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医学部の地域枠は入りやすい?合格最低点を36組で比較|2027年度入試

2026年09月27日 更新

こんにちは、福岡の医学部予備校で広報を担当している後藤です。

本日は、面談で「合格に一歩でも近づきたい」という相談のときに、けっこう話題に出るのに、意外と正しく理解されていない制度についてお話しします。地域枠です。

検索では「医学部 地域枠 受かりやすい」「地域枠は一般枠よりレベルが下がる?」といった言葉で調べられています。「医学部 地域枠」と一緒に「後悔」「デメリット」「やめたほうがいい」と調べる人もいます。期待と不安が入り混じっているのが、そのまま出ている感じですね。

そこで今回は、大学が公表している入試結果を集め直して、同じ大学・同じ年・同じ試験で、地域枠と一般の合格最低点を並べてみました(2021〜2026年度)。あわせて、河合塾が出している2027年度入試の予想ボーダーも、地域枠と一般で比べています。

みなさんが本当に気にしているのは、たぶんこの3つだと思います。

− 地域枠って、一般選抜より受かりやすいって本当?

− 修学資金がたくさん出る枠ほど、みんなが狙って逆に難しいんじゃない?

− 定員1〜2人の枠って、結局は運じゃないの?

この3つに、数字で正面からお答えします。一つずつ深掘りしていきます!

 

医学部の地域枠は受かりやすい?|先に答えを3つ

結論から言うと、一般選抜どうしで比べれば、地域枠の合格最低点は一般より低いことがほとんどです。ただし、例外が2つあります。

  • ① 一般選抜では、ほとんど地域枠のほうが低い。比べられた36組のうち33組で、地域枠の最低点が一般を下回りました(帝京・岩手医科・昭和医科・関西医科・千葉・弘前・鳥取・和歌山県立医科、2022〜2026年度)
  • ② 修学資金の大きい大学では、地域枠のほうが難しいことがある。東北医科薬科大学は、河合塾の2027年度の予想ボーダーで地域枠2つがどちらも67.5、一般枠は65.0です
  • ③ 定員1〜2人の枠は、年によって大きく動く。帝京大学の県別の地域枠は、2年・6県ぶんだけで最低点が208〜240点(300点満点)に散らばりました

推薦(学校推薦型選抜)は話が別で、調べた9組のうち7組は地域枠のほうが高い点でした。ここは一般選抜と混ぜずに、あとで分けて見ます。

「入りやすいなら狙いたい」と思うのは自然なことです。ただ、その入りやすさには中身があります。順番に見ていきましょう。

 

地域枠と一般の合格最低点|一般選抜は36組中33組で地域枠が低い

僕の見立ての1つめは「地域枠は、基本的に一般選抜より入りやすい」です。これを確かめます。

まず「同じ条件で比べる」ところから。ここでは同じ大学・同じ年度・同じ試験(一般選抜)で、地域枠1つと一般の最低点を比べたものを「1組」と数えています。満点は大学ごとに違うので、図は満点に対する割合(得点率)で描きました。

医学部の地域枠と一般選抜の合格最低点の得点率。千葉大学千葉県地域枠 2026年度は一般70.4%・地域枠60.5%、昭和医科大学山梨県枠 2026年度は65.0%・52.3%、関西医科大学静岡県枠 2026年度は59.2%・51.6%。逆転した帝京大学群馬県枠 2026年度は75.7%・79.3%、岩手医科大学地域枠C・D 2025年度2次は69.8%・72.8%。一般選抜の36組中33組で地域枠が低い
出典:各大学公表の入試結果(2022〜2026年度・一般選抜)。国公立は河合塾Kei-Net「国公立大入試 合格最高点・最低点・平均点一覧」
大学(年度) 低い組/全組 差の範囲(点)
帝京
2025〜26年度
11/12 −34〜+11
岩手医科
2022〜26年度
4/5 −12〜+12
昭和医科
2026年度
5/5 −51〜−20
関西医科
2026年度
2/2 −38〜−16
千葉
2024〜26年度
3/3 −146〜−61
弘前
2024〜26年度
3/3 −111〜−9
鳥取
2024〜26年度
2/3 −60.1〜+9.7
和歌山県立医科
2024〜26年度
3/3 −50.37〜−15.5
合計
2022〜2026年度
33/36 —

※「1組」=同じ大学・同じ年度・同じ試験(一般選抜)で、地域枠1つと一般の合格最低点を比べたもの。差=地域枠の最低点−一般の最低点(満点は大学で違うので、大学をまたいで点の大小は比べない)。試験と満点:帝京=2次300点、岩手医科=2次400点、昭和医科=Ⅰ期の1次400点、関西医科=500点、国公立4校=前期の総合点(1,300〜1,950点)。群馬大学は平均点しか公表していないので入れていない。出典:各大学公表の入試結果(国公立は河合塾Kei-Net「合格最高点・最低点・平均点一覧」)

36組のうち33組で、地域枠のほうが最低点が低くなりました。8大学のどこでも、低い組のほうが多数です。満点に対する割合で見て差がいちばん大きかったのは昭和医科大学の山梨県枠(2026年度)で、一般の260点に対して209点。400点満点で51点の差です。国公立では千葉大学の千葉県地域枠(2026年度)が、一般枠より146点(1,475点満点)低くなっています。

大学ごとの点数は、次の2つの表にまとめました。「◯◯大学 地域枠 難易度」で調べている方は、ここで志望校の行を見てください。

大学・枠 一般 地域枠 差
昭和医科・新潟県 260 211 −49
昭和医科・静岡県 260 226 −34
昭和医科・茨城県 260 240 −20
昭和医科・山梨県 260 209 −51
昭和医科・長野県 260 212 −48
関西医科・大阪府 296 280 −16
関西医科・静岡県 296 258 −38

※2026年度。昭和医科大学は一般選抜Ⅰ期の1次(400点満点・2次の最低点は非公表)、関西医科大学は一般選抜の正規合格者(500点満点)。出典:昭和医科大学「入試データ」、関西医科大学「令和8年度 医学部入試状況」

大学 年度 一般枠 地域枠 差
千葉 2026 1,039 893 −146
千葉 2025 990 929 −61
千葉 2024 985 913 −72
弘前 2026 1,491 1,380 −111
弘前 2025 1,418 1,409 −9
弘前 2024 1,075 1,044 −31
鳥取 2026 1,248.8 1,197.2 −51.6
鳥取 2025 1,298.2 1,238.1 −60.1
鳥取 2024 1,226.4 1,236.1 +9.7
和歌山県立医科 2026 832.75 794.5 −38.25
和歌山県立医科 2025 913.63 898.13 −15.5
和歌山県立医科 2024 834.25 783.88 −50.37

※前期日程の合格最低点(共通テスト+2次の総合点)。満点は千葉1,475点(2024年度は1,450点)・弘前1,950点(2024年度は1,500点)・鳥取1,620点(2024年度は1,600点)・和歌山県立医科1,300点。地域枠は千葉=千葉県地域枠・弘前=青森県定着枠・鳥取=鳥取県枠・和歌山県立医科=県民医療枠A。赤字は地域枠のほうが高かった年。出典:河合塾Kei-Net「国公立大入試 合格最高点・最低点・平均点一覧」

地域枠のほうが高かった3組|帝京・岩手医科・鳥取

逆転した3組は、帝京大学の群馬県枠(2026年度・一般227点に対して238点)、岩手医科大学の地域枠C・D(2025年度の2次・一般279点に対して291点)、鳥取大学の鳥取県枠(2024年度・一般1,226.4点に対して1,236.1点)です。

3つとも、前か後ろの年では地域枠のほうが低くなっています。つまり「この大学の地域枠は難しい」と決まっているわけではなく、その年だけ逆になったという形です。1年分の逆転だけを見て「地域枠のほうが不利な大学」と決めつけるのは危ない、ということでもあります。

推薦は別物|9組中7組で地域枠のほうが高い

学校推薦型選抜は、一般選抜とは試験の中身も受ける人も違うので、同じ物差しでは比べません。そのうえで推薦だけを見ると、地域枠のほうが最低点が高い組が9組中7組ありました。

大学・枠 一般公募 地域枠 差
東京医科・茨城県 113 108 −5
東京医科・新潟県 113 119 +6
東京医科・埼玉県 113 110 −3
東京医科・群馬県 113 119 +6
兵庫医科・2025年度 293 317 +24
兵庫医科・2024年度 250 252 +2
兵庫医科・2023年度 255 272 +17
兵庫医科・2022年度 278.3 295.7 +17.4
兵庫医科・2021年度 289 292.8 +3.8

※学校推薦型選抜。東京医科大学は2026年度(172点満点)。兵庫医科大学は一般公募と地域指定制(430点満点・2021〜2025年度)。赤字は地域枠のほうが高かったもの。兵庫医科の地域指定制は、修学資金も卒業後の勤務義務もない枠(大学公式)。出典:東京医科大学「2026年度 医学部医学科 入学者選抜実施結果」、兵庫医科大学「入試結果」

東京医科大学(2026年度)は、4県の地域枠のうち新潟県と群馬県が一般公募を6点上回りました(172点満点)。兵庫医科大学の「地域指定制」は、2021〜2025年度の5年すべてで一般公募より高い点です。ただしこの地域指定制は、出身地などの条件があるだけの推薦枠で、修学資金も卒業後の勤務義務もないと大学が明記しています。「推薦の地域枠は難しい」とひとまとめにせず、枠の中身まで見てください。

 

地域枠の難易度を河合塾ボーダーで|東北医科薬科は67.5対65.0

ここからは、僕の見立ての2つめです。「修学資金が2,500万〜3,000万円ほどと大きい大学では、むしろ地域枠のほうが難しくなる」。代表が東北医科薬科大学です。

東北医科薬科大学の一般選抜には、2027年度入試で3つの枠があります。一般枠(40名)、大学が6年間で3,000万円を貸す「修学資金枠 宮城A」(10名)、そして「東北5県定着枠」(25名)です。学費は6年で3,700万円なので、宮城Aは学費の大半を大学が貸す枠です(臨床研修のあと、宮城県が指定する医療機関で10年働くと返還が免除されます。小児科・産婦人科は8年)。

ところが、この大学は枠ごとの合格最低点を公表していません。一般選抜は3つの枠を合わせた1行だけです。そこで、河合塾が予想する2027年度入試のボーダー(9月版)で比べました。

河合塾の2027年度入試の予想ボーダーを一般と地域枠で比べた図。東北医科薬科は一般枠65.0・修学資金枠宮城Aと東北5県定着枠67.5、岩手医科は一般62.5・地域枠C・D 60.0。杏林の東京都地域枠と北里の相模原市枠は一般と同じ。16校中14校が同じ値
出典:河合塾 2027年度入試難易予想ランキング表(方式別ランク・私立)9月版(2026年9月7日現在)
大学 一般 地域枠 差
東北医科薬科 65.0 67.5(2枠) +2.5
岩手医科 62.5 60.0(2枠) −2.5
慶應義塾 72.5 72.5 ±0
順天堂 70.0 70.0(7枠) ±0
日本医科 70.0 70.0(5枠) ±0
大阪医科薬科 67.5 67.5 ±0
関西医科 67.5 67.5(2枠) ±0
杏林 65.0 65.0(3枠) ±0
藤田医科 65.0 65.0 ±0
近畿 65.0 65.0(3枠) ±0
帝京 65.0 65.0(6枠) ±0
日本 65.0 65.0(4枠) ±0
獨協医科 62.5 62.5(2枠) ±0
兵庫医科 62.5 62.5 ±0
北里 62.5 62.5 ±0
川崎医科 60.0 60.0(3枠) ±0

※河合塾 2027年度入試難易予想ランキング表(方式別ランク・私立)9月版(2026年9月7日現在)。ボーダー偏差値は2.5刻み。一般は各大学の主たる方式(順天堂=A方式、日本=N1期、近畿=前期A、兵庫医科=A4一般、東北医科薬科=一般枠)。( )は河合塾が地域枠として値を載せている枠の数で、同じ大学の枠はすべて同じ値。東北医科薬科の2枠=修学資金枠 宮城A・東北5県定着枠、岩手医科の2枠=地域枠C・D。慶應義塾の1枠=栃木県地域枠(2026年度から1名)

河合塾が地域枠にもボーダーを付けている私立16校のうち、14校は一般と同じ値でした。違うのは2校だけで、東北医科薬科は地域枠のほうが2.5高く、岩手医科は2.5低い。僕の見立ては、東北医科薬科については河合塾の予想とも合っています。

ただし、正直に書いておくことが2つあります。

1つめ。修学資金が大きい枠が、どこでも難しくなるわけではありません。東京都の地域枠は、都が杏林大学で6年4,420万円(生活費を含む)、日本医科大学で2,920万円、順天堂大学で2,800万円を貸します。北里大学の相模原市枠は、学費の全額を相模原市が貸します。それでも河合塾のボーダーは、どれも一般と同じ値でした。東北医科薬科でも、大学からの貸与がない東北5県定着枠まで67.5です。金額だけで決まっているわけではありません。

2つめ。ボーダーは2.5刻みの予想で、実際の合格最低点は年ごとに動きます。岩手医科大学は、地域枠C(6年2,160万円)・D(2,200万円)のボーダーが一般より2.5低い60.0なのに、2025年度の2次の最低点は地域枠C・Dのほうが12点高くなりました(400点満点)。

年度 一般 地域枠C・D 差
2026年度 283.5 282 −1.5
2025年度 279 291 +12
2024年度 275 268 −7
2023年度 276 264 −12
2022年度 269 260 −9

※岩手医科大学 一般選抜の2次(400点満点)の合格最低点。2026年度は大学公式「入試結果」、2022〜2025年度は河合塾Kei-Netの集計(大学公表値)

5年のうち4年は地域枠のほうが低く、2025年度だけ逆転しています。「修学資金の大きい枠は、年によって一般より難しくなることがある」までは数字で言えます。でも「いつも難しい」とまでは言えない、というのが正直な答えです。

 

定員1〜2人の地域枠はギャンブル|帝京は2年で最低点が32点ぶれた

見立ての3つめです。帝京大学は、県ごとの地域枠(定員1〜2人)の合格最低点を1枠ずつ公表している、数少ない大学です。2025年度と2026年度の2年分を並べました(一般選抜・2次・300点満点)。

帝京大学の県別地域枠の合格最低点と一般選抜との差。群馬県枠は2025年度−16点から2026年度+11点、福島県枠は−34点から−11点、新潟県枠は−14点から−5点、千葉県枠は−5点から−7点、静岡県枠は−23点から−19点
出典:帝京大学「2025年度入試結果」「2026年度入試結果」(大学公式PDF)
枠(定員) 2025年度 2026年度 倍率(2026)
一般(76) 245 227 29.6倍
群馬(2) 229 238 39.0倍
福島(2) 211 216 76.0倍
新潟(1) 231 222 105.0倍
千葉(2) 240 220 51.0倍
静岡(2) 222 208 40.7倍
茨城(2) 228 216 38.0倍

※帝京大学 一般選抜の2次(300点満点)の合格最低点。定員は2026年度(群馬県枠は2025年度は1名)。倍率=受験者÷合格者。2025年度の倍率は一般44.8倍、県別の枠は21.7〜82.0倍。赤字は一般より高かった枠。出典:帝京大学「2025年度入試結果」「2026年度入試結果」(大学公式PDF)

群馬県枠は、2025年度は一般より16点低かったのに、2026年度は一般を11点上回りました。福島県枠は、一般より34点低い年のあとに、11点低い年が来ています。同じ2026年度・同じ試験でも、枠によって208点(静岡県枠)から238点(群馬県枠)まで30点違います。

2年・6県の12個の最低点は、208〜240点の32点の幅に散らばっています。この幅は、一般選抜の最低点が2012〜2026年度の15年間に動いた幅(202〜245点・43点)の74%にあたります。一般選抜が15年かけて動いた幅に、定員1〜2人の枠は2年分だけで近づいている、ということです。

理由まで断定はできませんが、仕組みははっきりしています。定員が1〜2人なら、合格者1〜2人の点数がそのまま最低点になります。その年にどんな人が何人受けたかで、最低点も倍率も大きく動く。実際、倍率は同じ2026年度でも茨城県枠38.0倍から新潟県枠105.0倍まで開き、福島県枠は2025年度の21.7倍から2026年度は76.0倍になりました。

ちなみに、帝京で修学資金がいちばん大きいのは新潟県枠(6年で3,660万円)ですが、2026年度の最低点は一般より5点低い222点でした。一方、2026年度に一般を上回った群馬県枠は6年1,800万円(義務10年)です。ここでも、お金の大きさと最低点はそろって動いていません。

もう1つ。帝京の2027年度の県別の枠は計11名の予定で、そのうち10名は臨時定員です。大学は文部科学省へ認可を申請する予定としていて、2026年7月の時点では確定していません(帝京大学「入学試験要項2027」)。定員の小さい枠は、席の数そのものが年で変わることもあります。

「前の年は低かったから今年も」は、定員1〜2人の枠では通用しません。前年の最低点は目安の1つにとどめて、一般選抜の最低点に届く力を目標にしておくと、どちらに転んでも慌てずに済みます。

 

地域枠の義務と返還|原則9年・借りた年数の1.5倍

ここまでは「入りやすさ」の話でした。ここからは、その代わりに約束することです。一般選抜と並べるとこうなります。

項目 一般選抜 地域枠
出願 全国から 出身地・住所の条件がつく枠がある(全国から出せる枠も)
併願 できる 一般枠と併願できない枠や、合格したら入学する約束の枠がある
最低点 — 一般選抜では低いことが多い(36組中33組)。逆転もある
お金 家庭で払う 修学資金(働けば返還免除)がつく枠と、つかない枠がある
卒業後 自由 原則9年以上、県のプログラムで働く(研修2年を含む)
やめたら — 修学資金を一括で返す。利息は年10%の県が多い

※枠の条件は大学・都道府県ごとに違う。出典:厚生労働省「キャリア形成プログラム運用指針」、慶應義塾「医学部一般選抜(栃木県地域枠)について」(併願不可の例)ほか各大学・各都道府県の募集要項

いちばん大きいのは、卒業後の働き方です。厚生労働省の「キャリア形成プログラム運用指針」は、地域枠の医師が県のプログラムで働く期間を「原則として、9年間以上」とし、そのうち医師の少ない地域などで4年以上働く形を求めています。都道府県の修学資金の義務も、原則は「就業開始後9年間以上」か「貸与期間の1.5倍以上」です。

現役で入学してストレートで卒業しても、9年が終わるのは33歳。18歳のときの選択が、30代前半までの働き方を決めます。

留年にも注意が要ります。義務の年数が「借りた年数の1.5倍」で決まる制度では、留年した年も借り続けると借りた期間が7年になり、義務は9年から10.5年に延びる計算です。一方で、大阪府や山形県のように、留年した年は貸与を止める制度もあります。自分の枠がどちらなのかは、要項で確かめてください。

途中でやめると、借りた修学資金は一括で返します。利息は年10%とする県が多いです。同じ運用指針には、このプログラムは県と医師の契約であり、医師は「満了するよう真摯に努力しなければならない」と書かれています。軽い気持ちで抜けられる制度ではありません。

もっとも、実際に抜けた人は多くありません。平成20〜令和5年度に地域枠で入学した14,173人のうち、義務から離脱したのは579人(4.1%)です(厚生労働省の検討会資料・2026年4月)。修学資金の金額(大学や県によって6年で数百万円〜4,000万円台)、離脱の理由、結婚や介護で動けなくなったときの扱いは、医学部の地域枠とは?(修学資金の額・義務・離脱)にまとめています。

 

太宰府アカデミーの視点|出願前に見る3つの数字

僕がお伝えしたいのは、「地域枠は”入試のテクニック”ではなく”人生の設計”」として考えてほしい、ということです。合格最低点が低いという一点だけを見て出願を決めると、入学後に「こんなはずじゃなかった」となりかねません。逆に、地元の都道府県で腰を据えて医療をやりたいという軸がある人にとっては、修学資金のつく枠なら学費の心配も減らしながら、その道にまっすぐ進める制度です。

そのうえで、入りやすさを自分で確かめるために、出願前に次の3つを見てください。

医学部の地域枠に出願する前に見る3つ。地域枠と一般の最低点を3年分並べる、定員と倍率を見る、義務の年数と中身を募集要項で読む
出典:太宰府アカデミー作成(義務の年数は厚生労働省「キャリア形成プログラム運用指針」)
見るもの 読み方
① 最低点を3年分
入試結果ページ
地域枠と一般を同じ年・同じ試験で並べる。無ければ河合塾のボーダー
② 定員と倍率
募集要項
1〜2人の枠は1人で最低点も倍率も動く。前年の点を当てにしない
③ 義務の中身
要項・県の案内
原則9年・研修2年を含むか・診療科の指定・留年で延びるか・返還

※太宰府アカデミー作成。義務の年数は厚生労働省「キャリア形成プログラム運用指針」による

1つめは、大学が枠ごとの最低点を出していれば、それをそのまま使えます。この記事で使った帝京大学・昭和医科大学・関西医科大学・岩手医科大学がそうです。国公立なら、千葉大学・弘前大学・鳥取大学・和歌山県立医科大学などは河合塾の一覧でも枠ごとの点が見られます。東北医科薬科大学のように枠を合わせて1行で出す大学は、河合塾のボーダーで代わりに見るしかありません。

2つめは、この記事でいちばん伝えたかったところです。定員1〜2人の枠は、前年の最低点を当てにしない。帝京の群馬県枠のように、1年で一般との差が入れ替わることがあります。

3つめは、9年の中身です。臨床研修の2年が含まれるか(東北医科薬科の宮城Aは含まないので、研修と合わせて12年)、診療科の指定があるか、留年したら延びるか。ここは要項の文字を、自分の目で読んでください。

地域枠で入った生徒ほど、9年後の自分をイメージできているかどうかで、入学後の6年間の踏ん張りが変わってきます。目的がはっきりしている生徒は強い。ここは受験期のうちに、家族と一緒に整理しておく価値があります。

 

よくある質問|地域枠はレベルが下がる?後悔する?

Q1. 地域枠は、一般枠よりレベルが下がるのですか?

A. 一般選抜どうしなら、合格最低点は地域枠のほうが低いことが多いです(36組中33組)。ただ、差の大きさは大学と年で違い、逆転する年もあります。推薦の地域枠は、9組中7組で一般公募より高い点でした。入学したあとは、同じ授業を受けて、同じ医師国家試験を受けます。

Q2. 地域枠で入って後悔する人は多いのですか?

A. 「後悔した人」を数えた国の統計はありません。数字があるのは「義務から離脱した人」で、平成20〜令和5年度に地域枠で入学した14,173人のうち579人(4.1%)です(厚生労働省の検討会資料・2026年4月)。離脱の理由や、離脱と一時中断の違いは地域枠のお金と離脱の記事に書いています。

Q3. 地域枠の合格最低点は、どこで調べられますか?

A. 大学の「入試結果」のページです。帝京大学・昭和医科大学・関西医科大学・岩手医科大学は、地域枠の最低点を一般と分けて出しています。東北医科薬科大学のように枠を合わせて1行で出す大学や、群馬大学のように平均点だけを出す大学もあります。そのときは河合塾のボーダーが目安になります。

 

まとめ|医学部の地域枠は入りやすいか

  • 一般選抜どうしで比べると、地域枠の合格最低点は36組中33組で一般より低い(帝京・岩手医科・昭和医科・関西医科・千葉・弘前・鳥取・和歌山県立医科、2022〜2026年度)
  • 逆転は3組(帝京の群馬県枠 2026年度・岩手医科の地域枠C・D 2025年度・鳥取の鳥取県枠 2024年度)。推薦では9組中7組で地域枠のほうが高い
  • 河合塾の2027年度の予想ボーダーは、16校中14校で地域枠も一般と同じ。東北医科薬科だけ地域枠が高く(67.5対65.0)、岩手医科は低い(60.0対62.5)
  • 定員1〜2人の枠は年で大きく動く。帝京大学の県別の枠は2年で208〜240点、一般が15年で動いた幅の74%
  • 入りやすさと引き換えに、原則9年以上の勤務。借りた年数の1.5倍で決まる制度は、留年すると延びることがある

明日からできることは1つです。志望校の地域枠と一般の最低点を、大学の入試結果ページで3年分並べてみてください。定員が1〜2人の枠なら、前年の点は当てにしない。そのうえで募集要項の「義務年限」「勤務地の範囲」「診療科の指定」「やめたときの返還」を読めば、その枠が本当に入りやすいのか、そして9年を引き受けられるのかが見えてきます。

「合格に近づきたい」という気持ちに応えたくて、今日はあえて数字の甘くない部分まで書きました。地域枠は基本的には入りやすい。けれど、東北医科薬科大学のように修学資金の大きい大学では逆に地域枠のほうが難しいこともあるし、定員1〜2人の枠は年によってギャンブルになります。制度を正しく知ったうえで選べば、後悔はぐっと減ります。

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本日の記事は以上です。

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当校は福岡県にある日本で唯一の全寮制医学部受験予備校です。

【当校の特徴】
定員30名|21年間の累計医学部医学科合格実績518名(のべ数)|田舎の全寮制|全国各地から入学(2026年度生は全国20の都道府県より入学)|異次元の生活サポート|食事が美味しい(土日祝日問わず3食提供)|講師との距離が近い|プロ講師の質問対応が充実|完全個別指導コースあり|選抜国公立コースあり|専用筋トレジムあり|同じ夢を持った仲間と1年間切磋琢磨し、医学部合格を目指す

【校風】アットホームな大家族予備校

◆筆者プロフィール

後藤 登(Goto Noboru)
仕事:総務・広報・完全個別指導コース担当
自己PR:高校・大学ボクシング部。釣りや登山が好き。新卒で当校に勤めて13年目。医学部受験の情報を調べて、ブログやInstagram、Twitterを更新しています。4年前から完全個別指導コースのコース担当。

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TEL:092-918-0666
メール:office@dazaifu.academy
Twitter:twitter.com/dazaifu_academy

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