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北海道・東北の医学部ランキング|1位は物差しで3校|2027年度入試

2026年10月02日 更新

こんにちは、福岡の医学部予備校で総務/広報を担当している後藤です。

本日のブログは、北海道と東北で医学部を目指している受験生と保護者の方に向けた回です。これまでに九州・沖縄の11校、関西の12校、関東の24校、中部・東海の14校、中国・四国の10校を、同じ物差しで並べてきました。今日の北海道・東北の10校で、全国81校がすべてそろいます。

調べてみると、北海道・東北の10校だけを切り出して、入口と出口とお金で比べた表は、うちのサイトに1本もありませんでした。そこで、偏差値・共通テスト・学費・医師国家試験・6年で医師になる割合の5つで、北海道と東北6県の10校を並べ直しました。この地域は国立6校・公立2校・私立2校と、3つの区分がそろっています。

結果から言うと、1位は物差しによって3校に分かれました。偏差値の1位は東北大学、医師国家試験の合格率の1位は北海道大学、6年で医師になる割合の1位は秋田大学です。「北海道・東北の医学部ランキング」に、1本の正解はありません。

− 北海道・東北でいちばん難しい医学部はどこ?

− 国家試験に強いのは、どの大学?

− 私立は6年で3,000万円を超えるから、最初から無理?

3つめの答えから先に言うと、この地域には、私立の学費が大きく下がる枠があります。岩手医科大学の地域枠Aは、岩手県が6年で3,050万円を貸与し、学納金との差は350万円。東北医科薬科大学の修学資金枠宮城Aは3,000万円を貸与し、差は700万円です。ただし、どちらも「返さなくていいお金」ではなく、決められた地域で11〜12年働く約束とセットです。ひとつずつ、河合塾・文部科学省・厚生労働省と、各大学・各県が公表している数字で見ていきます。

この記事の目次

 

 

北海道・東北の医学部は10校|国立6・公立2・私立2

先に全体像です。北海道と東北6県(青森・岩手・宮城・秋田・山形・福島)には医学部が10校あり、国立6校・公立2校・私立2校に分かれます。入学定員を足すと1,171人で、全国9,393人の12.5%にあたります。

大学 所在地 区分 定員
北海道大学 北海道 札幌市 国立 105人
旭川医科大学 北海道 旭川市 国立 105人
弘前大学 青森県 弘前市 国立 132人
東北大学 宮城県 仙台市 国立 117人
秋田大学 秋田県 秋田市 国立 129人
山形大学 山形県 山形市 国立 113人
札幌医科大学 北海道 札幌市 公立 110人
福島県立医科大学 福島県 福島市 公立 130人
岩手医科大学 岩手県 矢巾町 私立 130人
東北医科薬科大学 宮城県 仙台市 私立 100人
合計 1,171人

内訳は北海道が3校(定員320人)、東北6県が7校(定員851人)です。公立は札幌医科大学と福島県立医科大学、私立は岩手医科大学と東北医科薬科大学です。全国に公立の医学部は8校しかなく、そのうち2校がこの地域にあります。

道県 校数 定員 大学
北海道 3校 320人 北海道大、旭川医科大、札幌医科大
青森県 1校 132人 弘前大
岩手県 1校 130人 岩手医科大
宮城県 2校 217人 東北大、東北医科薬科大
秋田県 1校 129人 秋田大
山形県 1校 113人 山形大
福島県 1校 130人 福島県立医大

道県別に見ると、北海道に3校、宮城県に2校あり、残りの5県(青森・岩手・秋田・山形・福島)は1県に1校です。北海道の3校のうち2校(北海道大学・札幌医科大学)は札幌市、宮城県の2校(東北大学・東北医科薬科大学)はどちらも仙台市にあります。医学部が2つの大きな街に集まっているのが、この地域の形です。

入学定員は100人から132人のあいだで、平均117.1人です。いちばん多いのは弘前大学の132人、いちばん少ないのは東北医科薬科大学の100人でした。

受験する前に知っておきたいのがキャンパスの場所です。10校のうち3校は、道庁・県庁の所在地ではない街に医学部があります(旭川医科大は旭川市・弘前大は弘前市・岩手医科大は矢巾町)。とくに北海道は広く、同じ道内の大学でも札幌と旭川は離れています。下見と受験当日の移動は、早めに計画しておいてください。定員は令和7年度(2025年度)の文部科学省の一覧の数字で、2027年度入試の募集人員は大学によってまだ動きます。

 

北海道・東北の医学部を偏差値で並べると|1位は東北大学(全国12位)

まず、いちばんよく見られている偏差値です。ここでは河合塾の入試結果調査にもとづく合格者平均偏差値(実際に受かった人の、全統記述模試の英語・数学・理科の平均)で並べました。

北海道・東北の医学部10校の合格者平均偏差値ランキング。1位東北大学68.8、2位北海道大学66.3、3位札幌医科大学64.7、10位弘前大学61.2
出典:河合塾 入試結果調査(2026年度入試)にもとづく全統記述模試の合格者平均偏差値(英語・数学・理科の単純平均)を太宰府アカデミーが集計。ボーダーは河合塾 2027年度入試難易予想ランキング表(9月版・方式別ランク)
大学(10校の順位) 合格者平均 全国81校の順位 ボーダー
1. 東北大学 68.8 12位 67.5
2. 北海道大学 66.3 25位 67.5
3. 札幌医科大学 64.7 45位 62.5
4. 旭川医科大学 64.6 47位 62.5
5. 山形大学 64.1 55位 62.5
6. 東北医科薬科大学 63.5 63位 65.0
7. 福島県立医科大学 63.1 68位 62.5
8. 秋田大学 63.0 70位 62.5
9. 岩手医科大学 62.6 71位 62.5
10. 弘前大学 61.2 76位 62.5

1位は東北大学で68.8。全国81校の中では12位です。2位は北海道大学の66.3(全国25位)、3位は札幌医科大学の64.7(全国45位)でした。

ほかの地域と並べると、合格者平均偏差値が全国10位以内に入る大学は、北海道・東北には1校もありません。同じ数え方で、関東には6校、関西には3校、中部・東海と九州・沖縄には1校ずつあり、中国・四国は0校でした(全国10位以内は同順位を含めて11校)。全国25位以内に入るのは、東北大学(全国12位)と北海道大学(全国25位)の2校だけです。

この地域の形は、「上の2校」と「残りの8校」に分かれることです。東北大学と北海道大学をのぞく8校は、61.2〜64.7という3.5ポイントの幅にすべておさまっています。この8校には、国公立6校だけでなく私立の2校も入っています。偏差値の表だけで志望校を選ぼうとすると、この8校はほとんど区別がつきません。だからこそ、このあとの共通テスト・出口・学費の数字が効いてきます。

なお、合格者平均は「記述模試の英語・数学・理科」だけの数字です。国公立はこれに共通テストが加わるので、私立と国公立の難しさを、この数字だけで直接くらべることはできません。国公立どうし、私立どうしで見るのが確実です。

国公立8校の共通テスト|ボーダーは78〜85%

国公立の8校は、共通テストの得点率も大きく効きます。河合塾の2027年度入試のボーダー得点率(前期)と、2026年度入試で実際に受かった人の共通テストの平均(1000点満点に換算)を並べました。

大学 共テのボーダー 合格者の共テ平均 実質倍率
東北大学 85% 858点 3.46倍
北海道大学 84% 846点 3.29倍
山形大学 81% 812点 4.12倍
秋田大学 80% 807点 2.91倍
札幌医科大学 79% 807点 2.85倍
福島県立医科大学 79% 798点 2.46倍
旭川医科大学 78% 767点 3.08倍
弘前大学 78% 762点 5.15倍

ボーダーは東北大学の85%がいちばん高く、旭川医科大学と弘前大学の78%がいちばん低い。差は7ポイントです。受かった人の平均で見ても、東北大学の858点から弘前大学の762点まで96点の開きがあります。

この地域で目につくのは、ボーダーの順番と、受かった人の平均点の順番が、上から下までそろっていることです。ひとつ前の中国・四国の回では、この2つの順番が入れ替わる大学がありました。北海道・東北では、共通テストの得点で、どのあたりの大学が現実的かを読みやすいと言えます。国公立全体のボーダーは国公立医学部の共通テストボーダー|2027年度は78〜90%にまとめてあります。

右の実質倍率は2025年度入試の数字で、国公立は2.46〜5.15倍です。いちばん低いのが福島県立医科大学の2.46倍、いちばん高いのが弘前大学の5.15倍でした。ただし、倍率は難しさを表す数字ではありません。受けた人の数と、取る人数で決まる数字だからです。難しさは、上の合格者平均で見てください。

私立は岩手医科大学と東北医科薬科大学の2校

私立の2校は、合格者平均が東北医科薬科大学63.5、岩手医科大学62.6です。東北医科薬科大学はボーダー65.0に対して合格者平均63.5で、ボーダーのほうが1.5ポイント高く、この差は10校でいちばん大きいです。推薦や総合型を含む合格者まで入るとこうなることがあり、「合格者平均はボーダーより高い」とはかぎりません。

実質倍率は岩手医科大学が9.06倍、東北医科薬科大学が5.61倍で、国公立(2.46〜5.15倍)より大きく出ています。私立は1人が何校も受けるからで、これも難しさの順番ではありません。岩手医科大学だけを詳しく見たい方は岩手医科大学の偏差値は50年で52.5→62.5・実質倍率9.06倍の記事をご覧ください。

 

医師国家試験で並べると|1位は北海道大学の98.3%(全国4位)

次は出口です。2026年2月の第120回医師国家試験の、大学ごとの合格率で並べました(全体=新卒と既卒の合計)。

北海道・東北の医学部10校の第120回医師国家試験の合格率。1位北海道大学98.3%、2位福島県立医科大学97.6%、3位秋田大学96.8%
出典:厚生労働省『第120回医師国家試験の合格発表について』(2026年3月16日)学校別合格者状況。合格率は新卒と既卒の合計
大学(10校の順位) 第120回(全体) 第120回(新卒) 差(ポイント)
1. 北海道大学 98.3% 100.0% 1.7
2. 福島県立医科大学 97.6% 97.6% 0.0
3. 秋田大学 96.8% 98.3% 1.5
4. 札幌医科大学 96.4% 97.1% 0.7
5. 弘前大学 94.4% 99.1% 4.7
6. 旭川医科大学 93.4% 97.6% 4.2
7. 東北大学 92.5% 94.7% 2.2
8. 東北医科薬科大学 91.3% 92.7% 1.4
9. 山形大学 91.1% 94.0% 2.9
10. 岩手医科大学 87.2% 92.6% 5.4

1位は北海道大学の98.3%です。117人が受けて115人が合格し、全国81校では4位でした。新卒だけで見ると100.0%です。2位は福島県立医科大学の97.6%(全国5位)、3位は秋田大学の96.8%(全国8位)でした。

この地域は、国家試験に強い大学が多いのが特徴です。全国20位以内に4校(北海道大全国4位・福島県立医大全国5位・秋田大全国8位・札幌医科大全国11位)が入り、全国の合格率91.6%を、10校のうち7校が上回りました。

そして、ここで入口との入れ替わりが起きています。偏差値1位の東北大学は、国家試験では92.5%で7位(全国47位)。偏差値と国家試験で6位ぶん下がりました。反対に、偏差値7位の福島県立医科大学が国家試験では2位、偏差値がいちばん下(10位)の弘前大学は国家試験で5位に入っています。偏差値の表だけを見ていたら、気づけない動き方です。

「全体」と「新卒」を分けて読む|岩手医科大学の5.4ポイント差

この表でいちばん大事なのは、右の2列です。いちばん左の「全体」には、その年にはじめて受けた人(新卒)と、前の年までに卒業して再挑戦している人(既卒)が、どちらも入っています。既卒の方は一度うまくいかなかった経験がある以上、合格率はどうしても新卒より低くなります。つまり「全体」の数字は、既卒の人が多い大学ほど下がります。

その差がいちばん大きいのが岩手医科大学です。全体では87.2%で10校中10位ですが、新卒だけで見ると92.6%。差は5.4ポイントで、10校の中で最も大きい開きでした。受験者149人も10校でいちばん多く、入学定員(130人)を上回っています。既卒の人をそれだけ多く受け入れている形です。反対に、福島県立医大は全体も新卒も97.6%で、差は0.0ポイントでした。

「全体の合格率が低い=国家試験に弱い大学」とは読めない、ということです。ストレートで卒業して受けるつもりの受験生にとっては、新卒の数字のほうが自分に近いことになります。合格率は1年でも大きく動きますので、志望校を比べるときは2年以上を並べて見るのが確実です。全国81校の一覧は医学部の留年率・進級率・卒業率・国試合格率ランキングにあります。

 

6年で医師になる割合で並べると|1位は秋田大学の90.2%(全国11位)

国家試験の合格率には、見えないものがもうひとつあります。国家試験を受ける前に、留年や休学で卒業が遅れた人は、そもそも数に入っていないのです。そこで、入学した人のうち何割が6年で卒業し、そのまま医師になったかを見ます。2019年度(令和元年度)に入学した人を、文部科学省が6年間追いかけた数字です。

北海道・東北の医学部10校の6年で医師になる割合。1位秋田大学90.2%、2位旭川医科大学89.9%、国家試験1位の北海道大学は7位79.6%
出典:文部科学省『医学部医学科の入学状況及び医師国家試験の合格状況等』(2025年12月・令和元年度入学者)をもとに太宰府アカデミー算出(6年で卒業した割合×国家試験の新卒合格率)
大学(10校の順位) 6年で医師になる割合 全国81校の順位 6年で卒業した割合
1. 秋田大学 90.2% 11位 92.3%
2. 旭川医科大学 89.9% 12位 92.3%
3. 東北大学 87.4% 26位 89.8%
4. 弘前大学 85.9% 30位 88.6%
5. 福島県立医科大学 85.6% 31位 86.9%
6. 札幌医科大学 85.3% 34位 89.1%
7. 北海道大学 79.6% 50位 81.2%
8. 東北医科薬科大学 77.5% 60位 84.0%
9. 山形大学 72.2% 73位 75.8%
10. 岩手医科大学 71.1% 75位 74.2%

1位は秋田大学の90.2%で、全国81校では11位です。入学した130人のうち120人が6年で卒業し、卒業した割合92.3%は旭川医科大学と並んで10校で1位でした。2位は旭川医科大学の89.9%(全国12位)、3位は東北大学の87.4%(全国26位)です。秋田大学は偏差値では8位なので、入口と出口で7位ぶん上がったことになります。

そして、この記事でいちばんお伝えしたいのがここです。ひとつ前の表で国家試験の合格率が1位だった北海道大学は、この物差しでは7位(79.6%・全国50位)です。入学した117人のうち、6年で卒業したのは95人。卒業した割合は81.2%でした。

これは矛盾ではなく、2つの数字が、別々のことを数えているからです。国家試験の合格率は「卒業できた人」だけを分母にしています。この物差しは「6年で卒業した割合 × その学年の国家試験(2025年の第119回・新卒)の合格率」で計算していて、北海道大学は81.2% × 98.0% = 79.6% という内訳です。割合を下げているのは国家試験ではなく、その手前の「6年で卒業する」ところだと分かります。

実際、直近の第120回(2026年)の新卒の合格率は100.0%ですから、卒業までたどり着いた人は、ほぼ全員が国家試験に合格しています。ただし、6年で卒業しなかった人の中には、留年だけでなく、留学や研究、病気などで休学した人も含まれます。数字の低さは「大学が厳しい」とも、「6年の外で学ぶ道を選んだ人がいる」とも読めます。

だから、この2つの表はかならず並べて見てください。国家試験の合格率だけを見ると「受かりやすい大学」に見え、6年で医師になる割合だけを見ると「厳しい大学」に見えることがあります。受験生にとって知りたいのは「入学してから医師になるまで、何年かかりそうか」のはずです。

全国の卒業率の平均は85.4%で、これを上回ったのは6校(旭川医科大92.3%・秋田大92.3%・東北大89.8%・札幌医科大89.1%・弘前大88.6%・福島県立医大86.9%)でした。下のほうでは、山形大学が72.2%(卒業率75.8%)、岩手医科大学が71.1%(卒業率74.2%)です。入口の偏差値と並べて、入学後の6年間をイメージする材料として使ってください。

 

学費で並べると|国公立8校は標準額・私立2校は3,400万円と3,700万円

最後はお金です。国公立の8校は、授業料がすべて国の標準額535,800円のままで、6年間では349.7万円です。私立は岩手医科大学3,400万円、東北医科薬科大学3,700万円でした。

北海道・東北の医学部10校の6年間の学費。国公立7校は349.7万円、福島県立医科大学は県外の入学料で406.1万円、私立は岩手医科大学3,400万円・東北医科薬科大学3,700万円
出典:各大学の公式サイト・学生募集要項(2026年10月2日確認)。学納金ベース(入学料+授業料等)で寮費・諸会費は含まない。国公立は入学料+授業料535,800円×6年。福島県立医科大学は県外の入学料846,000円で計算
大学(安い順) 区分 6年間の学費 メモ
北海道大学 国立 349.7万円 授業料は標準額535,800円
山形大学 国立 349.7万円 授業料は標準額535,800円
弘前大学 国立 349.7万円 授業料は標準額535,800円
旭川医科大学 国立 349.7万円 授業料は標準額535,800円
札幌医科大学 公立 349.7万円 入学料に道内・道外の区分なし
東北大学 国立 349.7万円 授業料は標準額535,800円
秋田大学 国立 349.7万円 授業料は標準額535,800円
福島県立医科大学 公立 406.1万円 県外は入学料846,000円(県内なら349.7万円)
岩手医科大学 私立 3,400万円 私立31校で高いほうから17位
東北医科薬科大学 私立 3,700万円 私立31校で高いほうから8位

医学部を置く国公立50校のうち、授業料を国の標準額より高くしている大学は全国に8校あります(千葉・東京・東京科学・岡山・山口・熊本の国立6校と、奈良県立医科・横浜市立の公立2校)。北海道・東北には、その大学が1校もありません。授業料だけで見れば、この地域の国公立は横一線です。

公立2校は入学料がちがう|福島県立医科大学は県外なら3倍

差が出るのは公立2校の入学料です。公立大学は、地元の人とそれ以外の人で入学料を分けていることが多く、福島県立医科大学の県外の入学料846,000円は、全国の公立8校でいちばん高い金額です。県内の282,000円の3倍で、同じ大学の看護学部・保健科学部(県外564,000円)より高く設定されています。このため、県外から入ると6年間で406.1万円、県内なら349.7万円になります。

公立8校(地元以外の入学料が高い順) 入学料(地元) 入学料(地元以外) 6年間(地元以外)
福島県立医科大学 282,000円 846,000円 406.1万円
奈良県立医科大学 282,000円 802,000円 466万円
和歌山県立医科大学 282,000円 752,000円 396.7万円
京都府立医科大学 282,000円 493,000円 370.8万円
大阪公立大学 282,000円 382,000円 359.7万円
名古屋市立大学 232,000円 332,000円 354.7万円
札幌医科大学 282,000円 282,000円 349.7万円
横浜市立大学 141,000円 282,000円 372万円

反対に、札幌医科大学は公立8校の中で唯一、入学料に道内・道外の区分がありません。道外から受けても282,000円で、6年間は349.7万円です。「公立は地元以外だと高い」と思い込んでいると、ここは見落とすところです。なお、地元かどうかの条件(本人か保護者がいつから住んでいるか)は大学ごとに決まっているので、出願の前に募集要項で確かめてください。

私立2校の学費|東北医科薬科大学は2026年度から3,700万円

私立は2校です。東北医科薬科大学は6年間3,700万円で、全国の私立31校の中で高いほうから8位。2026年度の入学生から300万円上がり、2027年度も同じ金額です。岩手医科大学は3,400万円で、高いほうから17位でした(岩手医科大学は2027年度の学生募集要項がまだ出ていないので、2026年度の金額です)。標準額のままの国公立(349.7万円)と比べると、3,050.3万円〜3,350.3万円の差になります。

また、岩手医科大学は2027年度の入学者から、成績上位3名の学納金を全額、次の2名を半額にする減免制度を始めると公表しています(入学金と諸会費は対象外)。

修学資金の付いた枠なら、学納金との差は350万円・700万円

この地域の私立には、学費の見え方が大きく変わる枠があります。県や大学が6年間の学費のほとんどを貸与し、決められた地域・病院で決められた年数働くと返還が免除される、という仕組みです。

大学と枠 修学資金(6年・貸与) 学納金との差 返還が免除される条件
東北医科薬科大学
一般選抜 修学資金枠宮城A
3,000万円(10名・2027年度) 700万円 臨床研修2年の後、宮城県知事が指定する医療機関で10年(研修と合わせて12年)
岩手医科大学
地域枠A(学校推薦型・岩手県出身者枠)
3,050万円(15名・2027年度) 350万円 17年以内に岩手県内の公的病院等で11年(臨床研修2年を含む)

岩手医科大学の地域枠A(学校推薦型・岩手県出身者枠・15名)は、岩手県が6年間で3,050万円を貸与します。岩手県自身が「学納金3,400万円−貸与3,050万円=実質負担350万円(別途 諸会費40万円程度)」と示しています。東北医科薬科大学の修学資金枠宮城A(一般選抜・10名)は、年500万円×6年=3,000万円で、学納金3,700万円との差は700万円です。

ここは大事なので、はっきり書いておきます。これは「返済不要の奨学金」ではありません。働けば返さなくてよくなるお金で、途中でやめると、原則として残りを一括で返し、利息も付きます。東北医科薬科大学の宮城Aは、やめると2か月以内に全額と年10%の利息を返す決まりです。そして約束の年数は、岩手医科大学の地域枠Aが17年以内に岩手県内で11年(臨床研修2年を含む)、宮城Aが臨床研修の後に宮城県知事が指定する医療機関で10年=研修と合わせて12年です。「学費が安くなる枠」ではなく「働く場所と年数を先に約束する枠」として見てください。

東北医科薬科大学には、このほかに一般選抜の東北5県定着枠(25名)と総合型選抜の東北地域定着枠(20名)がありますが、この2つは大学からの貸与がありません。入学後に東北5県の修学資金へ応募する形です。同じ「地域の枠」でも、お金が付くかどうかは枠ごとに違います。地域枠の義務年限や貸与額の全国比較は医学部の地域枠とは?離脱は4.1%・貸与額6.6倍差・義務9〜12年にまとめてあります。

同じ仙台市で10.6倍|国立と私立が1つの街に並んでいる

もうひとつ、宮城県の話です。同じ仙台市に、6年間349.7万円の東北大学と、3,700万円の東北医科薬科大学があります。差は3,350.3万円。10.6倍です。どちらも同じ街の大学ですが、6年間に用意するお金はこれだけ違います(修学資金の枠を使わない場合)。全国の学費を比べたい方は医学部の学費|国公立350万・私立1,850〜4,550万円にまとめてあります。

 

物差しを替えると1位は3校に分かれる|10校の順位一覧

ここまでの物差しを、1枚にまとめます。数字はすべて、北海道・東北の10校の中での順位です。

北海道・東北の医学部10校の、偏差値・共通テスト・学費・医師国家試験・6年で医師になる割合の5つの物差しでの順位一覧。3つすべてで6位以内は札幌医科大学と旭川医科大学の2校
出典:河合塾 入試結果調査(2026年度入試)にもとづく全統記述模試の合格者平均偏差値(英語・数学・理科の単純平均)を太宰府アカデミーが集計/厚生労働省『第120回医師国家試験の合格発表について』(2026年3月16日)学校別合格者状況/文部科学省『医学部医学科の入学状況及び医師国家試験の合格状況等』(2025年12月・令和元年度入学者)/各大学の公式サイト・学生募集要項(2026年10月2日確認)。学納金ベース(入学料+授業料等)で寮費・諸会費は含まない。順位は北海道・東北10校の中での順位

入口の順位(偏差値・共通テスト・倍率)

大学 偏差値 共テ 倍率の低い順
東北大学 1位 1位 6位
北海道大学 2位 2位 5位
札幌医科大学 3位 5位 2位
旭川医科大学 4位 7位 4位
山形大学 5位 3位 7位
東北医科薬科大学 6位 ― 9位
福島県立医科大学 7位 5位 1位
秋田大学 8位 4位 3位
岩手医科大学 9位 ― 10位
弘前大学 10位 7位 8位

入口のうち、偏差値と共通テストはおおむね同じ並びです。倍率だけは順番がばらばらで(福島県立医大が2.46倍で最も低く、岩手医科大が9.06倍で最も高い)、くり返しますが、倍率は難しさの順番ではありません。

出口とお金の順位(学費・国家試験・6年で医師)

大学 学費の安い順 国家試験 6年で医師
東北大学 1位 7位 3位
北海道大学 1位 1位 7位
札幌医科大学 1位 4位 6位
旭川医科大学 1位 6位 2位
山形大学 1位 9位 9位
東北医科薬科大学 10位 8位 8位
福島県立医科大学 8位 2位 5位
秋田大学 1位 3位 1位
岩手医科大学 9位 10位 10位
弘前大学 1位 5位 4位

学費の欄は国公立7校が並んで1位で、福島県立医科大学は県外の入学料で数えたため8位です。そして出口の2列を見比べると、北海道大学が国家試験1位・6年で医師7位、東北大学が偏差値1位・国家試験7位という開きが目に入ると思います。

一方で、偏差値・国家試験・6年で医師になる割合の3つすべてで6位以内に入ったのは、札幌医科大学と旭川医科大学の2校でした(札幌医科は3位・4位・6位、旭川医科は4位・6位・2位)。派手な1位はなくても、どの物差しでも崩れない大学です。

動きの大きい大学もまとめておきます。秋田大学は偏差値8位から6年で医師1位へ、7位ぶんの上げ幅で10校の最大です。弘前大学は偏差値10位から、国家試験5位・6年で医師4位に上がっています。反対に、北海道大学は偏差値2位から6年で医師7位へ5位ぶん、東北大学は偏差値1位から国家試験7位へ6位ぶん下がりました。

つまり、「北海道・東北の医学部ランキング」は、どの物差しで並べるかで1位が入れ替わります。偏差値の表だけを見て志望校を決めると、入学後の6年間と、その先の国家試験という大事な情報を見落とすことになります。

6つの地域で全国81校がそろった|地域ごとの1位を並べる

この記事で、9月22日の九州から続けてきた地域別のランキングが6本そろい、全国81校を1校も漏らさずに並べたことになります。地域ごとの校数と、3つの物差しの1位を1枚にしました。

地域 校数 定員 1位(偏差値/国家試験/6年で医師)
九州・沖縄 11校(国8・公0・私3) 1,209人 九州大学/宮崎大学/鹿児島大学
関西 12校(国4・公4・私4) 1,316人 京都大学/兵庫医科大学/大阪公立大学
関東 24校(国5・公1・私18) 2,909人 東京大学/自治医科大学/自治医科大学
中部・東海 14校(国10・公1・私3) 1,641人 名古屋大学/福井大学/金沢大学
中国・四国 10校(国9・公0・私1) 1,147人 岡山大学/川崎医科大学/山口大学
北海道・東北 10校(国6・公2・私2) 1,171人 東北大学/北海道大学/秋田大学

並べてみると、3つの物差しの1位が1つの大学にそろった地域は1つもありません。いちばん近いのが関東で、国家試験と6年で医師の1位がどちらも自治医科大学でした。偏差値の1位が、国家試験でも1位になった地域は0です。これは地域ごとのたまたまではなく、「入口の難しさ」と「出口の強さ」が別のものだということを示していると思います。

もうひとつ、北海道・東北は国立・公立・私立の3つがそろっている地域です。中国・四国と九州・沖縄には公立が1校もなく、関東は24校のうち18校が私立です。同じ地域の中で、国立・公立・私立を同じ物差しで比べられるのは、この地域と関西・関東・中部・東海です。

 

太宰府アカデミーの視点|北海道・東北の受験生がこの表をどう使うか

ここまでの数字を、北海道・東北で医学部を目指す受験生と保護者の方がどう使えばいいかを書きます。

1. 「上の2校」以外は、偏差値で選び分けない。東北大学と北海道大学をのぞく8校は、合格者平均が3.5ポイントの中に入っています。ここで1や2の差を追いかけるより、共通テストのボーダー(78%〜85%)と2次試験の科目・配点、そして出口の数字で選んだほうが、入ってからの6年間に合った大学が見つかります。

2. 国家試験の合格率と、6年で医師になる割合は、かならず2つ並べる。国家試験1位の北海道大学が、6年で医師になる割合では7位です。反対に、偏差値8位の秋田大学が、6年で医師になる割合では1位でした。国家試験の合格率は「卒業できた人」だけの数字なので、卒業までにどれくらいの人が足踏みしているかは、合格率には出てきません。

3. 「全体」と「新卒」を取り違えない。ネットの記事やSNSで見かける合格率は、たいてい「全体」の数字です。この地域では、全体と新卒で最大5.4ポイント違いました(岩手医科大学)。ストレートで卒業して受けるつもりなら、自分に近いのは新卒の数字のほうです。

4. 私立をあきらめる前に、修学資金の付いた枠を一度調べる。ただし年数を先に読む。岩手医科大学の地域枠Aは、2027年度入試の出願が11月2日から11月11日まで、試験は11月21日です(学校推薦型・評定4.3以上・1つの高校から2名以内)。学納金との差は350万円になりますが、岩手県内で11年働く約束が付きます。医師になってからの十数年をどこで過ごしたいかを家族で話してから、出願を決めてください。日程と条件は、かならず最新の学生募集要項で確認してください。

5. 公立は「地元以外」の入学料を確かめる。同じ公立でも、福島県立医科大学は県外なら入学料が846,000円(6年406.1万円)、札幌医科大学は道外でも282,000円です。県外から公立を受けるなら、この差を家計の表に入れておいてください。

ランキングは、志望校を絞るための道具です。どの物差しを重く見るかは、受験生一人ひとりの事情で変わります。学力の目安なのか、入学後の進み方なのか、家計なのか。自分にとって大事な物差しを先に決めてから表を見ると、迷いにくくなります。

 

北海道・東北の医学部についてよくある質問

Q. 北海道・東北でいちばん偏差値が高い医学部はどこですか。
A. 東北大学です。合格者平均偏差値は68.8で、全国81校の中では12位。次が北海道大学(66.3・全国25位)、3番目が札幌医科大学(64.7・全国45位)です。合格者平均偏差値が全国10位以内に入る大学は、この地域にはありません。

Q. 北海道・東北の医学部は何校ですか。
A. 北海道と東北6県で10校です。国立6校(北海道大・旭川医科大・弘前大・東北大・秋田大・山形大)・公立2校(札幌医科大学・福島県立医科大学)・私立2校(岩手医科大学・東北医科薬科大学)で、全国81校の12.3%にあたります。全国の一覧は医学部のある大学は全国81校|都道府県順の一覧にあります。

Q. 北海道・東北の国公立医学部の学費はいくらですか。
A. 8校とも授業料は国の標準額535,800円で、6年間349.7万円(入学料282,000円+授業料×6年)です。例外は福島県立医科大学の県外の入学料846,000円で、県外から入ると6年間406.1万円になります。授業料を標準額より上げている国公立は全国に8校ありますが、この地域には0校です。

Q. 岩手医科大学と東北医科薬科大学の学費はいくらですか。
A. 6年間で岩手医科大学が3,400万円(2026年度)、東北医科薬科大学が3,700万円(2027年度)です。修学資金の付いた枠(岩手医科の地域枠A・東北医科薬科の宮城A)で入ると、学納金との差は350万円・700万円になりますが、どちらも貸与で、決められた地域で11〜12年働くと返還が免除される仕組みです。途中でやめると一括返還と利息が必要になります。

Q. 医師国家試験に強い北海道・東北の医学部はどこですか。
A. 第120回(2026年)では北海道大学が98.3%で全国4位、福島県立医科大学が97.6%で全国5位、秋田大学が96.8%で全国8位でした。全国の合格率91.6%を、10校のうち7校が上回っています。ただし、合格率は「卒業できた人」だけの数字です。入学から6年で医師になる割合の1位は秋田大学の90.2%(全国11位)です。

Q. 北海道・東北で入りやすい医学部はどこですか。
A. 合格者平均偏差値がいちばん低いのは弘前大学(61.2・全国76位)です。ただ、東北大学と北海道大学をのぞく8校は61.2〜64.7の3.5ポイントの幅にかたまっているので、偏差値だけでは差がつきません。共通テストのボーダーや2次試験の科目で選ぶほうが現実的です。全国での位置は入りやすい医学部ランキングで確かめられます。

 

まとめ|北海道・東北の医学部ランキングで押さえる5点

この記事の要点です。

− 北海道と東北6県の医学部は10校(国立6・公立2・私立2)で、定員は合計1,171人。北海道に3校、宮城県に2校、残り5県は1県に1校です。

− 偏差値(合格者平均)の1位は東北大学の68.8(全国12位)。2位は北海道大学66.3。残りの8校は3.5ポイントの幅に入り、全国10位以内は0校です。

− 医師国家試験(第120回)の1位は北海道大学の98.3%(全国4位)。全国20位以内に4校が入る、国家試験に強い地域です。偏差値1位の東北大学は国家試験7位でした。

− 6年で医師になる割合の1位は秋田大学の90.2%(全国11位)。国家試験1位の北海道大学は、この物差しでは7位(79.6%)で、下げているのは卒業率(81.2%)のほうです。3つの物差しすべてで6位以内は札幌医科大学・旭川医科大学の2校でした。

− 学費は国公立8校がすべて標準額(6年349.7万円)。福島県立医科大学だけ、県外なら406.1万円。私立は岩手医科大学3,400万円・東北医科薬科大学3,700万円で、修学資金の付いた枠なら学納金との差は350万円・700万円(どちらも貸与・11〜12年の勤務が条件)です。

明日からできることは1つです。気になる北海道・東北の大学を2〜3校選んで、この記事の順位表でそれぞれ何位かを書き出してみてください。偏差値では3.5ポイントの中にかたまっている大学どうしでも、国家試験や6年で医師になる割合、そして学費で見ると、印象が大きく変わることがあります。

この記事を書いたのは、うちのサイトに、北海道・東北の医学部を入口とお金と出口で比べられるページが1本も無かったからです。書いている途中でいちばん驚いたのは、偏差値の1位と国家試験の1位が、6つの地域のどこでも一致しなかったことでした。これで九州・関西・関東・中部東海・中国四国・北海道東北の6地域がそろい、全国81校すべてを地域別に並べたことになります。数字は、資料が更新されるたびに入れ替えていきます。

 

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本日の記事は以上です。
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◆筆者プロフィール

後藤 登(Goto Noboru)
仕事:総務・広報・完全個別指導コース担当
自己PR:高校・大学ボクシング部。釣りや登山が好き。新卒で当校に勤めて13年目。医学部受験の情報を調べて、ブログやInstagram、Twitterを更新しています。4年前から完全個別指導コースのコース担当。

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