受付時間:7:00~22:00(年中無休) 092-918-0666 ご相談・資料請求 LINE公式アカウント X
お知らせ・ブログTOPICS / BLOG

医者に向いている人|国が定めた10の資質のうち知識は1つ

2026年08月19日 更新

こんにちは、太宰府アカデミーで広報/完全個別指導コースを担当している後藤です。

「医者に向いている人ってどんな人ですか」——面談でも面接でも、必ず出てくる質問です。

ネットには「冷静な人」「体力がある人」「コミュニケーション能力が高い人」といった答えが並んでいますが、その根拠を示したものを、僕は見つけられませんでした。

ただ、これに公式の答えがひとつだけあります。文部科学省が定める医学教育モデル・コア・カリキュラムの「医師として求められる基本的な資質・能力」10項目です。全国どの医学部を出ても、この10個が卒業時の到達目標になっています。

そして、この10個を見ると意外なことが分かります。純粋に知識を指すのは、10のうち1つだけです。

この記事を開いた方は、たぶんこんなことを思っています。

− 医者に向いてる人って、結局どんな性格の人?

− 科によって向いてる性格って違うの?

− 自分は向いてないんじゃないか

ひとつずつ答えます。

結論:「向いている性格」を示す公的データはない。あるのは国が定めた10の資質

先に答えを出します。

  • どんな性格の人が医師に向いているかを示した公的な統計は、僕が探した範囲では存在しません。だからこの記事では性格の話をしません
  • 代わりに、文部科学省が「医師として求められる基本的な資質・能力」を10項目に定めています。これが唯一の公式な答えです
  • 10のうち、純粋な知識はPS(専門知識に基づいた問題解決能力)の1つだけ。残り9つは姿勢・技能・社会性です
  • 診療科ごとの違いも、性格ではなく働き方のデータで比べられます。長時間労働の割合は産婦人科7.05%、皮膚科0.25%で28倍の開きがあります

国が定めた「医師に求められる10の資質・能力」

医学教育モデル・コア・カリキュラムは、全国の医学部が共通して教えるべき内容を文部科学省が定めた基準です。現行は令和4年度改訂版で、全293ページあります。

その第1章に、卒業までに身につける10の資質・能力が並んでいます。

医師に求められる基本的な資質能力10項目 プロフェッショナリズムからコミュニケーション能力まで
医師に求められる10の資質・能力。赤いPSだけが純粋な知識(出典:文部科学省「医学教育モデル・コア・カリキュラム(令和4年度改訂版)」第1章)

2文字のアルファベットは、コアカリで実際に使われている記号です(学内では「PR-01」のように使います)。それぞれの中身はこちらです。

記号 資質・能力 英語 区分(当塾の分類) 中身
PR プロフェッショナリズム Professionalism 姿勢 信頼・思いやり・教養・生命倫理
GE 総合的に患者・生活者をみる姿勢 Generalism 姿勢 令和4年度改訂で新設。全人的な視点、地域、人生、社会の4つの視点
LL 生涯にわたって共に学ぶ姿勢 Lifelong Learning 姿勢 卒業してからも学び続けること
RE 科学的探究 Research 技能 研究の考え方と手法
PS 専門知識に基づいた問題解決能力 Problem Solving 知識 10項目のうち、純粋に知識を指すのはここだけ
IT 情報・科学技術を活かす能力 Information Technology 技能 令和4年度改訂で新設
CS 患者ケアのための診療技能 Clinical Skills 技能 診察・検査・治療の技能
CM コミュニケーション能力 Communication 社会性 患者・家族との対話
IP 多職種連携能力 Interprofessional Collaboration 社会性 看護師・薬剤師・技師などと組んで働く力
SO 社会における医療の役割の理解 Medicine in Society 社会性 制度・公衆衛生・医療経済

令和4年度の改訂で新しく入ったのがGE(総合的に患者・生活者をみる姿勢)IT(情報・科学技術を活かす能力)の2つです。地域医療・在宅医療・緩和ケア・終末期といった内容が、GEの下に正面から入っています。

10のうち、純粋な知識は1つだけ

この表でいちばん伝えたいのがここです。

10項目のうち、知識そのものを指しているのはPS(専門知識に基づいた問題解決能力)だけです。残りを分けると、姿勢が3つ(PR・GE・LL)、技能が3つ(RE・IT・CS)、社会性が3つ(CM・IP・SO)になります。

つまり「医学部=暗記」というイメージと、国が定めている到達目標は、かなり違います。PRの下には「誠実さ」「省察」「思いやり」「品格・礼儀」「生命倫理」が並び、IPには看護師・薬剤師・技師と組んで働く力が入っています。

「自分は暗記が得意じゃないから医者に向いていない」と思っている高校生に、いちばん伝えたいのがこの1点です。国が求めているものの9割は、暗記以外のところにあります。

もうひとつ。この10項目は、そのまま面接の答えになります。「医師に必要な資質は何だと思いますか」と聞かれたときの公式の答えが、ここに書かれています。

その10項目を、医学部の6年間でどう身につけるのか

コアカリは全国の医学部が共通して教えるべき最低限の部分を定めたもので、残りは各大学の独自性にゆだねられています。つまりどの大学に入っても、この10項目は共通の目標になります。

6年間のおおまかな流れはこうです。学年の割り振りは大学ごとに違うので、「制度上いつ何が置かれるか」の枠組みとして見てください。

時期 主な内容 制度上の根拠
1〜2年 教養・基礎医学(解剖・生理・生化学など)、早期体験実習 モデル・コア・カリキュラム
3〜4年 基礎医学の後半と臨床医学(内科・外科など各科の講義)、臨床推論 モデル・コア・カリキュラム 第2章
4年の終わり 共用試験 CBT・OSCE 医師法(令和3年改正・令和5年4月1日施行)
合格後 Student Doctor として臨床実習へ 同上
4〜6年 診療参加型臨床実習(ポリクリ・クリクラ) コアカリ+診療参加型臨床実習実施ガイドライン
6年 臨床実習後OSCE(Post-CC OSCE)、卒業試験 コアカリ/各大学
6年の2月 医師国家試験 医師法

ここでいちばん大きいのが4年の終わりにある共用試験(CBT・OSCE)です。令和3年の医師法改正(令和5年4月1日施行)で、共用試験に合格した医学生は、指導医の監督のもとで医業を行えることが法律に明記されました。

それまでは「実質的に違法性がない」という解釈で運用されていたものが、法的な位置づけを持った制度に変わったということです。学生が患者さんを診るときは、学生であることを告げて承諾を得ることもガイドラインで決まっています。

10項目のうちCS(患者ケアのための診療技能)やCM(コミュニケーション能力)は、この臨床実習で身につけるものです。入試の時点で持っている必要はありません。

「科別に向いている性格」も、データでは言えない

「医者 性格 科」という検索も、この記事によく来ています。ただ、診療科ごとの性格適性を示した公的なデータも、見つけられませんでした。

そこで、性格の代わりに働き方の違いを見ていただきます。こちらは国が調べています。

時間外休日労働が年1860時間を超える医師の割合は産婦人科7.05%と皮膚科0.25%で28倍の差
科によって違うのは性格ではなく働き方(出典:厚生労働省 医政局「医師の働き方改革の施行に向けた準備状況調査」令和4年3〜4月)

厚生労働省が病院勤務医43,718人を対象に調べた、時間外・休日労働が年1,860時間相当を超える医師の割合です。産婦人科7.05%に対して皮膚科0.25%。28倍の開きがあります。

診療科 所属医師数 1,860時間超 割合
1 産婦人科 2,128 150 7.0%
2 脳神経外科 1,321 76 5.8%
3 外科 4,883 248 5.1%
4 救急科 1,400 43 3.1%
5 小児科 2,508 70 2.8%
6 総合診療 515 11 2.1%
7 整形外科 2,257 48 2.1%
8 内科 12,340 220 1.8%
9 麻酔科 2,408 41 1.7%
10 形成外科 848 14 1.7%
11 泌尿器科 1,306 21 1.6%
12 耳鼻咽喉科 1,476 18 1.2%
13 病理 635 7 1.1%
14 精神科 1,534 12 0.8%
15 眼科 1,791 11 0.6%
16 リハビリテーション科 375 2 0.5%
17 放射線科 2,075 6 0.3%
18 皮膚科 1,602 4 0.2%
19 臨床検査 184 0 0.0%
全体 43,718 1,034 2.4%

この表は「どの科がきついか」を決めるものではありません。緊急対応が構造的に多い科と少ない科がある、という事実を示しているだけです。分娩や緊急手術のように時間が読めない業務の有無が、そのまま数字に出ています。

科ごとの人数・平均年齢・女性比率も見ておきます。

診療科 医師数 全体に占める割合 平均年齢 病院で働く割合 女性比率(病院勤務)
1 内科 62,161 18.8% 59.3歳 35.2% 22.2%
2 整形外科 22,630 6.8% 52.5歳 64.8% 7.6%
3 臨床研修医 18,257 5.5% 27.7歳 100.0% 34.7%
4 小児科 18,009 5.4% 51.3歳 60.9% 38.4%
5 精神科 17,259 5.2% 52.6歳 71.6% 24.1%
6 消化器内科(胃腸内科) 16,251 4.9% 48.1歳 75.2% 19.4%
7 循環器内科 13,596 4.1% 48.5歳 81.7% 13.8%
8 眼科 13,436 4.1% 53.7歳 36.0% 42.9%
9 外科 12,341 3.7% 53.9歳 81.8% 9.7%
10 産婦人科 11,188 3.4% 50.0歳 63.7% 49.2%
11 麻酔科 10,628 3.2% 45.9歳 94.2% 43.3%
12 皮膚科 10,043 3.0% 51.4歳 38.9% 57.2%
13 耳鼻いんこう科 9,330 2.8% 53.2歳 43.2% 28.4%
14 泌尿器科 8,069 2.4% 49.9歳 73.4% 10.9%
15 脳神経外科 7,574 2.3% 51.5歳 83.4% 8.1%
16 放射線科 7,533 2.3% 48.2歳 92.2% 25.2%
17 呼吸器内科 7,271 2.2% 46.1歳 85.7% 22.8%
18 糖尿病内科(代謝内科) 6,168 1.9% 46.4歳 75.5% 38.1%
19 脳神経内科 5,976 1.8% 47.9歳 87.9% 23.6%
20 腎臓内科 5,832 1.8% 46.0歳 78.3% 31.4%

女性比率は皮膚科57.2%から心臓血管外科7.0%まで開いています。平均年齢も救急科41.9歳から内科59.3歳まで幅があります。「向いている性格」よりも、こうした数字のほうが具体的に比べられます。

そもそも、科は18歳で決めません

もうひとつ、この記事で必ず伝えたいことがあります。

2026年度の専攻医採用は19領域あわせて9998人で内科3129人が最も多い
科を選ぶのは医師免許を取った2年後(出典:厚生労働省 医道審議会 医師分科会 医師専門研修部会 資料1・令和8年7月15日)

診療科が決まるのは、医師免許を取ってから2年後です。医学部の6年間も、そのあとの初期臨床研修2年も、どの科に進む人も同じ内容を学びます。26歳のときに、19の基本領域から1つを選びます。

2026年度は9,998人が専攻医になりました。領域ごとの内訳はこちらです。

診療科 2018年度 2026年度 2018年度比 全体に占める割合
1 内科 2,670 3,129 +17.2% 31.3%
2 外科 805 996 +23.7% 10.0%
3 整形外科 552 773 +40.0% 7.7%
4 精神科 441 547 +24.0% 5.5%
5 小児科 573 543 -5.2% 5.4%
6 救急科 267 527 +97.4% 5.3%
7 麻酔科 495 495 +0.0% 5.0%
8 産婦人科 441 478 +8.4% 4.8%
9 泌尿器科 274 352 +28.5% 3.5%
10 眼科 328 341 +4.0% 3.4%
11 放射線科 260 290 +11.5% 2.9%
12 総合診療 184 282 +53.3% 2.8%
13 脳神経外科 224 269 +20.1% 2.7%
14 耳鼻咽喉科 267 262 -1.9% 2.6%
15 皮膚科 271 259 -4.4% 2.6%
16 形成外科 163 210 +28.8% 2.1%
17 リハビリテーション科 75 129 +72.0% 1.3%
18 病理 114 91 -20.2% 0.9%
19 臨床検査 6 25 +316.7% 0.3%
19領域の合計 8,410 9,998 +18.9% 100.0%

「自分は外科に向いていないから医学部はやめよう」という判断は、8年も早いということになります。実際、初期研修で回ってみて志望が変わる人は珍しくありません。

太宰府アカデミーの視点|面接で「向いている人」を聞かれたら

ここまでを、受験生と保護者の方がどう使えばいいかを書きます。

まず面接で「医師に必要な資質は」と聞かれたら、コアカリの10項目が公式の答えです。ただし10個を暗記して並べるのはおすすめしません。1つか2つを選んで、自分の経験と結びつけて話すほうが伝わります。「多職種連携」なら部活でのポジション、「生涯にわたって共に学ぶ姿勢」なら受験勉強そのものが材料になります。

次に、「向いていないかもしれない」という不安は、この10項目で確かめてみてください。10のうち9つは、いまの成績では測れないものです。医学部に入ってから伸ばすことを前提に設計されています。

ただし入試の段階でも、まったく見られていないわけではありません。私立31校のうち面接の配点を公表しているのは14校だけですが、岩手医科大学・杏林大学・昭和医科大学・東京慈恵会医科大学・東邦大学・日本大学・大阪医科薬科大学・福岡大学などは、募集要項に「面接の評価が著しく低い場合は、学力の得点にかかわらず不合格とする」という趣旨を明記しています。「面接は配点が小さいから軽い」という読み方は、大学の要項と食い違います。

三つめに、診療科を早く決めようとしなくて大丈夫です。むしろ「いまは決めていません。初期研修で回ってから決めます」と言えるほうが、制度を理解している受験生に見えます。志望動機に科を出すなら、「なぜ興味を持ったか」までセットで話せる科にしてください。

最後に。この記事の数字は全国の平均です。同じ科でも勤務先によって働き方はまったく違います。数字は科の輪郭をつかむために使ってください。

まとめ

「医者に向いている人」への答えをまとめます。

  • 性格の適性を示す公的なデータはありません。あるのは文部科学省が定める10の資質・能力です
  • 10のうち純粋な知識はPSの1つだけ。残り9つは姿勢3つ・技能3つ・社会性3つです
  • 令和4年度改訂で「総合的に患者・生活者をみる姿勢」と「情報・科学技術を活かす能力」が新設されました
  • 科ごとの違いは性格ではなく働き方に出ます。年1,860時間超の割合は産婦人科7.05%、皮膚科0.25%で28倍の差です
  • 科を決めるのは医師免許を取った2年後。2026年度は9,998人が19の領域から1つを選びました
  • 10項目は全国の大学で共通の目標です。CSやCMは4年の共用試験に受かったあとの臨床実習で身につけるもので、入試の時点で持っている必要はありません

いま「自分は医者に向いていないかもしれない」と思っている方は、この10項目をもう一度見てください。そこに書かれているのは、いまのあなたの性格ではなく、6年かけて身につけるものです。

この記事を書いたのは、根拠のない「向いている性格」の話で、進路をあきらめてしまう高校生を見たくないと思ったからです。国が公式に定めた到達目標があるのに、そこにたどり着けないまま性格診断のような記事だけを読んでしまうのは、もったいないことだと思います。

あわせて読みたい

本日の記事は以上です。
最後まで読んでいただきありがとうございます!


◆太宰府アカデミーの自己PR

当校は福岡県にある日本で唯一の全寮制医学部受験予備校です。

【当校の特徴】
定員30名|21年間の累計医学部医学科合格実績518名(のべ数)|田舎の全寮制|全国各地から入学(2026年度生は全国20の都道府県より入学)|異次元の生活サポート|食事が美味しい(土日祝日問わず3食提供)|講師との距離が近い|プロ講師の質問対応が充実|完全個別指導コースあり|選抜国公立コースあり|専用筋トレジムあり|同じ夢を持った仲間と1年間切磋琢磨し、医学部合格を目指す

【校風】アットホームな大家族予備校

◆筆者プロフィール

後藤 登(Goto Noboru)
仕事:総務・広報・完全個別指導コース担当
自己PR:高校・大学ボクシング部。釣りや登山が好き。新卒で当校に勤めて13年目。医学部受験の情報を調べて、ブログやInstagram、Twitterを更新しています。4年前から完全個別指導コースのコース担当。

◆連絡先

TEL:092-918-0666
メール:office@dazaifu.academy
Twitter:twitter.com/dazaifu_academy

◆太宰府アカデミーグループ紹介

詳しく知りたい方は下記をクリック!

福岡県の医学部受験専門予備校 太宰府アカデミー(少人数授業コース)>>トップページはこちら

福岡県の医学部受験専門予備校 太宰府メディカル(完全個別指導コース)>>トップページはこちら