こんにちは、福岡の医学部予備校で総務・広報を担当している後藤です。
本日のブログも、ずっと気になっていた検索ワードについて書きます。
「聖マリアンナ医科大学 Fラン」。大学名を入れると、検索候補にこの言葉が並びます。あわせて「レベル」「恥ずかしい」も出てきます。
Fランというのは、そもそも公式な定義がある言葉ではありません。もともとは「志願者が少なくて、入試の合格ラインが成立しない大学」を指す俗称として使われはじめました。
では、その意味に聖マリアンナ医科大学は当てはまるのか。今回は口コミを1つも使わず、文部科学省・厚生労働省・河合塾が公表している数字だけで確かめます。
− Fランって言われてるけど、志願者が少なくて誰でも入れるんでしょ?
− 医学部の中では、いちばん下のグループなんでしょ?
− 入っても、国家試験で苦労するんでしょ?
この3つに、順番に数字でお答えします。
この記事の目次
実質競争倍率23.35倍は、全国81大学のなかで3位でした
まず「志願者が少ない」という話から。文部科学省が公表している2025年度入試の実数——志願者・受験者・合格者の人数を、全国81大学で並べ替えるとこうなります。

| 順位 | 大学 | 実質競争倍率 | 志願者数 | 合格者数 |
|---|---|---|---|---|
| 1位 | 帝京大学 | 35.25倍 | 9,826人 | 268人 |
| 2位 | 埼玉医科大学 | 24.54倍 | 5,234人 | 193人 |
| 3位 | 聖マリアンナ医科大学 | 23.35倍 | 5,334人 | 205人 |
| 4位 | 獨協医科大学 | 20.66倍 | 4,568人 | 202人 |
| 5位 | 金沢医科大学 | 19.97倍 | 5,763人 | 267人 |
| 6位 | 産業医科大学 | 17.32倍 | 2,179人 | 115人 |
| 7位 | 日本医科大学 | 17.24倍 | 4,093人 | 218人 |
| 8位 | 東海大学 | 16.79倍 | 5,478人 | 305人 |
| 9位 | 自治医科大学 | 14.78倍 | 1,903人 | 123人 |
| 10位 | 近畿大学 | 14.62倍 | 4,320人 | 280人 |
聖マリアンナ医科大学は5,334人が志願し、4,787人が受験して、合格は205人。実質競争倍率23.35倍で、全国81大学中3位でした。受験した人のうち4.3%しか合格していません。
出典:文部科学省「医学部医学科の入学状況及び国家試験合格状況等について」(令和7年12月公表)1〜2ページをもとに太宰府アカデミー集計(2025年度入試・実質競争倍率=受験者数÷合格者数)
Fランの元の意味は「志願者が少なくて合格ラインが成立しない」でした。5,334人が志願して205人しか受からない大学は、その意味の正反対にあります。募集人員117人に対して志願者は45.6倍です。
ボーダー偏差値は1985年の47.5から2027年予想62.5へ
次に「昔から入りやすかったんでしょ」という話。河合塾のボーダー偏差値を、公表されている年でさかのぼって並べました。

| 年 | 河合塾ボーダー偏差値 | 備考 |
|---|---|---|
| 1975年 | 47.5 | いちばん低い年 |
| 1985年 | 47.5 | いちばん低い年 |
| 1995年 | 57.5 | |
| 2010年 | 65.0 | ピーク |
| 2015年 | 62.5 | |
| 2023年 | 62.5 | |
| 2026年 | 62.5 | |
| 2027年予想 | 62.5 |
いちばん低かった1975年・1985年が47.5で、2027年度入試の予想は62.5。40年で15.0ポイント上がっています。親世代が受験した頃の記憶で語られている「入りやすい大学」というイメージは、いまの数字とは合いません。
正直に書くと、この大学のピークは2010年の65.0で、そこからは62.5で横ばいです。上がり続けているわけではありません。ただ、62.5というのは私立31校のうち9校が並ぶ帯で、ここが医学部の「いちばん下のグループ」かというと、そうではないというのが次の話です。
出典:河合塾 全統模試ボーダー偏差値(2026年度一般前期時点・2027年度は予想値)をもとに太宰府アカデミー集計
合格者平均63.1は私立31校で21位|英語だけは14位です
ボーダー偏差値は2.5刻みなので、同じ数字の大学がまとまって並びます。もう少し細かく見るために、河合塾の入試結果調査(2026年度入試)に載っている「実際に合格した人の記述模試の平均偏差値」で並べ直します。
聖マリアンナ医科大学は総合63.1で私立31校中21位。科目別に見ると、英語64.4(14位)・理科62.6(23位)・数学62.4(23位)です。
英語だけが総合の順位より7つ上にきています。合格している人の英語の水準が、他の科目より1段高いということです。この大学を受けるなら、ここは押さえておいて損はありません。
出典:河合塾 入試結果調査(2026年度入試)をもとに太宰府アカデミー集計(合格者の全統記述模試 英・数・理の平均偏差値。推薦・総合型の合格者を含みます)
なお、この合格者平均はボーダー偏差値(合格可能性50%ライン)とは別の数字です。並べて引き算するための数字ではありません。
入ったあとの6年間|卒業率は私立平均より上、国家試験は下でした
3つめの「入っても国家試験で苦労するんでしょ」。ここは、いい数字も悪い数字もそのまま出します。

| 項目 | 聖マリアンナ医科大学 | 比べる相手 |
|---|---|---|
| 6年次進級率 | 84.3% | ― |
| 6年ストレート卒業率 | 84.3% | 私立31校の平均 81.1%(私立9位) |
| 第119回 医師国家試験 | 90.0% | 私立31校の平均 95.0% |
| 第120回 医師国家試験 | 90.4% | 全国の総合計 91.6%/私立 92.5% |
| うち新卒 | 91.3% | 全国の新卒 94.7% |
| うち既卒 | 81.8% | 全国の既卒 54.6% |
6年ストレート卒業率は84.3%で、私立31校の平均81.1%を上回りました(私立9位)。入学した人のうち、6年ちょうどで卒業できた人の割合です。
一方で、医師国家試験の合格率は第119回が90.0%で、私立31校の平均95.0%を下回っています。直近の第120回(2026年2月実施)は115人が受験して104人が合格=90.4%で、全国の総合計91.6%と比べるとやや下です。
ただし内訳を見ると、既卒の合格率は81.8%でした。全国の既卒平均は54.6%なので、27.2ポイント上回っています。一度落ちた人が翌年しっかり戻ってきている、という読み方ができます。
出典:文部科学省「医学部医学科の入学状況及び国家試験合格状況等について」(令和7年12月公表)8〜9ページ(2019年度入学者が第119回国家試験を受けるまでの追跡)/厚生労働省「第120回医師国家試験の合格発表について」(2026年3月16日)
この2つの国家試験の数字は、集計しているところも範囲も違います。第119回のほうは文部科学省が2019年度入学者を追いかけた調査の一部、第120回のほうは厚生労働省が発表した学校別の合格状況です。並べて引き算をするための数字ではありません。国家試験は年に1回なので、1年だけを見て判断しないでください。
学費3,482万円|31校を金額順に並べると真ん中あたりです
「学費が高いからお金で入れるんでしょ」という話も、あわせて数字で見ておきます。
| 年次 | 納入額 | 内訳の考え方 |
|---|---|---|
| 初年度 | 697万円 | 入学金を含む年 |
| 2〜6年次(各年) | 557万円 | ×5年 |
| 6年間の合計 | 3,482万円 | 私立31校(1,850〜4,550万円)で安いほうから17番目 |
6年間の合計は3,482万円。私立医学部は最も安い国際医療福祉大学が1,850万円、最も高い川崎医科大学が4,550万円で、その間に31校が並びます。2026年8月時点の各大学公表額で並べると、聖マリアンナ医科大学は安いほうから17番目——ちょうど真ん中あたりです。
そして、学費の高さと「お金で入れる」かどうかは別の話です。5,334人が志願して205人しか受からない入試を、お金でどうにかすることはできません。金額は年度で変わるので、出願前に必ず最新の募集要項をご確認ください。
出典:聖マリアンナ医科大学 公表の学費(令和8年度選抜要項で確認)/各大学公表の学納金をもとに太宰府アカデミー集計(学納金ベース。寮費・諸会費は含みません)
太宰府アカデミーの視点|検討するうえで見ておきたい3点
ここまでの数字を踏まえて、聖マリアンナ医科大学を志望校として検討するなら見ておきたいポイントを3つ挙げます。
1つめ。倍率23.35倍は「難易度」ではなく「受けやすさ」も含んだ数字です。倍率が高い大学は、たいてい受験しやすい大学でもあります。試験日程や方式が複数あると志願者が集まって倍率が上がるからです。倍率の高さ=入試問題の難しさ、ではありません。難易度のほうは、ボーダー偏差値62.5と合格者平均63.1で判断してください。
2つめ。合格者の英語の水準が、他の科目より1段高く出ています。英語64.4は私立14位で、数学・理科の23位とは差があります。ただし「英語が得意だから有利」と結論づけないでください。配点と出題形式が自分に合うかどうかは、過去問を解かないと分かりません。まず1年ぶん解いて、時間内に処理できる分量かを確かめてください。
3つめ。入口の数字と、6年間のデータは分けて見てください。卒業率は私立平均より上、国家試験の合格率は私立平均より下、という形になっています。大学にはそれぞれの教育方針があり、数字だけで良し悪しを語れるものではありません。ただ、入学後に何が待っているかを入学前に知っておくことは、どの大学を選ぶにしても意味があります。
そもそも、この記事を書こうと思ったのは「Fラン」という言葉が検索候補に出てくるのが、どうにも嫌だったからです。5,334人が志願して205人しか受からない入試を突破した人に向ける言葉ではないだろう、と思います。
まとめ|「Fラン」は元の意味からも数字からも当てはまりません
聖マリアンナ医科大学について、国と河合塾の公表値だけで確かめた結果をまとめます。
- 実質競争倍率23.35倍で全国81大学中3位。5,334人が志願し、合格は205人。受験者の4.3%しか受かっていません
- ボーダー偏差値は1985年の47.5から2027年予想62.5へ40年で15.0ポイント上昇。ピークは2010年の65.0で、いまは横ばいです
- 合格者平均63.1は私立31校中21位。英語だけは64.4で14位と、他の科目より1段高く出ています
- 6年ストレート卒業率84.3%は私立平均81.1%より上(私立9位)。第120回の国家試験は90.4%で全国91.6%より下ですが、既卒は81.8%で全国の既卒平均54.6%を上回りました
- 学費は6年で3,482万円。31校を金額順に並べると安いほうから17番目です
受験校として検討するなら、まず過去問を1年ぶん解いて、英語の分量と時間配分を確かめてください。合格者の英語の水準が私立14位という数字は、そこを見ておく理由になります。
最後にひとつだけ。ここに並べたのは全部、誰でも見られる公表資料の数字です。「Fラン」と書いている人が、この数字を見て書いているかどうか。そこは考えてみてもいいと思います。
あわせて読みたい
- 昭和医科大学は「恥ずかしい」のか|実質倍率14.55倍は全国11位
- 愛知医科大学は「恥ずかしい」のか|偏差値37.5→65.0の変化
- 私立医学部偏差値ランキング2027|5年で上がったのは1校だけ
- 入りやすい医学部はどこか|倍率ではなく合格者平均偏差値で見る全81校
- 聖マリアンナ医科大学医学部|偏差値・学費・入試日程のまとめ(大学ページ)
では、本日の記事は以上です。
最後まで読んでいただきありがとうございます!
◆太宰府アカデミーの自己PR
当校は福岡県にある日本で唯一の全寮制医学部受験予備校です。
【当校の特徴】
定員30名|21年間の累計医学部医学科合格実績518名(のべ数)|田舎の全寮制|全国各地から入学(2026年度生は全国20の都道府県より入学)|異次元の生活サポート|食事が美味しい(土日祝日問わず3食提供)|講師との距離が近い|プロ講師の質問対応が充実|完全個別指導コースあり|選抜国公立コースあり|専用筋トレジムあり|同じ夢を持った仲間と1年間切磋琢磨し、医学部合格を目指す
【校風】アットホームな大家族予備校
◆筆者プロフィール
後藤 登(Goto Noboru)
仕事:総務・広報・完全個別指導コース担当
自己PR:高校・大学ボクシング部。釣りや登山が好き。新卒で当校に勤めて13年目。医学部受験の情報を調べて、ブログやInstagram、Twitterを更新しています。4年前から完全個別指導コースのコース担当。
◆連絡先
TEL:092-918-0666
メール:office@dazaifu.academy
Twitter:twitter.com/dazaifu_academy
◆太宰府アカデミーグループ紹介
詳しく知りたい方は下記をクリック!






