
こんにちは、太宰府アカデミーOBの柴山です。
福岡県内で精神科医として勤務するかたわら、医学部受験のお役立ち情報を発信しています。
医学部受験をお考えの方で、できるだけ穴場の大学の医学部を選びたいと思われている方はいませんか。
かなり難易度が高いことで知られる医学部ですが、比較的入りやすい大学があるならその大学を志望したいと思う方は少なくないでしょう。
そこで今回は、医学部受験をお考えの方に向けて、医学部の中でも入りやすい大学をご紹介します。
なお、最初にお断りしておきますが、この記事で「〇〇大学の方が優秀」とか、「〇〇大学は医療のレベルが低い」といったことを論じる意図はありません。
特に臨床レベルにおいて顕著ですが、医師としての優秀さは出身校とは無関係です。
この点に留意して、あくまで「医学部受験をいかにして乗り越えるか」を考えていく一案として、読み進めていただければ幸いです。
この記事の目次
入りやすい大学の医学部の特徴とは?
まずは、比較的入りやすい医学部の特徴をご紹介します。
大きく3つの特徴があるため、それぞれ詳しく見ていきましょう。
数ある医学部の中でも相対的に偏差値が低い
誰しもが考え付くところですが、偏差値の低い大学の方が合格しやすいです。
そもそも偏差値とは、50を基準値として、平均からどのくらいの差があるのかを表したものを指します。
当然ですが、偏差値は高ければ高いほど難易度が高く、低くなるにつれて難易度が下がります。
なかなか自身の学力に自信が持てない場合には、偏差値を意識して志望校を選んでみるのがおすすめです。
倍率が低い
偏差値に加えて、倍率が低い医学部も入りやすいと言えます。
倍率は、定員数と入学希望者の数によって決まります。
倍率が低いほど、競争相手である受験生が少ないため、他の受験生との競争という面では入りやすいです。
ただし、中には超難関校だからこそ倍率が低いというケースもあるので注意が必要です。
例えば、旧帝大のエリート校である「京都大学」「大阪大学」「九州大学」などは、国公立の倍率で下から10番目に入ることが多いです。
こうした大学は、そもそも受かる見込みのある優秀な学生だけが受験するため、低倍率になる傾向にあります。
倍率はあくまで偏差値との兼ね合いで評価していく必要があるでしょう。
地域枠の比率が高い
地域枠とは医師の一極集中を解消するため、2010年に導入された制度です。
地域枠選抜は一般入試と比較して競争率が低いため、合格率を高めるにあたって、十分に検討の余地があるといえるでしょう。
医学部受験においては79大学中71大学(90%)が地域枠を設定しています。
例えば、弘前大学では、「卒業後に弘前大学の附属病院又は関連施設で医療に従事すること」を条件とした、「青森県枠」を設けています。
一方で、自然と受験生が集まるような「東京大学」や「京都大学」には地域枠の設定がありません。(2024年5月現在)
地域枠は医師偏在の対抗策として導入された背景から、卒業後、あらかじめ指定された病院や特定の地域で働くことが義務付けられているケースが多いです。
地域枠の離脱は禁止されているわけではありませんが、制度設立の背景を考慮すれば、決して望ましいことであはりません。
また、離脱するためには、貸与された奨学金に利子をつけて一括返済を求められる場合も。
厚生労働省によると、地域枠医師の約73%が利息の規定があるプログラムに属しており、その内の約9割は年利10%であったとのことです。
地域枠を利用する場合は、自身の長期的なキャリアについても、しっかりとしたプランを持つ必要があるでしょう。
相対的に偏差値が低い医学部を紹介!
次に、河合塾の入試予想ランキングを元に偏差値60.0-62.5の医学部をご紹介します。
医学部の偏差値は河合塾の基準で60.0-72.5となります。ここでは便宜的に、偏差値60.0-62.5の大学を難易度の低い医学部とします。
ただし、国公立大学と私立大学を比べるにあたって、それぞれの入試方式や入試に必要な教科数は異なります。
単純に偏差値だけでその難易度を比較することは難しいことをご理解ください。
国公立大学
医学部の中で相対的に偏差値が低い国公立大学は、地方にあることが多いです。
地方の国公立大学は、学費や生活費が首都圏に比べて安いという大きなメリットがあります。
以下が、医学部の中でも相対的に難易度の低い偏差値62.5の国公立大学医学部です。
・宮崎大学
・徳島大学
・琉球大学
・鹿児島大学
・大分大学
・香川大学
・岐阜大学
・鳥取大学
・佐賀大学
・福島県立医科大学
・札幌医科大学
・旭川医科大学
・弘前大学
・山形大学
・秋田大学
※参照 河合塾2023年度入試難易予想ランキング表(国公立大学 医・歯・薬・保健学系)
先程も述べた通り、地方にある大学が多く並んでいます。
この内、先に挙げた地域枠数も充実している医学としては、「旭川医科大学」「福島県立医科大学」「秋田大学」が挙げられ、いずれも東北・北海道地方に集中していることがわかります。
2024年度のデータでは「徳島大学」「鳥取大学」は倍率も低い傾向にあるため、私立大学医学部と併願して、合格したら学費の安い国公立大学に行きたいという方にはおすすめです。
太宰府アカデミーでも、以下の記事で4大予備校の平均偏差値をとり2024年度の国公立医学部偏差値ランキングを作成していますので是非参考にしてください。
私立大学
私立大学医学部は、一般的に学費が安い大学は偏差値が高い傾向にあります。
例えば、私立医学部の御三家と呼ばれる「慶應義塾大学」「東京慈恵会医科大学」「日本医科大学」の3大学は、古くから学費が安く人気があります。
実力がある受験生が多く受験するため、必然的に高偏差値になる傾向があります。
(高偏差値かつ人気。自然と受験生が集まって、広告費などを削減できるため学費を抑えられるのかもしれません。ここは「鶏か卵か」みたいな話ですね。)
偏差値60.0-62.5の私立大学医学部は以下の通りです。
・兵庫医科大学
・福岡大学
・聖マリアンナ医科大学
・岩手医科大学
・獨協医科大学
・東海大学
・埼玉医科大学
・帝京大学
・川崎医科大学
※参照 河合塾2023年度入試難易予想ランキング表(国公立大学 医・歯・薬・保健学系)ks10.pdf (keinet.ne.jp)
以上が、偏差値という観点では、比較的入りやすい私立大学の医学部になります。
その中でも最も偏差値が低く、難易度が低い川崎医科大学でも偏差値が62なので、他の学部よりも偏差値は高いです。
「偏差値の低い私立だからそこそこの勉強量で受かるだろう」といった姿勢では、当然ながら合格は遠くなると考えていいでしょう。
また、川崎医科大学は最短で卒業したとしても4550万円と、他の医学部と比較して学費がとても高いです。
私立大学を志望校として選ぶ際は、最低でも2000万円以上を要することがほとんどであり、学費の面をよく考慮する必要があるでしょう。
以下の記事で4大予備校の平均偏差値をとり2024年度の医学部偏差値ランキングを作成していますので是非参考にしてください。
穴場と言われる大学を受験する際の注意点を紹介!
ここからは、穴場と言われる大学を受験する際の注意点をご紹介します。
他の受験生も同じく狙い目と思って受験してくる
数ある医学部の中で穴場と言われる大学は、当然ながらほかの受験生にとっても狙い目となります。
そのため、低偏差値の国公立大学の倍率は年度によって変動が激しい傾向にあります。
例えば、先ほど例に挙げた鳥取大学は、2024年度こそ倍率3.3と低めでしたが、前年度は倍率6.5と倍ほどの開きがあります。
これは、「倍率が低いから狙い目だ!」と考えた受験生が同じ考えのもと集中した結果、かえって競争が激しくなってしまったケースと言えるでしょう。(参考:2024年度国公立全50大学の医学部入試志願者倍率速報)
一方で「東京大学」や「大阪大学」といったいわゆる難関校の倍率は例年一定しており、こうした心理的駆け引きとは無縁であることが伺えます。
このように穴場を狙う戦略には、ある程度のギャンブル的要素が伴うことを理解しておく必要がありそうです。
入試問題との相性
医学部受験は、各大学によって問題の出題傾向が大きく異なります。
例えば、「旭川医科大学」は難問ばかり出題される傾向にあるため、5-6割に正答できれば合格できる一方、
「秋田大学」は他学部と問題が共通している性質上、8割近い正答率が求められます。(参考:医学部入試は複雑…医学部を目指すなら必ずおさえたい「基本のキ」)
このように、見かけ上の偏差値以上に、入試問題との相性がとても重要だと言えます。
大学選びは将来のキャリアに影響する
大学選びは、就職先や医師としてのキャリアに大きく影響することを忘れてはいけません。
先に挙げた地域枠はまさにその代表例であり、卒業後の数年間は、出身大学の関連病院や特定の地域に生活拠点が拘束されることを念頭に置かなければなりません。
特に女性は、医学部卒業時期が結婚や出産を強く意識するタイミングと重なるため、ライフプランをより明瞭にしておく必要があるでしょう。
医学部に入学することが目的ではなく、医師として働くことが目的であるはずです。
そのため、医学部を卒業した後、医師としてどのようなキャリアを歩みたいのかを考えて志望校を選びましょう。
まとめ

今回は、医学部受験をお考えの方に向けて、入りやすい大学の医学部をご紹介しました。
入りやすい医学部の特徴は、数ある医学部の中でも相対的に偏差値が低い、倍率が低い、地域枠があることでした。
穴場の大学といえども、いくつか注意すべきポイントがあるため、しっかりとそれらを念頭において受験勉強をすることが大切です。
私は予備校時代に培った学習習慣のお陰で、幸いなことに最短で医師になることができました。
医学部進学をお考えの方は、ぜひ太宰府アカデミーまでご相談ください。
では、本日の記事は以上です。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
精神科医 柴山 寛
◆太宰府アカデミーの自己PR
当校は福岡県にある日本で唯一の全寮制医学部受験予備校です。【当校の特徴】定員30名|20年間の累計医学部医学科合格実績443名|田舎の全寮制|全国各地から入学(2024年度生は16の都道府県より入学)|異次元の生活サポート|圧倒的に食事が美味しい(土日祝日問わず提供)|講師との距離が近い|プロ講師の質問対応が充実|完全個別指導コースあり|選抜国公立コースあり|専用筋トレジムあり|同じ夢を持った仲間が1年間切磋琢磨し、医学部合格を目指す【校風】アットホームな大家族予備校
◆筆者プロフィール
柴山寛(Shibayama Kan)/精神科医|昭和大学卒|太宰府アカデミーOB|准看護学校講師
高校時代は鳴かず飛ばずで浪人することに…予備校時代は1年で偏差値を20上げ、なんとか医学部に合格。現在は医師をしながら、受験経験を元に医学部受験情報を発信しています。太宰府アカデミー経験者だけの、リアルな意見もぶっちゃけ中。
◆連絡先
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