こんにちは、福岡の医学部予備校で総務・広報を担当している後藤です。
本日も、検索候補に出てくる一言について書きます。
「徳島大学」とGoogleの検索窓に入れると、候補に「恥ずかしい」が出てきます。「地方国立 医学部 恥ずかしい」「国立 医学部 やばい」で検索している人もいます。大学の名前を調べただけでこういう言葉が目に入るのは、これから受験する人にとっても、いまその大学に通っている人にとっても、気持ちのいいものではないはずです。
そこで今回も、掲示板の書き込みも口コミサイトも1つも使わず、河合塾・文部科学省・厚生労働省と大学公表の数字だけで確かめます。
先にお断りしておきます。この記事には、徳島大学にとって都合のいい数字ばかりが並ぶわけではありません。出口の数字は全国平均並みです。そこも隠さずに書きます。
− 倍率1.6倍って、それはさすがに入りやすすぎるのでは?
− 地方の国立だから、レベルが低いんじゃないの?
− 入ったあと、ちゃんと医師になれるの?
この3つに、順番に数字でお答えします。
この記事の目次
倍率1.6倍は「入りやすい」という意味ではありません
まず、いちばん誤解されている数字から。2026年度の一般選抜(前期)の実数はこうでした。

| 2025年度 | 2026年度 | |
|---|---|---|
| 志願者 | 224人 | 151人 |
| 受験者 | ― | 104人 |
| 合格者 | ― | 65人 |
| 実質倍率 | 2.4倍 | 1.6倍 |
| 第1段階選抜 | 共テ600/900点(66.7%)以上 かつ 募集の5倍まで | 同左 |
志願151人・受験104人・合格65人で、実質倍率は1.6倍。前年の2.4倍からさらに下がりました。国公立医学部としては最低クラスです。
出典:徳島大学が公表した入試結果(2025・2026年度入試)をもとに太宰府アカデミー集計(実質倍率=受験者数÷合格者数)
ここで大事なのは、この1.6倍が「誰でも受かる」という意味ではまったくないということです。理由は、出願する前に関門があるからです。
徳島大学の第1段階選抜(いわゆる足切り)は「共通テスト600点/900点以上、かつ募集人員の5倍まで」という二重の基準になっています。志願者が151人しかいない年は、5倍という人数の基準には遠く届きません。つまり実際に働いているのは共テ66.7%という得点の基準だけです。
そして配点は共通テスト900点+個別試験400点=1300点。共通テストが69.2%を占めます。この配点だと「共通テストで取れなかった人は、そもそも出願しない」という自己選抜が起きます。倍率が低いのは人気がないからではなく、勝てる人しか出願しない配点だからです。
合格した人の共通テストは85.6%。ここが本当の入り口です
では実際に受かった人は、共通テストで何点取っていたのか。

| ライン | 共通テストの得点 | 得点率 |
|---|---|---|
| 合格者の平均 | 856点/1000点換算 | 85.6% |
| 合格者の最低 | 692点/900点 | 76.9% |
| 第1段階選抜の基準 | 600点/900点 | 66.7% |
| (参考)個別試験の合格者最低 | 204点/400点 | 51.0% |
| (参考)合格最低点の総合 | 986点/1300点 | 75.8% |
2026年度に徳島大学医学部に合格した人の共通テスト平均は856点(1000点換算)=85.6%でした。
出典:河合塾 入試結果調査(2026年度)および徳島大学が公表した入試結果をもとに太宰府アカデミー集計
合格者のなかでいちばん低かった人でも共テ692点/900点=76.9%です。足切りの基準(66.7%)と、実際に受かった人の最低ライン(76.9%)のあいだには、10ポイントの開きがあります。
「倍率1.6倍」と「共テ85.6%」は、同じ入試の別の側面です。倍率だけを見て「簡単そう」と判断するのも、共テの平均だけを見て「無理だ」と諦めるのも、どちらも半分しか見ていません。
ちなみに個別試験(2次)の合格者最低点は204点/400点=51.0%。前年も53.0%でした。2年続けて「2次は5割強で残れた」ことになります。記述の瞬発力より、共通テストで1点ずつ積み上げる力が問われる入試です。
学費は6年で349万6,800円。私立でいちばん安い大学より1,500万円下です
「地方の国立だから」という言い方には、どこか「都会の私立のほうが上」という前提が混じっているように思います。学費で並べると、その前提はかなり揺らぎます。

| 6年間の学費 | 徳島大学との差 | |
|---|---|---|
| 徳島大学(国立の標準額) | 349万6,800円 | ― |
| 国際医療福祉大学(私立で最安) | 1,850万円 | +1,500万円 |
| 川崎医科大学(私立で最高) | 4,550万円 | +4,200万円 |
| (参考)東大・千葉・東京科学・山口 | 約414万円 | +64万円 |
徳島大学は国立の標準額どおりで、入学金28万2,000円+授業料53万5,800円×6年=349万6,800円。私立医学部でいちばん安い国際医療福祉大学の1,850万円と比べても1,500万円下、いちばん高い川崎医科大学の4,550万円とは4,200万円の差があります。
出典:各大学公表資料をもとに太宰府アカデミー集計(私立31校の6年間学納金・2026年8月時点)。国立の授業料は文部科学省令の標準額
そして取れる資格はまったく同じ医師免許です。1,500万円から4,200万円の差が、卒業後の資格に反映されることはありません。
なお、国立でも東京大学・千葉大学・東京科学大学・山口大学の4校は授業料を標準額より高く設定していて、6年間で約414万円になります。「国立はどこも約350万円」ではなくなっている点は、志望校を並べるときに気をつけてください。徳島大学は標準額のままです。
出口は全国平均並みです。ここは正直に書きます
ここまで徳島大学にとって都合のいい数字が続いたので、そうでない数字も出します。

| 指標 | 徳島大学 | 全国 |
|---|---|---|
| 入学者数(2019年度) | 114人 | 9,456人 |
| 6年ちょうどで卒業 | 96人 | 8,076人 |
| 6年ストレートの卒業率 | 84.2% | 85.4% |
| 医師国家試験 合格率(第119回・2025年) | 96.4% | 95.7% |
| 6年で医師になる割合 | 81.2%(全81大学中45位) | 81.7% |
| (参考)第120回(2026年)の新卒 | 96.4% | 94.7% |
文部科学省が2019年度の入学者を6年間追いかけた調査では、入学した114人のうち6年ちょうどで卒業したのは96人(84.2%)。その学年の医師国家試験は112人が受験して108人が合格(96.4%)でした。掛け合わせた「6年で医師になる割合」は81.2%です。
出典:文部科学省「医学部医学科の入学状況及び国家試験合格状況等について」(令和7年12月公表)8〜9ページをもとに太宰府アカデミー集計(2019年度入学者の追跡)
全国平均は81.7%ですから、わずかに下です。全81大学のなかで45番目。入試の難しさ(偏差値で全81大学中47位)とほぼ同じ位置で、東邦大学のような「入口より出口が上」という逆転は起きていません。突出して良くも悪くもない、平均的な数字です。
国家試験だけを見ると、もう少し良い数字になります。第119回の96.4%は四国4校のなかで2番目(1位は高知大学の98.0%、香川90.9%・愛媛89.7%が続きます)。直近の第120回でも徳島は新卒96.4%で、愛媛97.1%に次ぐ2番目でした。2年続けて四国で2番手につけています。
出典:厚生労働省「第120回医師国家試験の合格発表について」(2026年3月16日)および文部科学省の同調査をもとに太宰府アカデミー集計
つまり「国家試験は強いが、6年で卒業するところでやや落ちる」のが徳島大学の形です。卒業率84.2%は全国平均85.4%を少し下回ります。進級や卒業の判定がどれくらい厳格かは大学ごとに違うので、数字だけで教育の良し悪しは語れません。数字は出しておくので、読み方はご自身で決めてください。
2027年度は「情報」50点が入り、募集も5名減ります
これから受ける人に、いちばん実務的な話をします。2027年度入試から、徳島大学は大きく変わります(大学公式で確定済み)。
- 共通テストの「情報」を50点で点数化(2026年度までは点数化していませんでした)。共テの満点が900点→950点になります
- 第1段階選抜の基準も630点/950点に変更
- 前期の募集人員を5名減
- 学校推薦型選抜Ⅱの一般枠に初期臨床研修2年間の就労義務が追加されます
- 総合型選抜に全国枠5名を新設
出典:徳島大学の入学者選抜に関する公表資料をもとに太宰府アカデミー集計(2027年度入試)。最終確認は募集要項でお願いします
共通テストで決まる大学の、共通テストの中身が変わります。影響は配点比率の数字以上に大きいと考えてください。情報の仕上がりに不安がある人は、950点という新しい母数で見込み点を計算し直してください。
あわせて、低倍率の賞味期限にも触れておきます。151人・1.6倍という数字はもう広く知られました。募集が5名減ることもあり、2027年度は揺り戻し(志願者増)を想定しておくほうが安全です。
太宰府アカデミーの視点|検討するうえで見ておきたい3点
ここまでの数字を踏まえて、徳島大学を志望校として検討するなら見ておきたいポイントを3つ挙げます。
1つめ。「倍率が低いから徳島」で選ばないでください。選ぶ理由にするなら倍率ではなく配点です。共通テストが69.2%を占め、2次は5割強で残れる——マーク模試は安定しているのに記述の判定が伸びない人にとって、これほど計算が立つ国公立医学部はそう多くありません。逆に、記述で一気に逆転したいタイプの人には向きません。配点で選んだ人は、倍率がどちらに振れても揺れません。
2つめ。繰上合格はほとんど回りません。徳島大学の追加合格は2022〜2025年度の4年間で計2名(2023年度の2名のみ)です。実質「正規合格で決まる入試」だと考えてください。倍率が低いぶん、正規の段階で決着します。補欠を当てにした併願は組めません。
3つめ。「地方国立だから」という理由で候補から外すなら、何を基準にしているかを一度書き出してみてください。学費は私立の最安より1,500万円下、国家試験は四国で2番手、取れる資格は同じ医師免許です。一方で6年で医師になる割合は全国平均並みで、そこは突出していません。数字を並べると、良いところと平凡なところがはっきり分かれます。「恥ずかしい」という一言は、そのどちらの情報も持っていません。
そのうえで、過去問は必ず解いてください。配点も倍率も、出題形式との相性が合わなければ点にはなりません。どの大学を選ぶにしても、そこだけは変わらない話です。
まとめ|「恥ずかしい」を裏づける数字は見つかりませんでした
徳島大学について、公表されている数字だけで確かめた結果をまとめます。
- 実質倍率1.6倍は「入りやすい」という意味ではありません。共テ比率69.2%の配点が「勝てる人しか出願しない」自己選抜を生んでいます
- 合格者の共通テスト平均は85.6%(1000点換算で856点)。合格者の最低でも76.9%でした
- 学費は6年で349万6,800円。私立の最安より1,500万円、最高より4,200万円下で、取れる資格は同じです
- 6年で医師になる割合は81.2%で全81大学中45位。全国平均81.7%をわずかに下回る、平均的な数字です
- 国家試験の合格率は四国4校で2番目(第119回96.4%・第120回新卒96.4%。どちらも1位は別の大学です)
- 2027年度は情報50点の点数化・前期5名減。低倍率は揺り戻しを想定してください
最初の3つの疑問に戻ります。「倍率1.6倍は入りやすすぎるのでは」——合格者の共テ平均85.6%が答えです。「地方だからレベルが低い」——学費は1,500万円下で資格は同じ、国試は四国2番手です。「ちゃんと医師になれるのか」——81.2%で全国平均並み。ここは突出していません。
この記事を書いたのは、川崎医科大学や愛知医科大学のときと同じ理由です。大学名を検索しただけで「恥ずかしい」という言葉が目に入る状態が、単純に嫌だからです。共通テストで85%を作った人にも、いまその大学で6年間を過ごしている人にも、失礼な話だと思っています。ここに並べた数字は全部、誰でも見られる公表資料から取りました。良い数字も平凡な数字も同じように並べたうえで、「恥ずかしい」と言えるかどうか。そこは考えてみてもいいと思います。
同じ問いを、他の大学でも調べました
「恥ずかしい」「やばい」と検索されている大学を、同じやり方で1校ずつ調べています。気になる大学があれば、こちらもどうぞ。数字はすべて大学と国の公表資料から取っています。
- 川崎医科大学に入学って恥ずかしいの?という疑問に真実でお答えします
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- 金沢医科大学は「恥ずかしい」のか|実質倍率19.97倍は全国5位という事実
- 埼玉医科大学は「恥ずかしい」のか|実質倍率24.54倍は全国2位
- 獨協医科大学は「恥ずかしい」のか|研修先の第1希望98.0%という事実
- 兵庫医科大学は「恥ずかしい」のか|国試97.0%は全国7位という事実
- 久留米大学は「恥ずかしい」のか|偏差値50.0→62.5・倍率12.15倍
- 愛知医科大学は「恥ずかしい」のか|偏差値37.5→65.0の変化
- 東邦大学は「恥ずかしい」のか|6年で医師になる割合は全国27位
徳島大学を国公立50校・私立31校の中に置いて見るなら、医学部偏差値ランキング2027(全81校の一覧表)が早いです。
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では、本日の記事は以上です。
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