こんにちは、福岡の医学部予備校で総務・広報を担当している後藤です。
今日は、この夏に出そろった資料を全部読み直して書きます。国公立大学の「令和9年度入学者選抜要項」です。
7月から8月にかけて、50校ぶんの要項が次々に公表されました。春の「予告」の段階では分からなかったことが、要項ではっきりします。そこで国公立50校を1校ずつ大学公式で確認し直しました。8月18日に一度まとめていますが、そのあとに出た資料でいくつも数字が動いたので、全面的に作り直しています。
去年まで通用していた前提が、そのままでは使えない大学が出ています。配点そのものが13.5ポイント動いた大学も、足切りのラインが37点上がった大学もありました。
− 自分の志望校は、結局どこが変わったの?
− 「情報Ⅰ」って、うちの大学では点になるの?
− 定員が減ったと聞いたけど、前期の席は何人減るの?
一つずつ、深掘りしていきます。
この記事の目次
国公立医学部の入試変更点は50校中19校|結論から
先に結論です。2027年度入試で医学科の内容が変わるのは、国公立50校のうち19校・31件でした。残る31校は、2026年8月31日の時点で医学科の変更が公表されていません。

| 変わったところ | 件数 | どの大学か |
|---|---|---|
| 募集人員・定員 | 12件 | 臨時定員(地域枠)の削減が背景 |
| 科目・配点・面接 | 6件 | 旭川医科・北海道・弘前・広島・佐賀・香川 |
| 出願資格・年内入試 | 5件 | 浪人可否・卒後要件・評定基準 |
| 第1段階選抜(足切り) | 5件 | 広島・鳥取・鹿児島・山梨・徳島 |
| 共通テスト「情報Ⅰ」 | 3件 | 徳島・香川・筑波 |
いちばん多いのは募集人員・定員の12件です。次が科目・配点・面接の6件、出願資格と年内入試が5件、第1段階選抜(足切り)が5件、共通テスト「情報Ⅰ」が3件。
つまり2027年度の国公立は、「問題の中身」より「席の数」と「出願のハードル」が動く年です。対策の力の入れどころをここで間違えないでください。
そして、この記事でいちばん伝えたいのはここです。横断的な変更点一覧だけを見ていると、5校ぶんの変更を丸ごと見落とします。河合塾が公表している「2027年度 国公立大入試変更点」には、鳥取・和歌山県立医科・琉球・佐賀・新潟の医学科の変更が載っていません(2026年8月31日に38大学ぶんを全件照合しました)。この5校ぶんも含めて、一覧にしてあります。
変更があった19校の一覧|2026年度との比較
19校ぶんを、変わった中身がわかる形で並べました。数字はすべて各大学が公表した令和9年度入学者選抜要項、または大学が出している変更予告から取っています。
| 大学(区分) | 2026年度 | 2027年度 |
|---|---|---|
| 旭川医科 一般前期 |
個別=数150・英150・面50(計350)/共テ理科200 | 個別に理科2科目150点を新設(計500)/共テ理科100・総点920→970 |
| 北海道 一般前期 |
個別の外国語=英・独・仏・中から1/数B「数列」 | 外国語は英語のみ/数Bに「統計的な推測」を追加 |
| 弘前 一般前期/総合型Ⅱ |
面接300点(総点1,950)/総合型Ⅱは評定4.3以上 | 面接は点数化せず段階評価(総点1,650)/評定基準を廃止 |
| 東京 一般前期 |
理科三類 97人 | 理科三類 92人(前期6科類計 2,960→2,858人) |
| 筑波 共テ情報Ⅰ(全学) |
一律50点+実際の得点×0.5 | 一律25点+実際の得点×0.75 |
| 新潟 一般前期/帰国生徒 |
前期80人/帰国生徒選抜は医学科で未実施 | 前期70人(10人を推薦の地域枠へ)/帰国生徒特別選抜を新規実施 |
| 山梨 学校推薦型Ⅱ |
地域枠のみ・県内高校限定・1浪まで | 全国募集枠10人以内を新設・県内枠5人以内・2浪まで |
| 三重 一般前期/総合型 |
前期75人・総合型なし | 前期70人・総合型選抜Ⅱ5人を新設 |
| 鳥取 一般前期 |
第1段階選抜は共テ920点満点中613点以上 | 650点以上/総合点75%未満は合格者となりえない旨を追記/兵庫県枠2人を廃止 |
| 広島 一般前期 |
面接は段階評価(総点2,800)/第1段階 約5倍 | 面接200点(総点3,000)/第1段階 約3倍 |
| 徳島 一般前期/総合型/推薦Ⅱ |
前期55人/情報Ⅰは点数化せず/総合型8人 | 前期50人/情報Ⅰ50点(共テ950)/総合型13人(全国枠5を新設)/推薦Ⅱに卒後要件 |
| 香川 一般前期/推薦Ⅱ |
情報Ⅰは配点化しない(共テ700)/推薦Ⅱは小論文 | 情報Ⅰ20点(共テ720)/推薦Ⅱは総合問題に名称変更 |
| 愛媛 入学定員/推薦ⅡA・ⅡB |
入学定員110人/推薦ⅡB 20人 | 入学定員95人/推薦ⅡB 5人/推薦ⅡAに卒後3年以上の県内所属を追加 |
| 佐賀 一般前期ほか |
個別数学の数Aは「図形の性質」「場合の数と確率」 | 数Aに「数学と人間の活動(整数の性質に関する部分)」を追加 |
| 長崎 一般前期/推薦ⅡB |
前期66人/推薦ⅡB 12人 | 前期60人/推薦ⅡB 「6+α」(臨時定員の扱いは未定) |
| 熊本 一般前期/推薦Ⅱ |
前期86人/推薦Ⅱ=一般枠5・地域枠8・みらい医療枠10 | 前期83人/一般枠を廃止し熊本医療枠10を新設・地域枠11・みらい医療枠5(居住要件を撤廃) |
| 鹿児島 一般後期 |
第1段階選抜 約10倍(募集19人) | 約11倍 |
| 琉球 入学定員(推薦Ⅱ) |
臨時増員を含む定員(前期70・後期23・推薦Ⅱは増員分を含む) | 臨時措置が終了し現時点100人(前期70・後期23・推薦Ⅱ7)。増員を申請中 |
| 和歌山県立医科 一般前期/推薦 |
総募集100人/前期一般枠64人程度/県民医療枠A 5人程度 | 総募集99人/前期一般枠60人程度/県民医療枠A 8人程度 |
並び順は北から南です。表が長いので、志望校のところだけ探して読んでもらえれば大丈夫です。
ここから先は、受験生への効き方が大きい順に4つのかたまりで見ていきます。①配点そのものが動く3校 ②足切りが厳しくなる3校 ③情報Ⅰが変わる3校 ④募集人員が動く大学、の順です。
配点そのものが動く3校|旭川医科・弘前・広島
いちばん影響が大きいのは、共通テストと2次の重みが変わる3校です。同じ得点を取っても、合否の出方が去年と変わります。

| 大学 | 2026年度 | 2027年度 |
|---|---|---|
| 旭川医科 2次に理科2科目150点を新設 |
共テ62.0% 総合920点 |
共テ48.5% 総合970点 |
| 弘前 面接300点を廃止して段階評価へ |
共テ53.8% 総合1,950点 |
共テ63.6% 総合1,650点 |
| 広島 面接を200点で点数化 |
共テ35.7% 総合2,800点 |
共テ33.3% 総合3,000点 |
旭川医科大学は、個別学力検査に理科2科目150点を新設しました。そのぶん共通テストの理科は200点から100点に半減し、合否判定の共テ配点は570点から470点へ。総合点は920点から970点になります。共テ比率は62.0%から48.5%へ、13.5ポイント下がりました。マークで取れる理科から、記述で書ける理科へ——求めているものが変わったと読むのが自然だと思います。
弘前大学は逆方向です。300点あった面接を点数化せず段階評価に変え、2次は数学300+英語300の600点だけになりました。総合点は1,950点から1,650点へ。共テ比率は53.8%から63.6%に上がり、共通テストの重みが全国でも屈指の重さになります。
広島大学は、段階評価だった面接を200点で点数化しました。総合点は2,800点から3,000点になり、面接が総合点の6.7%を占めます。学力だけで決まらなくなった、ということです。
3校とも、前年の配点で「自分は何点取れば届くか」を計算していると、前提から外れます。とくに旭川医科と弘前は10ポイント以上動いているので、志望校に入っている人は必ず計算し直してください。
足切りが厳しくなる3校|広島は約5倍→約3倍、鳥取は650点へ
2027年度でいちばん見落とされやすいのが、この第1段階選抜(足切り)の変更です。配点や科目と違って、2次を受ける前に効いてくるからです。

| 大学・日程 | 2026年度 | 2027年度 |
|---|---|---|
| 広島 前期 |
志願倍率が約5倍を超えたら実施 | 約3倍を超えたら実施 |
| 鳥取 前期 |
共テ920点満点中613点以上(66.6%) | 650点以上(70.7%) |
| 鹿児島 後期 |
募集19人の約10倍まで | 約11倍まで |
広島大学は、第1段階選抜を行う基準を「志願倍率が約5倍を超えたら」から「約3倍を超えたら」に変えました。これがどれくらい効くかというと、2026年度の広島大学は志願倍率4.2倍で、足切りを実施していません。同じ倍率が2027年度に来たら、今度は実施されます。
鳥取大学は点数の基準です。第1段階選抜の合格ラインが共通テスト920点満点中613点以上(66.6%)から650点以上(70.7%)へ、37点・4.0ポイント上がりました。共通テスト7割が、事実上の出願ラインになったと読めます。
鳥取大学はもう1つ、要項に一文を追記しています。「大学入学共通テスト及び個別学力検査等の総合点が75%に満たない場合は、合格者となりえないことがある」。定員が埋まらなくても7.5割未満は取らない、という意思表示です。これまで書かれていなかったものが明文化されたので、押さえておいてください。
鹿児島大学は後期日程です。募集19人の約10倍から約11倍になりました。2次に進める人数が19人ぶん増えます。2026年度は志願16.3倍で実施10.0倍だったので、これは実際に効きます。
ちなみに国公立医学部は、前期で50校すべてが足切りを予告しています。「うちは足切りが無い」という大学は1校もありません。ただし2026年度に実際に切ったのは前期57区分中36区分(63.2%)で、予告=実施ではない点も合わせて覚えておいてください。
共通テスト「情報Ⅰ」が変わる3校|筑波大学は一覧に出てこない
2025年度から共通テストに「情報Ⅰ」が入りましたが、医学科では「受験は必要だが点数には入れない」という扱いにしていた大学がありました。それが2027年度に変わります。
| 大学 | 2026年度 | 2027年度 |
|---|---|---|
| 徳島大学 | 点数化しない(共テ900点・総点1,300点) | 情報Ⅰ50点(共テ950点・総点1,350点) |
| 香川大学 | 配点化しない(共テ700点・総点1,400点) | 情報Ⅰ20点(共テ720点・総点1,420点) |
| 筑波大学 | 一律50点+実際の得点×0.5(0点でも50点) | 一律25点+実際の得点×0.75(0点なら25点) |
徳島大学は情報Ⅰを50点で点数化します。共通テストの配点は900点から950点、総合点は1,300点から1,350点へ。徳島大学は共テ比率が70.4%で全国2位なので、この50点はそのまま合否に効きます。あわせて第1段階選抜の基準も600点(900点満点)から630点(950点満点)に変わります。
香川大学は20点です。共通テストの配点は700点から720点になります。ただし同じ香川大学でも、学校推薦型選抜Ⅱでは情報Ⅰを配点化せず、「高等学校における基礎学力の修得度を見るために利用する」としています。一般選抜と推薦で扱いが違うので注意してください。
そして、ここがこの記事でいちばん見落とされている変更です。筑波大学は情報Ⅰに「負担軽減の経過措置」を掛けていて、2026年度は一律50点+実際の得点×0.5、2027年度は一律25点+実際の得点×0.75になります。2026年度は情報Ⅰが0点でも換算で50点もらえましたが、2027年度は25点しかもらえません。実力差が点差に出る度合いが1.5倍になるということです。2028年度からは下駄がゼロになります。
なぜ見落とされるかというと、これは筑波大学の全学ルールで、医学群医学類の変更として告知されていないからです。大学が出している「令和9年度筑波大学入学者選抜の変更点について」(2026年8月7日更新)にも、この件は載っていません。根拠は2023年12月公表の「大学入学共通テスト『情報』の負担軽減にかかる経過措置について」という別の資料です。
前期の募集人員が減る8校と、「未定」のまま走る10校
件数がいちばん多かったのが、この募集人員・定員の12件です。一般選抜(前期日程)の席が減るのは8校で、合計40人ぶんあります。

| 大学 | 2026年度 | 2027年度 | 差 |
|---|---|---|---|
| 新潟大学 | 80人 | 70人 | -10人 |
| 長崎大学 | 66人 | 60人 | -6人 |
| 徳島大学 | 55人 | 50人 | -5人 |
| 三重大学 | 75人 | 70人 | -5人 |
| 東京大学 | 97人 | 92人 | -5人 |
| 和歌山県立医科大学 | 64人 | 60人 | -4人 |
| 熊本大学 | 86人 | 83人 | -3人 |
| 鳥取大学 | 78人 | 76人 | -2人 |
いちばん大きいのは新潟大学の10人です。前期80人から70人になり、減らした10人は学校推薦型選抜(地域枠)へ移ります。長崎大学は6人、徳島・三重・東京(理科三類)が5人ずつ。和歌山県立医科大学は前期の一般枠が4人減り、そのぶん県民医療枠Aが5人程度から8人程度に増えます。
ここで、東京大学について1つ注意があります。河合塾の2027年度変更点一覧では、理科三類は「97名→94名」と書かれています。ですが令和9(2027)年度 東京大学入学者選抜要項(2026年7月)の2ページには、理科三類92人、前期6科類の合計2,858人と書かれています。この記事では大学公式の92人を採用しています。集計サイトの数字は、必ず大学の要項で取り直してください。
「募集人員は調整中です」と書いている大学が10校ある
そしてもう1つ、今年ならではの事情があります。2027年度は、募集人員そのものが確定していない大学が10校あります。
| 大学 | 何が決まっていないか | いつ決まるか |
|---|---|---|
| 徳島大学 | 医学科の募集人員そのもの(要項に「調整中」と明記) | 学生募集要項(11月ごろ) |
| 長崎大学 | 臨時定員19人(地域枠増員16人+その他3人)の扱い | 決まり次第 大学サイトで公表 |
| 筑波大学 | 医学群医学類の地域枠(国の審査中) | 確定次第 大学サイトで公表 |
| 熊本大学 | 臨時定員4人。3人以下なら前期の募集人員を再変更 | 学生募集要項 |
| 愛媛大学 | 入学定員95人・推薦ⅡB 5人(「現時点での予定」) | 学生募集要項 |
| 和歌山県立医科大学 | 総募集99人(臨時定員1人減) | 募集要項(11月中旬) |
| 琉球大学 | 入学定員100人(推薦Ⅱ7人)。増員を申請中 | 決まり次第 大学サイトで公表 |
| 鳥取大学 | 入学定員102人(申請許可済みだが変更あり得る) | 学生募集要項(11月上旬) |
| 山梨大学 | 推薦Ⅱの人数(恒久なら県内5+全国10、増員時は県内25+全国10) | 入学者選抜要項・募集要項 |
| 浜松医科大学 | 医学科の募集人員(国と静岡県の医師確保対策による) | 確定次第 大学サイトで公表 |
徳島大学は要項に「医学部医学科の募集人員は、調整中です」とはっきり書いています。長崎大学は臨時定員19人の扱いが「現時点では未定」、筑波大学は「国による所定の審査を経て、募集の有無及び定員が確定次第公表」。琉球大学に至っては、臨時増員措置が2026年度で終了したため、現時点の入学定員は100人(前期70・後期23・学校推薦型選抜Ⅱ 7)と書いたうえで、増員を申請中としています。
背景にあるのは、国の医学部臨時定員(地域枠)の削減です。医学部の総定員は2007年度の7,625人から増え続け、2017年度の9,420人がピーク。2024年度は9,403人で、そのうち地域枠等が1,808人(19.5%)を占めています(厚生労働省「医学部臨時定員について」医師養成過程を通じた医師の偏在対策等に関する検討会 資料)。2026年度は2024年度を上限として臨時増員の枠組みを1年延長した形で、2027年度以降の扱いはまだ決まっていません。10校が「未定」のまま走っているのは、そのためです。
実務的にどうすればいいかというと、答えは1つです。この10校が志望校に入っている人は、11月に学生募集要項が出たらもう一度確認してください。前期の席が数人動くだけで、実質倍率は変わります。
年内入試の門戸が広がった5校|山梨は2浪まで出願できる
前期の席が減ったぶんは、どこへ行ったのか。答えは年内入試(学校推薦型・総合型)です。
| 大学 | 区分 | 何が広がったか |
|---|---|---|
| 山梨大学 | 学校推薦型Ⅱ | 全国募集枠10人以内を新設。県内枠も含めて2浪まで出願可(従来は1浪まで) |
| 徳島大学 | 総合型選抜 | 8人→13人。全国枠5人を新設(従来は四国4県のみ) |
| 熊本大学 | 学校推薦型Ⅱ | みらい医療枠の居住要件を撤廃し全国から出願可に |
| 三重大学 | 総合型選抜Ⅱ | 5人を新設(1次9/27・2次10/12・合格発表2/10) |
| 新潟大学 | 帰国生徒特別選抜 | 医学科で新規実施(若干人・前期と同時期の2月下旬) |
いちばん大きいのは山梨大学です。学校推薦型選抜Ⅱに全国募集枠10人以内を新設し、これまで山梨県内の高校卒業・卒業見込みに限っていた枠が県外にも開きました。さらに出願できるのが1浪までから2浪までに変わります。県内募集枠に出願した人は自動的に全国枠の併願者として扱われるので、県内生が不利になる設計にはなっていません。
徳島大学の総合型選抜は8人から13人へ。徳島・香川・愛媛・高知の4県各2人に加えて、全国枠5人が新設されました。四国以外の受験生にも入口ができたということです。
熊本大学は、学校推薦型選抜Ⅱの「みらい医療枠」で県外高校出身者に課していた「保護者が3年以上県内在住」という条件を撤廃しました。こちらも全国から出願できます。ただし同じ熊本大学で、新設された「熊本医療枠」10人は出身地制限なし・卒後要件ありという逆の設計なので、枠ごとに条件を読み分けてください。
一方で、条件が厳しくなった枠もあります。愛媛大学の学校推薦型選抜ⅡAには「卒業後に愛媛県内の医療機関等に3年以上所属できる者」が出願資格に加わりました。徳島大学の学校推薦型選抜Ⅱ(一般枠)にも「徳島大学医学部が指定する主要基幹病院において2年間の初期臨床研修を確約できる者」という推薦要件が追加されています。年内入試は「入りやすい」だけの入口ではありません。卒業後の縛りまで含めて、家族と読んでから出してください。
太宰府アカデミーの視点|この19校をどう使うか
変更点の一覧は、眺めるだけでは何も変わりません。使うための観点を3つ挙げます。
1. 配点が動いた大学は、まず過去問で形式を確かめる
旭川医科大学の2次に理科が入ったことで、共テ比率は62.0%から48.5%になりました。数字だけ見ると「2次で挽回できる大学になった」と読めます。ただし、配点が合っていても、出題形式との相性が合わなければ点は取れません。旭川医科の理科は新設なので過去問がありません。こういうときは、同じ大学の数学・英語の記述量と時間配分を見て、その大学が受験生に何をさせたいのかを読むところから始めます。配点表だけで出願先を決めないでください。
2. 足切りは「共通テストが終わってから」では間に合わない
広島大学の約5倍→約3倍、鳥取大学の613点→650点は、どちらも共通テストの自己採点の時点で効いてきます。共通テストが終わってから出願先を考える人ほど、この2校の変更に足をすくわれます。いま志望校リストに入っているなら、「その大学の足切りラインが、去年と同じかどうか」を今のうちに調べておくだけで違います。国公立50校ぶんの予告倍率と、実際に切られたかどうかの実績は、後述の関連記事にまとめてあります。
3. 「変更なし」も、11月にもう一度見る
今回「変更なし」とした31校のうち、19校は大学公式の変更点資料まで開いて医学科の記載がないことを確認しました。浜松医科大学のように「令和9年度入学者選抜における入試方法等の変更点は特にありません」と要項に明記している大学もあります。それでも、募集人員だけは11月の学生募集要項まで動きます。浜松医科大学も「医学科の募集人員は、国及び静岡県の医師確保対策の計画等により変更になる可能性があります」と注記しています。データを見る限りでは、2027年度は「要項で確定、募集要項でもう一度確定」の二段構えで見ておくのが安全です。
見落としやすい5つの変更
最後に、調べていて「これは気づけない」と思ったものを5つ挙げておきます。
| 大学 | 見落としやすい理由 |
|---|---|
| 筑波大学 | 情報Ⅰの下駄が50点→25点。全学ルールなので医学類の変更一覧には出てこない |
| 鳥取大学 | 第1段階選抜が613点→650点。河合塾の2027年度変更点一覧に医学科の記載がない |
| 北海道大学 | 外国語が英語のみに。大学の変更予告には数学Bのことしか書かれていない |
| 佐賀大学 | 個別数学に整数問題が入る。過去問だけでは埋まらない |
| 鳥取大学 | 総合点が75%に満たないと合格者となりえない旨が要項に追記された |
北海道大学の例が分かりやすいと思います。大学が出している「〔予告〕令和9(2027)年度入学者選抜(一般選抜)における個別学力検査等の変更について」には、数学Bの出題範囲に「統計的な推測」を追加する、ということしか書かれていません。ところが令和9年度入学者選抜要項の配点表を見ると、医学部医学科の個別学力検査の外国語が「英、独、仏、中から1」から「英」だけに変わっています。予告と要項を両方読まないと、この変更には気づけません。
佐賀大学の数学も同じです。個別試験の数学Aに「数学と人間の活動(整数の性質に関する部分)」が追加されました。整数問題が範囲に入るということなので、過去問だけを回していても対策の穴が埋まりません。
よくある質問
Q. 変更が無かった31校は、去年と同じ対策でいいですか
A. 科目・配点・面接については、そう考えて構いません。ただし募集人員だけは別です。国の臨時定員(地域枠)の扱いが2027年度以降まだ決まっていないので、変更を公表していない大学でも、11月の学生募集要項で人数が動く可能性があります。とくに地域枠を持っている大学は、出願前に必ず募集要項で人数を確認してください。
Q. 情報Ⅰは、結局どれくらい勉強すればいいですか
A. 志望校の配点比率で決めてください。共通テストの素点では情報Ⅰは1,000点中100点=どの大学でも10.0%ですが、大学は科目ごとに違う倍率をかけて自分の配点に直します。たとえば佐賀大学は共テ640点中10点(1.6%)、旭川医科大学は470点中20点(4.3%)まで軽くなる一方、広島・宮崎・琉球・福井・山梨は圧縮せず10.0%のままです。同じ「情報Ⅰ」でも、大学によって重みが6倍以上違います。
Q. 「調整中」の大学は、志望校から外したほうがいいですか
A. その必要はありません。「調整中」は国の審査結果を待っているという意味で、大学側が入試をやめるという話ではないからです。実際、鳥取大学は2026年8月に文部科学省への申請許可がおりたことを公表しています。気をつけるのは人数の前提だけです。前期の席が数人動くと実質倍率が変わるので、11月に募集要項が出た時点で、もう一度だけ数字を見てください。
まとめ
2027年度の国公立医学部の変更点を、5つに絞ります。
- 変わるのは50校中19校・31件。いちばん多いのは募集人員・定員の12件で、「問題の中身」より「席の数」が動く年です
- 配点そのものが動くのは旭川医科・弘前・広島の3校。旭川医科は共テ比率62.0%→48.5%、弘前は53.8%→63.6%と10ポイント以上動きます
- 足切りが厳しくなるのは広島(約5倍→約3倍)と鳥取(613点→650点)。広島は2026年度に志願4.2倍で実施していないので、同じ倍率なら2027年度は切られます
- 情報Ⅰが変わるのは徳島・香川・筑波の3校。筑波は全学ルールなので医学類の変更一覧には出てきません(下駄が50点→25点)
- 10校が募集人員を「未定・調整中」のまま走っています。徳島・長崎・筑波・熊本・愛媛・和歌山県立医科・琉球・鳥取・山梨・浜松医科は、11月の募集要項で必ず確認してください
いま志望校が決まっている人は、この記事の19校の表で自分の大学を探して、そこだけ読んでください。入っていなければ、科目と配点は去年のままで大丈夫です。入っていたら、その1行を印刷して机に貼っておくくらいでちょうどいいと思います。
この記事を書いたのは、変更点を「知らなかった」で終わらせてほしくないからです。配点が13.5ポイント動いた大学も、足切りが37点上がった大学も、大学のサイトのどこかには必ず書いてあります。でも、予告と要項が別のページにあって、片方にしか書かれていないものがある。実際に北海道大学の外国語も、筑波大学の情報Ⅰも、「変更点」と題された資料のほうには載っていませんでした。それを50校ぶん突き合わせるのは、受験生がやる仕事ではないと思っています。だから代わりに調べました。
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本日の記事は以上です。
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◆筆者プロフィール
後藤 登(Goto Noboru)
仕事:総務・広報・完全個別指導コース担当
自己PR:高校・大学ボクシング部。釣りや登山が好き。新卒で当校に勤めて13年目。医学部受験の情報を調べて、ブログやInstagram、Twitterを更新しています。4年前から完全個別指導コースのコース担当。
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