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金沢医科大学は「恥ずかしい」のか|実質倍率19.97倍は全国5位という事実

2026年08月07日 更新

こんにちは、福岡の医学部予備校で総務・広報を担当している後藤です。

本日のブログも、ずっと気になっていた検索ワードについて書きます。

「金沢医科大学 恥ずかしい」。あわせて「金沢医科大学 Fランク」「金沢医科大学 やばい」も検索されています。

Fランク——本来は「入試の合格ラインが成立しないほど志願者が少ない大学」を指す言葉です。ではその定義に、金沢医科大学は当てはまるのか。

結論から言うと、まったく逆でした。今回は口コミを脇に置いて、文部科学省と河合塾、そして医師臨床研修マッチング協議会が公表している数字だけで確かめます。

使うのは4つです。文部科学省の入試結果(志願者・受験者・合格者の実数)、河合塾のボーダー偏差値、文部科学省の卒業状況、そして医師臨床研修マッチング協議会が公表している研修先の希望データ。最後のひとつは、卒業した学生がその病院をどう見ているかが分かる資料で、大学の評判を測るうえでいちばん正直な数字だと思っています。

「恥ずかしい」で調べている人が気にしているのは、この3つ

検索の候補に並ぶ言葉を整理すると、気にされているのはこのあたりです。

− Fランクって言われてるけど、誰でも入れる大学なんでしょ?

− 学費が高いから、お金で入れるんでしょ?

− 卒業しても、就職や研修先で苦労するんでしょ?

一つずつ、数字で見ていきます。

実質競争倍率19.97倍は、全国81大学のなかで5位でした

まず「誰でも入れる」という話から。文部科学省が公表している2025年度入試の実数を、全国81大学で並べ替えるとこうなります。

2025年度入試の実質競争倍率ランキング。金沢医科大学は19.97倍で全国81大学中5位
出典:文部科学省「医学部医学科の入学状況・国家試験合格状況・卒業状況」(令和7年12月)
順位 大学 実質競争倍率 受験者 合格者
1 帝京大学 35.25倍 9,447 268
2 埼玉医科大学 24.54倍 4,736 193
3 聖マリアンナ医科大学 23.35倍 4,787 205
4 獨協医科大学 20.66倍 4,173 202
5 金沢医科大学 19.97倍 5,331 267
(参考)国立42大学の平均 3.22倍 15,388 4,773

金沢医科大学の実質競争倍率は19.97倍。全国81大学のなかで5位でした。

受験者5,331人に対して合格者は267人。受かるのは20人に1人です。国立大学42校の平均が3.22倍ですから、数字のうえでは国立の6倍以上の競争率ということになります。

Fランクという言葉は、本来「志願者が定員に満たず、選抜が成立しない大学」を指します。5,763人が志願して113人が入学する大学は、その定義には当てはまりません。

入試の実数をもう少し細かく見ておきます。

区分 人数・数値 読み方
募集人員 113  
志願者 5,763 延べ人数(複数方式の重複を含む)
受験者 5,331 実際に試験を受けた人
合格者 267 受験者の5.0%
入学者 113  
一般前期1次の合格最低点 218点/350点 62.3%
女性入学者の割合 42.5% 全国平均は41.0%

一般前期1次の合格最低点は218点/350点で、62.3%。6割強で1次を通過できる計算ですが、そこから2次があり、最終的に受かるのは受験者の5.0%です。

偏差値は30年で55.0→62.5。ピークは2010年の67.5でした

河合塾のボーダー偏差値を並べると、こうなります。

金沢医科大学医学部の河合塾ボーダー偏差値の推移。1995年55.0から2010年67.5を経て2026年62.5
出典:河合塾 入試難易予想ランキング表(ボーダー偏差値)。2027年は予想値
河合塾ボーダー偏差値 備考
1995年 55.0 30年前
2010年 67.5 この50年で最も高い
2015年 65.0  
2023年 65.0  
2024年 65.0  
2026年 62.5 直近の実績値
2027年 62.5 予想値

1995年は55.0でした。そこから上がり続け、2010年に67.5で最高になり、いまは62.5で落ち着いています。

ここは正直に書いておくと、2024年までは65.0で、2025年から62.5に下がりました。2.5ポイントの低下です。ただ、30年前と比べれば7.5ポイント高い水準にあります。

偏差値62.5は、模試を受けた人のうち上位およそ1割が届く水準です。「Fランク」という言葉が指す状態とは、かなり距離があります。

研修先としては、むしろ選ばれている大学です

ここが今回いちばんお伝えしたい部分です。

「金沢医科大学病院 やばい」という検索も少なくありません。では実際に、医学生は金沢医科大学病院をどう見ているのか。医師臨床研修マッチング協議会が公表している2025年度の中間結果を集計しました。

金沢医科大学病院の初期研修マッチング。第1希望登録率82.4%は全国の大学病院平均46.2%を大きく上回る
出典:医師臨床研修マッチング協議会「2025年度 中間結果公表」をもとに太宰府アカデミー集計
病院・区分 募集定員 第1希望に登録した学生 倍率
金沢医科大学 氷見市民病院 3 3 100.0%
金沢医科大学病院 34 28 82.4%
全国の大学病院(349プログラム) 3,476 1,605 46.2%
全国の市中病院(1,121プログラム) 7,051 7,679 108.9%

初期臨床研修の希望先として、金沢医科大学病院は募集定員34人に対し28人が第1希望に登録していました。82.4%です。

この数字の意味は、全体と比べると分かります。全国の大学病院349プログラムを合計すると、第1希望の登録は定員の46.2%しかありません。いまの医学生は大学病院より市中病院を選ぶ傾向が強く、市中病院は108.9%と定員を超えています。

そのなかで82.4%というのは、大学病院としては高いほうです。系列の金沢医科大学氷見市民病院にいたっては、定員3人に3人が第1希望で登録し100.0%でした。

6年間そこで学んだ学生が、卒業後もその病院を第1希望に選ぶ。外から「やばい」と言われている病院で、実際に起きているのはこういうことでした。

入学してからの6年間はどうか

文部科学省が公表している「令和元年度に入学した人が6年後にどうなったか」のデータです。

金沢医科大学医学部の6年次進級率84.5%・卒業率81.0%・国家試験合格率94.6%と全国平均の比較
出典:文部科学省(令和元年度入学者の卒業状況・第119回医師国家試験)
指標 金沢医科大学 全国81大学の平均
入学者(編入含む) 116人
6年次進級率 84.5% 86.7%
6年で卒業した人 94人
卒業率 81.0% 85.4%
医師国家試験 合格率(第119回) 94.6% 95.7%

116人が入学して、6年で卒業したのは94人。卒業率81.0%でした。全国平均の85.4%より4.4ポイント低い数字です。6年次進級率は84.5%で、こちらは平均との差が2.2ポイントにとどまります。

大学にはそれぞれの教育方針があり、数字だけで良し悪しを語れるものではありません。ただ、受験生と保護者が「入学すれば自動的に6年で卒業できるわけではない」ことを知っておくのは大切だと思います。

直近の国家試験には、見落としやすい数字があります

いちばん新しい第120回(2026年2月実施)の結果です。

区分 金沢医科大学 全国
総数の合格率 84.8% 91.6%
新卒の合格率 86.3% 94.7%
既卒の合格率 70.0% 54.6%

総数の合格率は84.8%で、全国の91.6%を下回りました。ただ、内訳を見ると別の姿が見えます。

既卒(一度不合格になって再挑戦した人)の合格率が70.0%。全国の既卒平均は54.6%ですから、15ポイント以上高いことになります。

大学別の国試合格率は、総数だけを見ると新卒と既卒の構成比に大きく左右されます。比べるなら新卒同士、既卒同士で見てください。そうすると「一度つまずいた人が、翌年きちんと戻ってきている」という別の事実が見えてきます。

太宰府アカデミーの視点|検討するうえで見ておきたい3点

ここまでの数字を踏まえて、志望校として検討するなら注意したいポイントを3つ挙げます。

1つめ。倍率19.97倍は「難易度」ではなく「受けやすさ」も含んだ数字です。
倍率が高い大学は、たいてい受験しやすい大学でもあります。試験日程が複数あったり、科目数が少なかったりすると、志願者が集まって倍率が上がります。倍率の高さ=入試問題の難しさ、ではありません。難易度は偏差値(62.5)と合格最低点(62.3%)のほうで判断してください。

2つめ。学費は6年で3,950万円です。
私立医学部のなかでは高いほうで、最も高い川崎医科大学(4,550万円)に次ぐ水準にあります。ただし総額が同じでも、初年度に集中するか6年間に分散するかで資金計画は変わります。募集要項の年次別内訳まで必ず確認してください。

3つめ。浪人しているかどうかは、あまり気にしなくてよさそうです。
大学が公表している2026年度入試のデータでは、一般前期の合格率は浪人5.0%に対し現役2.7%。入学者の8割以上が浪人を経験しています。年齢や浪人年数を理由に敬遠する必要はない大学だと言えます。

そのうえで、過去問は必ず解いてください。マーク式中心の出題形式が自分に合うかどうかは、配点表を眺めるだけでは判断できません。

まとめ|「Fランク」は定義の面でも数字の面でも当てはまりません

結論です。金沢医科大学が「恥ずかしい」「Fランク」と呼ばれる根拠を、公表データのなかに見つけることはできませんでした。

2025年度入試の実質競争倍率は19.97倍で全国5位。5,331人が受験して合格は267人、受かるのは20人に1人でした。偏差値は30年前の55.0から62.5へ上がっています。そして卒業後の研修先としては、大学病院の平均46.2%に対して82.4%——研修医から選ばれている病院です。

一方で、事実として押さえておくべき数字もあります。6年間ストレートの卒業率は81.0%で全国平均より4.4ポイント低く、学費は6年で3,950万円と私立のなかでは高い部類です。

もし志望校として検討しているなら、明日やることは2つです。①募集要項で学費の年次別内訳を確認する ②一般前期の過去問を1年分解いて、マーク式の形式が自分に合うか確かめる。この2つで判断してください。

「恥ずかしい」という言葉で大学が語られるのが、僕はずっと嫌でした。20人に1人しか受からない試験を突破して、6年間かけて医師になる人たちがいる場所です。数字を並べてみて、その印象がまったく事実と合っていないことが確かめられたので、この記事を書きました。

同じ問いを、他の大学でも調べました

「恥ずかしい」「やばい」と検索されている大学を、同じやり方で1校ずつ調べています。気になる大学があれば、こちらもどうぞ。数字はすべて大学と国の公表資料から取っています。

金沢医科大学の偏差値・学費・入試日程をまとめて見たい方は、金沢医科大学医学部のまとめページにあります。

金沢医科大学を全国81校の並びの中で見るなら、医学部偏差値ランキング2027|国公立50校+私立31校が使えます。

あわせて読みたい

大学選びで「入学後」まで見ておきたい方は、こちらもどうぞ。

本日の記事は以上です。
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◆筆者プロフィール

後藤 登(Goto Noboru)
仕事:総務・広報・完全個別指導コース担当
自己PR:高校・大学ボクシング部。釣りや登山が好き。新卒で当校に勤めて13年目。医学部受験の情報を調べて、ブログやInstagram、Twitterを更新しています。4年前から完全個別指導コースのコース担当。

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