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東邦大学は「恥ずかしい」のか|6年で医師になる割合は全国27位

2026年08月17日 更新

こんにちは、福岡の医学部予備校で総務・広報を担当している後藤です。

本日も、検索候補に出てくる一言について書きます。

「東邦大学」とGoogleの検索窓に入れると、候補に「恥ずかしい」が出てきます。大学の名前を調べただけで、こういう言葉が目に入る。これから受験する人にとっても、いまその大学に通っている人にとっても、気持ちのいいものではないはずです。

そこで今回も、掲示板の書き込みも口コミサイトも1つも使わず、河合塾・文部科学省・厚生労働省が公表している数字だけで確かめます。先に結論を書くと、「恥ずかしい」を裏づける数字は見つかりませんでした。それどころか、入試の難しさより、卒業後の成績のほうが上という、あまり知られていない結果が出ています。

− 昔は入りやすかった大学なんでしょ?

− 最近、偏差値が下がったって聞いたけど?

− 入ったあと、ちゃんと医師になれるの?

この3つに、順番に数字でお答えします。2つめについては、下がったのは事実です。そこも隠さずに書きます。

6年で医師になる割合は87.1%。全81大学のなかで27番目です

結論からいきます。医学部を選ぶときにいちばん大事なのは、入試の難しさではなく「入ったあと、6年で医師になれるか」だと思っています。留年せずに卒業して、国家試験に受かる。ここまでいって、はじめて医学部に行った意味が出ます。

文部科学省が、2019年度に入学した学生を6年間追いかけた調査を公表しています。東邦大学の数字はこうでした。

6年で医師になる割合の比較。東邦大学は87.1%で全81大学中27位、全国平均81.7%を上回る
出典:文部科学省「医学部医学科の入学状況及び国家試験合格状況等について」(令和7年12月公表)8〜9ページをもとに太宰府アカデミー集計(2019年度入学者の追跡)
指標 東邦大学 全国
入学者数(2019年度) 115人 9,456人
6年ちょうどで卒業 102人 8,076人
6年ストレートの卒業率 88.7% 85.4%
医師国家試験 合格率(第119回・2025年) 98.2% 95.7%
6年で医師になる割合 87.1%(全81大学中27位) 81.7%
(参考)医師国家試験 合格率(第120回・2026年) 90.4%(新卒93.6%) 91.6%(新卒94.7%)

入学した115人のうち、6年ちょうどで卒業したのが102人(88.7%)。その学年が受けた第119回医師国家試験は、109人が受験して107人が合格しました(98.2%)。この2つを掛けた「6年で医師になる割合」は87.1%です。

出典:文部科学省「医学部医学科の入学状況及び国家試験合格状況等について」(令和7年12月公表)8〜9ページをもとに太宰府アカデミー集計(2019年度入学者の追跡・全81大学を同じ計算式でそろえたもの)

全国の平均は81.7%ですから、5.4ポイント上にいます。81大学を同じ計算式で並べると27番目でした。前後に並ぶのは次の大学です。

順位 大学 6年で医師になる割合
25位 岡山大学(国立) 87.4%
26位 東北大学(国立) 87.4%
27位 東邦大学(私立) 87.1%
28位 新潟大学(国立) 87.1%
(参考)全国平均 81.7%

東北大学・岡山大学のすぐ下、新潟大学とは同じ数字です。いずれも国立大学ですが、この指標では横に並びます。

ここでいちばん申し上げたいのは、順位そのものではありません。東邦大学は、入試の難しさで並べると全81大学のなかで39番目です。それに対して、6年で医師になる割合では27番目。入口の順位より、出口の順位のほうが12上にあります。

入るときの偏差値より、出ていくときの成績のほうがいい。「恥ずかしい」という言葉と、いちばん噛み合わない数字だと思います。

直近の国家試験も見ておきます。第120回(2026年3月発表)は、東邦大学から115人が受験して104人が合格=90.4%(新卒93.6%・既卒33.3%)でした。

出典:厚生労働省「第120回医師国家試験の合格発表について」(2026年3月16日)

この2つの数字は、集計したところも対象も違います。上の98.2%は文部科学省が2019年度入学者を追った調査(第119回)、下の90.4%は厚生労働省が発表した学校別の合格状況(第120回)です。並べて引き算をするための数字ではありません。国家試験は年に1回なので、1年だけを見て判断しないでください。

ボーダー偏差値は1985年の52.5から65.0へ。40年で12.5上がりました

1つめの「昔は入りやすかった」について。河合塾のボーダー偏差値を、公表されている年でさかのぼって並べました。

東邦大学の河合塾ボーダー偏差値の推移。1985年の52.5から2027年度予想の65.0へ40年で12.5ポイント上昇
出典:河合塾 全統模試ボーダー偏差値(2026年度一般前期時点・2027年度は予想値)をもとに太宰府アカデミー集計
河合塾 ボーダー偏差値
1975 55.0
1985 52.5
1995 57.5
2010 67.5
2015 67.5
2023 67.5
2024 67.5
2025 67.5
2026 65.0
2027(予想) 65.0

いちばん低かった1985年が52.5、2027年度入試の予想は65.0。40年で12.5ポイント上がっています。

出典:河合塾 全統模試ボーダー偏差値(2026年度一般前期時点・2027年度は予想値)をもとに太宰府アカデミー集計

ここは正直に断っておきます。1985年の52.5と、いまの65.0を単純に引き算することはできません。模試を受ける人の数も顔ぶれも、当時といまではまるで違うからです。それでも「昔の東邦大学」と「いまの東邦大学」が別の入試になっていることは、この並びで十分に伝わると思います。親世代が受験した頃の記憶で語られる像は、いまの数字とは合いません。

2026年度に2.5下がったのは事実です。同時に志願者は949人増えました

2つめの「最近下がったのでは」。これは事実です。2023年度から2025年度まで67.5だったボーダーが、2026年度は65.0になりました。2.5ポイント下がっています。

しかも、この年に下がったのは私立31校のうち東邦大学と産業医科大学の2校だけでした。残り29校は上がったか、変わっていません。全体の物差しが動いたのではなく、この2校の動きです。ここをぼかすつもりはありません。

そのうえで、同じ年に起きたもう1つのことを並べておきます。

東邦大学2026年度入試の志願者増加。延べ志願者は2,444人から3,393人へ949人増
出典:代々木ゼミナール調べ(2026年6月時点)をもとに太宰府アカデミー集計
選抜 募集人員 2025 志願者 2026 志願者 増減
一般 67 → 70 2,178 2,912 +734
一般統一 3 → 5 155 329 +174
一般 千葉県地域枠 2 55 77 +22
一般 新潟県地域枠 2 56 75 +19
延べ合計 2,444 3,393 +949(1.388倍)

2026年度入試で、東邦大学の延べ志願者は2,444人から3,393人へ、949人増えました(1.388倍)。私立31校のなかで4番目に大きい増え方です。一般選抜だけで見ても2,178人から2,912人へ734人増、一般統一入試は155人から329人へ2.1倍になっています。

出典:代々木ゼミナール調べ(2026年6月時点・確認度B)をもとに太宰府アカデミー集計。志願者数は大学公式の入試結果で取り直すと数が変わることがあります

受験生から避けられている大学の志願者は、増えません。ボーダーが下がった年に志願者が3割増えている——この2つが同じ年に起きていることは、そのまま書いておきます。なぜそうなったかを断定できるだけの材料は、手元にありません。募集人員が一般で67名から70名へ、一般統一で3名から5名へ増えている点は、あわせて見ておく価値があります。

そして実際に入学した人たちの偏差値も出ています。河合塾の入試結果調査による合格者平均偏差値は65.5で、私立31校のなかで11番目でした。ボーダー(合格可能性50%のライン)と、実際に受かった人の平均は別の数字です。

「41.6倍」と「9.57倍」は、どちらも東邦大学の倍率です

倍率の話もしておきます。東邦大学を調べると40倍前後の数字が出てきますが、これは嘘ではありません。ただしどの数字を倍率と呼んでいるかで意味がまるごと変わります。

東邦大学の倍率の比較。志願倍率41.6倍に対し実質競争倍率は9.57倍
出典:文部科学省(令和7年12月公表・2025年度入試)および代々木ゼミナール調べをもとに太宰府アカデミー集計
数字の呼び方 計算
2026年度 一般の志願倍率 志願2,912 ÷ 募集70 41.6倍
2025年度 実質競争倍率(全選抜) 受験2,422 ÷ 合格253 9.57倍
(参考)2025年度 志願倍率(全選抜) 志願2,701 ÷ 募集123 22.0倍
(参考)全国81大学の実質競争倍率 8.75倍

2026年度の一般選抜は、募集70名に対して2,912人が志願しました。募集人員で割ると41.6倍です。一方、文部科学省が全81大学を同じ物差しでそろえた2025年度入試の実数では、東邦大学は志願2,701人・受験2,422人・合格253人で、実質競争倍率9.57倍。全81大学のなかで21番目でした(すべての選抜方式の合計)。

出典:文部科学省「医学部医学科の入学状況及び国家試験合格状況等について」(令和7年12月公表)1〜2ページをもとに太宰府アカデミー集計(2025年度入試・実質競争倍率=受験者数÷合格者数)

志願倍率は「その大学に人が集まっているか」を見る数字で、「自分が受かる確率」に近いのは実質倍率のほうです。それでも9.57倍は、10人受けて1人しか受からない入試です。全国の平均が8.75倍ですから、それより厳しい側にいます。

繰上合格は2025年度からA〜D群方式に変わりました

併願を組むうえで知っておきたいのが、繰上合格(補欠)の回り方です。東邦大学は2025年度入試から、補欠者をA群・B群・C群・D群に振り分ける方式を始めました。番号順に1人ずつ繰り上げるのではなく、群の単位で動きます。

2025年度は3月11日にA群、その後B群の途中まで回りました。方式が変わったばかりなので、過去の繰上番号から今年を読むことができません。ここは他の大学より読みにくい部分です。

出典:東邦大学の入試結果発表をもとに太宰府アカデミー集計(2025年度入試)

合格最低点も置いておきます。2025年度入試の2次正規合格の最低点は500点満点で375.5点=75.1%でした。なお東邦大学は2025年度から満点が400点から500点に変わっているので、2024年度以前の点数とそのまま比べることはできません。過去問を解くときは、その年度の満点を必ず確認してください。

太宰府アカデミーの視点|検討するうえで見ておきたい3点

ここまでの数字を踏まえて、東邦大学を志望校として検討するなら見ておきたいポイントを3つ挙げます。

1つめ。この大学は「出口で選ぶ」と評価が変わります。入試の難しさで並べると39番目、6年で医師になる割合で並べると27番目。志望校を偏差値だけで並べている人にとっては、順位が12上がる大学です。6年間で払う学費と時間を考えれば、入るときの難しさより、出るときの確実さのほうが効いてきます。ただし進級や卒業の判定がどれくらい厳格かは大学ごとに違い、数字だけで教育の良し悪しを語れるものではありません。数字は出しておくので、読み方はご自身で決めてください。

2つめ。学費は私立31校のなかで安いほうから9番目です。6年間の学納金は2,580万円とされています。いちばん安い国際医療福祉大学の1,850万円と、いちばん高い川崎医科大学の4,550万円のあいだで、安いグループの端にいます。内訳は初年度480万円(入学金150万+授業料250万+教育充実費50万+施設設備費30万)、2年次以降は年420万円×5年で、足すと2,580万円ちょうどになります。

出典:東邦大学「入学時納付金・学費」(医学部欄・2026年度入学生用)をもとに太宰府アカデミー集計

初年度に480万円が必要で、以降は毎年420万円。総額が同じでも初年度に集中するか6年間に分散するかで資金計画はまるで変わるので、募集要項の納入時期まで見てください。なお同じページに他学部の学費表も並んでいます。医学部の欄を見ていることを必ず確認してください。

3つめ。繰上合格の読み方が、2025年度から変わりました。A〜D群方式はまだ2年目で、過去の繰上番号を当てにできません。補欠になっても最後まで諦める必要はない一方で、当てにして併願を組むのは危ない——その両方が言える状態です。入学手続きの締切と繰上の連絡時期を、併願校とセットでカレンダーに並べておいてください。2027年度入試の一次試験は2月7日です。

そのうえで、過去問は必ず解いてください。倍率も配点も、出題形式との相性が合わなければ点にはなりません。どの大学を選ぶにしても、そこだけは変わらない話です。

まとめ|「恥ずかしい」を裏づける数字は見つかりませんでした

東邦大学について、公表されている数字だけで確かめた結果をまとめます。

  • 6年で医師になる割合は87.1%で、全81大学中27位。全国平均81.7%を5.4ポイント上回ります。東北大学・岡山大学のすぐ下、新潟大学と同じ数字です
  • 入試の難しさでは39位。出口では27位。順位が12上がります
  • ボーダー偏差値は1985年の52.5から2027年度予想の65.0へ、40年で12.5ポイント上昇
  • 2026年度に67.5から65.0へ2.5下がったのは事実(私立で下がったのは東邦大学と産業医科大学の2校のみ)。同じ年に延べ志願者は949人増え、私立31校で4番目の増え方でした
  • 実質競争倍率は9.57倍で全81大学中21位(文部科学省・2025年度入試)。全国平均の8.75倍より厳しい側です
  • 合格者平均偏差値は65.5で私立31校中11位。学費は6年間2,580万円(初年度480万+2年次以降420万×5)で、私立31校で安いほうから9番目

最初の3つの疑問に戻ります。「昔は入りやすかった」——1985年の52.5はたしかに低いですが、それは40年前の話です。「最近下がったのでは」——2026年度に2.5下がりました。ただし同じ年に志願者は949人増えています。「ちゃんと医師になれるのか」——6年で医師になる割合は全国27位で、入試の難しさより12上の位置にいます。

この記事を書いたのは、川崎医科大学や愛知医科大学のときと同じ理由です。大学名を検索しただけで「恥ずかしい」という言葉が目に入る状態が、単純に嫌だからです。10人受けて1人しか受からない入試を突破した人にも、いまその大学で6年間を過ごしている人にも、失礼な話だと思っています。ここに並べた数字は全部、誰でも見られる公表資料から取りました。「恥ずかしい」と書いている人が、この数字を見たうえで書いているのかどうか。そこは考えてみてもいいと思います。

同じ問いを、他の大学でも調べました

「恥ずかしい」「やばい」と検索されている大学を、同じやり方で1校ずつ調べています。気になる大学があれば、こちらもどうぞ。数字はすべて大学と国の公表資料から取っています。

東邦大学の偏差値が全国で何番目かは、医学部偏差値ランキング2027(国公立50校+私立31校)にまとめています。

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では、本日の記事は以上です。

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後藤 登(Goto Noboru)
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自己PR:高校・大学ボクシング部。釣りや登山が好き。新卒で当校に勤めて13年目。医学部受験の情報を調べて、ブログやInstagram、Twitterを更新しています。4年前から完全個別指導コースのコース担当。

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