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医学部の入学金は私立31校で20万〜200万円|2027年度入試

2026年08月22日 更新

こんにちは、福岡の医学部予備校で総務・広報を担当している後藤です。

今日は、面談でいちばん聞かれるのに、調べてもまとまった答えが出てこないお金の話を書きます。医学部の入学金です。

この時期に書くのには理由があります。総合型選抜の出願受付が9月1日から始まり、早い大学は11月に合格発表があります。合格が出たらその場で入学金を納めることになるので、共通テストを受ける前に、家計から100万円単位のお金が出ていきます。それを知らずに年内入試に出願する人が、毎年います。

そのうえ、この分野は2025年6月に国が動いて、いま制度が変わっている最中です。古い情報のまま「入学金は返ってこない」と覚えていると、損をする可能性があります。

皆さん、こんなふうに思っていませんか。

− 入学金って、どこの大学も20万円くらいでしょ?

− 併願して辞退したら、払ったお金は全部パーになるんでしょ?

− 国公立が受かるまで、私立のお金は待ってもらえないんでしょ?

3つとも、答えは「いいえ」です。順番に、国の調査と最高裁判所の判決で確かめていきます。

結論:私立医学部の入学金は20万円〜200万円。31校の一覧

先に答えを出します。私立医学部31校の入学金は、いちばん高い200万円からいちばん低い20万円まで、10倍の開きがあります。31校の単純平均は136.5万円、中央値は150万円でした。

私立医学部31校の入学金の分布。200万円が6校、160万円が1校、150万円が11校、100万円が12校、20万円が1校で、金額の種類は5つしかない
出典:各大学公表の学費・学納金(2026年8月22日確認)をもとに太宰府アカデミー集計。東京女子医科大学は2027年度入学者からの額

面白いのは、金額の種類が5つしかないことです。200万円が6校、160万円が1校、150万円が11校、100万円が12校、20万円が1校。150万円と100万円の2つだけで23校=全体の74%を占めます。医学部の入学金は「だいたい100万円か150万円」と覚えておいて、あとは例外を押さえるのが実用的です。

大学 入学金 (円) 備考
岩手医科大学 200万円 2,000,000円
埼玉医科大学 200万円 2,000,000円
順天堂大学 200万円 2,000,000円
金沢医科大学 200万円 2,000,000円
兵庫医科大学 200万円 2,000,000円
川崎医科大学 200万円 2,000,000円
東京女子医科大学 160万円 1,600,000円 2027年度から。2026年度までは200万円
獨協医科大学 150万円 1,500,000円
国際医療福祉大学 150万円 1,500,000円
杏林大学 150万円 1,500,000円
昭和医科大学 150万円 1,500,000円
帝京大学 150万円 1,500,000円
東邦大学 150万円 1,500,000円
日本医科大学 150万円 1,500,000円
北里大学 150万円 1,500,000円 2027年度入学者学費等一覧より
聖マリアンナ医科大学 150万円 1,500,000円
愛知医科大学 150万円 1,500,000円
藤田医科大学 150万円 1,500,000円
東北医科薬科大学 100万円 1,000,000円
自治医科大学 100万円 1,000,000円 全額が修学資金の貸与対象
東京医科大学 100万円 1,000,000円
東京慈恵会医科大学 100万円 1,000,000円
日本大学 100万円 1,000,000円
東海大学 100万円 1,000,000円
大阪医科薬科大学 100万円 1,000,000円
関西医科大学 100万円 1,000,000円
近畿大学 100万円 1,000,000円
久留米大学 100万円 1,000,000円
産業医科大学 100万円 1,000,000円 うち71万8,000円は修学資金の貸与対象
福岡大学 100万円 1,000,000円
慶應義塾大学 20万円 200,000円 全学部共通。別に在籍基本料7万円
31校の単純平均 136.5万円 1,364,516円 中央値は150万円
(参考)国の調査による私立「医」の平均 137.5万円 1,375,271円 令和7年度・調査校592校の加重平均

表のとおり、200万円は岩手医科・埼玉医科・順天堂・金沢医科・兵庫医科・川崎医科の6校。反対にいちばん低いのは慶應義塾大学の20万円で、これは同大学の全学部共通の額です(別に在籍基本料7万円がかかります)。慶應の初年度納入金そのものは395万3,350円ですから、「入学金が安い=学費が安い」ではありません。入学金という費目に何を含めるかが、大学ごとに違うだけです。

2つだけ、読むときの注意を添えます。東京女子医科大学は2027年度入学者から160万円に下がります(2026年度までは200万円)。大学が2026年6月に発表した減額で、授業料も年280万円から250万円になり、6年間で220万円の負担軽減になります。もう1つ、産業医科大学の入学料100万円は、そのうち71万8,000円が修学資金の貸与対象です。修学資金を借りる人の実質負担は28万2,000円——国立大学の入学料と同額になります。自治医科大学は入学金を含む学納金の全額が貸与対象です。

そして、この31校の単純平均136.5万円は、次に見る国の調査の数字とほぼ一致します。

「入学金は20万円くらい」という相場は、医学部には当てはまりません

文部科学省が私立大学592校を調べて毎年公表している調査があります。令和7年度の「医」の入学料の平均は1,375,271円。上で出した31校の単純平均136.5万円と、1万円しか違いません(国の調査は入学定員で重みを付けた平均なので、少しだけずれます)。

学部系統別の入学料の比較。私立医学部137.5万円は私立の全学部平均24.0万円の5.7倍、国立の標準額28.2万円の4.9倍にあたる
出典:文部科学省「令和7年度 私立大学入学者に係る初年度学生納付金等調査結果」(2025年12月26日公表)

問題はここからです。同じ調査の私立大学の全学部平均は240,365円。医学部はその5.7倍です。歯学部(594,837円)と比べても2.3倍、国立大学の標準額(282,000円)と比べると4.9倍になります。

区分 入学料 授業料(年額) 施設設備費 初年度の総計
私立 医学部 1,375,271円 2,708,609円 1,052,224円 6,841,248円
私立 歯学部 594,837円 3,026,060円 544,605円 5,126,150円
私立 理科系 平均 245,362円 1,195,313円 161,378円 1,716,714円
私立 文科系 平均 219,951円 850,392円 141,892円 1,300,561円
私立 全学部 平均 240,365円 968,069円 172,550円 1,507,647円
国立(国が示す標準額) 282,000円 535,800円 817,800円
公立(平均・地域外から入学) 382,806円 536,520円 919,326円
公立(平均・地域内から入学) 224,369円 536,520円 760,889円

表の右端も見てください。私立医学部の初年度の総計は6,841,248円です。内訳は授業料2,708,609円+入学料1,375,271円+施設設備費1,052,224円で合計513万6,104円、ここに実験実習料28万1,426円と「その他」142万3,718円が乗ります。この「その他」の142万円が、予備校各社の6年総額の表からはいちばん見えにくい部分です。

もう1つ、意外と知られていない事実を。「私立医学部は毎年値上げしている」は、国の集計では成り立ちません。医の初年度総計は前回調査(令和5年度)から+0.1%=ほぼ横ばいでした。値上げした大学と値下げした大学が両方あって、平均するとほぼ動いていない、というのが実態です。

国公立の入学料は28万2,000円。ただし公立は住んでいる場所で変わります

国立大学の入学料は282,000円、授業料は年535,800円。これは国が示す標準額で、全学部共通です。医学部だから高い、ということはありません。

気をつけたいのは公立大学です。公立は入学料が地域内から入学する人と地域外から入学する人で違います。令和7年度の平均は地域内が224,369円、地域外が382,806円。差は約16万円です。大学によっては地域外がその3倍という例もあり、たとえば福島県立医科大学は県外からの入学者の入学料が846,000円になります。

公立の医学部を受けるときは、自分が「地域内」に当たるのかを募集要項で必ず確認してください。親の住所か本人の住所か、いつの時点で判定するかは大学によって違います。

入学を辞退したら、どのお金が戻るのか

ここが今日いちばん書きたかったところです。結論から言うと、戻らないのは入学金だけです。

入学を辞退したときに返還されるお金と、されないお金の一覧。返還されないのは入学金だけで、授業料や施設設備費や諸会費は3月31日までなら原則返還される
出典:最高裁判所 平成18年11月27日判決/文部科学省「入学辞退者に対する授業料等の取扱いについて(通知)」(平成18年12月28日)

根拠は最高裁判所の平成18年11月27日判決と、それを受けて文部科学省が全国の大学へ出した通知(平成18年12月28日)です。判決は入学金について「学生が当該大学に入学し得る地位を取得するための対価」だから、その後に在学契約が解除されても大学は返還義務を負わない、としました。逆に言うと、授業料から下は違います。

お金の種類 3月31日までに辞退したら 根拠
入学金(入学料) 返還されない 入学し得る地位を取得するための対価にあたるため
授業料 原則として返還される 在学契約が解除されたとみなされるため
施設設備費・実験実習費・教育充実費 原則として返還される 通知のいう「授業料等」に含まれる
学生自治会費・同窓会費・父母会費・傷害保険料 原則として返還される 通知のいう「諸会費等」にあたる
(例外)専願・推薦型で合格した場合 授業料等も原則として返還義務なし 代わりの入学者を確保しにくい時期のため
(例外)4月1日以降に辞退した場合 原則として返還義務なし 要項に「入学式の無断欠席は辞退とみなす」等があれば入学式の日まで

通知が「授業料等」と呼んでいるのは、授業料のほかに実験実習費・施設設備費・教育充実費など。「諸会費等」は学生自治会費・同窓会費・父母会費・傷害保険料などです。3月31日までに辞退の意思表示をすれば、これらは原則として返ってきます。しかも通知には「口頭による意思表示でも、原則として有効な在学契約の解除の意思表示と認められる」とはっきり書かれています。

ただし例外が2つあります。1つは専願・推薦型で合格した場合——大学が代わりの入学者を確保しにくい時期なので、授業料等も原則として返還義務がないとされています。もう1つは4月1日以降の辞退です。年内入試で合格して入学金を払い、そのあと一般入試で第一志望に受かった、というときは、この1つめの例外に当たる可能性があります。「年内入試を受けるか」は、学力の話であると同時に、お金の話でもあるということです。

「私立の残金の締切は国公立後期の発表より後に」が国の方針です

もう1つ、知っておくと資金計画が変わる話を。文部科学省は同じ通知の冒頭で、大学に対してこう要請しています。

納付期限や入学辞退に伴う納付金の返還申出期限については、少なくとも国公立大学の後期日程の合格発表日より後にするなどの配慮をお願いしてきたところです——という一文です。さらに令和9年度大学入学者選抜実施要項(2026年5月27日)の第10には、入学料以外の学生納付金について「合格発表後、短期間内に納入させるような取扱いは避ける」と書かれています。

医学部を併願する人のお金が動く順番。年内入試の合格発表から共通テスト、私立の一次手続、国公立の合格発表、3月31日の返還申出期限まで
出典:文部科学省「令和9年度大学入学者選抜実施要項」(2026年5月27日)と最高裁判所 平成18年11月27日判決をもとに太宰府アカデミー作成

つまり「入学金は合格発表からすぐ。残りの授業料等は国公立の後期発表を待ってから」が国の想定している形です。国公立志望で私立を併願する人にとっては、これが分かっているかどうかで動かすお金の額がまるで変わります。

時期 起きること お金の動き
2026年9月1日〜 総合型選抜の出願受付が始まる 検定料(1出願あたり4万〜6万円が中心)
2026年11月1日〜 総合型選抜の合格発表/学校推薦型の出願受付 ここから入学金の納付が始まる
2026年12月1日〜 学校推薦型選抜の合格発表 同上
2027年1月16日・17日 共通テスト本試験(追試1月23日・24日) 年内入試で払った入学金は、この前に確定している
2027年2月1日〜3月25日 各大学の個別試験と合格発表 私立の一次手続(入学金)が集中する
2027年3月中旬〜下旬 国公立の前期・後期の合格発表 私立の残金の締切は後期発表より後に、が国の方針
2027年3月31日 合格者の決定発表の期限 辞退すれば授業料等が戻る期限もこの日

ただし、これは国が「お願い」しているだけで、全部の大学が守っているとは限りません。だから出願する前に、募集要項でこの日付を1校ずつ確かめる必要があります。次の章で、その確かめ方をまとめます。

2025年から、入学金の負担を軽くする動きが始まっています

ここはいま動いている最中の話なので、去年の情報のままだと取り逃がします。

2025年6月26日、文部科学省が全国の私立大学に通知を出しました。要請は3つです。①入学料の額や納付時期の考え方を社会に説明すること ②入学料の額の抑制に努めること入学しない学生が納める入学料の負担を軽くする方策を講じるよう努めること

なぜいまなのか。文部科学省が2026年3月に更新したQ&Aに理由が書かれています。最高裁の判決が出た当時に比べて、併願できる総合型選抜などが増え、複数の大学に入学料を納める機会が広がったから。複数大学への入学料の納付が進路選択の幅を狭めることのないように、というのが趣旨です。

Q&Aは、大学が取りうる具体策として次の4つを挙げています。

  • 辞退の時期に応じて入学料の全部または一部を返還する(時期によって返還額に差を設ける)
  • 合格発表後は入学料の一部だけ納付させ、残りを年度内など一定の時期までに納付させる
  • 入学料の納付期限そのものを後ろ倒しする
  • 経済的に困難な学生に減免・複数回納付・猶予を認める

すでに要項に「返還しない」と書いてしまっている大学については、志願者にとって不利益な変更ではないので、ホームページ等で別途公表すれば対応できるとされています。つまり2027年度は、募集要項に書いていない扱いがホームページ側に出る可能性があります。要項だけ見て終わらせないでください。

国は大学が動きやすいように制度も直しました。2026年3月13日に「設置等に係る認可の基準」を改正し、学部新設の認可申請で収容定員充足率を確認する時期を後ろへずらしています。定員割れのペナルティを恐れて入学金を返せない、という大学側の事情に手を打った形です。

実際、医学部でもお金の額そのものを下げる動きは出ています。東京女子医科大学は2027年度から入学金を200万円→160万円・授業料を年280万円→250万円に、藤田医科大学は2026年度入学生から6年間の学費を2,980万円→2,152万円に下げました。

太宰府アカデミーの視点|出願前に募集要項で確かめる7項目

ここまでの話を、実際に使える形にしておきます。私立を併願する人は、出願する前にこの7つを大学ごとに表にしてください。合格が出てから調べ始めると、必ず間に合いません。

1つめ、一次手続(入学金)の締切日。合格発表から何日あるか。ここがいちばん早く来る資金需要です。2つめ、一次手続で払う金額。入学金だけの大学と、授業料の一部まで含める大学があります。3つめ、二次手続(残金)の締切日。これが国公立の後期発表より後かどうか——併願する人にとっては、ここが最大の分かれ目になります。4つめ、延納制度の有無と条件。国公立志望者向けに納付期限を延ばす制度を設けている大学があります。

5つめ、辞退したときの返還の申出期限と方法。3月31日が原則ですが、書面が必要か電話でよいか、締切の時刻まで指定している大学があります。6つめ、入学金の返還・分割納付の新しい制度があるか。これが2025年の通知を受けて2027年度から入ってくる可能性のあるところです。7つめ、諸会費(父母会費・同窓会費など)の扱い。返還の対象ですが、明記しているかどうかは大学によります。

そのうえで、判断の順番についても1つだけ。「入学金が惜しいから年内入試を受けない」という決め方は、おすすめしません。年内入試は受験の機会そのものを増やしますし、合格を1つ持って共通テストに向かうことの精神的な意味は小さくありません。逆に、「合格したら100万〜200万円が出ていく」と分かったうえで出願するのと、知らずに出願するのとでは、家族での話し合いの質がまるで違います。金額を先に共有しておくことが、いちばんの準備です。

数字の出どころも書いておきます。この記事の入学金は各大学が公表している学費・学納金のページから、平均額は文部科学省の調査から、返還のルールは最高裁判所の判決と文部科学省の通知から取りました。金額は年度で変わりますし、返還の取扱いは大学によって違います。最終的な判断は必ず、志望校の最新の募集要項でしてください。

まとめ

医学部の入学金について、国の調査と判例で確かめた結果をまとめます。

  • 私立医学部31校の入学金は20万円〜200万円で10倍の差。単純平均136.5万円・中央値150万円。金額の種類は5つしかなく、150万円(11校)と100万円(12校)で23校=74%
  • 200万円は岩手医科・埼玉医科・順天堂・金沢医科・兵庫医科・川崎医科の6校。いちばん低いのは慶應義塾大学の20万円(全学部共通)
  • 国の調査(令和7年度)の私立「医」の入学料は1,375,271円で、私立の全学部平均240,365円の5.7倍。国立の標準額282,000円の4.9倍にあたります
  • 辞退して戻らないのは入学金だけ。授業料・施設設備費・実験実習費・諸会費は、3月31日までに辞退すれば原則として返還されます(最高裁 平成18年11月27日判決)。ただし専願・推薦での合格は例外
  • 「私立の残金の締切は国公立後期の発表より後に」が国の方針。ただし全大学が守っているとは限らないので、募集要項で1校ずつ確認が要ります
  • 2025年6月から、入学金の負担軽減が国の要請として動いています。2027年度の要項やホームページに、分割納付や時期に応じた返還が入ってくる可能性があります
  • 公立大学は入学料が地域内・地域外で変わります(平均で224,369円と382,806円)

今日いちばん覚えて帰ってほしいのは、年内入試で合格すると、共通テストを受ける前に100万〜200万円の支出が確定するということです。9月1日から総合型選抜の出願が始まります。出願する前に、ご家族でこの数字を共有しておいてください。

学費そのものがかからない進路もあります。出願は10月8日までです。→ 防衛医科大学校は学費0円・手当月16.1万円|2027年度入試

国公立の合格最低点(共テ+2次の総合点)はこちらにまとめました。→ 国公立医学部の合格最低点は7〜8割|得点率一覧|2026年度入試

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では、本日の記事は以上です。

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後藤 登(Goto Noboru)
仕事:総務・広報・完全個別指導コース担当
自己PR:高校・大学ボクシング部。釣りや登山が好き。新卒で当校に勤めて13年目。医学部受験の情報を調べて、ブログやInstagram、Twitterを更新しています。4年前から完全個別指導コースのコース担当。

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