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私立医学部の志願者数と倍率の増減一覧【全31校】2026年度入試

2026年08月21日 更新

こんにちは、太宰府アカデミーで広報/完全個別指導コースを担当している後藤です。

受験校選びの相談が本格化するこの時期、僕が机の横に必ず置いている表があります。私立医学部31校の「志願者がどれだけ増えたか・減ったか」の一覧表です。本日はこの表そのものを、読み方の注意点ごとぜんぶ公開します。

というのもこの数字、「◯◯大学が激増したらしい」という断片的な話は飛び交うのに、全方式がそろった一覧はなかなか見つからないんです。断片だけを聞いて受験校を1つ外す——それがいちばんもったいない決め方だと思っています。

受験生や保護者の方は、こんなふうに思っていませんか?

− 少子化なんだから、医学部の志願者もそろそろ減ってるんでしょ?

− 志願者が急に増えた大学は、避けたほうがいいんでしょ?

− 倍率100倍って、実質も100倍で、もう運ゲーなんでしょ?

一つずつ、数字で答えていきます!

結論:私立医学部の志願者は+4,994人(+4.8%)で増えている

まず全体の結論からです。私立医学部31校の延べ志願者数は、2025年度→2026年度で104,968人から109,962人へ、+4,994人(+4.8%)増えました(両年度に募集がある103方式の合計。代々木ゼミナール調べ・2026年6月時点)。新設・停止された方式まで含めた実数でも105,679人→110,138人(+4.2%)。どちらの数え方でも、はっきり増えています。少子化でも医学部人気は落ちていない、がまず1つ目の答えです。

2026年度入試 私立医学部31校の志願者増減の内訳 増加8校 横ばい12校 減少11校 31校合計は104968人から109962人へ+4994人
私立医学部31校の志願者の増減(出典:代々木ゼミナール調べ・2026年6月13日時点をもとに当塾作成。両年度に募集がある方式の合計)

ただし増えたのは「全体」の話です。大学単位で見ると、増加(指数105%以上)が8校、横ばいが12校、減少(95%未満)が11校。31校が同じ方向を向いたのではなく、明暗がくっきり割れた年でした。だからこの表は平均ではなく、1校ずつ見る必要があります。31校ぶんの一覧がこちらです。

大学 2025志願者 2026志願者 増減 指数
獨協医科大学 4,718 7,202 +2,484 152.6%
帝京大学 9,567 11,196 +1,629 117.0%
埼玉医科大学 5,111 6,315 +1,204 123.6%
東邦大学 2,444 3,393 +949 138.8%
岩手医科大学 2,375 3,123 +748 131.5%
日本大学 3,625 4,134 +509 114.0%
藤田医科大学※ 2,314 2,757 +443 119.1%
兵庫医科大学 2,382 2,806 +424 117.8%
昭和医科大学※ 4,340 4,614 +274 106.3%
近畿大学 3,639 3,804 +165 104.5%
金沢医科大学 5,386 5,516 +130 102.4%
福岡大学 3,180 3,239 +59 101.9%
東京女子医科大学 1,068 1,100 +32 103.0%
愛知医科大学 3,243 3,256 +13 100.4%
東北医科薬科大学 1,882 1,888 +6 100.3%
大阪医科薬科大学※ 3,522 3,494 −28 99.2%
産業医科大学 2,043 2,007 −36 98.2%
自治医科大学 1,903 1,856 −47 97.5%
国際医療福祉大学 3,814 3,692 −122 96.8%
北里大学※ 1,891 1,769 −122 93.5%
東京慈恵会医科大学 1,895 1,755 −140 92.6%
久留米大学 2,136 1,993 −143 93.3%
杏林大学 3,254 3,104 −150 95.4%
関西医科大学※ 4,186 3,966 −220 94.7%
慶應義塾大学 1,410 1,182 −228 83.8%
川崎医科大学 1,324 1,073 −251 81.0%
東京医科大学※ 3,504 3,233 −271 92.3%
順天堂大学 4,444 4,055 −389 91.2%
日本医科大学 4,087 3,681 −406 90.1%
聖マリアンナ医科大学 5,229 4,663 −566 89.2%
東海大学 5,052 4,096 −956 81.1%

※印の6校(北里・昭和医科・東京医科・藤田医科・大阪医科薬科・関西医科)は方式の新設・停止があった大学で、上の合計はその方式を除いた「同じ条件で比べられる分」です。たとえば藤田医科は一般後期を停止したので、停止分まで含めた実数では2,958人→2,757人。方式の付け替えがある大学は、このあとの全方式の表で中身まで見てください。

私立医学部31校・全109方式の志願者増減表【2026年度入試】

それでは本体です。31校・全109方式の募集人員・志願者数・倍率を、2025年度→2026年度の増減つきで2枚にまとめました。色の意味は緑=増加(指数105%以上)・グレー=横ばい(95〜105%)・赤=減少(95%未満)。倍率が赤字になっているのは60倍以上の方式です。

先に、この表の「倍率」の定義だけ確認させてください。ここでの倍率は志願倍率(志願者数÷募集人員)です。合格のしにくさを表す実質倍率(受験者数÷合格者数)とは別物で、数字は大きく変わります。ここを混ぜると受験校選びを間違えるので、後ほど1章使って説明します。

前半:岩手医科大学〜東邦大学

2026年度入試 私立医学部の志願者数増減表の前半 岩手医科大学から東邦大学まで 獨協医科大学の一般前期は志願者5346人で志願倍率102.8倍
私立医学部 志願者増減表・前半(岩手医科大学〜東邦大学)。出典:代々木ゼミナール調べ(2026年6月13日時点)。倍率=志願者÷募集人員(志願倍率)

前半でまず目に入るのは、獨協医科大学の一般前期です。志願者3,415人→5,346人(+1,931人)は全109方式で最大の増加で、志願倍率は65.7倍→102.8倍になりました。埼玉医科大学の一般前期も2,495人→3,442人(+947人)と大きく伸びています。いっぽう帝京大学の一般は9,293人。1つの方式に9千人台が集まるのは私立医学部でここだけです。数字をテキストで確認したい方は、同じ内容をこちらの表にも置いておきます。

大学 方式 2025募集 2025志願者 2025倍率 2026募集 2026志願者 2026倍率 増減 指数
岩手医科大学 一般 73 2,271 31.1倍 73 3,001 41.1倍 +730 132.1%
地域枠C・D 12 104 8.7倍 12 122 10.2倍 +18 117.3%
東北医科薬科大学 一般 75 1,728 23.0倍 75 1,762 23.5倍 +34 102.0%
共テ 5 154 30.8倍 5 126 25.2倍 −28 81.8%
国際医療福祉大学 一般 105 2,972 28.3倍 105 2,802 26.7倍 −170 94.3%
共テ 15 842 56.1倍 15 890 59.3倍 +48 105.7%
自治医科大学 全選抜区分 123 1,903 15.5倍 123 1,856 15.1倍 −47 97.5%
獨協医科大学 一般前期 52 3,415 65.7倍 52 5,346 102.8倍 +1,931 156.5%
一般後期 15 1,042 69.5倍 15 1,391 92.7倍 +349 133.5%
栃木県地域枠 5 195 39.0倍 5 309 61.8倍 +114 158.5%
新潟県地域枠 2 66 33.0倍 2 156 78.0倍 +90 236.4%
埼玉医科大学 一般前期 60 2,495 41.6倍 60 3,442 57.4倍 +947 138.0%
一般後期 20 1,812 90.6倍 20 2,048 102.4倍 +236 113.0%
共テ 10 804 80.4倍 10 825 82.5倍 +21 102.6%
北里大学 一般 75 1,891 25.2倍 65 1,769 27.2倍 −122 93.5%
共テ 5 95 19.0倍
杏林大学 一般 104 2,337 22.5倍 104 1,990 19.1倍 −347 85.2%
共テ 15 917 61.1倍 15 1,114 74.3倍 +197 121.5%
慶應義塾大学 一般 66 1,410 21.4倍 66 1,182 17.9倍 −228 83.8%
順天堂大学 一般A方式 64 2,211 34.5倍 64 1,979 30.9倍 −232 89.5%
一般B方式 5 279 55.8倍 5 296 59.2倍 +17 106.1%
一般地域枠 31 468 15.1倍 30 360 12.0倍 −108 76.9%
共テ併用 12 545 45.4倍 12 509 42.4倍 −36 93.4%
共テ前期 10 683 68.3倍 10 652 65.2倍 −31 95.5%
共テ後期 5 258 51.6倍 5 259 51.8倍 +1 100.4%
昭和医科大学 一般1期 83 2,723 32.8倍 76 2,720 35.8倍 −3 99.9%
一般新潟県地域枠 7 155 22.1倍 7 88 12.6倍 −67 56.8%
一般静岡県地域枠 8 198 24.8倍 8 192 24.0倍 −6 97.0%
一般茨城県地域枠 4 40 10.0倍 4 51 12.8倍 +11 127.5%
一般山梨県地域枠 2 12 6.0倍 2 13 6.5倍 +1 108.3%
一般長野県地域枠 2 40 20.0倍
一般2期 18 1,212 67.3倍 12 1,550 129.2倍 +338 127.9%
帝京大学 一般 76 7,967 104.8倍 76 9,293 122.3倍 +1,326 116.6%
一般福島県地域枠 2 65 32.5倍 2 156 78.0倍 +91 240.0%
一般茨城県地域枠 2 51 25.5倍 2 77 38.5倍 +26 151.0%
一般群馬県地域枠 1 52 52.0倍 2 80 40.0倍 +28 153.8%
一般千葉県地域枠 2 164 82.0倍 2 102 51.0倍 −62 62.2%
一般新潟県地域枠 1 78 78.0倍 1 112 112.0倍 +34 143.6%
一般静岡県地域枠 2 81 40.5倍 2 125 62.5倍 +44 154.3%
共テ3科目方式 8 792 99.0倍 8 870 108.8倍 +78 109.8%
共テ5科目方式 317 381 +64 120.2%
東海大学 一般 60 4,042 67.4倍 60 3,156 52.6倍 −886 78.1%
共テ 10 825 82.5倍 10 702 70.2倍 −123 85.1%
共テ神奈川県地域枠 5 87 17.4倍 5 124 24.8倍 +37 142.5%
共テ静岡県地域枠 3 98 32.7倍 3 114 38.0倍 +16 116.3%
東京医科大学 一般 70 2,686 38.4倍 70 2,495 35.6倍 −191 92.9%
一般新潟県地域枠 2 60 30.0倍
共テ 9 818 90.9倍 9 738 82.0倍 −80 90.2%
東京慈恵会医科大学 一般 105 1,895 18.0倍 105 1,755 16.7倍 −140 92.6%
東京女子医科大学 一般 67 1,068 15.9倍 72 1,100 15.3倍 +32 103.0%
東邦大学 一般 67 2,178 32.5倍 70 2,912 41.6倍 +734 133.7%
一般統一 3 155 51.7倍 5 329 65.8倍 +174 212.3%
一般千葉県地域枠 2 55 27.5倍 2 77 38.5倍 +22 140.0%
一般新潟県地域枠 2 56 28.0倍 2 75 37.5倍 +19 133.9%

スマホの方は表を横にスクロールして見てください(画像のほうが一覧性は高いです)。

後半:日本大学〜福岡大学

2026年度入試 私立医学部の志願者数増減表の後半 日本大学から福岡大学まで 近畿大学の一般後期は志願倍率152.6倍
私立医学部 志願者増減表・後半(日本大学〜福岡大学)。出典:代々木ゼミナール調べ(2026年6月13日時点)。倍率=志願者÷募集人員(志願倍率)

後半は減少側が目立ちます。東海大学の一般は4,042人→3,156人(−886人)、聖マリアンナ医科大学の一般後期は1,606人→1,212人(−394人)。九州の3校では、福岡大学が一般−176人・共テ+235人と方式内で明暗が分かれ、久留米大学と産業医科大学はほぼ横ばいでした。

大学 方式 2025募集 2025志願者 2025倍率 2026募集 2026志願者 2026倍率 増減 指数
日本大学 一般N方式1期 90 2,176 24.2倍 80 2,450 30.6倍 +274 112.6%
一般N方式2期 15 1,449 96.6倍 15 1,684 112.3倍 +235 116.2%
日本医科大学 一般前期 62 1,743 28.1倍 62 1,649 26.6倍 −94 94.6%
一般後期 27 1,283 47.5倍 27 1,146 42.4倍 −137 89.3%
グローバル特別 10 189 18.9倍 10 198 19.8倍 +9 104.8%
一般千葉県地域枠 7 261 37.3倍 7 214 30.6倍 −47 82.0%
一般埼玉県地域枠 2 193 96.5倍 2 136 68.0倍 −57 70.5%
一般東京都地域枠 5 99 19.8倍 5 79 15.8倍 −20 79.8%
一般新潟県地域枠 2 143 71.5倍 2 98 49.0倍 −45 68.5%
一般静岡県地域枠 4 176 44.0倍 4 161 40.2倍 −15 91.5%
聖マリアンナ医科大学 一般前期 75 3,104 41.4倍 75 3,007 40.1倍 −97 96.9%
一般後期 10 1,606 160.6倍 10 1,212 121.2倍 −394 75.5%
共テ 5 519 103.8倍 5 444 88.8倍 −75 85.5%
金沢医科大学 一般前期 72 4,160 57.8倍 72 4,130 57.4倍 −30 99.3%
一般後期 10 1,226 122.6倍 10 1,386 138.6倍 +160 113.1%
愛知医科大学 一般 70 2,179 31.1倍 70 2,254 32.2倍 +75 103.4%
共テ 15 988 65.9倍 15 962 64.1倍 −26 97.4%
共テ愛知県地域枠 5 76 15.2倍 5 40 8.0倍 −36 52.6%
藤田医科大学 一般前期 87 1,625 18.7倍 100 1,938 19.4倍 +313 119.3%
一般後期 10 644 64.4倍
共テ 10 689 68.9倍 10 819 81.9倍 +130 118.9%
大阪医科薬科大学 一般前期 68 1,980 29.1倍 64 1,888 29.5倍 −92 95.4%
一般大阪府地域枠 2 41 20.5倍
一般後期 15 920 61.3倍 15 994 66.3倍 +74 108.0%
共テ 10 622 62.2倍 10 612 61.2倍 −10 98.4%
関西医科大学 一般前期 58 1,907 32.9倍 58 1,797 31.0倍 −110 94.2%
一般大阪府地域枠 4 33 8.2倍 3 41 13.7倍 +8 124.2%
一般静岡県地域枠 8 47 5.9倍 5 47 9.4倍 +0 100.0%
一般新潟県地域枠 2 7 3.5倍
共テ併用 13 847 65.2倍 13 827 63.6倍 −20 97.6%
一般後期 5 366 73.2倍 5 366 73.2倍 +0 100.0%
共テ前期 12 890 74.2倍 12 829 69.1倍 −61 93.1%
共テ後期 2 96 48.0倍 2 59 29.5倍 −37 61.5%
近畿大学 一般前期 55 1,548 28.1倍 55 1,791 32.6倍 +243 115.7%
一般前期大阪府地域枠 2 48 24.0倍 2 24 12.0倍 −24 50.0%
一般前期和歌山県地域枠 1 23 23.0倍 1 23 23.0倍 +0 100.0%
一般前期静岡県地域枠 6 78 13.0倍 6 116 19.3倍 +38 148.7%
一般後期 5 793 158.6倍 5 763 152.6倍 −30 96.2%
一般後期静岡県地域枠 4 158 39.5倍 4 159 39.8倍 +1 100.6%
共テ前期 5 590 118.0倍 5 534 106.8倍 −56 90.5%
共テ中期 3 249 83.0倍 3 283 94.3倍 +34 113.7%
共テ後期 2 152 76.0倍 2 111 55.5倍 −41 73.0%
兵庫医科大学 一般A 72 1,983 27.5倍 69 2,290 33.2倍 +307 115.5%
一般B 10 399 39.9倍 10 516 51.6倍 +117 129.3%
川崎医科大学 一般 45 1,150 25.6倍 45 913 20.3倍 −237 79.4%
一般岡山県地域枠 10 69 6.9倍 10 61 6.1倍 −8 88.4%
一般静岡県地域枠 10 71 7.1倍 10 69 6.9倍 −2 97.2%
一般長崎県地域枠 4 34 8.5倍 4 30 7.5倍 −4 88.2%
久留米大学 一般前期 75 1,493 19.9倍 75 1,448 19.3倍 −45 97.0%
一般後期 5 643 128.6倍 5 545 109.0倍 −98 84.8%
産業医科大学 一般B 5 406 81.2倍 5 385 77.0倍 −21 94.8%
一般A 60 1,462 24.4倍 60 1,480 24.7倍 +18 101.2%
一般C 5 175 35.0倍 5 142 28.4倍 −33 81.1%
福岡大学 一般系統別 60 2,593 43.2倍 60 2,417 40.3倍 −176 93.2%
共テ 10 587 58.7倍 10 822 82.2倍 +235 140.0%

ここからは、この表をどう読むかです。増えた側・減った側の順に見ていきます。

志願者が増えた大学TOP5:獨協医科は+52.6%

2026年度入試で志願者が増えた私立医学部TOP5 獨協医科+2484人 帝京+1629人 埼玉医科+1204人 東邦+949人 岩手医科+748人
志願者が増えた大学TOP5(出典:代々木ゼミナール調べ・2026年6月13日時点をもとに当塾作成)

大学単位で増加が大きかったのは、獨協医科+2,484人(152.6%)、帝京+1,629人(117.0%)、埼玉医科+1,204人(123.6%)、東邦+949人(138.8%)、岩手医科+748人(131.5%)。指数105%以上だった8校の一覧はこちらです。

大学 2025志願者 2026志願者 増減 指数
獨協医科大学 4,718 7,202 +2,484 152.6%
帝京大学 9,567 11,196 +1,629 117.0%
埼玉医科大学 5,111 6,315 +1,204 123.6%
東邦大学 2,444 3,393 +949 138.8%
岩手医科大学 2,375 3,123 +748 131.5%
日本大学 3,625 4,134 +509 114.0%
藤田医科大学※ 2,314 2,757 +443 119.1%
兵庫医科大学 2,382 2,806 +424 117.8%
昭和医科大学※ 4,340 4,614 +274 106.3%

ここで大事なのは「なぜ増えたか」です。増減の理由は大きく3つ——入試日程・学費・席の設計(募集人員と方式)。この3つで、今年の動きはかなりの部分まで説明できます。

最大の理由は入試日程:獨協医科・岩手医科は「受けやすい日」にいた

まず結論から。獨協医科の+2,484人をいちばんよく説明するのは入試日程だと僕は見ています。2026年度の試験日カレンダーを見てください(当塾が毎年作っている実物をそのまま載せます)。

2026年度入試 私立医学部の試験日程カレンダー 2月1日から4日に13校の一次試験が集中し獨協医科の一次2月11日と12日はほぼ単独日程
2026年度 私立医学部 試験日程カレンダー(一般入試)。黄=一次試験日、オレンジ=一次が昨年度から大きく変わった大学、②=二次、赤字=福岡受験可。出典:各大学公表の入試日程をもとに太宰府アカデミー作成(2025年11月30日時点)

注目してほしいのは2月上旬の密集です。2月1日〜4日の4日間に、私立31校のうち13校の一次試験が集中しています。一次試験が同じ日の大学は、どちらか1校しか受けられません。つまりこの帯の中の大学どうしは、同じ受験生を分け合う関係にあります。志願者が「分散する」場所です。

その目で獨協医科を探すと——一次は2月11日・12日。密集帯が終わった後ろの、11日は慈恵と重なるだけ、12日は単独という位置です。カレンダーでオレンジ色(=一次試験日が昨年度から大きく変わった大学)になっているとおり、2026年度に試験日を動かして、この「空いている場所」に着地しました。しかも2日から選べる方式です。どんな併願プランの受験生でも「足そうと思えば足せる」大学になった——志願者が分散せず1校に集まる構図で、後期も3月9日の単独日程で+349人でした。

岩手医科(+748人)も同じ理屈です。一次は1月21日。共通テスト直後、2月の本命ラッシュが始まる前の時期で、同じ日に一次があるのは国際医療福祉だけ。しかも福岡会場でも受けられます。どの層の受験生にも「最初の1校」として組み込みやすい、ほぼ単独の日程です。

実は、2026年度に一次試験日を大きく動かした大学は獨協医科だけではありません。そして動かした先が「空いていたか・混んでいたか」で、志願者は面白いほどきれいに割れました

動かした先 大学(方式) 2026年度の一次 同じ日に一次がある私立 志願者の増減
空いた日程へ 獨協医科(一般前期) 2/11・12 11日は東京慈恵会医科のみ・12日は単独 +1,931人(+56.5%)
埼玉医科(一般前期) 2/8 産業医科のみ +947人(+38.0%)
東邦(一般) 2/7 単独 +734人(+33.7%)
昭和医科(一般2期) 3/7 関西医科(後期)のみ +338人(+27.9%)
混んだ日程へ 川崎医科(一般) 2/1 東京女子医科・日本・久留米と同日 −237人(−20.6%)
杏林(一般) 2/2 日本医科・東海・福岡と同日 −347人(−14.8%)
北里(一般) 2/3 順天堂・東海・金沢医科と同日 −122人(−6.5%)
金沢医科(一般前期) 2/3・4 順天堂・北里・東京医科・藤田医科などと重なる −30人(−0.7%)
単独でも微減 関西医科(一般前期) 1/31 単独 −110人(−5.8%)
(参考)元から単独系 岩手医科(一般)※日程変更なし 1/21 国際医療福祉のみ +730人(+32.1%)

密集帯の外に出た獨協医科・埼玉医科・東邦・昭和医科(2期)はそろって2桁%の増加。逆に密集帯の中へ動いた川崎医科・杏林・北里は、そろって減少です。もちろん日程だけで全部は決まりません。関西医科は1月31日の単独日程でも微減でしたし、密集帯のど真ん中の藤田医科は、次に書く学費の力で増えています。それでも——志願者数の増減を読むときは、まず日程表を横に置く。これが医学部入試の鉄則です。

学費と席の設計でも動く:藤田医科・東邦・北里

2つ目のカギは学費です。密集帯の中(2月4日)にいながら+443人・119.1%だった藤田医科大学は、理由がはっきりしています。2026年度入学者から学費を6年総額2,980万円→2,152万円へ、828万円(約28%)引き下げました(2025年5月発表)。同時に一般前期の募集を87名→100名に増やし、一般後期を停止して前期に集約。「学費を下げて、前期の席を増やした」年に、志願者がそのまま応えた形です。学費の動きは私立医学部 学費ランキング2026に31校ぶんまとめています。

3つ目が席の設計。東邦大学(+949人)は、一般の一次を2月7日の単独日程へ動かしたうえで、募集も67名→70名、一般統一を3名→5名に増やした年でした(日程と席の合わせ技です)。北里大学は共通テスト利用(募集5名)が新たに設けられて95人が出願。一般は募集75名→65名で志願者−122人でしたが、共テ利用を合わせた実数では1,891人→1,864人とほぼ横ばいです。方式の付け替えで「一般だけ見ると減った」ように見える典型例なので、大学単位と方式単位の両方を見てください。

志願者が減った大学TOP5:東海は−18.9%

2026年度入試で志願者が減った私立医学部TOP5 東海−956人 聖マリアンナ−566人 日本医科−406人 順天堂−389人 東京医科−271人
志願者が減った大学TOP5(出典:代々木ゼミナール調べ・2026年6月13日時点をもとに当塾作成)

減少側は、東海−956人(81.1%)、聖マリアンナ−566人(89.2%)、日本医科−406人(90.1%)、順天堂−389人(91.2%)、東京医科−271人(92.3%)。減少「率」の最大は川崎医科の81.0%(1,324人→1,073人)でした。指数95%未満だった11校の一覧はこちらです。

大学 2025志願者 2026志願者 増減 指数
東海大学 5,052 4,096 −956 81.1%
聖マリアンナ医科大学 5,229 4,663 −566 89.2%
日本医科大学 4,087 3,681 −406 90.1%
順天堂大学 4,444 4,055 −389 91.2%
東京医科大学※ 3,504 3,233 −271 92.3%
川崎医科大学 1,324 1,073 −251 81.0%
慶應義塾大学 1,410 1,182 −228 83.8%
関西医科大学※ 4,186 3,966 −220 94.7%
久留米大学 2,136 1,993 −143 93.3%
東京慈恵会医科大学 1,895 1,755 −140 92.6%
北里大学※ 1,891 1,769 −122 93.5%

目を引くのは、いわゆる私立御三家(慶應義塾・東京慈恵会医科・日本医科)がそろって減ったことです。慶應義塾−228人(83.8%)・慈恵−140人(92.6%)・日本医科−406人(90.1%)。そしてこの3校は、2026年度の志願倍率の低さでも並んでいます(慶應義塾の一般17.9倍・慈恵16.7倍)。私立医学部では「難しい大学ほど志願倍率が低い」という逆転がよく起きます。出願の段階で、届く人しか出さないからです。倍率の低さを入りやすさと読んではいけない理由は、入りやすい医学部はどこかで相関係数まで出して検証しているので、あわせて読んでみてください。

もう1つ。減った大学を「人気が落ちた」と切り捨てるのも早計です。志願者が減ってなお、東海の一般は52.6倍、聖マリアンナの後期は121.2倍。席の数十倍〜百倍の出願があるのが私立医学部の現在地です。

志願倍率100倍超は12方式。ただし「実質」は別物です

2026年度に志願倍率が100倍を超えた方式は12ありました。2025年度は7方式だったので、5つ増えています。

大学 方式 2026募集 2026志願者 2026志願倍率 2025志願倍率
近畿大学 一般後期 5 763 152.6倍 158.6倍
金沢医科大学 一般後期 10 1,386 138.6倍 122.6倍
昭和医科大学 一般2期 12 1,550 129.2倍 67.3倍
帝京大学 一般 76 9,293 122.3倍 104.8倍
聖マリアンナ医科大学 一般後期 10 1,212 121.2倍 160.6倍
日本大学 一般N方式2期 15 1,684 112.3倍 96.6倍
帝京大学 一般新潟県地域枠 1 112 112.0倍 78.0倍
久留米大学 一般後期 5 545 109.0倍 128.6倍
帝京大学 共テ3科目方式 8 870 108.8倍 99.0倍
近畿大学 共テ前期 5 534 106.8倍 118.0倍
獨協医科大学 一般前期 52 5,346 102.8倍 65.7倍
埼玉医科大学 一般後期 20 2,048 102.4倍 90.6倍

この数字だけ見ると「もう宝くじじゃないか」と思いますよね。ここがこの表のいちばん大事な注意点です。志願倍率(志願者÷募集人員)と実質倍率(受験者÷合格者)は別物です。

たとえば帝京大学。2025年度の一般の志願倍率は104.8倍でしたが、同じ2025年度の文部科学省集計での実質競争倍率(受験者÷合格者。一般・推薦・総合型の合計)は35.25倍です。ものさしが違う数字とはいえ、およそ3分の1になりました。私立医学部は複数校の併願が前提なので、試験日が重なれば欠席が出ますし、合格者は正規のあとに繰上でも出ます。募集10名の後期に1,386人が出願しても、合格が10人で終わるとは限りません。どの大学で繰上が何番まで回るかは医学部の補欠合格が多い大学は?にまとめています。

ちなみに志願倍率がいちばん低い側は、東京女子医科の一般15.3倍、慈恵16.7倍、慶應義塾17.9倍(全選抜まとめて募集する自治医科は15.1倍)。高い側にも低い側にも、それぞれ事情があります。倍率は「怖がる数字」でも「安心する数字」でもなく、出願の集まり方を映す数字——そう捉えるのがちょうどいい距離感です。

募集人員と方式はこう動いた:2026年度と、2027年度

2026年度に起きたこと:新設3・停止3・募集人員の変更14

区分 大学 方式 変わったこと
新設 北里大学 共テ 新設(募集5名・志願95人)
昭和医科大学 一般長野県地域枠 新設(募集2名・志願40人)
大阪医科薬科大学 一般大阪府地域枠 新設(募集2名・志願41人)
停止 東京医科大学 一般新潟県地域枠 2026年度は募集なし
藤田医科大学 一般後期 2026年度は募集なし
関西医科大学 一般新潟県地域枠 2026年度は募集なし
募集人員の変更 北里大学 一般 募集75名 → 65名
順天堂大学 一般地域枠 募集31名 → 30名
昭和医科大学 一般1期 募集83名 → 76名
昭和医科大学 一般2期 募集18名 → 12名
帝京大学 一般群馬県地域枠 募集1名 → 2名
東京女子医科大学 一般 募集67名 → 72名
東邦大学 一般 募集67名 → 70名
東邦大学 一般統一 募集3名 → 5名
日本大学 一般N方式1期 募集90名 → 80名
藤田医科大学 一般前期 募集87名 → 100名
大阪医科薬科大学 一般前期 募集68名 → 64名
関西医科大学 一般大阪府地域枠 募集4名 → 3名
関西医科大学 一般静岡県地域枠 募集8名 → 5名
兵庫医科大学 一般A 募集72名 → 69名

志願者数は、人気だけでなく「席の設計」でも動きます。2026年度は北里の共テ利用新設、藤田医科の一般後期の停止、日本大学N方式1期の90名→80名など、設計の変更が各所でありました。方式単位の倍率が急に動いたときは、まず募集人員の増減を疑ってください。なお表中の昭和医科大学は、2025年4月に昭和大学から名称変更した大学です。

2027年度に起きること:募集人員が動く大学が既に7校

そして、この表を「来年の出願」に使う人へのいちばん大事な情報です。2027年度は募集人員が動くことが、各大学の公式発表で既に分かっています(2026年8月18日時点で当塾が大学公式サイトで確認できたもの)。

大学 2027年度に変わること(大学公式で確認済み)
岩手医科大学 一般73名→66名・総合型を15名以内に拡大(計130名)
東京医科大学 一般70名→65名・共テ利用9名→8名・全国ブロック別推薦6名→12名。一般・共テ利用の2次面接がMMI
東海大学 一般60名→70名(特別選抜「展学のすすめ」は2027年度が最後の募集)
東京女子医科大学 一般約72名→約50名・総合型約20名を新設。学費は6年3,914万円へ(220万円引き下げ・在学生も対象)
国際医療福祉大学 総合型選抜(専願制)10名を新設
久留米大学 共通テスト利用を新設(A日程 約5名・B日程 約3名)
獨協医科大学 栃木県地域枠:一般前期ぶん5名→3名(指定校推薦は7名以内へ)

今年+31.5%と伸びた岩手医科は、2027年度に一般が73名→66名へ減ります。逆に東海は一般60名→70名へ増えます。「今年の倍率」をそのまま来年に当てはめると、席の数が違うぶんだけズレるということです。変更点の全リストは私立医学部の入試変更点14校|2027年度入試にあります。また、国の臨時定員の扱いで募集人員が「調整中」のままの大学も残っています。最終的な人数は、例年9〜11月に出る学生募集要項で必ず確認してください。

太宰府アカデミーの視点:この表の使い方3つ

数字の紹介で終わらせず、受験校選びにどう使うかまで書きます。僕がこの表を面談で使うときの約束事は3つです。

1つ目。志願倍率で受験校を決めない。この表で分かるのは「何人が出願したか」であって、「どれだけ難しいか」ではありません。難易度の物差しにするなら、合格者平均偏差値と合格最低点です。志願者が2倍になっても、あなたの合否を決めるのは隣の受験生との数点差で、その構図は変わりません。倍率は心理に効く数字です。効かせないために、先に全体像を見ておくんです。

2つ目。急増・急減を見たら「日程・学費・席」の3つを順に確認する。今年の31校でいえば、獨協医科・岩手医科・埼玉医科・東邦は日程、藤田医科は学費と席、北里は方式の付け替えで、それぞれ説明がつきました。説明のつく増減は、来年その条件が続くかを確認すればいい。3つのどれでも説明できない動きだけが「読めない波」で、それを予想して出願を曲げるのは分の悪い賭けです。それより、自分でコントロールできる要素——受験日程の組み方と過去問との相性——で決めるほうが確実です。2027年度は2月4日に同じ学力層の6校が試験日を重ねる年で、来年のカレンダーは2027年度 私立医学部 入試日程カレンダーにまとめています。

3つ目。「消えた方式」を必ず確認する。この表には、前年まであって2026年度にない方式が3つあります(藤田医科の一般後期・東京医科と関西医科の新潟県地域枠)。昨年の記憶のまま出願計画を立てると、存在しない試験を当てにすることになります。出願計画は毎年、最新年度の募集要項で組み直してください。大学にはそれぞれの設計があり、数字の増減だけで良し悪しを語れるものではありません。ただ、数字を先に知っている人ほど、落ち着いて出願できるのは確かです。

よくある質問

Q1. 志願者が減った大学は、入りやすくなったと考えていいですか?

そうとは限りません。東海は−956人でも志願倍率52.6倍で、席に対する出願の厚みは十分残っています。また合格ラインを決めるのは志願者の「数」ではなく、受験した層の学力分布と問題との相性です。入りやすさを測りたいなら、志願倍率ではなく合格者平均偏差値と合格最低点を見てください(→ 入りやすい医学部はどこか)。

Q2. 志願倍率100倍超の方式に、出願する意味はありますか?

あります。後期・少数枠は「前期で決まらなかったときの保険」として機能していて、欠席率が高く、繰上合格も回ります。志願倍率100倍がそのまま実質100倍になるわけではありません。ただし1次通過者数・2次日程・合格発表日を募集要項で確認し、前期の結果次第で受けるかを決める「条件つきの出願」として組み込むのが現実的です。

Q3. この表は2027年度入試の参考になりますか?

なります。ただし募集人員の変更を重ねて読んでください。岩手医科66名・東京医科65名・東海70名・東京女子医科約50名と、2027年度は席の数が動きます。今年の志願者数を来年の席の数で割り直すと、見え方が変わる大学がいくつもあります。最終判断は9〜11月に出そろう学生募集要項で。

まとめ:増減表は「避けるため」ではなく「慌てないため」に使う

  • 私立医学部31校の志願者は104,968人→109,962人(+4,994人・+4.8%)で増加(両年度に募集がある103方式の合計)
  • 大学単位では増加8校・横ばい12校・減少11校。最大の増加は獨協医科+52.6%、減少率の最大は川崎医科−19.0%
  • 志願倍率100倍超は7方式→12方式に増えた。ただし志願倍率と実質倍率は別物
  • 増減の最大のカギは入試日程。密集帯(2/1〜2/4に13校)の外の単独日程へ動いた獨協医科・埼玉医科・東邦・昭和医科2期はそろって2桁%増、密集帯の中へ動いた川崎医科・杏林・北里はそろって減少
  • 学費と席の設計でも動く(藤田医科の828万円値下げ+前期100名化、北里の共テ利用新設)
  • 2027年度は岩手医科66名・東京医科65名・東海70名・東京女子医科約50名など募集人員が動く。最終確認は9〜11月の募集要項で

この記事を書いたのは、「◯◯大学は激増したらしい」という断片情報だけで受験校を1つ外してしまう——そんな決め方を、受験相談のたびに惜しいと感じてきたからです。増減表は、避ける大学を決めるための表ではありません。数字の全体像を先に頭に入れて、出願期に慌てないための表です。だから断片ではなく、31校・全方式を読み方ごと公開することにしました。

数字はぜんぶ出しました。あとは数字に振り回されず、あなたの2月の日程表と、過去問との相性で決めてください。

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本日の記事は以上です。

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後藤 登(Goto Noboru)
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自己PR:高校・大学ボクシング部。釣りや登山が好き。新卒で当校に勤めて13年目。医学部受験の情報を調べて、ブログやInstagram、Twitterを更新しています。4年前から完全個別指導コースのコース担当。

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