こんにちは、福岡の医学部予備校で総務/広報を担当している後藤です。
本日のブログは、4年前に書いた記事を、2026年の数字で全部入れ替えたものです。前の版のままだと、医師国家試験の合格率も、CBT・OSCEの制度も、学費も、ぜんぶ古くなっていました。特にCBT・OSCEは2023年4月に「国の試験」に変わっています。ここを古い説明のまま放置しているのが、いちばん申し訳なかったところです。
Googleで「医学部 何年」「医者になるには」と入力すると、検索候補に「何年」「何年間」「何歳から」「費用」と並びます。つまり、多くの人が同じところで引っかかっている。
先に一問一答で答えます。医学部は何年か——どの大学も6年です。学校教育法で医学を履修する課程の修業年限は6年と定められていて、81校すべてが6年制です。4年制や5年制の医学部医学科は日本に1つもありません。
先に答えを書きます。18歳で医学部に入学した場合、医師免許を手にするのは24歳、専門医の資格まで取るなら最短で29歳です。医学部入学から数えて11年。ただしこの11年は、一度も止まらなかった場合の最短ルートです。実際に6年ストレートで医師になれているのは、入学者の約81.7%にとどまります。
皆さんが気になっているのは、たぶんこの4つだと思います。
− 医者になるには、大学に何年行けばいいの?
− 国家試験って、そんなに落ちるものなの?
− 結局、お金はいくらかかるの?
− 実際は、何歳で医者になっているの?
一つずつ、公表されているデータで見ていきます。

この記事の目次
医学部は何年?医者になるには6年、専門医まで最短11年
医学部は何年かかるか。答えは6年です。医師免許を取るまでは6年(18歳入学なら24歳)、専門医まで取るなら最短11年(29歳)かかります。ゴール別の年数は次のとおりです。
| ゴール | 入学からの年数 | 18歳で入学した場合 | 補足 |
|---|---|---|---|
| 医師免許を取るまで | 6年 | 24歳 | どの大学も6年(81校) |
| 一人で診療できるスタート地点 | 8年 | 26歳 | 初期研修2年は医師法で全員に義務 |
| 専門医(研修3年の領域) | 11年 | 29歳 | 一度も止まらなかった最短ルート |
| 専門医(皮膚科・研修5年) | 13年 | 31歳 | 日本皮膚科学会は専門研修を5年としている |
医学部は、どの大学でも6年制です。一般的な学部の4年制に2年足されているのは、5〜6年生でほぼ丸ごと臨床実習に出るためです。そして卒業して医師免許を取っただけでは、まだ一人で患者さんを診ることはできません。医師法で2年間の臨床研修(初期研修)が義務づけられているからです。

| 段階 | かかる年数 | 年齢の目安 | この期間に通る関門 |
|---|---|---|---|
| 医学部(医学科) | 6年 | 18歳 → 24歳 | 進級・共用試験(CBT/OSCE)・卒業試験・医師国家試験 |
| 初期臨床研修 | 2年 | 24歳 → 26歳 | 内科・外科・救急・小児科・産婦人科・精神科・地域医療などを必修で回る |
| 専門研修(専攻医) | 3年〜 | 26歳 → 29歳 | 基本19領域から1つを選び、日本専門医機構の専門医試験を受ける |
| 合計(専門医まで) | 11年〜 | 18歳 → 29歳 | 医師免許だけなら6年(24歳)で取得できる |
表を見ていただくと分かるとおり、「医者になるまで何年か」という問いには、答えが2つあります。医師免許を取るまでなら6年(24歳)。一人前の目安とされる専門医まで取るなら、最短で11年(29歳)です。初期研修の2年は医師法で全員に義務づけられているので、実質的には医学部入学から8年(26歳)が「一人で診療できる医師」のスタートラインだと考えてください。
専門研修は、内科・外科・小児科・産婦人科・精神科・皮膚科・眼科・耳鼻咽喉科・泌尿器科・整形外科・脳神経外科・形成外科・救急科・麻酔科・放射線科・リハビリテーション科・病理・臨床検査・総合診療科の基本19領域から1つを選びます。日本専門医機構の「専門医制度整備指針(第三版)」で、いずれの領域も研修期間は3年以上と定められています。年数は領域によって違います。たとえば日本皮膚科学会は皮膚科の専門研修を5年としており、同学会は「基本領域学会の中でも最長の研修期間」と説明しています。皮膚科を選んだ場合、入学から専門医試験までは11年ではなく13年(最短31歳)になります。「最短11年」は、研修が3年の領域を選び、一度も止まらなかった場合の数字だと考えてください。
▶ この記事の内容は、動画でも解説しています(YouTube)
医者になるには何年・何歳?研修医の平均は〇〇歳|医学部6年と専門医19科
医者になるのは何歳か|最短24歳、研修医の平均は27.7歳
医者になるのは、最短で24歳です。18歳で医学部に入り、6年で卒業して医師国家試験に受かれば、24歳で医師免許を手にします。そこから2年の初期研修があるので、研修医の期間は最短で24〜26歳です。
ところが、国の統計で実際の研修医の年齢を見ると、臨床研修医18,257人の平均年齢は27.7歳でした(厚生労働省「医師・歯科医師・薬剤師統計」2024年12月31日時点)。まっすぐ進んだ研修医は統計の日(12月31日)に24〜26歳なので、そのいちばん上の26歳よりも、まだ上です。
| 区分 | 年齢 | 出どころ |
|---|---|---|
| 最短で医師免許(18歳で入学・ストレート) | 24歳 | 学校教育法(6年) |
| 最短の研修医(初期研修2年) | 24〜26歳 | 医師法(臨床研修2年) |
| 実際の臨床研修医の平均(18,257人) | 27.7歳 | 医師統計(2024年末) |
| 病院・診療所で働く医師全体の平均(331,092人) | 50.6歳 | 医師統計(2024年末) |
出典:厚生労働省「令和6(2024)年 医師・歯科医師・薬剤師統計」主たる診療科別(医療施設に従事する医師)/学校教育法・医師法をもとに太宰府アカデミー作成。研修医の平均は1年目と2年目を合わせた数字です
最短より上になる道は、いくつもあります。浪人してから入学する、6年のどこかで1年足踏みする、社会人や他学部から入り直す、などです。たとえば1浪で入学すれば医師免許は25歳、2浪なら26歳が目安になります。
6年ちょうどで卒業する人は、入学者の85.4%(令和元年度入学者9,456人中8,076人)です。100人入学したら、約15人は6年では卒業していません(文部科学省・令和7年12月公表)。平均の27.7歳は、医師になるのが遅い、という意味ではありません。いろいろな道を通った人が、同じ研修医として働いている、ということです。
専門医まで何年?19科の研修年数と、その科の医師の平均年齢
専門医になるまでの専門研修は、19の基本領域で3年〜5年です。5年は皮膚科の1科、4年は7科、3年は11科。18歳で入学してストレートに進むと、専門医になるのは最短で29歳〜31歳です。2026年度に専門研修を始めた専攻医9,998人のうち、70.4%は研修3年の科を選んでいます。
あわせて、その科で働く医師の平均年齢を並べました。19科の中では救急科が41.9歳でいちばん若く、臨床検査(臨床検査科)が60.1歳でいちばん高い科です。
| 基本領域(19科) | 専門研修の年数 | 最短で専門医になる年齢 | その科の医師の平均年齢(2024年) |
|---|---|---|---|
| 皮膚科 | 5年 | 31歳 | 51.4歳 |
| 整形外科 | 4年 | 30歳 | 52.5歳 |
| 脳神経外科 | 4年以上 | 30歳 | 51.5歳 |
| 眼科 | 4年以上 | 30歳 | 53.7歳 |
| 耳鼻咽喉科頭頸部外科 | 4年 | 30歳 | 53.2歳 |
| 泌尿器科 | 4年 | 30歳 | 49.9歳 |
| 形成外科 | 4年 | 30歳 | 44.3歳 |
| 麻酔科 | 4年 | 30歳 | 45.9歳 |
| 内科 | 3年 | 29歳 | 59.3歳 |
| 小児科 | 3年以上 | 29歳 | 51.3歳 |
| 精神科 | 3年以上 | 29歳 | 52.6歳 |
| 外科 | 3年以上 | 29歳 | 53.9歳 |
| 産婦人科 | 3年 | 29歳 | 50.0歳 |
| 放射線科 | 3年以上 | 29歳 | 48.2歳 |
| 病理 | 3年 | 29歳 | 50.3歳 |
| 臨床検査 | 3年以上 | 29歳 | 60.1歳 |
| 救急科 | 3年 | 29歳 | 41.9歳 |
| リハビリテーション科 | 3年 | 29歳 | 54.3歳 |
| 総合診療 | 3年 | 29歳 | 区分なし |
出典:各学会の専門研修プログラム整備基準(19の基本領域)・厚生労働省 医師専門研修部会 資料1(2026年7月15日)/出典:厚生労働省「令和6(2024)年 医師・歯科医師・薬剤師統計」主たる診療科別(医療施設に従事する医師)。最短の年齢は18歳で入学し、初期研修2年のあとすぐ専門研修に入った場合。「以上」は学会が「〜年以上」と書いている科。内科は医師統計の「内科」(消化器内科・循環器内科などは別の区分)、耳鼻咽喉科頭頸部外科は「耳鼻いんこう科」、病理は「病理診断科」、臨床検査は「臨床検査科」の数字。総合診療は医師統計に区分がありません
19の基本領域に入っていない科まで広げて、診療科40区分(臨床研修医・全科・その他を除く)で見ると、平均年齢がいちばん若いのは美容外科の41.2歳、次が救急科の41.9歳、集中治療科の43.7歳です。いちばん高いのは肛門外科の60.5歳、臨床検査科の60.1歳、内科の59.3歳でした。
平均年齢は、その科に新しく入る人の数や、病院と開業のどちらで働く人が多いかなどで動く数字で、科の良し悪しを表すものではありません。志望する科があるなら、その科の研修の年数と、いま働いている医師の年齢層を、一度は並べて見ておいてください。何歳で専門医になり、どんな年代の先輩と働くのかが、具体的に見えてきます。
医学部は何年か|81校すべて6年制です
「医学部 何年」で調べている方に、もう一度はっきり書きます。医学部医学科は6年制です。国公立50校も私立31校も例外はありません。学校教育法の第87条第2項で、医学・歯学・薬学(臨床)・獣医学を履修する課程の修業年限は6年と定められているためです。
一般的な学部が4年制なのに2年長いのは、5〜6年生がほぼ丸ごと臨床実習になるからです。4年次の共用試験に合格すると Student Doctor として病院に出て、診療チームの一員として実習を受けます。この2年間があるぶん、医学部は6年になっています。
この6年間で身につける中身は、文部科学省の医学教育モデル・コア・カリキュラムが10の資質・能力として定めています。そのうち純粋な知識にあたるのは1つだけです。くわしくは医者に向いている人|国が定めた10の資質のうち知識は1つにまとめています。
「何年で卒業できるか」となると、話は少し変わります。6年ちょうどで卒業できているのは入学者の85.4%(令和元年度入学者9,456人中8,076人・文部科学省)で、残りはどこかで1年以上足踏みしています。この数字は下の節でくわしく見ます。
年齢のほうが知りたい方は、研修医は何歳から?最短24歳・平均27.7歳にまとめています。「何歳から働けるのか」「研修医は何歳が多いのか」はそちらが本題です。
医者になるまでに通る5つの関門
医学部合格は、6年間の入口にすぎません。入学してから医師免許までに、次の5つを順番に突破していきます。
① 進級(1年生から6年生まで、毎年)
② 共用試験 CBT・OSCE(3〜4年次。臨床実習に出る資格)
③ 臨床実習(5〜6年次。診療参加型)
④ 卒業試験(6年次の9〜12月ごろ)
⑤ 医師国家試験(2月上旬・年1回)
このうち受験生に一番知られていないのが②の共用試験で、しかもここが最近いちばん大きく変わりました。
2023年4月から、CBT・OSCEは国の試験になった
CBT(Computer Based Testing)はパソコンで受ける知識の試験、OSCE(オスキー)は医療面接や身体診察を実際にやってみせる実技試験です。この2つに合格すると「Student Doctor」として、患者さんに接する診療参加型の臨床実習に入れます。
ここが4年前の記事から変わった点です。2021年5月28日に公布された改正医療法等により、医学系では令和5年(2023年)4月から、共用試験が「公的な試験」になりました(公益社団法人 医療系大学間共用試験実施評価機構=CATOの公表資料による)。大学ごとの内部試験ではなく、全国共通の基準で合否が決まる試験に位置づけが変わり、合格した学生が臨床実習で医行為を行うことに法的な根拠が与えられました。
受験生の立場で押さえておきたいのは2点です。合格ラインを大学が独自に下げられなくなったこと、そして共用試験に受からないと臨床実習に進めず、その先の卒業も国家試験も一切前に進まないこと。「4年生の試験」ではなく「医師になるための1つ目の公的な関門」だと考えてください。なお金沢医科大学のようにCBTを3年次に前倒しする大学も出てきており、実施時期は大学によって差があります。
6年ストレートで医師になれるのは10人に8人(81.7%)
では、この5つの関門を6年間で全部くぐれる人はどれくらいいるのか。文部科学省が公表している入学状況・卒業状況と医師国家試験の結果(令和7年12月公表)から出せます。令和元年度に全81大学へ入学した9,456人を追った数字がこちらです。
| 段階 | 人数 | 割合 |
|---|---|---|
| 令和元年度の入学者(全81大学) | 9,456人 | ― |
| 6年ストレートで6年生に在籍 | 8,201人 | 86.7% |
| 6年で卒業 | 8,076人 | 85.4% |
| 第119回 医師国家試験の合格(既卒を含む受験者) | 8,840人(受験9,238人) | 95.7% |
| 6年で医師になる目安(卒業の割合×国試の合格率) | ― | 81.7% |
| うち 国立大学(42校) | ― | 84.5% |
| うち 公立大学(8校) | ― | 86.3% |
| うち 私立大学(31校) | ― | 77.1% |
出典:文部科学省「医学部医学科の入学状況及び国家試験合格状況等について」(令和7年12月公表・全大学計)をもとに太宰府アカデミー集計。6年で医師になる目安は、6年で卒業した割合に、同じ年の医師国家試験の合格率(既卒を含む受験者)を掛けた数字です
データを見る限りでは、6年ストレートで6年生まで進級できたのが86.7%、6年で卒業できたのが85.4%。その年の国家試験の合格率95.7%を掛けると、6年で医師になれるのは約81.7%です。言いかえると、医学部に入学した約5人に1人は、6年間では医師免許にたどり着いていないということです。
大学ごとの差も小さくありません。金沢大学は97.4%、自治医科大学は96.9%と、ほぼ全員が6年で医師になっています。一方で60%台の大学もあります。ただし、これは大学の優劣を示す数字ではありません。卒業試験の基準を厳格に運用している大学ほど6年ストレートの割合は下がり、その代わり新卒の国家試験合格率は高く保たれる、という関係が数字の上では確認できます。大学にはそれぞれの教育方針があり、この一列だけで良し悪しを語れるものではありません。
医師国家試験は1回目94.7%、2回目71.9%(第120回)
最後の関門が医師国家試験です。2026年2月7〜8日に実施された第120回は、受験9,980名に対して合格9,139名、合格率91.6%でした(厚生労働省・2026年3月16日発表)。前年の第119回92.3%から0.7ポイント下がっています。
ただ、この91.6%という数字は新卒と既卒を合わせたものです。分けて見ると、景色がまったく変わります。

| 受験できる回数(卒業からの経過) | 受験者 | 合格者 | 合格率 |
|---|---|---|---|
| 1回目(新卒) | 9,205名 | 8,716名 | 94.7% |
| 2回目 | 466名 | 335名 | 71.9% |
| 3回目 | 103名 | 44名 | 42.7% |
| 4回目 | 38名 | 14名 | 36.8% |
| 5回目 | 36名 | 14名 | 38.9% |
| 6回目 | 17名 | 3名 | 17.6% |
| 10回目以上 | 69名 | 3名 | 4.3% |
| ※7〜9回目は人数が少ないため表から省略 | ― | ― | ― |
| 全体(第120回) | 9,980名 | 9,139名 | 91.6% |
1回目(新卒)の合格率は94.7%。ところが2回目は71.9%、3回目は42.7%まで落ちます。10回目以上になると4.3%です。国家試験の内容が変わるわけではないのに、なぜここまで下がるのか。理由の1つは、卒業した瞬間に大学の講義・実習・模試・同級生という学習環境がまるごと無くなることです。既卒全体の合格率は54.6%でした。
合格基準も確認しておきます。第120回は、必修問題160点以上/200点、必修を除く一般+臨床実地224点以上/300点、そして禁忌肢(選んではいけない選択肢)の選択が3問以下という3条件でした。禁忌肢は倫理観や患者の安全に関わる選択肢で、点数が足りていてもここで基準を超えると不合格になります。
医者になるまでの費用は350万円〜4,550万円
「医者になるには」の検索候補に「費用」が並ぶとおり、ここが最大の分かれ道になるご家庭は多いはずです。6年間の学費(2026年度入学者)を並べます。

| 区分 | 6年間の学費 | 内訳・備考 |
|---|---|---|
| 国公立大学(標準額) | 349.7万円 | 入学料282,000円+授業料535,800円×6年。東京大学・千葉大学・東京科学大学・山口大学の4校は授業料を642,960円に改定済み(6年で約414万円) |
| 国際医療福祉大学 | 1,850万円 | 私立31校で最も安い |
| 順天堂大学 | 2,080万円 | 私立で2番目に安い |
| 藤田医科大学 | 2,152万円 | 2026年度入学生から828万円の値下げ |
| 私立31校の平均 | 3,163万円 | 中央値は3,420万円 |
| 川崎医科大学 | 4,550万円 | 私立31校で最も高い(学納金ベース)。寮費・食費を含めると約4,740万円 |
| 国公立と私立最高額の差 | 4,200万円 | 倍率にして13.0倍 |
国公立大学は文部科学省令の標準額で計算すると、入学料282,000円+授業料535,800円×6年で349.68万円。一方、私立31校の平均は3,163万円で、最も安い国際医療福祉大学の1,850万円と、最も高い川崎医科大学の4,550万円では2,700万円の差があります。国公立と比べると13.0倍です。※2026-08-25に、寮費・諸会費を含む「総費用ベース」から、大学が学費として公表している「学納金ベース」へ数字をそろえ直しました(旧版は川崎医科大学を4,740万円と記載)。
ただし私立が全部この額というわけでもありません。藤田医科大学は2026年度入学生から828万円下げて2,152万円になりました。自治医科大学と産業医科大学には修学資金の制度があり、一定期間の勤務で返還が免除されます。防衛医科大学校は学費がかからず、学生の身分が国家公務員なので手当が支給されます。地域枠の修学資金を使う手もあります。私立=数千万円と決めつける前に、この4つの選択肢は必ず調べてください。
なお、国立大学の授業料も一律ではなくなりました。医学部を持つ国立大学のうち東京大学・千葉大学・東京科学大学・山口大学の4校が、標準額を上回る年642,960円に改定しています(6年間で約414万円)。「国立はどこでも350万円」という前提も、そろそろ更新が必要です。
太宰府アカデミーの視点
ここまでの数字を、志望校選びにどう使うか。3つだけ挙げます。
1つ目は、「6年で医師になれる確率」を偏差値と並べて見ておくこと。入試の難易度と入学後の6年間は、必ずしも同じ方向を向いていません。データを見る限りでは、入学時の偏差値が同じくらいの大学どうしでも、6年ストレートの割合には20ポイント以上の開きがあります。どちらが良い・悪いという話ではなく、卒業試験でしっかり絞る方針の大学と、進級判定を毎年こまかく行う大学とでは、6年間の過ごし方が変わるということです。志望校の6年間の数字を一度は見ておくと、入学後の生活がイメージしやすくなります。
2つ目は、費用を「6年分」ではなく「9年分」で考えること。初期研修中は給与が出ますが、医学部6年間と、その前の浪人期間の生活費・受験費用は持ち出しです。学費だけを比べて志望校を決めると、実際の資金計画とずれます。修学資金や地域枠を使う場合は、返還免除の条件(勤務年数・勤務地・診療科の指定)まで読み込んでから判断してください。条件は大学と自治体によってかなり違います。
3つ目は、「1回で通る」ことに意味がある試験だと知っておくこと。第120回のデータでは、新卒94.7%に対して2回目は71.9%、3回目は42.7%でした。この差は本人の能力というより、環境が変わることの影響が大きいと考えられます。同じことは大学受験にも言えます。浪人が悪いという話ではまったくありません。ただ、勉強を続ける環境をどう確保するかが結果を左右する、という構造は入試も国試も共通しています。志望校を選ぶときに「入学後にどんな環境で6年間を過ごすことになるか」まで見ておくと、判断の材料が1つ増えます。
よくある質問
Q1. 医学部を卒業するのは何歳ですか。
現役合格なら18歳入学・24歳卒業です。1浪なら25歳、2浪なら26歳が卒業年齢の目安になります。医師国家試験は卒業年度の2月に行われるので、卒業と免許取得はほぼ同時期です。
Q2. 医者として働き始められるのは何歳からですか。
医師免許は24歳で取得できますが、2年間の初期臨床研修が義務なので、一人で診療科を持って働けるのは26歳からが標準です。専門医の資格まで取るなら29歳以降(領域によっては31歳以降)になります。年齢そのものは研修医は何歳からでくわしく扱っています。
Q3. 国家試験に落ちたらどうなりますか。
医学部は卒業しているものの医師免許がない状態になり、翌年2月の試験を待つことになります。第120回のデータでは、2回目の受験での合格率は71.9%、3回目は42.7%です。受験は年1回しかなく、回数制限はありません。
Q4. 医学部の学費がいちばん安いのはどこですか。
国公立大学が標準額で6年間349.7万円(授業料を上限に設定した4校は約414万円)、私立では国際医療福祉大学の1,850万円が最も安くなります。自治医科大学・産業医科大学・防衛医科大学校は、修学資金や公務員としての身分により実質負担が大きく下がります。
まとめ
今回は「医者になるには何年かかるのか」を、2026年時点の一次データで整理しました。要点は7つです。
・医学部はどの大学も6年制(学校教育法)。18歳で入学した場合、医師免許は24歳(6年)、専門医は最短29歳(11年)。専門研修が5年の皮膚科などは13年(31歳)。初期研修2年は医師法で義務なので、実質のスタートは26歳
・国の統計では、臨床研修医の平均年齢は27.7歳(2024年末・18,257人)。まっすぐ進んだ研修医の24〜26歳より上
・専門研修は19の基本領域で3〜5年。その科の医師の平均年齢は、19科では救急科41.9歳がいちばん若い
・入学後の関門は、進級/共用試験CBT・OSCE/臨床実習/卒業試験/医師国家試験の5つ
・2023年4月からCBT・OSCEは公的な試験になり、全国共通の基準で合否が決まる
・6年ストレートで医師になれるのは約81.7%。金沢大学97.4%・自治医科大学96.9%のような大学がある一方、60%台の大学もある
・6年間の学費は国公立349.7万円、私立は国際医療福祉大学1,850万円〜川崎医科大学4,550万円(学納金ベース)。私立平均は3,163万円
この記事を書き直したのは、4年前の版に「2020年の第114回国家試験は92.1%」といった数字が残ったままだったからです。医者になるまでの道のりは、制度も金額も動きます。最新の数字で見てほしいと思って、全部入れ替えました。
まず明日やってほしいことを1つだけ挙げます。志望校リストに、偏差値と学費だけでなく「6年で医師になれる確率」の列を足してください。金沢大学97.4%、自治医科大学96.9%のような数字は公表資料から誰でも計算できます。この1列があるだけで、6年後の自分の姿がずいぶん具体的になります。
あわせて読みたい
・【2025】医学部「6年でストレートに医師になれる確率」ランキング全81大学|進級率×卒業率×国試合格率
・医学部の学費|国公立350万・私立1,850〜4,550万円
・全医学部 偏差値ランキング(共通テストボーダー含む)
・研修医は何歳から?最短24歳・平均27.7歳|研修は2年
・医師免許の取り方|5つの関門と最短24歳・既卒は54.6%
本日の記事は以上です。
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後藤 登(Goto Noboru)
仕事:総務・広報・完全個別指導コース担当
自己PR:高校・大学ボクシング部。釣りや登山が好き。新卒で当校に勤めて13年目。医学部受験の情報を調べて、ブログやInstagram、Twitterを更新しています。4年前から完全個別指導コースのコース担当。
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