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私立医学部の奨学金|4つの入口と足りない1,357万円|2027年度

2026年09月25日 更新

こんにちは、福岡の医学部予備校で総務/広報を担当している後藤です。

昨日は「合格してから手続の締切日までに、いくら現金が要るか」を書きました。今日はその続きで、その額をどうやって用意するかの話です。

私立医学部の6年間の学費は、31校で1,830万円〜4,550万円。中央値は3,420万円です(2026〜2027年度・各大学が公表している学納金より集計)。この数字を前にすると、たいていのご家庭が最初に口にするのが「奨学金はないんですか」です。

あります。ただし「奨学金」と呼ばれているものは、中身がまったく違う4種類の寄せ集めで、申し込む時期も、返すのかどうかも、決まる場所もばらばらです。ここを混ぜたまま調べると、次のような取り違えが起きます。

− 奨学金を借りれば、学費は全部まかなえるんでしょ?

− 地域枠って、返さなくていいお金なんでしょ?

− 大学独自の奨学金は、入学のときに申し込むんでしょ?

この3つは、全部ちがいます。ひとつずつ、数字で確かめていきます。

 

結論|私立医学部の奨学金は4つの入口があり、上限まで借りても1,357.2万円は自分で用意する

先に答えを3つ出します。

①「奨学金」は4種類あります。大学独自の奨学金、JASSO(日本学生支援機構)、都道府県・市の医師修学資金、国の教育ローンです。②返さなくていいお金から順に確認します。順番を逆にすると、返さずに済んだお金まで借りることになります。③制度の上限をすべて積み上げても、6年の学費には届きません。

③がこの記事でいちばん伝えたいところです。JASSO第一種(460.8万円)とJASSO第二種(1,152万円)と国の教育ローン(450万円)を、どれも上限いっぱいまで使ったとして2,062.8万円。私立医学部の学費の中央値3,420万円に対して、60.3%までです。残りの1,357.2万円は、貯金・ご家庭の収入・大学独自の制度で埋めることになります。

多子世帯(扶養する子供が3人以上)の無償化まで足しても、届く額は2,508.8万円で、まだ911.2万円足りません。

私立医学部の学費に対して制度でいくらまで借りられるか。JASSO第二種1,152万円、JASSO第一種460.8万円、国の教育ローン450万円で合計2,062.8万円。私立31校の6年の学費の中央値3,420万円には1,357.2万円足りない
出典:日本学生支援機構「第二種奨学金の貸与月額」、日本政策金融公庫「教育一般貸付」、文部科学省「高等教育の修学支援新制度」。学費は私立31校の6年総額の中央値(太宰府アカデミー集計)

図のとおり、いちばん大きいのはJASSO第二種の1,152万円です。これは私立大学の医学部・歯学部だけに認められている増額枠で、ふつうの学部が月12万円までのところを、月16万円まで借りられます。それでも6年の学費の3分の1ほどです。

制度 上限(月額など) 6年で 返すとき
JASSO 第一種(無利子) 月64,000円 460.8万円 利息なし
JASSO 第二種(有利子) 月160,000円 1,152万円 月63,890円×20年
国の教育ローン 450万円 450万円 月27,388円×20年
修学支援新制度(減免) 入学金26万円+授業料 年70万円 446万円 返しません

表のいちばん右の列が、借りたあとの話です。第二種は本人が、国の教育ローンは保護者が返します。修学支援新制度だけは返す必要がありません。

返すときの数字も、あわせて見てください。第二種を上限まで借りて20年で返すと、月63,890円。国の教育ローン450万円を20年で返すと月27,388円。この2つを両方使うと、卒業後20年にわたって毎月91,278円です(第二種は本人が、教育ローンは保護者が返します)。

 

私立医学部の奨学金にはどんな種類があるか

4つあります。「誰が出すか」ではなく「返すのかどうか」と「いつ決まるか」で分けて覚えてください。この2つを間違えると、申し込む時期を逃します。

入口 誰が出すか 返すのか 上限 いつ決まるか
大学独自の奨学金 大学・同窓会・保護者会 制度ごとに違う 年50万〜300万円 入学後に申し込む
JASSO(日本学生支援機構) 国 返す 6年で1,612万円 高3の春か入学後
都道府県・市の医師修学資金 都道府県・市 働けば返さなくてよい 6年で678万〜4,420万円 出願のときに決まる
国の教育ローン 日本政策金融公庫 返す(保護者が借りる) 450万円 受験前から申し込める

表のいちばん右の列を見てください。都道府県・市の医師修学資金だけは「出願のときに決まる」のが他の3つと決定的に違うところです。これはいわゆる地域枠で、その枠で出願して合格した人が対象になります。入学してから「やっぱり申し込みます」ということはできません。

そしてもう1つ、表に入れていない大事な入口があります。文部科学省の「高等教育の修学支援新制度」です。これは借りるお金ではなく入学金と授業料が減る制度で、私立の上限は入学金26万円+授業料が年70万円。6年フルに受けて446万円です。返す必要はありません。

だから、見る順番はこうなります。

私立医学部の奨学金を確認する順番。①修学支援新制度②大学独自の奨学金③都道府県・市の医師修学資金④JASSO⑤国の教育ローン
出典:文部科学省・日本学生支援機構・日本政策金融公庫の各公表資料と、各大学の公式サイト(2026年9月25日確認)より太宰府アカデミー作成

①と③は返さずに済む可能性があるお金、④と⑤は必ず返すお金です。②はその中間で、大学によって給付・貸与・免除のどれもあります。

順 制度 返すのか 上限
1 修学支援新制度(授業料等減免+給付奨学金) 返しません 6年で446万円
2 大学独自の奨学金 制度ごとに違う 年50万〜300万円
3 都道府県・市の医師修学資金 働けば返さなくてよい 6年で678万円〜4,420万円
4 JASSO(第一種・第二種) 返します 6年で1,612.8万円
5 国の教育ローン 返します(保護者が借りる) 450万円

この5つのうち、③だけは出願のときに決まります。④と⑤は入学が決まってからでも間に合いますが、⑤の国の教育ローンだけは受験前から申し込めます。

▶ だから
まず①修学支援新制度で「減る額」を確定させ、次に②大学独自の奨学金、③都道府県・市の修学資金と進み、④JASSO・⑤国の教育ローンは最後です。①〜③を飛ばして④⑤から始めると、返さずに済んだお金まで借りることになります。

なお、修学支援新制度には「修業年限で卒業できないことが確定した場合は支援の対象となりません」という条件があります(文部科学省のFAQ 問3-7)。医学部でいちばん起きやすい留年が、そのまま打切りの事由になっている点は知っておいてください。正規の手続きを経た休学は別扱いです。

 

大学独自の奨学金がある私立医学部はどこか

ここがいちばん調べにくいところです。大学のサイトの「学費」のページには金額しか書いていないことが多く、奨学金は別のページか、学生募集要項の中にしかありません。

2026年9月25日に、私立医学部31校の公式サイトを1校ずつ開いて確認したところ、8校で19制度を読み取ることができました。返さなくてよいものが8、返すものが10、学費そのものが減るものが1です。

※ この表の読み方
載せているのは大学公式で本文を確認できたものだけです。残る23校に制度が無いという意味ではありません。要項や学内の掲示にしか出ていない制度が多いので、気になる大学があれば、その大学の窓口で直接ご確認ください。

そして、表を作っていていちばん驚いたのがここです。

私立医学部の大学独自の奨学金に1年次から申し込めるか。東京慈恵会医科・東海・久留米は1年次から使える制度があり、慶應義塾・愛知医科は2年次以降のみ、東京医科は対象学年の記載なし
出典:各大学の公式サイト(2026年9月25日確認)より太宰府アカデミー集計。私立31校のうち大学公式で確認できた8校ぶんで、残る23校に制度が無いという意味ではありません

19制度のうち8制度は、2年次以降でないと申し込めません。1年次から申し込めると読めるのは8制度、対象学年が公表されていないものが3制度でした。

たとえば慶應義塾大学の医学部奨学基金・総合医学教育奨励基金・医学部贈医基金は、どれも返さなくてよい給付型で年100万円以内という手厚い制度ですが、いずれも2年次以上が対象です。愛知医科大学の奨学金貸与制度(年300万円)は5学年次以上、昭和医科大学の医学部特別奨学金は5・6年次が対象です。

一方で、東京慈恵会医科大学の慈恵大学奨学金と医学科保護者会奨学金、昭和医科大学の学校法人昭和医科大学奨学金、久留米大学奨学金は全学年が対象です。東海大学の医学部医学科特別貸与奨学金にいたっては、出願のときに希望を出し、合格発表と同時に採否が分かります(年200万円・6年で1,200万円・9名)。

▶ だから
志望校の奨学金を調べるときは、金額より先に「何年次から申し込めるか」を見てください。いちばんお金が要るのは初年度(学納金の中央値は704.5万円)で、そこに間に合わない制度は、初年度の資金計画には数えられません。
大学 制度 返すのか いくら 1年次から
慶應義塾大学 医学部奨学基金 返さない 年100万円以内・6人 × 2年次以上
慶應義塾大学 総合医学教育奨励基金 返さない 年100万円以内・13人 × 2年次以上
慶應義塾大学 医学部贈医基金(経済支援) 返さない 年100万円以内・17人 × 2年次以上
東京慈恵会医科大学 慈恵大学奨学金 返す 学費の全額または半額 ○ 全学年
東京慈恵会医科大学 医学科保護者会奨学金 返す 学業を続けるのに要る額・約10名 ○ 全学年
東京慈恵会医科大学 本多友彦慈恵医学教育奨励基金 返さない 50万円・約5名(在学中1回) ○ 全学年
東京医科大学 東京医科大学医学部奨学金 返す 金額の記載なし ? 記載なし
東京医科大学 東京医科大学後援会学資金 返す 授業料相当額の4分の1が上限 ? 記載なし
東京医科大学 丸茂記念育英資金 返さない 金額の記載なし ? 記載なし
東京女子医科大学 東京女子医科大学特別奨学生 返す 授業料・実習費相当額かその一部 ○ 家計急変が要件
昭和医科大学 学校法人昭和医科大学奨学金 返す 無利子・金額の記載なし ○ 全学年
昭和医科大学 昭和医科大学医学部特別奨学金 返さない 5・6年次の授業料相当額・15名以内 × 5年次以上
東海大学 医学部医学科特別貸与奨学金 返す 年200万円(6年で1,200万円)・9名 ○ 出願時に申請
東海大学 医学部医学科奨学金(1種・2種) 返さない 年120万円 × 2年次以上
東海大学 医学部医学科奨学金〈ひまわり〉 返さない 年120万円 × 2年次以上
東海大学 佐藤兼蔵貸与奨学金 返す 医学科は年300万円が上限 ○ 家計急変が要件
愛知医科大学 学納金一部減免制度 学費が減る 100万円・各学年2名以内 × 2年次以上
愛知医科大学 奨学金貸与制度 返す 年300万円・2026年度は4名 × 5年次以上
久留米大学 久留米大学奨学金 返す 10万〜270万円・医学部24名以内 ○ 全学年

表のいちばん右の列が対象学年です。○は1年次から申し込めると読めるもの、×は2年次以降のみ、?は大学が対象学年を公表していないものです。

もう1つ、2027年度入試の受験生に関わる変更があります。慶應義塾大学医学部の「合格時保証型」人材育成特別事業奨学金(一般選抜の成績上位者に1〜4年次で年200万円・総額800万円を給付)は、大学の公式ページに「2026年度入学者をもって終了いたしました」と明記されています。古い記事にはまだ載っていることがあるので、ここは大学の最新ページで確かめてください。

なお、この記事で扱っているのは入学後の経済状況で申し込む奨学金です。入試の成績で学納金そのものが下がる特待生制度は別の仕組みで、北里大学の医学部特待生第1種(6年の学費3,890万円全額)や国際医療福祉大学の医学部特待奨学生S(1,700万円給付)などがあります。そちらは 私立医学部の特待生|北里は3,890万円が全額免除 にまとめました。

 

都道府県・市の医師修学資金は、6年でいくら借りられるのか

金額がいちばん大きいのがこれです。ただし「返さなくていいお金」ではありません。正確には貸与で、卒業後に指定された地域・医療機関で決められた年数を働くと返還が免除される、という仕組みです。

この点は記事や口コミで「地域枠=返済不要」と書かれがちですが、返済不要(給付)の地域枠は原則として存在しません。働かなければ返します。しかも離脱したときの利息は年10%が相場で、一括返還を求められるのがふつうです。

都道府県・市の医師修学資金の6年の貸与総額と義務年限。東京都×杏林大学4,420万円、相模原市×北里大学3,890万円、沖縄県の地域枠678万円で6.5倍の開きがある
出典:東京都保健医療局・相模原市・自治医科大学・産業医科大学ほか各実施主体の公表資料(2026年8〜9月確認)より太宰府アカデミー集計

6年間の貸与総額は678万円〜4,420万円。同じ「修学資金」という名前で、6.5倍の開きがあります。

制度(実施主体 × 大学) 6年の貸与総額 そのあと働く年数
東京都 × 杏林大学 4,420万円 9年(研修2+勤務7)
相模原市 × 北里大学 3,890万円 9年(研修2+勤務7)
岩手県 地域枠A × 岩手医科大学 3,050万円 11年
東北医科薬科大学 宮城A枠 3,000万円 10年+臨床研修2年=実質12年
自治医科大学(入学者全員) 2,300万円 9年・うち半分は知事の指定するへき地等
産業医科大学(入学者全員) 1,919万円 9年・うち産業医の職務2年以上
鹿児島県 × 鹿児島大学 940万円 9年(臨床研修2年+実務研修1年を含む)
福岡県 × 久留米大学 720万円 9年(初期研修2年を含む)
沖縄県 地域枠 678万円 規則上1〜4年(プログラム上は9〜12年)

表の右端は、返還が免除されるまでに働く年数です。この年数のあいだ、勤務先の地域と医療機関は制度の側が指定します。

差が生まれる理由ははっきりしています。3,000万円台の制度は、すべて私立大学が対象です(東京都×杏林大学、相模原市×北里大学、岩手県×岩手医科大学、東北医科薬科大学)。私立の学費そのものを肩代わりするので金額が跳ね上がります。700万円台の県は対象が国公立大学で、国公立の6年の学費は約350万円ですから、学費を上回る額に生活費が乗っているという構図です。金額の大小だけで有利・不利は比べられません。

働く年数のほうは9年が全国の標準です(貸与期間6年の1.5倍)。そこから外れるものを挙げると、岩手県の地域枠Aが11年、東北医科薬科大学の宮城A枠は10年に加えて臨床研修2年が義務期間に入らないので実質12年になります。自治医科大学は9年のうち半分を知事が指定するへき地等で、産業医科大学は9年のうち2年以上を産業医の職務で、という条件が付きます。

▶ だから
修学資金を検討するなら、金額の次に「何年」「どこで」「何科で」の3つを要項で確かめてください。この3つは制度ごとに違い、出願してから変えることはできません。

 

JASSOと国の教育ローンは、いま借りるといくら利息がつくのか

ここには、数年前の常識がもう通用しなくなっている数字があります。

JASSO第二種(有利子)の貸与利率は、令和7年4月に貸与が終わった人で1.612%、令和8年7月で3.000%です(利率固定方式・JASSO公表の推移より)。1年3か月で約1.9倍になりました。国の教育ローンの金利も、令和8年7月時点で年4.05%です。

「奨学金は利子がほとんどつかないから」という前提で資金計画を立てていると、ここでずれます。第二種を上限の1,152万円まで借りて20年で返すと、利息だけで381万円。利率が0.3%だった頃の試算と比べると、利息が300万円以上ちがう計算です。

一方で、あまり知られていない有利な条件もあります。

国の教育ローンは、医学部なら自宅から通う場合でも450万円まで借りられます。公庫の融資限度額は原則350万円ですが、「修業年限5年以上の大学(昼間部)」に当たれば450万円になる、と公式に明記されています。医学部は6年制なのでここに当たります。自宅外通学でも450万円です。

さらに順番の話がもう1つ。JASSOの「入学時特別増額貸与奨学金」(10万〜50万円を入学月に上乗せ)は、国の教育ローンを申し込んだが利用できなかった世帯が対象です。先に公庫へ申し込んだ記録が要るので、公庫 → JASSOの入学時特別増額の順に動くことになります。公庫は受験前でも申し込めるので、年内に動けます。

金利・利率は、国の教育ローンは借入日のもの、JASSO第二種は貸与が終わった月のものが適用されます。ここに挙げた数字は2026年9月時点の公表値で、実際の負担は変わります。

 

太宰府アカデミーの視点|借りる前に決めておく3つ

データを見る限りでは、私立医学部の学費を制度だけでまかなうことはできません。そのうえで、ご家庭が出願までに決めておくとよいと思う点を3つ挙げます。

1つ目は、1,357.2万円をどこから出すかを先に決めることです。上限まで借りても足りない額がこれです。6年のあいだに用意できる見込みが立たないなら、学費そのものが小さい大学や、修学資金のある枠を志望校リストの段階で入れておくことになります。入学してから足りないと分かっても、選び直せません。

2つ目は、初年度に使える制度だけを数えることです。初年度の学納金は中央値で704.5万円、いちばん大きい金沢医科大学で1,100万円です(年次の内訳が公表されている24校で見た数字です)。先ほど見たとおり、大学独自の制度の多くは2年次以降が対象なので、初年度の計算には入れられません。初年度に効くのは、修学支援新制度・都道府県の修学資金・JASSO・国の教育ローン、そして出願時に申請する一部の大学独自制度です。

3つ目は、修学資金を使うなら「9年後の自分」まで一度書き出すことです。9年は、医師免許を取ってから専門医になり、その先まで続く長さです。途中で進路を変えたくなったときに、貸与額に年10%の利息を付けて一括で返すことになります。山形県のように離脱時の返還額の目安(大学卒業時で約350万円、臨床研修修了時で約600万円)を公表している自治体もあるので、検討している制度の要項に同じ記載がないか探してみてください。

制度にはそれぞれの目的があり、金額の大小だけで良し悪しを語れるものではありません。数字は出しました。判断はご家庭でしていただくのがよいと思います。

 

よくある質問

Q. 大学独自の奨学金とJASSOは、両方もらえますか

制度によります。JASSOの第一種と第二種は併用できますし、JASSOと国の教育ローンも併用できます。一方で、都道府県・市の修学資金には併用を禁じているものがあります(たとえば相模原市の制度は「同種の修学資金の貸付けを受けていない」ことが応募の要件です)。愛知医科大学の奨学金貸与制度も、医師確保を目的とした他の奨学金を受けていないことが条件です。併用の可否は、いちばん大きい制度の要項から確認してください。

Q. 成績が良くないと、奨学金は受けられませんか

入口によって違います。修学支援新制度とJASSOには学業成績の基準があり、修学支援新制度では「修得単位が標準単位数の6割以下」などに当たると打切りになります。大学独自の制度も、慶應義塾大学の医学部奨学基金のように「成績優秀または社会貢献が顕著」を条件にするものがあります。一方で、東京女子医科大学の特別奨学生や東海大学の佐藤兼蔵貸与奨学金のように、家計が急に変わったことを主な要件にしている制度もあります。国の教育ローンには成績の要件がありません。

Q. 地域枠に受かったら、あとから辞退できますか

制度によりますが、簡単ではありません。東京都の特別貸与奨学金は出願資格の段階で「合格したら入学を辞退できない」と定めています。入学後に修学資金を辞退する場合は、受け取った額に利息を付けて返すことになります。出願する前に、ご家庭で結論を出しておく制度だと考えてください。

 

まとめ

この記事の要点です。

− 私立医学部の「奨学金」は4種類あり、返すのかどうかと、いつ決まるかがそれぞれ違う
− 見る順番は修学支援新制度 → 大学独自 → 都道府県・市の修学資金 → JASSO → 国の教育ローン。逆にすると借りすぎる
− 大学独自の奨学金は8校で19制度を確認。うち8制度は2年次以降が対象で、初年度には使えない
− 都道府県・市の修学資金は6年で678万円〜4,420万円の6.5倍の開き。返還免除には9年前後の勤務が要る
− 制度の上限を全部積み上げても2,062.8万円。学費の中央値3,420万円には1,357.2万円足りない

今日やることを1つだけ挙げるなら、志望校の「奨学金」のページを開いて、対象学年の行だけを読むことです。「2年次以上」と書いてあれば、その制度は初年度の計算から外す。それだけで、資金計画の精度がかなり変わります。

この記事を書いたのは、面談で「奨学金があるから大丈夫だと思っていました」という言葉を何度も聞いてきたからです。制度はたしかにあります。けれど金額と時期を確かめないまま出願まで進むと、いちばん逃げ場のない時期にお金の話をすることになります。受験勉強をしている本人に、その心配をさせたくないと思っています。

 

あわせて読みたい

お金まわりの記事は、次の4本とあわせて読むと全体像がつかめます。

・私立医学部の特待生|北里は3,890万円が全額免除……入試の成績で学納金が下がる制度をまとめています
・私立医学部の入学手続き|締切までに0〜944万円……合格発表から手続締切までに動く現金の話です
・私立医学部の学費はどうしてる|生活費込み6年2,739万〜5,439万……学費に生活費を足した総額を出しています
・国立医学部の学費が払えない|多子世帯は6年で2,000円……国公立を志望する場合はこちらです

本日の記事は以上です。

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後藤 登(Goto Noboru)
仕事:総務・広報・完全個別指導コース担当
自己PR:高校・大学ボクシング部。釣りや登山が好き。新卒で当校に勤めて13年目。医学部受験の情報を調べて、ブログやInstagram、Twitterを更新しています。4年前から完全個別指導コースのコース担当。

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