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私立医学部はやめとけ?学費は国立の5〜13倍・6年で卒業81%

2026年10月23日 更新

こんにちは、太宰府アカデミーで広報/完全個別指導コースを担当している後藤です。

医学部を目指していると、どこかで一度は「私立医学部はやめとけ」という言葉を目にします。学費が高い、留年が多い、国試に落ちる、寄付金が要る――。どれも、もっともらしく聞こえます。

先に答えを書きます。よく言われる6つの理由を私立医学部31校の公表値で確かめると、数字が裏づけたのは「学費が高い」と「6年で卒業できない人が多い」の2つでした。私立31校の学費は6年で1,830万円〜4,550万円(国立の標準額の5.2〜13.0倍)、2019年度の入学者が6年で卒業した割合は81.1%です。反対に、「国試に落ちる」「寄付金を払わないと入れない」は、数字や国のルールが否定しました。

この記事を開いた方は、たぶんこんなことを思っています。

− 私立医学部はやめとけって、本当なの?

− 学費のほかに、どんなお金や落とし穴があるの?

− それでも私立医学部を選ぶなら、何を確かめればいい?

各大学の学費と募集要項、文部科学省と厚生労働省の公表資料を1校ずつ当たり、31校を同じ物差しで並べました(2026年10月23日時点)。医学部そのものの「やめとけ」(働き方や年収)は「医学部はやめとけ」は本当かで扱っているので、この記事は私立を選ぶかどうかに関わる数字に絞っています。

 

 

結論|私立医学部の「やめとけ」6つのうち、数字が裏づけたのは2つ

結論です。6つの理由のうち「○」は2つ、「×」が2つ、「△(半分本当)」が2つでした。私立医学部をやめるべきかどうかは、私立か国公立かではなく、どの大学に、どういうお金の計画で行くかで大きく変わります。

よく言われる理由 判定 数字で見ると
①学費が高すぎる ○ 本当 6年の学納金は1,830万円〜4,550万円。国立の標準額の5.2〜13.0倍
②寄付金を払わないと入れない × 違う 寄付金を入学の条件にしないよう、国が募集要項への明記を求めている
③留年が多く、6年で卒業できない ○ おおむね本当 6年で卒業したのは私立81.1%・国公立88.1%。ただし私立の中で32.0ポイントの差
④私立は国試に落ちる × 違う 第120回の新卒合格率は私立94.6%・国立95.9%で、差は1.3ポイント
⑤入学しなくてもお金が消える △ 半分本当 入学金は原則戻らない。授業料などは3月31日までに辞退すれば原則戻る
⑥奨学金があれば何とかなる △ 半分本当 大学独自の116制度のうち89制度は入学後に決まる

このあと、1つずつ根拠の数字を見ていきます。まずは31校の数字をまとめて並べます。

 

私立医学部31校の学費・6年で卒業した割合・国試の新卒合格率

「やめとけ」の根拠によく使われる3つの数字を、学費の安い順に31校並べました。学費は学納金(入学金・授業料・施設設備費など)の6年総額、卒業は2019年度の入学者が6年で卒業した割合、国試は2026年2月の第120回医師国家試験の新卒合格率です。

私立医学部31校のうち学費の安い1〜16校の、6年の学費・6年で卒業した割合・国試の新卒合格率
出典:各大学の学費・募集要項、文部科学省、厚生労働省より太宰府アカデミー作成
私立医学部31校のうち学費の安い17〜31校の、6年の学費・6年で卒業した割合・国試の新卒合格率
出典:各大学の学費・募集要項、文部科学省、厚生労働省より太宰府アカデミー作成
大学 学費(6年) 6年で卒業 国試 新卒
国際医療福祉 1,830万円 82.9% 98.4%
順天堂 2,080万円 93.6% 99.2%
関西医科 2,100万円 86.1% 97.2%
藤田医科 2,152万円 75.0% 96.4%
日本医科 2,200万円 86.5% 98.3%
東京慈恵会医科 2,250万円 90.8% 97.1%
自治医科 2,260万円 97.6% 100.0%
慶應義塾※ 2,266万円 89.5% 97.3%
東邦 2,580万円 88.7% 93.6%
昭和医科 2,700万円 84.1% 94.3%
大阪医科薬科 2,841万円 74.1% 96.3%
東京医科 2,940万円 71.0% 95.1%
産業医科 3,049万円 82.9% 93.7%
日本 3,310万円 78.9% 84.0%
岩手医科 3,400万円 74.2% 92.6%
愛知医科 3,420万円 72.4% 93.6%
聖マリアンナ医科 3,482万円 84.3% 91.3%
東海 3,525万2,000円 66.1% 97.3%
久留米 3,620万円 79.3% 94.2%
獨協医科 3,660万円 84.2% 93.8%
兵庫医科 3,700万円 75.0% 97.0%
埼玉医科 3,700万円 83.8% 95.1%
杏林 3,700万円 83.8% 99.0%
東北医科薬科 3,700万円 84.0% 92.7%
近畿 3,754万円 79.6% 89.5%
福岡 3,760万円 68.2% 84.2%
北里 3,890万円 80.8% 96.5%
帝京 3,909万円 81.6% 94.8%
東京女子医科 3,914万円 88.1% 94.6%
金沢医科 3,950万円 81.0% 86.3%
川崎医科 4,550万円 65.6% 97.8%

3つの数字は、それぞれ別の方向を向いています。学費が安い大学に卒業の割合が高い大学も低い大学もあり、学費が高い大学も同じです。1つの数字だけで「この大学はやめとけ」と決めることはできません。志望校ごとに3つを並べて見てください。

※慶應義塾の学費は、大学公式の表で年次の内訳まで確かめられていない額です。各大学の学費の内訳は私立医学部の学費 大学別一覧31校にまとめています。

出典:各大学の学費・学生募集要項(学納金の6年総額。入学金・授業料・施設設備費・実験実習費など。寮費・食費・諸会費は含まない)、文部科学省の国立大学の標準額(入学料282,000円+授業料535,800円×6年)より太宰府アカデミー作成(2026年10月23日確認)。2027年度の額が出ていない大学は2026年度(または年度の記載が無い表)の額。卒業の割合は文部科学省(2025年12月公表)、国試は厚生労働省(第120回)。

 

①「学費が高すぎる」は本当|6年で1,830万円〜4,550万円

私立医学部の学費(6年間の学納金)は、1,830万円(国際医療福祉)から4,550万円(川崎医科)です。国立大学の標準額(入学料+授業料×6年=349万7,000円)と比べると、5.2〜13.0倍になります。

医学部の6年間の学納金。国立の標準額349.7万円、私立の最安1,830万円、真ん中3,420万円、最高4,550万円
出典:各大学の学費・募集要項、文部科学省の国立大学の標準額より太宰府アカデミー作成
6年の学納金 国立の標準額との比
国立の標準額 349万7,000円 ―
私立でいちばん安い(国際医療福祉) 1,830万円 5.2倍
私立31校の真ん中(16番目) 3,420万円 9.8倍
私立でいちばん高い(川崎医科) 4,550万円 13.0倍

31校の真ん中(16番目)は3,420万円。6年で3,000万円を超える大学が31校中19校、2,500万円を下回る大学が8校あります。「学費が高すぎる」は、数字のうえではそのとおりです。

出典:各大学の学費・学生募集要項(学納金の6年総額。入学金・授業料・施設設備費・実験実習費など。寮費・食費・諸会費は含まない)、文部科学省の国立大学の標準額(入学料282,000円+授業料535,800円×6年)より太宰府アカデミー作成(2026年10月23日確認)。2027年度の額が出ていない大学は2026年度(または年度の記載が無い表)の額。

学費を下げた大学もある

一方で、この数年で学費を大きく下げた大学もあります。藤田医科は2026年度の入学生から6年で2,980万円→2,152万円(約28%減)、関西医科は2023年度に2,770万円→2,100万円に下げました。国際医療福祉は2027年度に1,850万円→1,830万円です。「私立は3,000万円以上」というひとくくりは、もう当てはまりません。

自治医科は学費が6年で2,260万円ですが、入学者全員に学生納付金に当たる額を貸し出し、卒業後に、出願した都道府県の知事が指定する公立病院などで決められた期間働くと、返さなくてよくなる仕組みです(同大学の入試ページ)。お金の代わりに、卒業後の働く場所と期間に約束があります。

学納金の外にも、6年で2.7万〜257万円

学費の表には、保護者会費・同窓会費・保険料などが入っていないことが多いです。2027年度の要項で6年分を拾い切れた12校では、この「学納金の外側」が6年で27,000円(近畿)〜2,570,000円(埼玉医科)でした(寮費・食費・教科書代は別)。志望校の要項の「学納金」以外のページも、必ず開いてください。

②「寄付金を払わないと入れない」は違う

寄付金については、国のルールがはっきりしています。文部科学省の「令和9年度大学入学者選抜実施要項」(2026年5月)は、寄付金などの納入を条件に入学を許可することのないよう、寄付金を募る場合は「応募が任意であること」「入学前の募集は行っていないこと」などを募集要項に書くよう求めています。

実際に、近畿の要項は「上記費用以外に、入学前において寄付金や学校債のご協力をお願いすることはありません」、産業医科の要項は「入学に関連した寄付金および学債の募集は一切行っていない」と書いています。入学後に任意の寄付の案内が来ることはあっても、払うかどうかが合否に関わることは、ルールのうえではありません。

 

③「留年が多く、6年で卒業できない」はおおむね本当|私立81.1%

2019年度に私立医学部31校へ入学した3,684人のうち、6年で卒業したのは2,989人(81.1%)でした。国公立50校は88.1%です。私立では約5人に1人(695人)が、6年では卒業していません。

2019年度入学者が6年で卒業した割合。公立89.4%、国立87.9%、私立81.1%、私立の中は65.6%から97.6%
出典:文部科学省「各大学の医学部医学科の入学状況及び国家試験結果等」(2025年12月公表)
入学者 6年で卒業 割合
国立42校 4,931 4,335 87.9%
公立8校 841 752 89.4%
私立31校 3,684 2,989 81.1%

ただし、国公立との差(7.0ポイント)より、私立の中の差(65.6%〜97.6%=32.0ポイント)のほうがずっと大きいです。31校のうち、80%を下回る大学が12校、90%以上の大学が3校ありました。大学ごとの値は上の一覧で確かめられます。

この割合には、留年だけでなく、休学や退学、編入学で入った人の扱いも混ざっています。1つの学年の数字なので、年による振れもあります。数字の低さだけで大学の良し悪しを決めず、志望校の進級の決まりや、留年した人がその後どうなっているかもあわせて確かめてください。大学別の進級・卒業・国試の数字は医学部の留年率・国試合格率ランキングにまとめています。

出典:文部科学省「各大学の医学部医学科の入学状況及び国家試験結果等」(2025年12月公表)。2019年度(令和元年度)の入学者(編入学を含む)のうち、最低修業年限(6年)で卒業した人の割合。

 

④「私立は国試に落ちる」は違う|新卒の合格率は国立と1.3ポイント差

2026年2月の第120回医師国家試験で、私立の新卒の合格率は94.6%。国立の95.9%、公立の95.4%との差は1ポイント前後です。「私立だから国試に落ちる」は、全体の数字では成り立ちません。

第120回医師国家試験の新卒合格率。国立95.9%、公立95.4%、私立94.6%
出典:厚生労働省「第120回医師国家試験の学校別合格者状況」
新卒の合格率(第120回)
国立 95.9%
公立 95.4%
私立 94.6%

私立31校の新卒合格率は84.0%〜100.0%に散らばっていて、国立の95.9%以上の大学が私立にも14校あります。厚生労働省は学校別の資料について順位づけを控えるよう求めているので、この記事では大学名つきの上位・下位は並べていません(各校の値は一覧の表のとおりです)。

見落としやすいのは、国試の合格率は6年で卒業して受験までたどり着いた人の数字だということです。③の「6年で卒業した割合」と並べて見ると、入学してから医師になるまでの道のりが見えてきます。

出典:厚生労働省「第120回医師国家試験の学校別合格者状況」(2026年3月)。新卒=その年の3月に卒業した受験者。

 

⑤⑥「入学しなくてもお金が消える」「奨学金で何とかなる」は半分だけ本当

⑤入学金は原則戻らない。授業料などは3月31日までの辞退で原則戻る

私立医学部の一般選抜では、合格発表から3〜13日で最初の入学手続の締切が来ます(合格発表日が要項で分かる23校)。2027年度の要項で額が確かめられた28校では、最初の締切までに最低限払う額は0円(自治医科)〜10,500,000円(川崎医科)で、500万円以上の大学が11校ありました。国公立の前期日程の合格発表(2027年は3月6日から)より前に最初の締切が来るのは、28校中26校です。

このうち入学金は、辞退しても戻らないのが原則です。入学金は「入学できる地位を得る対価」なので、あとで辞退しても大学に返す義務はない、というのが最高裁の判断(2006年11月27日)です。文部科学省の調査(2025年度入学者)では、私立大学の「医」の入学料の平均は1,375,271円で、全学部の平均240,365円の5.7倍でした。

一方、授業料や施設設備費などは、3月31日までに入学辞退を申し出れば、原則として返してもらえます(専願や学校推薦型で合格して在学契約を結んだ人は除く)。これも文部科学省の実施要項が大学に求めていることです。2027年度の要項を確かめた16校のうち5校は、入学金についても半額の返還や、条件つきの延納を設けていました。

つまり「入学しなくてもお金が全部消える」わけではありませんが、入学金は消える前提で、滑り止めをいくつ押さえるかを決める必要があります。大学別の額と締切は私立医学部の入学手続|締切までに払う額で確かめられます。

⑥大学独自の奨学金は116制度。ただし89制度は入学後に決まる

私立医学部29校の大学独自の奨学金・特待生・減免を数えると、116制度ありました。数は多いのですが、そのうち89制度(76.7%)は入学したあとの成績や家計で選ばれる制度で、出願や合格の時点で決まるものは27制度でした。

入学後に決まる奨学金は、入学前の資金計画に入れられません。入学前に決まるのは、合格時の特待生や地域枠の修学資金などで、地域枠には卒業後に決められた地域で働く義務がつきます。奨学金の入口と、足りない額の考え方は私立医学部の奨学金|4つの入口、地域枠の義務は医学部の地域枠とは?で詳しく書いています。

 

太宰府アカデミーの視点|私立医学部をやめたほうがいい人・向いている人

数字を並べてみると、「私立医学部はやめとけ」は、私立という区分への評価ではなく、準備をしないまま私立に進むことへの警告として読むのが近いと考えています。同じ私立でも、学費は2.5倍、6年で卒業する割合は30ポイント以上ちがいます。

こういう人は、いったん立ち止まる こういう人には、私立医学部は選択肢になる
6年分の学費の出どころを、家族と数字で話せていない 学費の総額と払い方(一括・分割・時期)を、家族と表にして確かめた
「奨学金でなんとかなる」と考えていて、入学前に決まる制度を調べていない 地域枠や修学資金など、入学前に決まる制度と、その義務年限まで読んだ
出願先を偏差値だけで決めていて、6年で卒業した割合を見ていない 志望校の「6年で卒業した割合」と「国試の新卒合格率」を確かめた
国公立の発表前に入学金を払う日が来ることを知らない 入学手続の締切と、辞退したとき何が戻るかを要項で読んだ

僕が受験生と話していて、いちばんもったいないと感じるのは、出願の直前になって初めて学費の総額や入学手続の締切を知るケースです。そうなると、行きたい大学ではなく「払える日に締切が来る大学」で進路が決まってしまいます。

おすすめしたい順番は3つです。

  • まず家族と、6年分の総額と払い方を表にする:学納金に、学納金の外側のお金と生活費を足した額で話すと、あとで食い違いません
  • 次に、志望校ごとに「6年で卒業した割合」と「国試の新卒合格率」を書き出す:偏差値の表には載っていない数字です。どちらか1つでは判断しないでください
  • 最後に、入学手続の締切と返還の決まりを要項で読む:国公立も受ける人は、どの大学の入学金を払うかが2月の大きな判断になります

私立医学部には、少人数の実習や、地域枠・修学資金など、国公立にはない道もあります。数字を自分の条件に当てはめたうえで選ぶなら、「やめとけ」と言われる理由の多くは、前もって手を打てるものです。

 

私立医学部のやめとけについてよくある質問

Q. 私立医学部の学費は、6年でいくらかかりますか?

A. 学納金(入学金・授業料・施設設備費など)の6年総額は、31校で1,830万円〜4,550万円、真ん中は3,420万円です。これに諸会費や生活費が加わります。

Q. 私立医学部は寄付金を払わないと合格できませんか?

A. いいえ。文部科学省の実施要項は、寄付金などの納入を入学許可の条件にしないよう求め、寄付金を募る場合は任意であることや、入学前に募集しないことを募集要項に書くよう求めています。

Q. 私立医学部は国公立より国試の合格率が低いですか?

A. 第120回の新卒合格率は私立94.6%、国立95.9%、公立95.4%で、差は1ポイント前後です。違いが大きいのは、6年で卒業する割合のほうです(私立81.1%・国公立88.1%)。

 

まとめ|私立医学部の「やめとけ」を数字で確かめると

  • 学費(6年の学納金)は1,830万円〜4,550万円で、国立の標準額の5.2〜13.0倍=本当
  • 寄付金を入学の条件にすることは、国のルールが認めていない=違う
  • 6年で卒業したのは私立81.1%・国公立88.1%=おおむね本当。ただし私立の中で32.0ポイントの差
  • 国試の新卒合格率は私立94.6%・国立95.9%=「落ちる」は違う
  • 入学金は原則戻らないが、授業料などは3月31日までの辞退で原則戻る/大学独自の奨学金の76.7%は入学後に決まる=半分本当

 

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最後まで読んでいただきありがとうございます!


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◆筆者プロフィール

後藤 登(Goto Noboru)
仕事:総務・広報・完全個別指導コース担当
自己PR:高校・大学ボクシング部。釣りや登山が好き。新卒で当校に勤めて13年目。医学部受験の情報を調べて、ブログやInstagram、Twitterを更新しています。4年前から完全個別指導コースのコース担当。

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