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私立大学医学部医学科入試情報【まとめ】

産業医科大学医学部の合格最低点と入試情報【2027年度】

2026年09月08日 更新

産業医科大学医学部の合格最低点は、2026年度の一般選抜Aの2次(950点満点)で642点=67.6%でした。8年で10.5ポイント上がっています。この大学は珍しく合格最低点の内訳まで公表していて、共通テスト204点・個別学力検査364点・小論文17点で通っていることまで分かります。最終合格発表は3月19日と、国公立の後期発表よりあとです。修学資金を使えば6年間の実質負担は約1,919万円(免除には9年の勤務)。日程・科目と配点・合格最低点の内訳・繰上合格・学費まで、産業医科大学医学部の入試情報をこのページにまとめました。

産業医科大学医学部の偏差値。河合塾ボーダー65.0と合格者平均64.3(私立31校中13位・全81校中50位)を並べた図
出典:河合塾 入試結果調査(2026年度・全統模試)をもとに当塾集計。ボーダーは2027年度予想、合格者平均は2026年度入試の実績です。
項目 数字 出どころ
ボーダー偏差値 65.0(2027年度予想) 河合塾
合格者平均偏差値 64.3(私立31校中13位・全81校中50位) 河合塾 入試結果調査(2026年度)
合格者平均の科目別 英63.7・数64.4・理64.7 河合塾 入試結果調査(2026年度)
実質倍率 17.32倍(2025年度入試) 文部科学省
学費(6年総額) 3,049万円 大学公表
6年で医師になる割合 78.3%(進級86.7%×国試94.4%) 文部科学省・厚生労働省

入学定員105名はすべて一般の枠で、地域枠は0名です(文科省 令和7年度調査で0名だった9大学の1つ)。よく聞かれる4つを、数字で答えます。

− 学費は? 6年総額3,049万円です。

− 倍率は? 2025年度入試の実質倍率は17.32倍(受験1,992名→合格115名)です。

− 入ってから6年で医師になれる? 6年ストレート進級率86.7%・国試合格率94.4%。入学した人から数えると78.3%です。

− 偏差値はどのくらい? ボーダー65.0・合格者平均64.3(私立31校中13位)。ほかの大学と並べるなら私立医学部の偏差値ランキングが早いです。

福岡県北九州市にある、九州の受験生には身近な医学部。ただ「私立なのに国公立みたいな入試」「学費が特殊」と言われて、実態がつかみにくい大学でもあります。

今回、合格最低点の配点内訳まで手に入りました。共通テストで何点、2次学力検査で何点、小論文で何点取った人が通っているのか。そこまで分かる大学は多くありません。

そして、その内訳に、対策の優先順位を変えるくらいの数字が入っていました。

 

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産業医科大学医学部の入試情報|先に5つだけ

はじめに全体像を数行で。

  • 修学資金の貸与対象は6年間で約1,919万円(当校試算)。9年間 産業医等として勤務すれば返還免除されます
  • 一般選抜Aの2次合格最低点は636点/950点=66.9%(2025年度入試)。7年で9.8ポイント上がりました
  • 小論文は50点中19点=38.0%で通っています。勝負がつくのは共通テストと2次学力検査です
  • 繰上合格は2026年度で20名(前年は10名)。7年間で最少でした
  • 偏差値65.0(河合塾 全統模試・2026年度入試)。6年で医師になる確率78.3%は私立31校中12位です

いちばん誤解されやすいのが学費まわりなので、そこから書きます。

 

学費と修学資金は6年で約1,919万円|免除には9年の勤務

産業医科大学の学費が「特殊」と言われるのは、修学資金貸与制度があるからです。仕組みを正確に押さえておきます。

貸与の対象になるのは、入学料100万円のうち71万8,000円、授業料311万5,000円のうち257万9,200円、実験実習費50万円の全額です。年額でおよそ308万円、初年度は入学料ぶんが加わって約380万円。6年間の貸与総額は約1,919万円という計算になります(当校試算)。

項目 金額 うち修学資金の貸与対象
入学料 100万円 71万8,000円
授業料(年額) 311万5,000円 257万9,200円
実験実習費(年額) 50万円 50万円(全額)
6年間の貸与総額 約1,919万円(当校試算)
返還免除の条件 6年間貸与を受けた場合、9年間 産業医等として勤務すること(平成16年4月以降の入学者は、うち産業医または産業医活動の職務が2年以上必要)

そして返還免除の条件です。6年間貸与を受けた場合、卒業後9年間 産業医等として勤務すれば返還が免除されます。平成16年4月以降の入学者は、この9年のうち産業医または産業医活動の職務に従事した期間を2年以上含む必要があります。

ここは冷静に見てください。所定の職務に就かない、または所定期間を勤めない場合は、貸与を受けた金額と利息の合計を一括で返還することになります。9年という期間は、医師のキャリアで言えば初期研修から専門医取得を経て、その先まで含まれる長さです。

なお、上の表は「修学資金の貸与対象額」であって、学費の全額ではありません。施設整備費等を含めた6年間の納入総額は3,049万円(令和8年度予定額。初年度591万5,000円、2年次以降491万5,000円×5年)。私立医学部31校を安い順に並べると13番目、ちょうど真ん中あたりの水準です。

ただし、ここから修学資金1,919万円が貸与され、9年の勤務で返還が免除されます。条件を満たした場合の自己負担はおよそ1,130万円。私立31校の中央値3,420万円と比べると3分の1で、国公立の6年間約350万円と私立の平均のあいだに位置する、という言い方がいちばん実態に近いと思います。

出典:産業医科大学 公式サイト「学費」(令和8年度予定額)をもとに太宰府アカデミー集計

 

合格最低点は2次で67.6%|8年で10.5ポイント上がりました

合否ラインを見ます。産業医科大学の一般選抜Aは、共通テストと個別試験を合わせた950点満点です。2026年度は642点/950点=67.6%でした。内訳まで公表されていて、共通テスト204点/300点、個別学力検査364点/600点、小論文17点/50点で通っています。

産業医科大学医学部の一般選抜A・2次合格最低点の推移(2020年度58.2%から2026年度67.6%まで)
出典:産業医科大学 公表の入試結果(2019〜2026年度入試。図は直近7年)/太宰府アカデミー調べ。一般選抜A・950点満点。

2次合格最低点の得点率は、2019年度57.1%、2020年度58.2%、2021年度63.8%、2022年度60.2%、2023年度63.8%、2024年度68.7%、2025年度66.9%、2026年度67.6%。8年で10.5ポイント上がっています。

年度 一般A 2次最低点 得点率 一般B 得点率 一般C 得点率
2026年度 642/950 67.6% 455/650 70.0% 800/950 84.2%
2025年度 636/950 66.9% 461/650 70.9% 821/950 86.4%
2024年度 653/950 68.7% 501/650 77.1% 782/950 82.3%
2023年度 606/950 63.8% — — — —
2022年度 572/950 60.2% — — — —
2021年度 606/950 63.8% — — — —
2020年度 553/950 58.2% — — — —
2019年度 542/950 57.1% — — — —

2019年度の57.1%を見て「6割弱で受かるのか」と思うと、いまの実態と10ポイント以上ずれます。直近3年は66.9%〜68.7%。7割弱を基準にしてください。

あわせて一般選抜B・Cも押さえておきます。2026年度はB(650点満点)が455点=70.0%、C(950点満点)が800点=84.2%。Cは要求水準がまったく違います。方式ごとに別の試験だと考えたほうが正確です。小論文の最低点はA17点・B24点・C26点(いずれも50点満点)で、方式によって求められる水準が違います。

成績開示についても触れておきます。産業医科は不合格だった人が自分の得点を確認できます。返ってくるのは共通テスト・2次学力検査・小論文それぞれの得点と各区分の合格最低点です。★不合格者に限らず、推薦・一般の受験者が対象です。申請の時期と方法はその年の大学発表で確認してください。

出典:各大学の成績開示要領をもとに太宰府アカデミー集計(実施の有無と開示内容は2022年度調査。申請期間は毎年変わるため、その年の大学公式発表で確認してください)

 

実質倍率は17.3倍|1,992名が受けて115名が合格

倍率には志願者数で計算するものと、受験者数で計算するものの2つがあります。産業医科は志願倍率20.8倍に対し、実質倍率は17.3倍。差は小さいほうです。

区分 人数 読み方
募集人員 105名 —
志願者数 2,179名 志願倍率 20.8倍
受験者数 1,992名 志願者の91%が受験
合格者数 115名 実質倍率 17.3倍
入学者数 105名 定員充足率 100%

出典:文部科学省「令和7年度 医学部医学科入学者選抜実施状況」(2025年度入試)をもとに太宰府アカデミー集計。※一般・共通テスト利用・学校推薦型・総合型を合わせた医学科全体の数字です。方式別・年度別の倍率は、このページの他の節で扱っています

出願した人の91%が実際に受験しています。出願だけして受けない人がほとんどいない、逃げ場のない母集団です。母集団の質が高いぶん、同じ倍率でも通りにくくなります。

 

女子の合格率は5.7%|男子5.8%とほぼ同じです

2018年に医学部入試の男女差が問題になって以降、各大学は男女別の合格率を公表しています。産業医科の2025年度入試は、男子5.8%・女子5.7%。差は0.1ポイント。ほぼ同じと言っていい水準です。

区分 受験者数 合格者数 合格率
男子 1,070名 62名 5.8%
女子 922名 53名 5.7%
合計 1,992名 115名 5.8%

出典:文部科学省「令和7年度 医学部医学科入学者選抜実施状況」(2025年度入試)をもとに太宰府アカデミー集計

1年だけの数字では振れます。3年ぶんを並べます。

年度 男子合格率 女子合格率 差
最新年 5.8% 5.7% -0.1pt
前年 7.5% 6.3% -1.2pt
前々年 11.7% 8.3% -3.4pt

出典:文部科学省「医学部医学科入学者選抜における男女別合格率」(直近3年)をもとに太宰府アカデミー集計

3年とも男子のほうが高く出ています。ただし合格率は受験者層にも左右されるため、この数字だけで「女子が不利」とは言えません。

入学者で見ると女子は51名・48.6%です。合格率は受験する層によって動くので、この数字は「産業医科が男女どちらを採りやすいか」ではなく「実際にこうなった」という結果として読んでください。

 

合格発表はいつ?|2027年度の日程をまとめました

産業医科大学の日程は他の私立とまったく違います。最終合格発表は3月19日。国公立の後期発表より後です。

区分 日付 注記
出願(A方式) 2026年12月11日(金)〜2027年1月15日(金) 消印有効
共通テスト 2027年1月16日(土)・17日(日) A方式・C方式で使います
個別学力検査(A・B方式) 2027年2月14日(日) —
小論文・面接の受験資格者発表 2027年2月26日(金) ここで人数が絞られます
小論文・面接(A・B・C方式) 2027年3月12日(金) —
最終合格発表 2027年3月19日(金) 私立で最も遅い部類です
学校推薦型 12月2日(水)試験・12月11日(金)発表 募集25名以内
総合型 11月21日(土)試験・2027年2月12日(金)発表 募集10名以内

出典:各大学の2027年度(令和9年度)募集要項・入試日程(2026年8月18日に大学公式で確認)

流れは、共通テスト→個別学力検査(2月14日)→小論文・面接の受験資格者発表(2月26日)→小論文・面接(3月12日)→最終合格発表(3月19日)。2月26日でいったん人数が絞られ、そこを通った人だけが3月12日の小論文・面接に進みます。 ここで効いてくるのが「3月19日まで結果が出ない」という事実です。他の私立が2月中に決着するなか、産業医科だけは1か月近く後ろにあります。第一志望が産業医科なら、他大学の入学手続き(納入金)をどうするかを出願の段階で決めておかないと、3月に苦しい判断を迫られます。

 

小論文・面接の配点|小論文は50点中19点で通っています

今回いちばんお伝えしたかったのがここです。産業医科大学は、合格最低点の内訳を公表しています。

産業医科大学 医学部 2025年度一般選抜Aの合格最低点の内訳(共通テスト70.0%・2次学力検査60.2%・小論文は50点中19点で38.0%)
出典:産業医科大学 公表の入試結果(2025年度入試)/太宰府アカデミー調べ

2025年度の内訳を見てください。第1次学力検査(共通テスト)が210点/300点=70.0%、第2次学力検査が361点/600点=60.2%、そして小論文が19点/50点=38.0%。

年度 第1次学力検査
(共通テスト・300点)
第2次学力検査
(600点)
小論文
(50点)
合計(950点)
2025年度 210(70.0%) 361(60.2%) 19(38.0%) 636(66.9%)
2024年度 206(68.7%) 373(62.2%) 19(38.0%) 653(68.7%)
2023年度 189(63.0%) 325(54.2%) 22(44.0%) 606(63.8%)
2022年度 192(64.0%) 302(50.3%) 21(42.0%) 572(60.2%)
2021年度 213(71.0%) 308(51.3%) 20(40.0%) 606(63.8%)

小論文は5年間ずっと38.0%〜44.0%の範囲で、50点満点の4割前後です。しかも配点そのものが950点中の50点、全体の5.3%しかありません。

読み解きははっきりしています。小論文で合否がひっくり返る設計にはなっていません。もちろん白紙では通りませんが、小論文対策に何十時間もかけるより、共通テストと2次学力検査に時間を振ったほうが合理的です。産業医科大学は「小論文が重い大学」というイメージで語られがちですが、数字はそう言っていません。

逆に言えば、共通テストで7割前後、2次学力検査で6割——この2つが実質的な合格ラインです。ここを目標に置いてください。

 

繰り上げ合格は2026年度20名|前年10名から倍増

繰上合格の状況も見ておきます。

産業医科大学 医学部の繰上合格者数の推移(2021年度32名から2025年度10名へ減少、7年間で最少)
出典:産業医科大学 公表資料より太宰府アカデミー集計(2019〜2025年度入試)

2019年度21名、2020年度17名、2021年度32名、2022年度21名、2023年度18名、2024年度28名、2025年度は10名で、これが7年間で最も少ない年でした。

そして2026年度は20名です。一般選抜A(共通テスト併用)で正規合格69名+追加合格20名の計89名、実質倍率15.0倍。前年の10名から倍に戻りました。「もう回らない大学」ではなかったということになります。

年度 繰上合格者数 分かっていること
2025年度 10 7年間で最少
2024年度 28 3月31日に28番ごろが繰り上がり
2023年度 18 —
2022年度 21 —
2021年度 32 補欠が全員繰上。2次不合格者からも追加合格
2020年度 17 —
2019年度 21 —

もともと毎年10〜30名程度の幅で動く大学で、金沢医科大学(2025年度143名・2026年度98名)のような大きな繰り上がりは起きません。2021年度は補欠が全員繰り上がり、2次不合格者からも追加合格が出たという年もありましたが、これは例外的です。

補欠を当て込んだ出願設計は、この大学では成り立ちにくいと考えてください。ただし10名の翌年が20名です。「少ない年もあるが、ゼロではない」くらいの構えが実態に合っています。

数字の意味を1つ、はっきりさせておきます。上に並べた「◯名」は人数です。「補欠◯番まで回った」という意味ではありません。産業医科大学は補欠の順位を公表していません。10名という数字を「補欠10番まで」と読むことはできません。そして、繰上の連絡は辞退した人を飛ばしながら進むので、連絡が回った範囲は公表の人数より広くなります。この人数が入学辞退者を含むかどうかまでは、大学は明記していません。

兵庫医科大学が分かりやすい例です。2021年度は補欠140番まで回って、繰上入学者は61名。差の79名は、繰り上がったあとに他大学へ進んだ人です。ですから「◯名しか回らないから自分は無理だ」と早めに降りるのは、もったいない判断です。

 

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地域枠はありません|入学定員105名すべてが一般の枠です

産業医科には地域枠がありません。文部科学省の令和7年度調査で、地域枠の募集人数が0名だった9大学の1つです。卒業後の勤務地に条件が付く枠を避けたい人にとっては、それ自体が出願理由になります。

出典:文部科学省医学教育課「大学医学部における地域枠等の導入状況(令和7年度)」をもとに太宰府アカデミー集計

もう1つ、地域枠を考えるときに効いてくる数字があります。厚生労働省の医師偏在指標——人口10万対医師数を、地域の年齢構成と医師の年齢・性別で補正した公式の指標です。全国平均255.6に対し、福岡県は313.3で全国3位、上位16県に入る医師多数県です。 地域枠が置かれていないのは、この福岡県の指標の高さと無関係ではありません。地域枠も専攻医のシーリングも、この指標を根拠に動いています。

出典:厚生労働省「医師偏在対策について」(第4回 地域医療構想及び医療計画等に関する検討会 資料1・令和7年9月11日)の都道府県別医師偏在指標をもとに太宰府アカデミー集計

一般枠との点差と、卒業後9年の義務については医学部の地域枠は入りやすいのかにまとめています。

 

6年で医師になる確率は78.3%|国試と進級のデータ

入ったあとの6年間です。令和元年度に入学した105名のうち、6年間ストレートで進級したのは91名で86.7%、卒業したのは87名で82.9%。第119回医師国家試験の新卒合格率は94.4%(108名受験・102名合格)でした。

産業医科大学 医学部の6年ストレート進級率86.7%・卒業率82.9%・国試合格率94.4%と6年で医師になる確率78.3%
出典:文部科学省医学教育課調べ・厚生労働省(令和元年度入学者/第119回医師国家試験)

この2つを掛けた「6年で医師になる確率」は78.3%で、私立31校中12位。私立の平均77.0%を上回ります。

今回まとめた大学(国際医療福祉82.9%、関西医科77.7%、昭和医科77.8%、兵庫医科74.3%、岩手医科71.1%、東海65.4%)と並べると、上位グループに入ります。進級率86.7%も高いほうです。入学後に人数が大きく減るタイプの大学ではない、という読み方ができます。

 

産業医科のレベルは全81校中50位|私立31校では13位

「産業医科のレベルはどのくらいか」は、偏差値の数字だけでは答えになりません。同じ数字でも、上に何校いるかで意味が変わります。2026年度に全統模試を受けて合格した人の平均は64.3。私立31校中13位・全81校中50位で、全81校で下から数えると32番目にあたります。

全81校順位 大学 合格者平均偏差値 区分別順位
47位 徳島大学 64.3 国公立35位
47位 山形大学 64.3 国公立35位
49位 産業医科大学 64.3 私立13位
49位 日本大学 64.3 私立13位
49位 高知大学 64.3 国公立37位

出典:河合塾 入試結果調査(2026年度)をもとに太宰府アカデミー集計

上の表は産業医科の前後2校ぶんです。偏差値64.3の前後には徳島・山形・日本大学・高知が並んでいます。併願先を組むとき、実際に迷う相手はこのあたりになります。 なおこの平均は一般・推薦・総合型を含む「合格した人たち」の記述模試平均で、合格可能性50%を示すボーダー偏差値とは計算の土台が違います。自分の偏差値と1対1で比べるのではなく、大学同士の位置関係をつかむ物差しとして使ってください。

 

多浪・再受験でも受けられるか|一般選抜に年齢要件はありません

「何浪まで受け入れてもらえるのか」は、多くの受験生が気にするところです。はっきりしていることから書きます。産業医科の一般選抜に年齢の要件はありません。何浪でも、社会人からの再受験でも出願できます。

区分 年齢の条件 補足
一般選抜 年齢の要件はありません 何浪でも・再受験でも出願できます
推薦・総合型 総合型は単願で既卒も出願可。学校推薦型は評定4.3以上・1浪まで・単願です 年内入試は年齢条件が付くことがあります
卒業年度別の合格率 本ページでは未掲載 大学公表データを取得しだい追記します

出典:各大学の2027年度(令和9年度)学生募集要項・入試ガイドをもとに太宰府アカデミー集計

差が出るとすれば一般選抜ではなく、年内入試のほうです。産業医科は卒業年度別の合格率を公表していないため、このページでは「何浪の合格率が何%」という数字を出していません。他校の数字や、うわさで埋めることはしません。公表され次第、実数に置き換えます。なお合否とは別に、学費支援の面ではっきりした線があります。国の「高等教育の修学支援新制度」は、高校を初めて卒業した年度の翌年度末から入学日までが2年を超えていないことを要件にしています。3浪以上はこの時点で対象外です(高卒認定の場合は別の起算になります)。多浪で受けるなら、合格可能性だけでなく学費の設計も一緒に考えておいてください。

何浪まで現実的かという問いには、6校の実データで答えた医学部再受験は何浪まで可能かにまとめています。

 

偏差値65.0と合格者平均64.3|私立31校中13位

合格者平均偏差値は64.3|私立31校中13位タイ

産業医科の“入りにくさ”を偏差値の実勢で確かめます。河合塾の入試結果調査(2026年度)で、全統模試を受けて産業医科大学医学部に合格した人の記述模試平均は64.3(英63.7・数64.4・理64.7)。私立31校中13位タイ・国公立を含む全81校中50位(防衛医科大学校を除く)です。

産業医科大学医学部の合格者平均偏差値64.3と、同じ偏差値帯に並ぶ大学(全81校中50位・私立31校中13位)
出典:河合塾 入試結果調査(2026年度・全統模試)をもとに当塾集計。実際に合格した人の記述模試平均で並べています。

日本大学とまったく同じ64.3で13位タイ。前年の64.8からは-0.5でした。英63.7より数64.4・理64.7が高い理系寄りの形は、共通テストを課す国公立型の選抜を組むこの大学らしい合格者層だと思います。

全81校順位 大学 合格者平均 区分別順位
49位 香川大学 64.3 国公立37位
50位 高知大学 64.3 国公立38位
50位 日本大学 64.3 私立13位
50位 産業医科大学 64.3 私立13位
53位 愛媛大学 64.2 国公立39位
53位 愛知医科大学 64.2 私立15位

※読み方の注意:この「合格者平均偏差値」は、その年に全統模試を受けて合格した人の記述模試平均です(一般・推薦・総合型を含む)。合格可能性50%を示すボーダー偏差値とは計算の土台が違うため、自分の偏差値と1対1で比べるものではなく、大学同士の位置関係をつかむ物差しとして使ってください。

産業医科大学医学部の合格者平均偏差値の科目別内訳(英63.7・数64.4・理64.7)と全81校平均との差
出典:河合塾 入試結果調査(2026年度・全統模試)をもとに当塾集計。英数理の平均が総合です。
科目 合格者平均偏差値
英語 63.7
数学 64.4
理科 64.7
総合 64.3

図で赤くしているのは英語です。63.7で、全81校平均の66.2を2.5下回っています。3科目の中でいちばん差が大きい科目です。数字そのものがいちばん高いのは理科の64.7ですが、全81校平均も理科は高い(65.6)ので、差で見ると英語のほうが大きくなります。自分の得意な科目が、この大学の配点で重いかどうかを次に見てください。

 

同じ偏差値帯に28校|高知・日本・香川と同じ帯

同じくらいの学力層が受かっている大学を、合格者平均で並べておきます。

全81校順位 大学 合格者平均 区分別順位
39位 浜松医科大学 65.3 国公立28位
40位 徳島大学 65.2 国公立29位
41位 和歌山県立医科大学 65.1 国公立30位
41位 近畿大学 65.1 私立12位
43位 鳥取大学 65.0 国公立31位
44位 岐阜大学 64.9 国公立32位
45位 札幌医科大学 64.7 国公立33位
45位 大分大学 64.7 国公立33位
47位 旭川医科大学 64.6 国公立35位
48位 滋賀医科大学 64.6 国公立36位
49位 香川大学 64.3 国公立37位
50位 高知大学 64.3 国公立38位
50位 日本大学 64.3 私立13位
50位 産業医科大学 64.3 私立13位
53位 愛媛大学 64.2 国公立39位
53位 愛知医科大学 64.2 私立15位
55位 山形大学 64.1 国公立40位
56位 佐賀大学 64.0 国公立41位
57位 自治医科大学 64.0 私立16位
58位 宮崎大学 63.9 国公立42位
59位 兵庫医科大学 63.8 私立17位
60位 久留米大学 63.7 私立18位
61位 群馬大学 63.7 国公立43位
62位 福井大学 63.6 国公立44位
63位 東北医科薬科大学 63.5 私立19位
64位 富山大学 63.4 国公立45位
65位 杏林大学 63.2 私立20位
66位 聖マリアンナ医科大学 63.1 私立21位
67位 北里大学 63.1 私立22位

合格者平均64.3の上下1.2に入るのは、産業医科大学を含めて29校。自校を除くと28校が同じ帯にいます。内訳は私立10校・国公立18校です。高知大学(64.3)とは合格者平均が同じ値です。ただし同じ帯にいることは「同じ準備で受かる」という意味ではありません。国公立は共通テストが必要で、科目数も配点も別物です。この表は「同じくらいの学力層が受かっている」という読み方をしてください。

高知・日本・香川と同じ帯に並ぶこの位置を、ほかの30校と見比べたい方は私立医学部 偏差値ランキング2027へどうぞ。産業医科大学の偏差値をまとめた専用ページも公開しました。科目別・50年推移・同じ帯の並びまで、このページより一段細かく置いています。

 

太宰府アカデミーの視点|産業医科大学はどんな受験生に向くか

まず対策の優先順位について。小論文が50点中19点で通っているという事実は、この大学を受ける人の時間配分を変えるだけの意味があると考えています。共通テストで7割前後、2次学力検査で6割。ここが実質的な合格ラインです。ただし配点が有利だから狙える、という話にはしないでください。2次学力検査の出題形式と自分の相性は、必ず過去問で確かめてから判断してください。配点の話は、形式との相性を確認して初めて意味を持ちます。

次に、修学資金の考え方です。約1,919万円が免除されるのは大きい。ただし条件は9年間の産業医等としての勤務で、うち2年以上は産業医または産業医活動の職務である必要があります。「学費が安いから」という理由だけで志望校に入れるのは、おすすめしません。産業医という仕事に関心があるかどうかを、出願前に一度きちんと調べてください。関心があるなら、これほど条件のそろった大学は他にありません。

最後に、繰上合格について。2025年度の10名は7年間で最少でしたが、2026年度は20名に戻りました。もともと大きく回る大学ではなく、年によって倍半分に振れます。この大学は正規合格を取りに行く前提で、併願計画を組んでください。補欠を計算に入れた出願は成り立ちにくいです。

 

産業医科大学医学部のよくある質問

Q1. 修学資金を借りずに入学できますか?
A. 制度上の可否は募集要項・産業医学振興財団の資料でご確認ください。借りた場合の返還免除条件は9年間の産業医等としての勤務で、条件を満たさない場合は貸与額と利息を一括返還することになります。

Q2. 小論文対策はしなくていいのですか?
A. しなくていい、という話ではありません。合格最低点の小論文は5年間38.0〜44.0%で、白紙では届きません。ただし配点は950点中50点(全体の5.3%)で、5年間ずっと4割前後で通っています。時間配分としては、共通テストと2次学力検査に比重を置くのが合理的だという意味です。

Q3. 2027年度の変更点はありますか?
A. 2026年7月時点で、医学科の変更は確認できていません。一般選抜A(共テ併用)・B・C(共テ併用)、学校推薦型、総合型を2026年度から継続する見込みです。募集要項が出たら必ずご確認ください。

Q. 産業医科大学医学部のレベルはどのくらいですか?
A. 2026年度に全統模試を受けて合格した人の平均偏差値は64.3で、医学部のある全81校の中で50番目、私立31校の中では13番目です(河合塾 入試結果調査・防衛医科大学校を除く)。

Q. 産業医科大学医学部と同じレベルの大学はどこですか?
A. 合格者平均偏差値が近いのは高知(64.3)・日本(64.3)・香川(64.3)・愛媛(64.2)です。産業医科大学は64.3で、この帯の大学は併願先として比べられることが多くなります。

Q. 産業医科大学医学部は難しいですか?
A. 河合塾のボーダー偏差値は65.0(2027年度予想)、実際に合格した人の平均は64.3で、合格した人の平均のほうが低く出ています。ボーダーは合格可能性50%のライン、平均は推薦・総合型を含む合格者の値で、計算の土台が違います。

Q. 一番偏差値が低い医学部はどこですか?
A. 2026年度の合格者平均で全81校を並べると、いちばん高い大学が74.9、いちばん低い大学が55.8で、幅は19.2あります。ただし共通テストの比重も科目数も大学ごとに違うため、偏差値の数字だけで入りやすさは決まりません。全81校の並びは偏差値ランキングの記事にまとめています。

 

まとめ|産業医科大学医学部を受けるなら押さえる3つ

  • 修学資金は6年間で約1,919万円。9年間 産業医等として勤務すれば返還免除(うち産業医の職務2年以上)。条件を満たさなければ一括返還です
  • 2次合格最低点は636点/950点=66.9%。7年で9.8ポイント上がっており、古い年度の数字は使えません。共通テストで7割前後、2次学力検査で6割が実質のラインです
  • 小論文は50点中19点で通っています。配点は全体の5.3%。時間配分は共通テストと2次学力検査に振ってください

この記事を書こうと思ったのは、産業医科大学が「よく分からない大学」のまま語られているのが、九州にいる者として引っかかっていたからです。小論文の合格最低点が19点だということも、繰上が10名まで減って翌年20名に戻ったことも、大学がちゃんと公表しています。調べれば分かることを、調べられる形にしておく。それだけのことをしたいと思いました。

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本日の記事は以上です。
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◆筆者プロフィール

後藤 登(Goto Noboru)
仕事:総務・広報・完全個別指導コース担当
自己PR:高校・大学ボクシング部。釣りや登山が好き。新卒で当校に勤めて13年目。医学部受験の情報を調べて、ブログやInstagram、Twitterを更新しています。4年前から完全個別指導コースのコース担当。

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