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医学部の面接に合格サインはあるのか|配点公表14校で検証

2026年09月01日 更新

こんにちは、福岡の医学部予備校で総務・広報を担当している後藤です。

面接が終わった生徒から、毎年いちばん多く聞かれるのがこれです。「面接官がずっとうなずいてくれたんですけど、これって合格サインですか」。逆に「時間が短く終わったので落ちたと思います」という相談も同じくらい来ます。

この記事は、次の3つに答えるつもりで書きました。

− 面接官の態度や時間の長さから、合否は読み取れるのか?

− 面接の配点は、そもそもどれくらいあるのか?

− 配点が小さい大学なら、面接は軽く見ていいのか?

結論から言うと、「合格サイン」を裏づける公表資料は1つも見つかりませんでした。私立医学部31校の2027年度(令和9年度)学生募集要項と入試概要を1校ずつ当たった結果です。

ただし、代わりに分かったことがあります。配点です。そして配点が小さい大学でも、面接だけで不合格になると要項にはっきり書いてあります。この記事では、噂ではなく大学が出している数字だけで書きます。

 

結論|「合格サイン」を裏づける公表資料は1つもありません

先に結論を4つ書きます。

①面接官の態度・時間の長短・雑談の有無から合否が読み取れる、という趣旨のことを書いている大学は1校もありませんでした。そもそも面接官の人数を募集要項に書いている大学が、31校中2校しかありません。よく出回っている「面接官3名」といった話には、公式の裏づけがありません。

②面接の配点を公表しているのは31校中14校です。いちばん高い金沢医科大学が110点、いちばん低い東京慈恵会医科大学と日本大学が30点。同じ「面接」でも3.7倍ちがいます。

③総合点に占める比率は5.0%から22.0%です。川崎医科大学が22.0%でいちばん重く、日本大学が5.0%でいちばん軽い。ただし川崎医科大学の地域枠選抜は面接150点で総合500点の30%になります。同じ大学でも方式によって重みが変わります。

④配点が小さくても、面接だけで落ちます。「面接の評価が著しく低い場合は、学力の得点にかかわらず不合格とする」という趣旨の記載が、12校以上の要項にあります。配点30点の大学も、この中に入っています。

 

面接の配点を公表しているのは31校中14校|110点から30点まで

まず、点数の話から始めます。

私立医学部の一般選抜(前期)で、面接の配点を数字で公表している大学は14校でした。

私立医学部で面接の配点を公表している14校。金沢医科大学110点から東京慈恵会医科大学・日本大学30点まで
出典:各大学が公表している2027年度(令和9年度)学生募集要項・入試概要(2026年8月時点)。一般選抜・前期の配点です
配点 大学 形式 2次での位置づけ
110点 金沢医科 グループ面接(1グループ約20分) 2次170点の65%
100点 昭和医科 個人面接 約10分(Ⅰ期) 2次120点の83%
100点 北里 グループ/個人/両方の複合(10分) 2次200点の50%
100点 川崎医科 個人面接(+段階評価) 学科350点+面接100点
80点 兵庫医科 個人面接(A・4科目型) 2次判定材料130点の62%
50点 岩手医科 個人面接 15分程度 2次で受けるのは面接だけ
50点 東邦 約40分 2次=基礎学力50+面接50
50点 聖マリアンナ医科 公式非記載 2次100点の50%
50点 久留米 公式非記載(前期・後期とも) 2次100点の50%
50点 福岡 グループ面接 4〜6人に面接者3人・40分程度 2次で受けるのは面接だけ
40点 東京医科 2027年度からMMIへ 2次40点
40点 藤田医科 個人面接2回+MMI2回(5段階評価) 2次で受けるのは面接だけ
30点 東京慈恵会医科 MMI 1対1を6回・約60分・評価者6名 2次80点の37.5%
30点 日本 個人面接 約20分(複数の評価者) 2次150点の20%

いちばん高いのが金沢医科大学の110点で、グループ面接を1グループ約20分。次いで昭和医科大学Ⅰ期・北里大学・川崎医科大学が100点です。いちばん低いのが東京慈恵会医科大学と日本大学の30点。その差は3.7倍あります。

形式もばらばらです。個人面接が約10分の大学もあれば、東邦大学のように約40分の大学もある。福岡大学は受験生4〜6人に面接者3人で40分程度のグループ面接です。「医学部の面接」とひと言でくくれる中身ではありません。

残る17校は、そもそも重みが外から分かりません

では、公表していない17校はどうなっているのか。内訳はこうです。

私立医学部31校が面接の配点をどこまで公表しているかの内訳。点数化して配点も公表は14校
出典:各大学が公表している2027年度(令和9年度)学生募集要項・入試概要(2026年8月時点)。一般選抜の面接についての区分です
区分 校数 大学
点数化して配点も公表 14校 金沢医科110点〜日本30点
配点欄が要項にない 8校 自治医科・獨協医科・慶應義塾・順天堂・帝京・東京女子医科・日本医科・東海
「段階評価」と明示 6校 埼玉医科・国際医療福祉・愛知医科・大阪医科薬科・関西医科・近畿
点数化するが配点は非公表 2校 東北医科薬科・杏林
点数化しないと明示 1校 産業医科(ただし『合否判定の際に重視します』と明記)

配点欄が要項にない大学が8校、「段階評価」と明示している大学が6校、点数化はするが配点を出していない大学が2校、点数化しないと明示している大学が1校です。

ここを「配点が無い=軽い」と読まないでください。点数化しないと明示している産業医科大学は、同じ要項に「合否判定の際に重視します」と書いています非公表は「軽い」ではなく「外から重みが分からない」という意味です。

 

面接が総合点に占めるのは5%〜22%|同じ大学でも方式で変わります

配点そのものより、総合点に対する比率のほうが実感に近いと思います。

面接が総合点に占める比率。川崎医科大学22.0%から日本大学5.0%まで
出典:各大学が公表している2027年度(令和9年度)学生募集要項・入試概要(2026年8月時点)。比率は各大学公表の総合点に対する面接配点の割合です
大学 面接の配点 総合点に占める比率
川崎医科 100点 22.0%
金沢医科 110点 21.0%
昭和医科 100点 19.0%
北里 100点 14.0%
兵庫医科 80点 13.0%
岩手医科 50点 12.5%
福岡 50点 11.0%
聖マリアンナ医科 50点 10.0%
久留米 50点 10.0%
東邦 50点 9.0%
東京医科 40点 8.0%
藤田医科 40点 6.0%
東京慈恵会医科 30点 6.0%
日本 30点 5.0%

いちばん重いのが川崎医科大学の22.0%(学科350点+面接100点)、次が金沢医科大学の21.0%、昭和医科大学Ⅰ期の19.0%。いちばん軽いのが日本大学の5.0%です。

ここで見落とされやすい点を1つ。同じ大学でも、方式が変わると重みが変わります。川崎医科大学の地域枠選抜(岡山県・静岡県・長崎県)は、日程も試験科目も一般選抜と同じですが、面接だけ配点が1.5倍の150点になり、総合500点の30%を占めます。金沢医科大学の後期も、面接110点で総合370点の30%です。

自分が出す方式の数字を見てください。「あの大学は面接が軽い」という話は、たいてい前期の一般選抜だけを指しています。

 

配点30点でも不合格になります|要項に書いてある条項

ここがこの記事でいちばん伝えたいところです。

多くの大学が、募集要項に次の趣旨の一文を入れています。「面接の評価が著しく低い場合は、学力試験の得点にかかわらず不合格とすることがある」。

面接の評価が著しく低い場合は不合格と明記する大学の面接配点。30点の大学も含まれる
出典:各大学が公表している2027年度(令和9年度)学生募集要項・入試概要(2026年8月時点)。明記が確認できたのは岩手医科・東北医科薬科・杏林・昭和医科・東京医科・東京慈恵会医科・東京女子医科・東邦・日本・聖マリアンナ医科・大阪医科薬科・福岡ほか
大学 面接の配点 要項の記載
東京慈恵会医科 30点 面接の評価が著しく低い場合は、学力の得点にかかわらず不合格
日本 30点 面接の評価が著しく低い場合は、学力の得点にかかわらず不合格
東京医科 40点 面接の評価が著しく低い場合は、学力の得点にかかわらず不合格
岩手医科 50点 面接の評価が著しく低い場合は、学力の得点にかかわらず不合格
東邦 50点 面接の評価が著しく低い場合は、学力の得点にかかわらず不合格
聖マリアンナ医科 50点 面接の評価が著しく低い場合は、学力の得点にかかわらず不合格

注目してほしいのは配点です。東京慈恵会医科大学と日本大学は面接30点、東京医科大学は40点。総合点の5〜8%しかない大学が、この条項を持っています。

つまり、配点の小ささと、落とす力の強さは別の話です。点数としては5%でも、評価が一定の水準を下回れば学力の得点は見てもらえません。「面接30点だから軽い」という読み方は成り立ちません。

この条項が確認できたのは、岩手医科・東北医科薬科・杏林・昭和医科・東京医科・東京慈恵会医科・東京女子医科・東邦・日本・聖マリアンナ医科・大阪医科薬科・福岡ほかです。自分の受ける大学の要項で、この一文があるかどうかは必ず確かめてください。

 

面接官の人数を要項に書いている大学は31校中2校だけ

「合格サイン」の話に戻ります。

面接の場で起きたことから合否を読み取ろうとするなら、少なくとも誰が何人で、どういう基準で評価しているかが分かっていないと成り立ちません。そこで31校の要項を当たりました。

面接官の人数を明記していたのは、2校だけでした。帝京大学が教員2名、東京慈恵会医科大学がMMI評価者6名(5段階評価)です。残る29校は、要項に人数が書かれていません。

よく出回っている「面接官は3名」「うなずきが多いと通る」といった話は、大学が公表しているものではありません。公式の裏づけがないので、この記事では書きません。

MMIでは、面接官1人の態度は全体の一部にしかなりません

もう1つ、形式の変化があります。MMI(マルチプル・ミニインタビュー)です。複数の部屋を移動しながら、異なる課題を異なる評価者と行う方式です。

東京慈恵会医科大学は、1対1を異なる課題・異なる評価者で計6回、約60分。評価者6名が5段階で評価します。藤田医科大学は個人面接2回+MMI2回。昭和医科大学Ⅱ期は要項に「MMI面接」と明記されています。東京医科大学は2026年8月3日のプレスリリースで、2027年度から一般選抜・共通テスト利用選抜の二次試験にもMMIを導入すると公表しました。

この形式では、1つの部屋で感じた手応えは全体の6分の1でしかありません。1人の面接官がうなずいたかどうかで判断できる構造になっていない、ということです。

 

2次で受けるのが面接だけの大学が4校あります

逆に、面接の比重がはっきり大きい形もあります。二次試験で受けるのが面接だけ、という大学です。

大学 2次で実施する科目 面接の配点
藤田医科 面接のみ(個人面接2回+MMI2回) 40点(5段階評価)
岩手医科 面接のみ(個人面接15分程度) 50点
福岡 面接のみ(グループ面接40分程度) 50点
愛知医科 面接のみ(2027年度から) 非公表

出典:各大学が公表している2027年度(令和9年度)学生募集要項・入試概要(2026年8月時点)。愛知医科大学は大学公式「令和9(2027)年度医学部一般選抜における実施科目の変更について(予告)」(2026年8月31日確認)。予告ページは募集要項の公表で差し替えられることがあります。

藤田医科大学・岩手医科大学・福岡大学、そして2027年度から愛知医科大学が加わります。

ただし「二次は面接だけ」と言い切らないでください。愛知医科大学は小論文を一次試験日に実施し、その評価を一次の判定には使わず二次の判定に使います。この形は珍しくなく、小論文を一次試験日に実施して二次の判定に使う大学は11校あります。正確には「二次で受けるのは面接だけ」です。

 

太宰府アカデミーの視点|手応えではなく、要項の3か所を見る

面接が終わった生徒には、いつも同じことを伝えています。手応えを思い出すより、要項を3か所開いたほうが早いです。

①自分が受けた方式の面接の配点。前期と後期、一般と地域枠で違うことがあります。川崎医科大学は100点と150点で1.5倍違います。

②「著しく低い場合は不合格」の一文があるか。あれば、配点の大小に関係なく面接は独立した関門です。無ければ、点数として合算されます。

③繰上(補欠)合格の有無。多くの私立医学部には繰上合格があり、面接が終わった時点で最終的な結果が決まっているわけではありません。3月末まで席が動く大学もあります。手応えで一喜一憂する時間の使い方としては、割に合いません。

うちの面接指導でも、当日の受け答えの再現より、要項に書いてある評価の仕組みを先に読むことから始めます。読み取れないものを読み取ろうとするより、書いてあるものを読むほうが確実だからです。

もう1つ、生徒によく言うことがあります。面接の準備は、当日の受け答えの練習より、志望理由の中身を固めるほうが先です。MMIのように課題が複数ある形式では、想定問答をいくつ覚えても場面が変わればそのまま使えません。一方で「なぜ医師なのか」「なぜこの大学なのか」は、どの部屋でも形を変えて出てきます。そこがぶれていなければ、質問の切り口が変わっても答えは崩れません。

そして、終わったあとに何度も思い返してしまうのは自然なことだと思います。ただ、そこで消耗するくらいなら、次の大学の要項を1つ開いたほうがいい。面接の配点も条項も大学ごとに違うので、開けば必ず新しい情報が出てきます。

 

よくある質問

Q. 面接が5分で終わりました。落ちたということですか。
A. 判断できません。面接時間は大学によって約10分から約40分まで幅があり、同じ大学でも運用は公表されていません。時間の長短と合否の関係を示した公表資料は見つかりませんでした。

Q. 面接の配点が非公表の大学は、面接を軽く見ていいですか。
A. いいえ。産業医科大学は配点欄が「―」で点数化しないと明示していますが、同時に「合否判定の際に重視します」と明記しています。非公表は「軽い」ではなく「外から重みが分からない」という意味です。

Q. 圧迫面接だったのですが、これは不合格のサインですか。
A. そう決めつける根拠はありません。圧迫的に感じる受け答えが評価方法として意図されているのか、たまたまそう感じただけなのかは、外からは区別できません。当サイトの圧迫面接の記事も、公表資料で確認できる範囲だけを書いています。

Q. MMIは何を見られているのですか。
A. 大学ごとに課題が違うため一律には言えません。確実なのは評価者が複数いて、課題ごとに別々に評価されるという構造です。東京慈恵会医科大学は6回・評価者6名の5段階評価と公表しています。

 

まとめ

医学部の面接に「合格サイン」があるという公表資料は、私立31校の募集要項を当たった範囲では1つもありませんでした。

分かるのは配点です。公表しているのは31校中14校で、金沢医科大学110点からの東京慈恵会医科大学・日本大学30点まで3.7倍の幅があります。総合点に占める比率は、川崎医科大学22.0%から日本大学5.0%まで。川崎医科大学の地域枠選抜は面接150点で30%になります。

そして、配点が小さくても面接だけで落ちます。「著しく低い場合は不合格」という趣旨の記載が12校以上の要項にあり、面接30点の東京慈恵会医科大学・日本大学もそこに含まれます。

面接官の人数を要項に書いている大学は、帝京大学と東京慈恵会医科大学の2校だけです。誰が何人で見ているかも公表されていない場に対して、態度から合否を読み取ろうとするのは、無理のある話だと考えています。

終わったあとに見るべきは手応えではなく、要項に書いてある配点と条項、そして繰上合格の有無です。

 

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本日の記事は以上です。
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◆筆者プロフィール

後藤 登(Goto Noboru)
仕事:総務・広報・完全個別指導コース担当
自己PR:高校・大学ボクシング部。釣りや登山が好き。新卒で当校に勤めて13年目。医学部受験の情報を調べて、ブログやInstagram、Twitterを更新しています。4年前から完全個別指導コースのコース担当。

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