こんにちは、福岡の医学部予備校で総務/広報を担当している後藤です。
9月は、第2回の全統記述模試が返ってくる時期です。「復習が大事なのは分かるけど、いつ、何をやればいいのか分からない」。毎年この時期に、いちばん多く受ける相談です。
解き直しと復習のタイミングを調べた研究を読むと、答えはかなりはっきりしていました。効いているのは「もう一度解いたこと」ではなく、「答え合わせ」と「日をあけること」でした。
この記事では、研究の数字を「40人のクラスで20位の人が何位くらいになるか」という形に置き換えています。元の数字は、記事の最後の表にまとめました。
こう思っていませんか。
− 模試は、解き直せば解き直すほど伸びるんでしょ?
− 復習は、返ってきたその日にやるのがいちばんでしょ?
− 判定が悪かったら、まずそこを反省すべきでしょ?
3つとも、研究の結果は少し違いました。
この記事の目次
結論|模試の復習は「その日に答え合わせ」「日をあけて解き直し」
- 返ってきた日は、答え合わせだけでいい。答え合わせをしないと、解けなかった問題の解き直しは効果がほぼありません
- 解き直しは、日をあけてから。次の模試が1か月半後なら、11日後が目安です
- 判定と順位は、最後に見る。点数や順位を先に見ると、かえって成績が下がることがあります
返ってきた模試でやることは、記事の後半で5つの手順にまとめました。
答え合わせをしないと、解き直しの効果はほぼゼロ
解き直しの効果を調べた実験をまとめた分析(2014年)は、「読み直すだけの人」と比べて、解き直した人がどれだけ伸びたかを条件ごとに出しています。

| やり方 | 40人中20位の人が |
|---|---|
| 答え合わせをして解き直す | 9位くらい |
| 答え合わせをせずに解き直す | 14位くらい |
| 最初にほとんど解けなかった問題を、答え合わせせずに解き直す | 20位のまま |
※読み直すだけの人と比べたとき。実験室での研究をまとめた分析(2014年)
答え合わせをして解き直すと、40人中20位の人が9位くらいまで上がる差でした。答え合わせをしないと14位くらい。そして、最初にほとんど解けなかった問題を、答え合わせせずに解き直すと、20位のままでした。
つまり、効いているのは「もう一度解いたこと」ではなく、思い出せたことと答えを確かめたことです。解けない問題を、解答を見ずに何度解いても、何も起きません。
学校の授業で確かめた222本の研究をまとめた分析(2021年)でも、解き直しは何もしないよりはっきり伸びました(20位→11位くらい)。ただし、まとめノートや要約と比べると、差はほとんどありません(20位→18位くらい)。ノートをやめて、解き直しだけにする必要はありません。
解けなかった問題は、必ず解答で確かめてから解き直す。ノートやまとめは、やめなくていい。
解き直すのは「次の模試までの約4分の1」の日
「いつ復習するか」を、大人1,354人で試した実験(2008年)があります。覚えてから復習するまでの日数と、テストまでの日数を変えて、どの組み合わせがいちばん忘れにくいかを調べました。

| 答え合わせから次のテストまで | 解き直すのにいちばんよかった日 |
|---|---|
| 約1週間後 | 翌日 |
| 約1か月半後 | 11日後 |
| 約3か月後 | 3週間後 |
| 約1年後 | 3週間後 |
次のテストが1か月半後なら11日後、3か月後なら3週間後に解き直すのが、いちばんよい結果でした。早すぎても、遅すぎても効果は下がります。目安は次のテストまでの日数の約4分の1。1年先のテストでも3週間後がいちばんよく、それ以上あけても効果は上がりませんでした。
「1日後→3日後→1週間後」と間隔をだんだん広げる方法もよく聞きますが、29本の研究をまとめた分析(2021年)では、同じ間隔で繰り返す方法と差がありませんでした。複雑なスケジュールを組む必要はありません。
模試が返ってきたら、次の模試の日付を見て、解き直す日を1日だけカレンダーに書く。
判定と順位は、最後に見る
テストの結果の伝え方(フィードバック)を調べた607件の研究をまとめた分析(1996年)では、3件に1件以上で、結果を伝えたことでかえって成績が下がっていました。
下がりやすいのは、注意が「問題」から「自分」に向くときだとされています。判定、順位、人との比較は、まさにその形です。反対に、「どこをどう直すか」に目が向く伝え方は、成績を上げる側に働きやすいとされています。
判定は消せません。でも、見る順番は変えられます。
まず設問ごとの正誤を見る。判定と順位は、そのあとで見る。
太宰府アカデミーの視点|返ってきた模試でやる5つの手順
ここまでの研究を、返却日からの動きにまとめました。

| 手順 | やること |
|---|---|
| 1. 返却日は答え合わせだけ | 間違えた問題に印をつける |
| 2. 止まった場所を1行書く | 解答を読んで「どこで詰まったか」 |
| 3. 約4分の1の日に解き直す | 解答を見ずに。1か月半後なら11日後 |
| 4. 形式は本番に合わせる | マーク式はマーク、記述式は記述で |
| 5. 判定と順位は最後に見る | 先に設問ごとの正誤を見る |
①と③を分けているのは、答え合わせは早いほどよく、解き直しは日をあけたほうがよいからです。②の「止まった場所を1行書く」は、注意を「自分」ではなく「問題」に向けるための手順です。④の「形式を本番に合わせる」は、222本の研究をまとめた分析で、本番と同じ形式で解き直したほうが伸びたことによります。大学入学共通テストの対策ならマーク式で、久留米大学や福岡大学のような私立の記述なら記述式で解き直す、ということです。
志望校が国公立大学でも私立大学でも、この5つは同じです。模試の点数がどこまで行けば届くのかは模試で何点取れば医学部に受かるのかに、ボーダーに届いていない状態からの合格がどれくらい起きているかは医学部の逆転合格は起きているのかにまとめています。
模試の復習についてよくある質問
Q. 解き直しは何回やればいいですか
回数が多いほど伸びる傾向はあります。ただし、毎回答え合わせを挟むことが先です。答え合わせなしで回数だけ増やしても、解けなかった問題はほとんど伸びません。
Q. 模試の復習だけで、志望校の対策になりますか
なりません。解き直しで伸びるのは、主に模試に出た範囲です。出なかった範囲まで伸びるかは、研究では確かめられていません(2018年の分析)。志望する大学の出題範囲は、過去問で別に埋めてください。
Q. 数学も同じですか
数学に絞った分析(2025年)では、解き直しの効果がはっきりとは確認されていません(研究が7本と少ないため)。数学は、解き直しに加えて、解説を読んで「なぜその解き方になるのか」を確かめる時間も取ってください。
この記事で使った研究(元の数字)
本文では、効果の大きさを「40人のクラスで真ん中(20位)だった人が何位くらいになるか」に置き換えました。成績が正規分布だと仮定して、研究の効果量を順位に直す一般的な方法(Cohen の U3)です。模試の順位や偏差値がそのまま変わるという意味ではありません。研究の対象は、小学生から大学生、大人までさまざまです。
| 研究 | わかったこと(元の数字) |
|---|---|
| Rowland(2014) Psychological Bulletin 140(6) |
実験室の研究159件をまとめた分析(読み直しと比べた効果量 g)。 答え合わせあり 0.73/なし 0.39/なし・初回正答率50%以下 0.03(95%区間 −0.21〜0.27)。※学校の授業での研究は含まない |
| Yang ほか(2021) Psychological Bulletin 147(4) |
学校の授業で行った222研究・のべ48,478人(小学生〜大学生)。 何もしない相手 0.610/読み直し相手 0.330/要約・ノート相手 0.095(有意でない)/本番と形式が同じ 0.531・違う 0.399/高校段階 0.655 |
| Cepeda ほか(2008) Psychological Science 19(11) |
大人1,354人・26条件の実験。 復習から本番までが7・35・70・350日のとき、最初の学習から復習までは1・11・21・21日が最もよかった。論文の表現は「本番までの日数の約20%(1年先では約5%)」。本文では答え合わせの日から数えた日数に直した(11÷46=24%、21÷91=23%) |
| Latimier ほか(2021) Educational Psychology Review 33(3) |
29研究。間隔をだんだん広げる方法と、同じ間隔の方法の差 g=0.034(有意差なし) |
| Kluger & DeNisi(1996) Psychological Bulletin 119(2) |
131論文・607件・12,652人。結果を伝えることの平均効果 d=0.41。ただし38%超で成績が下がった |
| Pan & Rickard(2018) Psychological Bulletin 144(7) |
192件。出版バイアスを補正すると、学習したが出題されなかった内容への効果は確認できなかった |
| Murray ほか(2025) Educational Psychology Review 37(3) |
数学に絞った分析。解き直しと読み直しの差 g=0.18(95%区間が0をまたぐ・研究7本) |
まとめ
- 答え合わせをしないと、解けなかった問題の解き直しは効果がほぼゼロ(20位のまま)
- 答え合わせをして解き直すと、40人中20位の人が9位くらいまで上がる差でした
- 解き直しは、次の模試までの約4分の1の日に1回。1か月半後なら11日後、3か月後なら3週間後
- 間隔をだんだん広げる必要はありません
- 判定と順位は最後に。結果の伝え方の研究では、3件に1件以上で成績が下がっていました
今日やることは1つです。次の模試の日付を確かめて、その約4分の1の日に「解き直し」と書き込んでください。大学入学共通テストでも私立大学の2次試験でも、この置き方は変わりません。
「模試は復習が大事」とだけ言い続けてきたことを、少し反省しています。いつ、何をやるかが決まっていなければ、手は動きません。そこまで書きたくて、この記事にしました。
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本日の記事は以上です。
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後藤 登(Goto Noboru)
仕事:総務・広報・完全個別指導コース担当
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