こんにちは、太宰府アカデミーOBの柴山です。
福岡県内で精神科医として勤務するかたわら、医学部受験のお役立ち情報を発信しています。
今回の記事では、2024年度の私立医学部の学費をランキング形式でお伝えできればと思います。
さらに、本記事では3年前と比較した学費の変遷にも着目し、そこから浮かび上がってくる各大学の動向についても考察していきます。
最後には、意外と重要な「入学金の意外な役割」も説明していきますので、最後まで読んで頂ければ幸いです。
なお、学費ランキングの表示については、
・学費の安い順に掲載
・6年間総額の下の( )は、入学金
となっています。
さっそく、本題に移りますね!
まず下記のランキング表をご覧ください。
この記事の目次
私立医学部学費ランキング ~ 3年前との比較 ~
全体を通した印象は?
3年前との学費を比較して、値上げが7校、値下げが9校という結果になりました。
前回、同様のテーマを扱った際には値上げした大学が圧倒的に多かったものの、今回は値下げした大学数がわずかに上回る結果となりました。
特に前回の特集時はコロナ禍真っ只中ということもあり、「東京女子医科大学」を代表として、経営難からの大幅な値上げが目立っていました。
今回、全体的に値下げが目立つということは、コロナウイルス感染症の収束により、(少なくとも過去数年と比較すると)各大学の経営状態が安定してきていると解釈することができます。
私立医学部附属病院だけで日本全体の医療インフラを語ることはできませんが、ひとまずは、ポジティブな情報と受け止めていいかもしれません。
値上げ幅が大きかった大学ベスト3
値上げ幅が大きかった大学ベスト3は以下の通りです。
第1位 愛知医科大学 | 75万円 |
第2位 東海大学 | 20万円 |
第3位 慶応義塾大学 | 18万円 |
先述の通り、2021年度に6年間の学費を1200万円値上げした「東京女子医科大学」と比較すると、微風といっていい結果となりました。
いずれの大学の値上げも、6年間の学費総額を考慮すると微々たるものであり、世間的にはほとんど話題になっていません。
何度も例にあげて恐縮ですが、「東京女子医科大学」が大幅に値上げを公表した2020年度、1,390人だった同学校の志願者が翌年の2021年度には945人と3割以上減っています。
大学側にとっても相応のリスクがあることから、経営難にある等のよっぽどの理由がない限り、学費の値上げのインセンティブは乏しいと考えるべきでしょう。
値下げ幅が大きかった大学ベスト3
値下げ幅が大きかった大学ベスト3は以下の通りです。
第1位 関西医科大学 | 670万円 |
第2位 大阪医科薬科大学 | 300万円 |
第3位 岩手医科大学 | 123.6万円 |
上位3校に関しては、数百万円単位の大幅な値下げに踏み切っています。
そもそも、私立医学部は学費が大幅に下がると、難易度が上がる傾向があります。
代表例は、「順天堂大学」が2008年に6年間の学費を約900万円値下げしたものであり、以降は志願する受験生が急増。
偏差値が上昇して、慶應義塾大学、東京慈恵会医科大学、日本医科大学の3大学(いわゆる御三家)にも匹敵する難関大となりました。(参考:四ツ谷MEDICAL 新型コロナ影響による医学部学費の変化と、そこから見える戦略)
大規模な値下げを敢行する私立医学部のいくつかには、「順天堂に続け!」といった思惑が少なからずあると考えられるでしょう。
ここからは、特に値下げ幅の大きかった関西の2大学について言及していきます。
関西医科大学
関西医科大学は2023年度の入学生から学費を大幅に引き下げ、6年間で計2100万円にすると発表しました。
この値下げ以前より、同大学の学費は西日本の私立医科大学では最も低い水準でしたが、「さらに670万円引き下げる」として話題をさらっています。(参考:関西医大「西日本最安」学費を6年間で670万円引き下げ)
この年度と比較すると、今年度は44万円の値上げとなりましたが、学費総額の水準はまだまだ低いまま。
ここ3年間の670万円の値下げは一時の順天堂大学に近しいインパクトがあり、その効果はしばらくの間続きそうです。
大阪医科薬科大学
大阪医科薬科大学は2022年9月、急遽、医学部の学費を引き下げることを発表。
これにより当時の同校の6年間の学費は、2841万円になりました。
(この値下げ直後と比較すると、今年度は66万円の値上げ)
結論から言えば、この値下げは関西医科大学との値下げ競争の結果といえます。
というのも、同校がこの発表したのは、関西医科大学が「学費を引き下げる」と公表したわずか3ヶ月後。
両校は同じ関西に位置する私立医学部であり、自動車で15分で移動できるほど立地が近接しています。
少なくとも、立地を理由に大学を吟味する受験生を中心に、「学生を奪い合う明確な競合の関係」にあり、ここ3年間で300万円の値下げに踏み切るのは必然だったと考えるべきでしょう。(参考:大阪医科薬科大学が医学部の学費改定を発表)
当初より関西の私立医学部をターゲットにしていた受験生が、「漁夫の利を得た」格好になりました。
実は大事な「入学金」
過去の記事でも言及していますが、私立医学部の受験にあたっては、6年間の学費のみならず入学金も重要な数字です。
入学金は一般前期入試に合格後、大学に一度振り込んだら返金が無いお金となります。
つまり、「進学するか迷っているので、進学の決定タイミングを少し遅らせてください」という手付金のようなもので、悪い言い方をすれば、保留する権利をお金で買っているのです。
ほとんどの医学部の一般前期入試では、合格直後の1週間程で入学金の支払いを求められます。
支払いを完了していれば、進学可能な大学として3月下旬頃までキープすることが可能。
一方、先に述べたようにいったん支払ってしまってた入学金は、仮に入学を辞退しても 没収されます。
仮に入学を辞退してしまって、他の大学にも受からなければもう1年の浪人が決定しますし、翌年に同様のパフォーマンスを発揮できる保証はありません。
大学側は入学金を100-200万円とかなり高額な設定にしていますが、上記を天秤にかけた結果、多くの親御さんはこの大金を惜しみなく支払う心理状態にあります。
入学金は私立医学部運営の貴重な財源として機能しているのです。
ただ、彼らの名誉のために付け加えておきますが、入学金の返還に応じないのはなにも私立医学部だけではありません。
過去に臨床検査技師の専門学校に対して、入学を辞退した受験生が入学金の返済を求めたケースが参考になります。
これについて最高裁判決は、入学金について『入学できるという地位取得の対価』であり、学校側は原則、返還する必要はないと判断しています。
最高裁も「キープするための権利」ってはっきり言ってますね(笑)
(参考:専門学校入学を辞退。受けていない授業料は返して!)
まとめ
本記事では「2024 私立医学部学費ランキング|3年前比較」を解説してきました。
学費の変遷を辿るだけでも、社会的な問題や各大学の経営状態を垣間見ることができて面白いですよね。
このような記事に関心を持たれる方の中には、医学部受験に強い予備校をお探しの方もいるのではないでしょうか。
私は予備校時代に培った学習習慣のお陰で、幸いなことに最短で医師になることができました。
医学部進学をお考えの方は、ぜひ太宰府アカデミーまでご相談ください。
最後まで読んでいただきありがとうございます!
精神科医 柴山 寛
◆太宰府アカデミーの自己PR
当校は福岡県にある日本で唯一の全寮制医学部受験予備校です。【当校の特徴】定員30名|20年間の累計医学部医学科合格実績443名|田舎の全寮制|全国各地から入学(2024年度生は16の都道府県より入学)|異次元の生活サポート|圧倒的に食事が美味しい(土日祝日問わず提供)|講師との距離が近い|プロ講師の質問対応が充実|完全個別指導コースあり|選抜国公立コースあり|専用筋トレジムあり|同じ夢を持った仲間が1年間切磋琢磨し、医学部合格を目指す【校風】アットホームな大家族予備校
◆筆者プロフィール
柴山寛(Shibayama Kan)/精神科医|昭和大学卒|太宰府アカデミーOB|准看護学校講師
高校時代は鳴かず飛ばずで浪人することに…予備校時代は1年で偏差値を20上げ、なんとか医学部に合格。現在は医師をしながら、受験経験を元に医学部受験情報を発信しています。太宰府アカデミー経験者だけの、リアルな意見もぶっちゃけ中。
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