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関東の医学部ランキング|24校の1位は物差しで2校|2027年度入試

2026年09月29日 更新

こんにちは、福岡の医学部予備校で総務/広報を担当している後藤です。

本日のブログは、関東で医学部を目指している受験生と保護者の方に向けた回です。先に九州・沖縄の11校、そして関西の12校を同じ物差しで並べたところ、「関東版も作ってほしい」という声を何人かからいただきました。

調べてみると、関東の24校だけを切り出して、入口と出口の両方で比べた表は、うちのサイトに1本もありませんでした。そこで、偏差値・共通テスト・学費・医師国家試験・6年で医師になる割合の5つで、1都6県の24校を並べ直しました。関東は全国81校の29.6%が集まる、日本でいちばん医学部の多い地域です。

結果から言うと、1位は物差しによって2校に分かれました。偏差値の1位は東京大学、医師国家試験の合格率と、6年で医師になる割合の1位は、どちらも自治医科大学です。しかも、3つすべてで4位以内に入った大学は1校もありませんでした。「関東の医学部ランキング」に、1本の正解はありません。

− 関東でいちばん難しい医学部はどこ?

− 国家試験に強いのは、どの大学?

− 国立なら、学費はどこも6年で350万円でしょ?

3つめの答えから先に言うと、違います。関東の国立5校のうち3校は、授業料を国が決めた上限額まで上げており、6年間で414万円です。ひとつずつ、河合塾・文部科学省・厚生労働省と、各大学が公表している数字で見ていきます。

 

 

関東の医学部は24校|全国の3割・東京だけで13校

先に全体像です。関東1都6県(茨城・栃木・群馬・埼玉・千葉・東京・神奈川)には医学部が24校あり、国立5校・公立1校・私立18校に分かれます。入学定員を足すと2,909人で、全国9,393人の31.0%にあたります。

大学 所在地 区分 定員
筑波大学 茨城県 つくば市 国立 139人
群馬大学 群馬県 前橋市 国立 125人
千葉大学 千葉県 千葉市 国立 117人
東京大学 東京都 文京区 国立 110人
東京科学大学 東京都 文京区 国立 106人
横浜市立大学 神奈川県 横浜市 公立 93人
獨協医科大学 栃木県 壬生町 私立 126人
自治医科大学 栃木県 下野市 私立 123人
埼玉医科大学 埼玉県 毛呂山町 私立 130人
国際医療福祉大学 千葉県 成田市 私立 140人
慶應義塾大学 東京都 新宿区 私立 110人
東京慈恵会医科大学 東京都 港区 私立 105人
日本医科大学 東京都 文京区 私立 125人
順天堂大学 東京都 文京区 私立 138人
昭和医科大学 東京都 品川区 私立 131人
東京医科大学 東京都 新宿区 私立 125人
東京女子医科大学 東京都 新宿区 私立 110人
東邦大学 東京都 大田区 私立 123人
日本大学 東京都 板橋区 私立 135人
帝京大学 東京都 板橋区 私立 119人
杏林大学 東京都 三鷹市 私立 118人
北里大学 神奈川県 相模原市 私立 126人
東海大学 神奈川県 伊勢原市 私立 118人
聖マリアンナ医科大学 神奈川県 川崎市 私立 117人
合計 2,909人

関東の特徴は、なんといっても東京都への集中です。24校のうち13校(定員1,555人)が東京都にあります。1つの都道府県に医学部が13校あるのは全国でここだけで、次に多いのが神奈川県の4校です。

都県 校数 定員 大学
茨城県 1校 139人 筑波大
栃木県 2校 249人 獨協医科大、自治医科大
群馬県 1校 125人 群馬大
埼玉県 1校 130人 埼玉医科大
千葉県 2校 257人 千葉大、国際医療福祉大
東京都 13校 1555人 東京大、東京科学大、慶應義塾大、東京慈恵会医科大、日本医科大、順天堂大、昭和医科大、東京医科大、東京女子医科大、東邦大、日本大、帝京大、杏林大
神奈川県 4校 454人 横浜市立大、北里大、東海大、聖マリアンナ医科大

もうひとつ、関東は公立大学が1校しかないのも特徴です(全国の公立医学部8校のうち、関東にあるのは横浜市立大学だけ)。そのぶん私立が18校と多く、これが学費の幅の広さにつながっています。定員は令和7年度(2025年度)の文部科学省の一覧の数字で、2027年度入試の募集人員は大学によってまだ動きます。

 

関東の医学部を偏差値で並べると|1位は東京大学(全国1位)

まず、いちばんよく見られている偏差値です。ここでは河合塾の入試結果調査にもとづく合格者平均偏差値(実際に受かった人の、全統記述模試の英語・数学・理科の平均)で並べました。東京大学は医学部医学科に進む理科III類の数字です。

関東の医学部24校の合格者平均偏差値ランキング。1位東京大学74.9、2位慶應義塾大学72.1、3位東京科学大学70.5、24位獨協医科大学59.6
出典:河合塾 入試結果調査(2026年度入試)にもとづく全統記述模試の合格者平均偏差値(英語・数学・理科の単純平均)を太宰府アカデミーが集計。東京大学は理科III類。ボーダーは河合塾 2027年度入試難易予想ランキング表(9月版・方式別ランク)
大学(24校の順位) 合格者平均 全国81校の順位 ボーダー
1. 東京大学 74.9 1位 72.5
2. 慶應義塾大学 72.1 4位 72.5
3. 東京科学大学 70.5 5位 70.0
4. 千葉大学 69.7 6位 67.5
5. 東京慈恵会医科大学 69.5 9位 70.0
6. 横浜市立大学 69.1 10位 67.5
7. 順天堂大学 68.2 16位 70.0
8. 日本医科大学 68.1 17位 70.0
9. 国際医療福祉大学 67.6 20位 67.5
10. 東京医科大学 66.4 24位 67.5
11. 筑波大学 66.1 27位 65.0
12. 昭和医科大学 65.9 33位 67.5
13. 東邦大学 65.5 38位 65.0
14. 日本大学 64.3 50位 65.0
15. 自治医科大学 64.0 57位 67.5
16. 群馬大学 63.7 61位 62.5
17. 杏林大学 63.2 65位 65.0
18. 聖マリアンナ医科大学 63.1 66位 62.5
19. 北里大学 63.1 67位 62.5
20. 帝京大学 63.0 69位 65.0
21. 東海大学 62.1 74位 65.0
22. 埼玉医科大学 61.9 75位 62.5
23. 東京女子医科大学 60.7 79位 60.0
24. 獨協医科大学 59.6 80位 62.5

1位は東京大学で74.9。全国81校の中でも1位です。2位は慶應義塾大学の72.1(全国4位)、3位は東京科学大学の70.5(全国5位)でした。

ここで目を引くのは、全国81校の上位10校のうち6校が関東にあることです(東京大全国1位・慶應義塾大全国4位・東京科学大全国5位・千葉大全国6位・東京慈恵会医科大全国9位・横浜市立大全国10位)。関東は校数が多いだけでなく、上のほうにも厚みがあります。

いちばん下は獨協医科大学の59.6(全国80位)で、1位との差は15.3ポイント。関西の12校では1位と最下位の差が9.0ポイントでしたから、関東は校数が多いぶん、幅もかなり広いことになります。

国公立6校の共通テスト|ボーダーは81〜90%

国公立の6校は、共通テストの得点率も大きく効きます。河合塾の2027年度入試のボーダー得点率(前期)と、2026年度入試で実際に受かった人の共通テストの平均(1000点満点に換算)を並べました。

大学 共テのボーダー 合格者の共テ平均 実質倍率
東京大学 90% 919点 2.93倍
東京科学大学 89% 892点 3.17倍
千葉大学 86% 870点 3.16倍
横浜市立大学 86% 861点 2.39倍
筑波大学 85% 841点 3.60倍
群馬大学 81% 814点 2.53倍

ボーダーは東京大が90%、いちばん下の群馬大が81%です。差は9ポイント。受かった人の平均で見ても、東京大の919点から群馬大の814点まで、105点の開きがあります。同じ「関東の国公立」でも、必要な共通テストの点は1割以上ちがいます。

右の実質倍率は2025年度入試の数字で、国公立は2.39〜3.60倍です。私立18校はこのあと別に並べますが、5.93〜35.25倍と一桁大きく出ます。ただし、倍率は難しさを表す数字ではありません。私立は1人が何校も受けるので、倍率は大きく出やすいからです。難しさは、上の合格者平均で見てください。

私立18校|ボーダーと合格者平均がいちばん離れているのは自治医科大学

私立18校 合格者平均 ボーダー 実質倍率
慶應義塾大学 72.1 72.5 6.08倍
東京慈恵会医科大学 69.5 70.0 7.62倍
順天堂大学 68.2 70.0 13.87倍
日本医科大学 68.1 70.0 17.24倍
国際医療福祉大学 67.6 67.5 8.28倍
東京医科大学 66.4 67.5 10.67倍
昭和医科大学 65.9 67.5 14.55倍
東邦大学 65.5 65.0 9.57倍
日本大学 64.3 65.0 13.51倍
自治医科大学 64.0 67.5 14.78倍
杏林大学 63.2 65.0 9.57倍
聖マリアンナ医科大学 63.1 62.5 23.35倍
北里大学 63.1 62.5 5.93倍
帝京大学 63.0 65.0 35.25倍
東海大学 62.1 65.0 16.79倍
埼玉医科大学 61.9 62.5 24.54倍
東京女子医科大学 60.7 60.0 8.57倍
獨協医科大学 59.6 62.5 20.66倍

私立で合格者平均がいちばん高いのは慶應義塾大の72.1、ボーダーも72.5で最も高くなっています。

この表で注目したいのが自治医科大学です。ボーダーは67.5と高い位置にあるのに、実際に受かった人の平均は64.0。その差3.5ポイントは、関東24校でいちばん大きい差です。この大学は令和9年度(2027年度)の学生募集要項に「本学医学部入学試験の選抜は、都道府県単位で行う」と明記しており、すべての都道府県から2名または3名ずつ選ばれます(合計100名。栃木県は地域枠が認可された場合5〜6名、このほか臨時定員増23名を認可申請中)。合格者が全国に散る形の入試なので、平均の読み方もほかの大学とは少し変わります。

倍率の幅も大きく、いちばん低い北里大の5.93倍から、いちばん高い帝京大の35.25倍まで開いています。くり返しになりますが、この数字は受けた人の数であって、難しさの順番ではありません。

 

医師国家試験で並べると|1位は自治医科大学の100%(全国で唯一)

次は出口です。2026年2月の第120回医師国家試験の、大学ごとの合格率で並べました(全体=新卒と既卒の合計)。

関東の医学部24校の第120回医師国家試験の合格率。1位自治医科大学100.0%、2位順天堂大学98.5%、3位国際医療福祉大学98.4%
出典:厚生労働省『第120回医師国家試験の合格発表について』(2026年3月16日)学校別合格者状況。合格率は新卒と既卒の合計。第119回(新卒)は文部科学省『医学部医学科の入学状況及び医師国家試験の合格状況等』(2025年12月・令和元年度入学者)
大学(24校の順位) 第120回(全体) 第120回(新卒) 第119回(新卒)
1. 自治医科大学 100.0% 100.0% 99.3%
2. 順天堂大学 98.5% 99.2% 97.8%
3. 国際医療福祉大学 98.4% 98.4% 100.0%
4. 筑波大学 97.2% 97.8% 97.1%
5. 東京大学 96.5% 99.0% 97.2%
5. 東京科学大学 96.5% 97.2% 96.9%
7. 杏林大学 96.3% 99.0% 96.9%
8. 東京慈恵会医科大学 96.2% 97.1% 99.0%
9. 日本医科大学 96.1% 98.3% 95.0%
10. 群馬大学 95.9% 98.3% 95.5%
11. 北里大学 95.2% 96.5% 92.4%
12. 慶應義塾大学 94.8% 97.3% 99.1%
13. 埼玉医科大学 93.9% 95.1% 95.6%
14. 東京医科大学 93.8% 95.1% 96.2%
15. 横浜市立大学 92.9% 94.8% 98.8%
16. 千葉大学 92.4% 95.6% 97.6%
17. 東海大学 92.4% 97.3% 98.9%
18. 東京女子医科大学 91.9% 94.6% 92.8%
19. 昭和医科大学 91.8% 94.3% 92.5%
20. 獨協医科大学 90.5% 93.8% 90.5%
21. 東邦大学 90.4% 93.6% 98.2%
21. 聖マリアンナ医科大学 90.4% 91.3% 90.0%
23. 帝京大学 90.2% 94.8% 98.6%
24. 日本大学 83.6% 84.0% 93.7%

1位は自治医科大学の100.0%です。116人が受けて116人が合格しており、全国81校で唯一、合格率が100%でした。2位は順天堂大学の98.5%、3位は国際医療福祉大学の98.4%です。

ここは、関東で医学部を考えている方にぜひ知っておいてほしいところです。第120回の全国上位3校は、自治医科大学・順天堂大学・国際医療福祉大学の3校。つまり全国のベスト3が、すべて関東にあります。全国の合格率は91.6%で、関東の24校のうち19校がこれを上回りました。

そして、この記事でいちばんお伝えしたいのがここです。合格者平均偏差値では15位だった自治医科大学が、医師国家試験では1位に立っています。入口の順位と出口の順位が、14位ぶん入れ替わりました。偏差値の表だけを見ていたら、絶対に気づけない動き方です。

同じことは杏林大学にも言えます。偏差値では17位ですが、国家試験は96.3%で7位。北里大学も偏差値19位から国家試験11位へ上がっています。大学にはそれぞれの教育方針があり、数字だけで良し悪しを語れるものではありません。ただ、入口の偏差値の順番がそのまま出口の順番になるわけではない、ということは表から読み取れます。

一方で、国家試験の合格率は1年で大きく動きます。表の右端は1年前の第119回(新卒)の合格率です。東海大は98.9%から97.3%(新卒)へ、帝京大は98.6%から94.8%へ動いています。この表は「どの大学が強いか」を決める表ではなく、1年ぶんの結果として読んでください。志望校を比べるときは、2年以上を並べて見るのが確実です。

 

6年で医師になる割合で並べると|1位も自治医科大学(96.9%)

国家試験の合格率には、見えないものがあります。国家試験を受ける前に、留年や休学で卒業が遅れた人は入っていないのです。そこで、入学した人のうち何割が6年で卒業し、そのまま医師になったかを見ます。2019年度(令和元年度)に入学した人を、文部科学省が6年間追いかけた数字です。

関東の医学部24校の6年で医師になる割合。1位自治医科大学96.9%、2位順天堂大学91.5%、3位横浜市立大学91.1%、4位東京大学91.0%
出典:文部科学省『医学部医学科の入学状況及び医師国家試験の合格状況等』(2025年12月・令和元年度入学者)をもとに太宰府アカデミー算出(6年で卒業した割合×国家試験の新卒合格率)
大学(24校の順位) 6年で医師になる割合 全国81校の順位 6年で卒業した割合
1. 自治医科大学 96.9% 2位 97.6%
2. 順天堂大学 91.5% 6位 93.6%
3. 横浜市立大学 91.1% 7位 92.2%
4. 東京大学 91.0% 8位 93.6%
5. 千葉大学 90.4% 10位 92.6%
6. 東京慈恵会医科大学 89.9% 13位 90.8%
7. 慶應義塾大学 88.7% 20位 89.5%
8. 東邦大学 87.1% 27位 88.7%
9. 筑波大学 84.6% 36位 87.1%
10. 国際医療福祉大学 82.9% 38位 82.9%
11. 日本医科大学 82.2% 39位 86.5%
12. 東京女子医科大学 81.8% 40位 88.1%
13. 東京科学大学 81.4% 43位 84.0%
14. 杏林大学 81.2% 44位 83.8%
15. 帝京大学 80.5% 47位 81.6%
16. 埼玉医科大学 80.1% 48位 83.8%
17. 群馬大学 78.4% 54位 82.1%
18. 昭和医科大学 77.8% 58位 84.1%
19. 獨協医科大学 76.2% 63位 84.2%
20. 聖マリアンナ医科大学 75.9% 64位 84.3%
21. 北里大学 74.7% 66位 80.8%
22. 日本大学 73.9% 69位 78.9%
23. 東京医科大学 68.3% 77位 71.0%
24. 東海大学 65.4% 79位 66.1%

1位はここでも自治医科大学で96.9%。全国81校でも2位です。入学した123人のうち120人が6年で卒業しています。2位は順天堂大の91.5%(全国6位)、3位は横浜市立大学の91.1%(全国7位)、4位は東京大の91.0%(全国8位)でした。

この物差しでも、全国の上位10校のうち5校が関東です(自治医科大全国2位・順天堂大全国6位・横浜市立大全国7位・東京大全国8位・千葉大全国10位)。国家試験と6年で医師になる割合の両方で1位を取ったのは、関東では自治医科大学だけでした。

逆の向きに動く大学もあります。合格者平均偏差値で10位の東京医科大学は、この物差しでは23位。東海大学は偏差値21位でこの物差しが24位です。ただ、この割合には留年だけでなく、留学や研究、病気などで休学して6年を超えた人も含まれます。数字の低さは「大学が厳しい」とも「学生が苦労した」とも読めるので、入口の偏差値と並べて、入学後の6年間をイメージする材料として使ってください。

計算の方法は「6年で卒業した割合 × その年の国家試験(新卒)の合格率」です。1学年ぶんの数字なので、毎年12月に文部科学省の資料が更新されたら入れ替えます。

 

学費で並べると|国立5校のうち3校が上限額の642,960円

最後はお金です。ここが関東でいちばん誤解されやすいところだと思います。「国立なら6年間で約350万円」は、関東では5校のうち2校にしか当てはまりません。

関東の医学部24校の6年間の学費。国立は349.7万円と414.0万円の2種類、公立の横浜市立大学は372.0万円、私立は国際医療福祉1,830万〜東京女子医科3,914万円
出典:各大学の公式サイト・学生募集要項(2026年9月29日確認)。学納金ベース(入学料+授業料等)で寮費・諸会費は含まない。国公立は入学料+授業料×6年でそろえた金額(横浜市立大学は市外の入学料)
国公立6校 6年間の学費 授業料 年額 国の標準額との関係
千葉大学 414万円 642,960円 標準額の120%
東京大学 414万円 642,960円 標準額の120%
東京科学大学 414万円 642,960円 標準額の120%
横浜市立大学 372万円 573,000円 標準額+37,200円
筑波大学 349.7万円 535,800円 標準額
群馬大学 349.7万円 535,800円 標準額

国立大学の授業料には、国が決めた標準額535,800円と、各大学が独自に設定できる上限642,960円(標準額の120%)があります。国が一律に上げているのではなく、大学ごとの経営判断です。

関東の国立5校のうち3校——千葉大学・東京大学・東京科学大学——が、この上限額まで授業料を上げています。適用は千葉大学が令和2年4月以降の入学者から、東京科学大学が2020年4月以降の入学者から、東京大学が2025年4月入学者からです。入学料282,000円と合わせると6年間で414万円になり、標準額のままの大学より64.3万円高くなります。

ここは他ではあまり書かれていないので、はっきり書いておきます。医学部を置く国立大学のうち、授業料が標準額を超えているのは全国で4校しかありません(東京科学大学・千葉大学・東京大学・山口大学)。そのうち3校が関東に集まっています。なお2027年度からは熊本大学(594,600円)と岡山大学(642,960円)も加わります。

標準額のままなのは筑波大学と群馬大学の2校で、6年間349.7万円です。とくに筑波大は、2027年度以降の授業料改定について「対象は外国人留学生のみで、日本人学生は本改正の対象には含まれません」と公式サイトに明記しています。

横浜市立大学は入学金が半額なのに、6年で413万円になります

関東で唯一の公立である横浜市立大学は、少し変わった形をしています。入学料は市内なら141,000円と、国の標準額282,000円の半額です。ところが授業料は年573,000円で、標準額より年37,200円高い。上の表の372万円は、ほかの国公立と同じ「入学料+授業料×6年」でそろえた数字です(市外の入学料で計算)。

ただし医学科には、これに加えて施設設備費(初年度のみ・市内150,000円/市外200,000円)と、実験実習費(2年次以降・年42,000円)がかかります。ここまで入れると、6年間の学納金は市内393.9万円、市外413万円。市外から入ると、授業料を上限まで上げた国立3校の414万円とほとんど変わりません。「公立だから安い」「入学金が安いから安い」とは言えない、という見本のような大学です。

市内・市外の判定は、入学の日(4月1日)の1年以上前から、本人または扶養義務者が横浜市内に住民票を置いていることです。受験のために引っ越しても間に合いません。出願前に必ず要項で確認してください。

私立18校は2,084万円ちがいます

私立18校(安い順) 6年間の学費 最も安い大学との差 全国31校(安い順)
国際医療福祉大学 1,830万円 ― 1位
順天堂大学 2,080万円 +250万円 2位
日本医科大学 2,200万円 +370万円 5位
東京慈恵会医科大学 2,250万円 +420万円 6位
自治医科大学 2,260万円 +430万円 7位
慶應義塾大学 2,266万円 +436万円 8位
東邦大学 2,580万円 +750万円 9位
昭和医科大学 2,700万円 +870万円 10位
東京医科大学 2,940万円 +1,110万円 12位
日本大学 3,310万円 +1,480万円 14位
聖マリアンナ医科大学 3,482万円 +1,652万円 17位
東海大学 3,525.2万円 +1,695.2万円 18位
獨協医科大学 3,660万円 +1,830万円 20位
埼玉医科大学 3,700万円 +1,870万円 21位
杏林大学 3,700万円 +1,870万円 21位
北里大学 3,890万円 +2,060万円 27位
帝京大学 3,909万円 +2,079万円 28位
東京女子医科大学 3,914万円 +2,084万円 29位

私立は幅がもっと大きくなります。いちばん安い国際医療福祉大の1,830万円と、いちばん高い東京女子医科大の3,914万円で、2,084万円の差です。

国際医療福祉大学の1,830万円(2027年度)は、全国の私立31校の中でいちばん安い金額です。それだけでなく、全国で学費が安い私立の上位8校のうち6校が関東にあります(国際医療福祉大・順天堂大・日本医科大・東京慈恵会医科大・自治医科大・慶應義塾大)。関西・東海の関西医科大学・藤田医科大学を除けば、安いほうはほぼ関東で占まっている形です。

いちばん高い東京女子医科大学の3,914万円は、全国31校の中では高いほうから3番目です。この大学は2027年度の入学者から学費を220万円下げており、それでもこの位置になります。

自治医科大学の2,260万円は、9年勤めると返さなくてよくなります

表の中ほどにある自治医科大学の2,260万円には、大きな但し書きが付きます。この大学は入学者全員に、学生納付金の全額と入学時学業準備費を修学資金として貸与します(6年間の貸与総額2,300万円=学納金2,260万円+入学時学業準備費400,000円)。

そして卒業後、出願した都道府県の知事が指定する公立病院等に医師として勤務し、その期間が貸与を受けた期間の1.5倍(6年の1.5倍=9年)に達すると、返還が全額免除されます(うち半分は、知事が指定するへき地等の指定公立病院等での勤務)。つまり義務を果たせば、6年間の学費の自己負担は実質ゼロになります。

裏を返せば、卒業後9年間の勤務先が入学の時点でほぼ決まるということでもあります。学費の額だけを見て比べる大学ではありません。義務の中身(年数・勤務地・診療科)が自分の将来像と合うかを、出願前に必ず要項で確かめてください。金額は寮費・諸会費を含まない、大学に納めるお金(学納金)で比べています。

 

物差しを替えると1位は2校に分かれる|24校の順位一覧

ここまでの5つの物差しを、1枚にまとめます。数字はすべて、関東の24校の中での順位です。

関東の医学部24校の、偏差値・共通テスト・学費・医師国家試験・6年で医師になる割合の5つの物差しでの順位一覧。3つの物差しすべてで4位以内の大学は0校
出典:河合塾 入試結果調査(2026年度入試)にもとづく全統記述模試の合格者平均偏差値(英語・数学・理科の単純平均)を太宰府アカデミーが集計。東京大学は理科III類/厚生労働省『第120回医師国家試験の合格発表について』(2026年3月16日)学校別合格者状況/文部科学省『医学部医学科の入学状況及び医師国家試験の合格状況等』(2025年12月・令和元年度入学者)/各大学の公式サイト・学生募集要項(2026年9月29日確認)。学納金ベース(入学料+授業料等)で寮費・諸会費は含まない。順位は関東24校の中での順位

入口の順位(偏差値・共通テスト・倍率)

大学 偏差値 共テ 倍率の低い順
東京大学 1位 1位 3位
慶應義塾大学 2位 ― 8位
東京科学大学 3位 2位 5位
千葉大学 4位 3位 4位
東京慈恵会医科大学 5位 ― 9位
横浜市立大学 6位 3位 1位
順天堂大学 7位 ― 16位
日本医科大学 8位 ― 20位
国際医療福祉大学 9位 ― 10位
東京医科大学 10位 ― 14位
筑波大学 11位 5位 6位
昭和医科大学 12位 ― 17位
東邦大学 13位 ― 12位
日本大学 14位 ― 15位
自治医科大学 15位 ― 18位
群馬大学 16位 6位 2位
杏林大学 17位 ― 12位
聖マリアンナ医科大学 18位 ― 22位
北里大学 19位 ― 7位
帝京大学 20位 ― 24位
東海大学 21位 ― 19位
埼玉医科大学 22位 ― 23位
東京女子医科大学 23位 ― 11位
獨協医科大学 24位 ― 21位

入口の3つは、おおむね同じ並びになります。偏差値の上位が共通テストでも上位で、倍率だけは順番がばらばらです(横浜市立大が2.39倍で最も低く、帝京大が35.25倍で最も高い)。くり返しますが、倍率は難しさの順番ではありません。私立が下に来るのは、1人が何校も受けるからです。

出口とお金の順位(学費・国家試験・6年で医師)

大学 学費の安い順 国家試験 6年で医師
東京大学 4位 5位 4位
慶應義塾大学 12位 12位 7位
東京科学大学 4位 5位 13位
千葉大学 4位 16位 5位
東京慈恵会医科大学 10位 8位 6位
横浜市立大学 3位 15位 3位
順天堂大学 8位 2位 2位
日本医科大学 9位 9位 11位
国際医療福祉大学 7位 3位 10位
東京医科大学 15位 14位 23位
筑波大学 1位 4位 9位
昭和医科大学 14位 19位 18位
東邦大学 13位 21位 8位
日本大学 16位 24位 22位
自治医科大学 11位 1位 1位
群馬大学 1位 10位 17位
杏林大学 20位 7位 14位
聖マリアンナ医科大学 17位 21位 20位
北里大学 22位 11位 21位
帝京大学 23位 23位 15位
東海大学 18位 17位 24位
埼玉医科大学 20位 13位 16位
東京女子医科大学 24位 18位 12位
獨協医科大学 19位 20位 19位

並べてみて驚いたのは、偏差値・国家試験・6年で医師になる割合の3つすべてで4位以内に入った大学が、24校に1校も無かったことです。6位以内まで広げても東京大学(偏差値1位・国家試験5位・6年で医師4位)の1校だけでした。九州・沖縄の11校では鹿児島大学が、関西の12校では0校。どの地域でも、全部入りの大学は出てきません。

動きの大きい大学をもう一度まとめます。自治医科大学は偏差値15位から、国家試験1位・6年で医師1位へ。どちらも14位ぶんの上げ幅で、関東で最大です。反対に東京医科大は偏差値10位・学費15位ですが、6年で医師は23位(13位ぶん下)。杏林大は偏差値17位から国家試験7位へ上がり、東京女子医科大は偏差値23位で学費は24位(=最も高い)です。

つまり、「関東の医学部ランキング」は、どの物差しで並べるかで1位が入れ替わります。偏差値の表だけを見て志望校を決めると、入学後の6年間と、その先の国家試験と、6年ぶんのお金という大事な情報を見落とすことになります。

 

太宰府アカデミーの視点|関東の受験生がこの表をどう使うか

ここまでの数字を、関東で医学部を目指す受験生と保護者の方がどう使えばいいかを書きます。

1. 偏差値の表は「入口」、6年で医師になる割合は「出口」の表として分けて見る。偏差値は、受かるために必要な学力の目安です。一方、6年で医師になる割合は、入ったあとの6年間がどう進んだかの記録です。関東の24校では65.4%から96.9%まで開いています。受ける大学を決める前に、両方の表で同じ大学を見比べてみてください。

2. 国立を受けるなら、授業料を大学ごとに調べる。「国立=年53万5,800円」はもう全校には当てはまりません。関東では5校のうち3校が年642,960円で、6年間だと64.3万円の差になります。受験料や入学手続きのお金とちがって、この差は6年間ずっと続きます。併願校を決める段階で調べておくと、あとで計算が狂いません。

3. 国家試験の合格率は、2年以上並べる。上で見たとおり、1年で10ポイント前後動く大学があります。1年だけの数字で「強い・弱い」を決めると、翌年には逆になっていることがあります。大学のサイトや厚生労働省の発表で、過去の年の数字も確かめると安心です。

4. 自治医科大学を受けるなら、学費ではなく義務年限から考える。この記事の表では国家試験1位・6年で医師1位・学費も実質ゼロと、数字だけ見ればいいことばかりに見えます。ただし、選抜は都道府県単位で各県2〜3名、卒業後は9年間の勤務義務があり、そのうち半分はへき地等での勤務です。数字が良いから受ける、という順番では決めないでください。地域医療に人生の最初の9年を使うことに納得できるかどうかが先で、順位表はそのあとの話です。

5. 2027年度入試の募集人員と学費は、秋から冬に出る学生募集要項で確かめる。2027年度は国が医学部の臨時定員を見直す年で、募集人員が動く大学があります。この記事の定員は2025年度の数字です。学費も、私立の2027年度の金額は大学によって公表時期が違います。出願の前には、必ず最新の要項で確認してください。

ランキングは、志望校を絞るための道具です。どの物差しを重く見るかは、受験生一人ひとりの事情で変わります。学力の目安なのか、入学後の進み方なのか、家計なのか。自分にとって大事な物差しを先に決めてから表を見ると、迷いにくくなります。

 

関東の医学部についてよくある質問

Q. 関東でいちばん偏差値が高い医学部はどこですか。
A. 東京大学(理科III類)です。合格者平均偏差値は74.9で、全国81校の中でも1位。次が慶應義塾大学(合格者平均72.1・全国4位)、3番目が東京科学大学(70.5・全国5位)です。

Q. 関東の医学部は何校ですか。
A. 1都6県で24校です。内訳は国立5校(筑波大・群馬大・千葉大・東京大・東京科学大)・公立1校(横浜市立大)・私立18校で、東京都だけで13校あります。全国81校の29.6%が関東にある計算です。

Q. 関東の国立医学部の学費はいくらですか。
A. 大学によって違います。筑波大学と群馬大学は6年間349.7万円(授業料は国の標準額535,800円)、千葉大学・東京大学・東京科学大学は6年間414万円(授業料642,960円)です。公立の横浜市立大学は、施設設備費と実験実習費まで入れると市内393.9万円・市外413万円になります。

Q. 関東でいちばん学費が安い私立医学部はどこですか。
A. 国際医療福祉大学の6年間1,830万円(2027年度)で、全国の私立31校の中でもいちばん安い金額です。次が順天堂大学の2,080万円、日本医科大学の2,200万円と続きます。全国の学費を比べたい方は医学部の学費|国公立350万・私立1,850〜4,550万円をご覧ください。

Q. 医師国家試験に強い関東の医学部はどこですか。
A. 第120回(2026年)では自治医科大学が100.0%で全国1位、順天堂大学が98.5%で全国2位、国際医療福祉大学が98.4%で全国3位でした。全国のベスト3がすべて関東です。ただし合格率は1年で動くので、2年以上を並べて見てください。全国の一覧は医学部の留年率・進級率・卒業率・国試合格率ランキングにあります。

Q. 関東で入りやすい医学部はどこですか。
A. 合格者平均偏差値でいちばん低いのは獨協医科大(59.6)、次が東京女子医科大(60.7)、埼玉医科大(61.9)です。ただ、1位と24位の差は15.3ポイントで、関東の24校はどこも全国の医学部の中で見れば高い水準にあります。全国での位置は入りやすい医学部ランキングで確かめられます。

 

まとめ|関東の医学部ランキングで押さえる5点

この記事の要点です。

− 関東1都6県の医学部は24校(国立5・公立1・私立18)で、定員は合計2,909人。全国81校の29.6%が関東にあり、東京都だけで13校(定員1,555人)です。

− 偏差値(合格者平均)の1位は東京大学の74.9(全国1位)。2位は慶應義塾大学72.1、3位は東京科学大学70.5で、全国の上位10校のうち6校が関東です。

− 医師国家試験(第120回)の1位は自治医科大学の100.0%で、全国81校で唯一の100%。偏差値では15位の大学が出口で1位に立ち、全国のベスト3(自治医科・順天堂・国際医療福祉)はすべて関東でした。

− 6年で医師になる割合の1位も自治医科大学の96.9%(全国2位)。3つの物差しすべてで4位以内に入った大学は24校に1校もなく、6位以内でも東京大学の1校だけです。

− 学費は国立5校のうち3校(千葉・東京・東京科学)が上限額の年642,960円で6年414万円。筑波・群馬は349.7万円、私立は1,830万円(国際医療福祉=全国最安)〜3,914万円(東京女子医科)で、その差は2,084万円です。

明日からできることは1つです。気になる関東の大学を2〜3校選んで、この記事の順位表でそれぞれ何位かを書き出してみてください。偏差値では近い大学どうしでも、国家試験や6年で医師になる割合、そして学費で見ると、印象が大きく変わることがあります。

この記事を書いたのは、うちのサイトに、関東の医学部を入口(偏差値)と出口(国家試験・6年で医師)とお金の3つで比べられるページが1本も無かったからです。書いている途中でいちばん驚いたのは、「国立は6年で350万円」がもう関東の半分以下にしか当てはまらなくなっていたことでした。全国で授業料を上限まで上げた国立の医学部は4校しかないのに、そのうち3校が関東に集まっています。数字は、こうして資料が更新されるたびに入れ替えていきます。

 

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◆筆者プロフィール

後藤 登(Goto Noboru)
仕事:総務・広報・完全個別指導コース担当
自己PR:高校・大学ボクシング部。釣りや登山が好き。新卒で当校に勤めて13年目。医学部受験の情報を調べて、ブログやInstagram、Twitterを更新しています。4年前から完全個別指導コースのコース担当。

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