認ください。
繰上合格の連絡は、例年3月下旬から4月上旬まで動きます(2025年度は3月31日時点で補欠32番まで、2024年度は4月4日ごろまで)。
科目と配点|1次は350点満点・2次は面接を加えて400点満点
一般選抜の1次は英語・数学・理科2科目の学科試験で350点満点です。2次で新しい学科試験があるわけではなく、1次の350点に面接を加えた400点満点で最終合否が決まります(大学公表の配点は1次350点・2次400点。差の50点が面接分です)。2026年度の2次正規合格最低点283.5点は、この合算後の点数です。
この方式で大事なのは、1次の学科の点がそのまま最終合否まで持ち越されること。たとえば1次を最低点ぎりぎりの247点で通過した場合、2次最低点283.5点との差は36.5点。持ち点が少ないほど、面接に残された挽回幅は小さくなります。1次で1点でも多く取ることが、そのまま2次対策になる大学です。
科目別の配点(英・数・理の内訳)は、2027年度の学生募集要項(例年9〜10月公表)で確認でき次第、このページに追記します。
面接は2次の50点|小論文はありません
岩手医科大学の一般選抜に小論文はありません。2次で課されるのは面接で、400点満点のうち50点、全体の12.5%にあたります。合否ライン付近では数点で順位が入れ替わるので、「学科で通れば面接はおまけ」と考えてよい大学ではありません。
質問の中身は年度や面接官によって幅がありますが、志望理由、岩手や地域医療への考え、1年次の寮生活への理解あたりは、一度自分の言葉で文章にしておく価値があります。地域枠C・Dや総合型(地域医療医師育成特別枠)で受ける場合は、修学資金の条件と自分の将来像がつながっているか、必ず整理しておいてください。
推薦・総合型の結果|公募4.6倍・総合型3.1倍でした
年内入試も2026年度の結果が公表されています。学校推薦型(公募制)は志願61名・合格13名で4.6倍、合格最低点は306.6点/450点=68.1%。地域枠Aは3.2倍(最低308.8点)、地域枠Bは4.4倍(最低291.6点)、秋田県地域枠は志願4名で合格1名でした。総合型選抜は志願25名・合格8名の3.1倍で、最低302.2点/500点=60.4%です。
2027年度は、この総合型が15名以内へ広がります。数字の上では一般(12.8倍)よりはるかに穏やかな入口ですが、出願資格や卒業後の条件が細かく定められています。要項が出たら、点数より先に条件面から確認してください。
国試合格率は95.8%|6年で医師になる確率は71.1%
入ったあとの6年間も見ておきます。

令和元年度に入学した124名のうち、6年間ストレートで進級・卒業したのは92名で74.2%。第119回医師国家試験の新卒合格率は95.8%でした。この2つを掛けた「6年で医師になる確率」は71.1%で、私立31校中25位です。
読み方には注意が要ります。国試の合格率95.8%は、私立の中でも高いほうです。数字が下がっているのは進級・卒業の段階で、そこを通過した学生の国試実績は良好、という構造になっています。大学にはそれぞれの教育方針があり、数字だけで良し悪しを語れるものではありません。ただ「入学後の6年間に、途中の関門がある」という前提を持って入学すると、イメージのずれは小さくなるはずです。
岩手医科のレベルは全81校中71位|私立31校では24位
「岩手医科のレベルはどのくらいか」は、偏差値の数字だけでは答えになりません。知りたいのは数字そのものではなく、どのあたりの大学なのかだと思います。2026年度に全統模試を受けて合格した人の平均は62.6。私立31校中24位・全81校中71位で、全81校で下から数えると11番目にあたります。
| 全81校順位 | 大学 | 合格者平均偏差値 | 区分別順位 |
|---|---|---|---|
| 69位 | 北里大学 | 63.1 | 私立22位 |
| 70位 | 帝京大学 | 63.0 | 私立23位 |
| 71位 | 岩手医科大学 | 62.6 | 私立24位 |
| 71位 | 福岡大学 | 62.6 | 私立24位 |
| 73位 | 琉球大学 | 62.5 | 国公立48位 |
出典:河合塾 入試結果調査(2026年度)をもとに太宰府アカデミー集計
上の表は岩手医科の前後2校ぶんです。偏差値62.6の前後には北里大学・帝京大学・福岡大学・琉球が並んでいます。模試の判定は、この並びと重ねて読むと意味が出ます。 なおこの平均は一般・推薦・総合型を含む「合格した人たち」の記述模試平均で、合格可能性50%を示すボーダー偏差値とは計算の土台が違います。自分の偏差値と1対1で比べるのではなく、大学同士の位置関係をつかむ物差しとして使ってください。
「本当のところどう見られているのか」という点は、別の記事で検索データから検証しています。岩手医科大学は「やばい」のかもあわせてどうぞ。
多浪・再受験でも合格できるか|卒業年度別の合格率で見る
「何浪まで見てもらえるのか」は、医学部受験でいちばん多い不安の1つだと思います。岩手医科は卒業年度別の合格率を公表しています。感覚ではなく、その数字で見ます。
| 区分 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
|---|---|---|---|
| 現役 | 777 | 49 | 6.3% |
| 1浪 | 966 | 116 | 12.0% |
| 2浪 | 602 | 62 | 10.3% |
| 3浪 | 321 | 33 | 10.3% |
| 4浪以上 | 509 | 29 | 5.7% |
| 合計 | 3,213 | 295 | 9.2% |
出典:各大学公表の入試結果(卒業年度別合格率)をもとに太宰府アカデミー集計/2026年度入試(医学部全体・全方式合計)
3浪の合格率10.3%は2浪とまったく同じでした。4浪以上でも5.7%で、現役の6.3%とほぼ変わりません。3浪以上の合格者は62名。合格者全体の21.0%にあたります。入学者で見ると現役18%・1浪35%・2浪25%・3浪8%・4浪以上11%。約8割が浪人経験者です。合格率は受験する層によっても動きます。浪人年数ごとに難易度が同じ、という意味ではありません。なお合否とは別に、学費支援の面ではっきりした線があります。国の「高等教育の修学支援新制度」は、高校を初めて卒業した年度の翌年度末から入学日までが2年を超えていないことを要件にしています。3浪以上はこの時点で対象外です(高卒認定の場合は別の起算になります)。多浪で受けるなら、合格可能性だけでなく学費の設計も一緒に考えておいてください。
太宰府アカデミーの視点|岩手医科大学はどんな受験生に向くか
今年いちばん考えさせられたのは、繰上の「17名→38名」よりも、1次最低点の「226点→247点」のほうでした。得点率7割という数字は、少し前なら私立中位より上の水準です。偏差値の順位(私立24位)だけ見れば「私立の中では手が届きやすい側」でも、要求される素点は6年前とは別の入試になっています。過去問で年度をさかのぼるときは、当時の合格ラインではなく、いまの247点を横に置いて解いてください。
併願設計については、38名に戻ったとはいえ、僕は「正規で取る前提」を崩さないほうがいいと考えています。17名という年を一度見たあとで、80名時代の感覚に戻す材料はまだありません。振れ幅の大きい大学として扱う。それが2026年度時点で誠実な結論です。
九州の受験生には、会場の話をもう一度だけ。1次は福岡で受けられて、2次は矢巾・東京・大阪のいずれか。1次発表(2月9日)から2次(2月12日・13日)まで中2〜3日しかありません。合格を見てから慌てて移動を組むのではなく、出願の時点で2次の交通と宿を仮決めしておく。それだけで直前期の消耗が目に見えて減ります。
岩手医科大学医学部のよくある質問
Q1. 2027年度入試で変わることはありますか?
A. 大学の受験生サイトによると、一般選抜が73名→66名に減り、総合型選抜(地域医療医師育成特別枠)が8名程度→15名以内に拡大します。日程は1次2月3日・2次2月12日/13日(選択)・最終発表2月18日。正式な募集要項は例年9〜10月公表なので、最終確認はそちらでお願いします。
Q2. 地域枠C・Dはどう違いますか?
A. どちらも岩手県の医師修学資金を前提にした全国枠で、Dは診療科の指定がつきます。2026年度の合格最低点は、C・D合算で1次221点・2次282点。1次は一般より26点低い一方、2次はほぼ同水準でした。卒業後の従事条件は岩手県の募集ページと募集要項で必ず確認してください。
Q3. 検索すると「岩手医科大学 やばい」と出てきます。実際どうなのですか?
A. 検索候補に出るのは事実ですが、データで見る限り「やばい」大学ではありません。合格者平均偏差値62.6は模試受験者の上位およそ10%の水準ですし、国試の新卒合格率は95.8%あります。この話は別の記事で正面から検証していますので、気になる方はそちらをどうぞ。
Q4. 学士編入学もありますか?
A. あります(3年次編入・若干名)。2026年度は志願9名・最終合格2名で、配点が変わり1次250点満点(最低103.9点=41.6%)、2次300点満点(最低158.1点)でした。参考までに、2022〜2025年度の1次は300点満点で122.3点→140.3点→151.3点→147.5点。学納金は一般入試の合格者より初年度で50万円高い950万円です。
まとめ|岩手医科大学医学部を受けるなら押さえる3つ
- 1次の合格ラインは“7割”。2026年度は247点/350点=70.6%。6年で22.9ポイント上がっており、「5割台で通る」という古い情報は使えません
- 繰上合格は17名→38名と戻したものの、80〜100名の時代とは別の大学。正規合格を取りに行く設計で臨んでください
- 学費は6年3,400万円+諸会費40万円。1年次は全寮制(寮費88万円)で、初年度に動くお金は約1,028万円です
前回この記事を作ったときの核は、「補欠はもう回らない」という数字でした。1年経って、その数字がまた動きました。書き直すたびに思うのは、結論そのものより「最新の数字で前提を組み直す習慣」のほうが、受験ではずっと役に立つということです。次に大きく動いたときも、このページを最初に更新します。
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本日の記事は以上です。
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◆筆者プロフィール
後藤 登(Goto Noboru)
仕事:総務・広報・完全個別指導コース担当
自己PR:高校・大学ボクシング部。釣りや登山が好き。新卒で当校に勤めて13年目。医学部受験の情報を調べて、ブログやInstagram、Twitterを更新しています。4年前から完全個別指導コースのコース担当。
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