こんにちは、太宰府アカデミーで広報/完全個別指導コースを担当している後藤です。
「MMIって、何を練習すればいいんですか」——ここ2年でいちばん増えた質問です。志望動機を用意して、想定問答を100個作って、というやり方が通用しないと聞いて、じゃあ何をすればいいのか分からない。そういう相談が続いています。
当塾には、2026年度入試で川崎医科大学のMMIを受けた受験生から集めた、実際の設問の記録があります。それと各大学が公表している出題例を並べ直したところ、MMIの質問は大きく4つの型に分かれることが分かりました。しかも川崎医科の4問は、ちょうど4つの型に1問ずつ対応していました。
− MMIって、結局どんなことを聞かれるの?
− 何をどう練習すればいいの?いつから?
− 用意した志望動機は、本当に使えないの?
順番にお答えします。実際の設問も、当塾で使っている練習問題も、そのまま載せます。どの大学が実施していて面接が何点あるかは医学部の面接|配点を公表する14校とMMI実施校にまとめたので、そちらを見てください。この記事は対策に絞ります。
この記事の目次
結論|MMIの質問は4つの型に分かれます
先に結論を置きます。MMIで出る質問は、①自己理解型 ②状況設定型 ③ロールプレイ型 ④資源配分型 の4つに整理できます。

| 型 | どんな質問か | 見られていること | 答えの軸 |
|---|---|---|---|
| ①自己理解型 | 影響を受けた人・本/挫折した経験 | 答えの中身ではなく、その経験で自分が何を変えたか | 事実 → 何を考えたか → 実際に変えた行動 |
| ②状況設定型 | 治療を拒む患者、助けを断られた場面でどうするか | 相手の理由を想像できるか。正解を当てにいっていないか | 相手の言い分を受け止める → 理由を確かめる → 次の一手 |
| ③ロールプレイ型 | 面接官を患者に見立てて、実際に話してみせる | 話す内容ではなく話し方。間の取り方、確認のしかた | 前置き → 本題 → 途中で確認 → これからどうするか |
| ④資源配分型 | 2人のうち1人しか助けられない。どちらを選ぶか | 選んだ理由と、選ばなかった側への配慮。決められるか | 基準を先に述べる → 選ぶ → 選ばなかった側にも触れる |
この表のいちばん右の列が、この記事でお伝えしたいことのすべてです。答えの正しさを競う試験ではありません。どの型でも見られているのは、その場で考える順番と、自分と違う立場をどこまで想像できているかです。
出典:各大学が公表・報告している出題例と、太宰府アカデミーが受験生から集めた記録をもとに作成(2026年8月時点)
そして、この整理が机上の空論ではないことを示す材料があります。2026年度入試の川崎医科大学で実際に出た4問が、この4つの型と1問ずつ対応していました。
| 実際に聞かれたこと(要旨) | 対応する型 | |
|---|---|---|
| 質問1 | これまで読んだ本の中で、自分に一番影響を与えた本は。また、その影響を受けて実生活に生かしたことは | ①自己理解型 |
| 質問2 | あなたは医師。足の悪い車いすの患者が診察用の椅子に座り直そうとしてうまくいかない。助けに入ろうとしたら手を払われ「お前に俺の気持ちがわかるはずない、自分でやる」と言われた。どうするか | ②状況設定型 |
| 質問3 | あなたは医師。検査の結果、余命半年のすい臓がん末期と分かった40歳男性の担当医として、面接官を患者だと思って何と伝えるかを実演する。実演後に「気をつけたポイントは」と深掘りされる | ③ロールプレイ型 |
| 質問4 | 離島で医師は自分だけ。人工呼吸器は1つ。飲酒運転で事故を起こした20歳の旅行者と、延命を望む80歳の村の功労者が同時に運ばれてきた。どちらを助けるか。理由も含めて | ④資源配分型 |
面接時間は15〜20分。質問4つで、型が4つ。偶然かもしれませんが、少なくとも「型で準備しておけば、どれが来ても手が動く」ことは言えると思います。この記事では、この4問を具体例として使いながら進めます。
出典:2026年度入試を受験した受験生から太宰府アカデミーが聞き取った記録。大学が公表したものではありません
この4問について、もう1つ正確に書いておきます。川崎医科の2次試験は2日間に分かれていますが、2026年度は両日とも同じ設問だったという報告を受けています。つまりこの4問は、その年に2次へ進んだ受験生が全員答えた設問です。
ここから読み取ってほしいことは2つあります。1つめ。この4問をそのまま覚えても意味がありません。各大学は毎年、設問の中身も出し方も見直しています。同じ設問が翌年も出る前提で準備するのは、いちばん危ない使い方です。
2つめ。だからこそ「型」なのです。設問そのものは毎年変わりますが、何を見ようとしているかは変わりません。この記事に載せた設問は、答えを覚えるためではなく、型ごとの考える順番を練習するための素材として使ってください。以降はそのつもりで読み進めてもらえると、いちばん役に立つと思います。
MMIとは|複数の面接室を巡り、毎回ちがう評価者に答える形式です
型の話に入る前に、形式そのものを短く確認します。

| 従来の個人面接 | MMI | |
|---|---|---|
| 回数 | 1回(10〜20分程度) | 3〜6回を巡回(1回あたり3〜7分程度) |
| 評価者 | 同じ面接官が最後まで見る | 部屋ごとに変わる。東京慈恵会医科は評価者6名が5段階評価 |
| 聞かれること | 志望動機・自己PR・調査書の内容 | 課題や場面設定。志望動機を聞かれないこともある |
| 1回の失敗 | その後を引きずりやすい | 次の部屋には持ち越されない |
| 答えたあと | 次の質問に移る | ほぼ必ず深掘りされる(「なぜそう思ったか」「うまくいかなかったことは」) |
| 準備の中心 | 想定問答を用意する | 考える順番を身につける |
MMI(Multiple Mini Interview/マルチプル・ミニ・インタビュー)は、受験生が複数の面接室を順番に巡り、部屋ごとに違う課題について、違う評価者と短い面接を繰り返す形式です。1回の長い面接ではなく、数分の面接を3〜6回受けるイメージです。
出典:各大学公表の学生募集要項・入試概要をもとに太宰府アカデミー作成(2026年8月時点)
受験生にとっていちばん大きな違いは、1回の部屋での失敗が次に持ち越されないことです。個人面接だと最初の質問でつまずくと最後まで引きずりますが、MMIは部屋が変われば評価者も変わります。1回あたりの当たり外れをならすための仕組みだと考えると、気持ちの持ち方が変わると思います。
もうひとつ、表の5行目が大事です。MMIは、答えたあとにほぼ必ず深掘りされます。川崎医科の記録でも、質問3と質問4には「回答後、深掘りされる」と残っていました。最初の答えを用意する練習だけでは、2手目で止まります。
そして、この深掘りが「圧迫面接だった」と受け取られていることがよくあります。「なぜそう思ったのか」を3回重ねられれば、準備していなければきつく感じて当然です。ですがMMIでは、それが標準的な進め方です。掘られたこと自体は、悪いサインではありません。この点は医学部の圧迫面接|どこの大学?落ちる?をデータで答えますに、浪人や男女の合格率データと合わせて書きました。
MMIはどこまで広がっているか|「一部だけMMI」の大学が増えています
「増えている」という話をよく聞くので、公表資料で確かめました。

| 大学 | MMIを行う入試 | いつから・配点 |
|---|---|---|
| 東邦 | 総合入試/同窓生子女/地域枠推薦 | 2013年度から。国内でもっとも早く導入した大学として知られる。総合入試は面接50点(180点満点の28%) |
| 東京慈恵会医科 | 一般選抜 | MMI 30点。1対1を異なる課題・評価者で計6回・約60分、評価者6名が5段階評価 |
| 藤田医科 | 一般選抜/ふじた未来入試 | 一般は個人面接2回+MMI2回で40点。4回のうち2回だけMMIという混在型 |
| 福島県立医科(公立) | 総合型選抜(A枠) | 1次合格者にMMI。一般前期は通常の個人面接 |
| 東京医科 | 全国ブロック別学校推薦型/学士選抜/一般選抜・共通テスト利用 | ブロック別は2024年度から。学士選抜は32点(80点満点の40%)。一般・共テ利用は2027年度から(2026年8月3日発表) |
| 昭和医科 | 一般選抜Ⅱ期のみ | 要項に「Ⅱ期のみ、マルチプル・ミニインタビュー(MMI)面接を行います」と明記。100点で2次は面接だけ。Ⅰ期は個人面接 |
| 横浜市立(公立) | 特別公募制学校推薦型選抜 | MMIが1,000点。「各受験者に対して5つ程度の面接室を設けます」と公表。一般前期は対象外 |
並べて分かるのは、大学単位で「この大学はMMI」と覚えると事故るということです。昭和医科大学は一般選抜Ⅱ期だけがMMIで、Ⅰ期は個人面接。横浜市立大学は特別公募制の学校推薦型だけで、一般前期は対象外。藤田医科大学にいたっては、一般選抜の4回の面接のうち2回だけがMMIです。
出典:各大学公表の学生募集要項・入試概要・公式サイト(2027年度の公表分。福島県立医科のみ2026年度時点の確認)
いちばん新しい動きが東京医科大学です。2026年8月3日のプレスリリースで、「一般選抜および共通テスト利用選抜の第二次試験でも、従来の面接に代わり、2027年度入学選抜よりMMIを導入します」と発表しました。全国ブロック別の学校推薦型では2024年度からすでにMMIを使っており、そこから一般にも広げた形です。ただし6月23日公開の入試概要では、一般選抜の欄はいまも「個人面接(40点)」のままなので、募集要項での最終確認は必要です。
要項に「面接」と書いてあってもMMIが出た年があります
もうひとつ、受験生にとって実害の大きい話です。

| 大学 | 公表・報告されている出題例 | 型 |
|---|---|---|
| 東邦 | 友人が部費を勝手に使い、「黙っていてほしい」と頼まれたらどうするか | ②状況設定型 |
| 藤田医科 | 飲食店のアルバイト中、汗だくの客が「コーラを」と言うが、店にはコーヒーしかない | ②状況設定型 |
| 東京慈恵会医科 | 延命治療を拒否していた患者に病院が延命を続行した。清掃員として関わる立場でどう考えるか | ④資源配分型に近い価値判断 |
| 横浜市立(公立) | 西日本に第2の富士山を作るなら、場所や資金調達をどうするか | 医療以外の課題型 |
| 北里 | 学祖(北里柴三郎)に関する課題シートを使う形式だったとの受験者報告(2026年度) | 課題文型 |
| 川崎医科 | 面接官が課題を読み上げ、患者役への対応を求められたとの受験者報告(2026年度) | ③ロールプレイ型 |
2026年度入試では、川崎医科・北里・東京女子医科の3校で、面接が課題型に変わったという受験者報告が相次ぎました。このうち川崎医科と北里は、募集要項の表記が例年どおり「面接」のままだったことを確認しています。冒頭に載せた川崎医科の4問も、要項には「面接」としか書かれていない年のものです。
出典:各大学公表の募集要項・公式サイトおよび受験者の報告をもとに太宰府アカデミー作成(受験者報告は大学公式の発表ではありません)
並べてみると、医学の知識を問う問題は1つもありません。高校生が持っている常識と想像力の範囲で答えられる作りです。だからこそ「志望校がMMIかどうか」を調べるより、型で準備しておくほうが安全だと考えています。
医学部以外の医療系はどうか(調べた結果を正直に書きます)
「医療系の大学にも広がっている」という話も聞くので、歯学部・薬学部・看護・リハビリテーション・獣医の主な大学の公式サイトを確認しました。
結論から言うと、公式に「MMI」という語を使っている医学部以外の学部は、今回の調査では見つかりませんでした。ここは正直に書きます。
ただし、MMIの中身にあたるものは確実に入ってきています。大阪歯科大学は一般選抜で、面接の前に「面接カード」(与えられた設問について回答し、面接の資料として使う)を10分間実施します。東北医科薬科大学の総合型選抜はグループ面接を得点化し、面接内容を録画すると要項に明記しています。
配点の面でも変化がはっきりしています。昭和医科大学は、MMIを実施している医学部Ⅱ期の面接が総合500点の20%なのに対し、薬学部の一般選抜は面接300点で総合600点の50%。歯学部の指定校推薦にいたっては、小論文30点+面接100点の130点満点で、面接が77%を占めます。
つまり広がっているのは「MMIという形式」そのものより、「面接を学力と同じ土俵で点数化し、その場で考えさせる課題を出す」という考え方のほうです。医療系を受けるなら、学部を問わずこの記事の4つの型は役に立つはずです。
型①自己理解型|答えではなく「その後どう変わったか」を見られます
1つめの型は、一見すると従来の面接に近いものです。
川崎医科(2026年度):これまで読んだ本の中で、自分に一番影響を与えた本を教えてください。また、その影響を受けて、実生活に生かしたことを教えてください。
ここで多くの受験生がやってしまうのが、「どの本を挙げるか」で悩むことです。ですが評価されているのはそこではありません。後半の「実生活に生かしたこと」のほうです。設問が2文に分かれていて、後ろの文に重心があります。
当塾の2027年度想定問題では、これを人物に置き換えて出しています。「あなたに最も大きな影響を与えた人物を1人挙げ、その影響を受けて実際に自分の行動として変えたことを教えてください」。本でも人でも、聞かれている構造は同じです。
MMIでは、この手の質問のあとに必ず追加の質問が来ます。「なぜそう変えようと思ったのですか」「変えてみて、うまくいかなかったことはありますか」。ここで止まる人と続く人がはっきり分かれます。用意してきた美談だけを覚えてきた人は、2手目で答えることがなくなります。
準備の仕方はひとつです。自分の経験を3つか4つ選んで、それぞれ「事実 → 何を考えたか → 何を変えたか → うまくいかなかったこと」まで自分の言葉で言えるようにしておく。話す内容を覚えるのではなく、掘られても出てくる状態にしておくということです。
型②状況設定型|患者に拒まれたとき、どうするか
2つめが、MMIらしさがいちばん出る型です。
川崎医科(2026年度):あなたは医師です。足の悪い車いすの患者が診察用の椅子に座り直そうとしていますが、うまく座れていません。助けに入ろうとしたら手を払われ、「お前に俺の気持ちがわかるはずない!自分でやる!」と言われました。あなたならどうしますか。
この型で評価が伸びない答え方は決まっています。「危ないので手伝いますと説明します」といきなり正しさから入ることです。安全面では正しいのですが、相手はいま説明を聞ける状態ではありません。
見られているのは、相手がそう言った理由を想像できるかです。自分でできることを奪われたくないのかもしれない。今日はうまくいかなくて悔しいのかもしれない。先に理由に手を伸ばす人と、先に正しさを説明する人で、評価は分かれます。
当塾の想定問題では、同じ型を病室の場面で出しています。「入院中の72歳の女性が点滴の管を自分で抜いてしまった。病室に行くと窓のほうを向いたまま『こんな管につながれてまで生きていたくない。もう放っておいてください』と言われた。どうするか」。断られているという構造は、車いすの設問とまったく同じです。
答え方の順番は、まず相手の言い分を否定せずに受け止める。次にそう思った理由を確かめる。そのうえでいま自分ができることを1つ挙げる。この3段でいったん区切り、追加の質問を待ちます。一気に結論まで言い切らないほうが、MMIでは会話が続きます。
公表されている例では、東邦大学の「友人が部費を勝手に使い、黙っていてほしいと頼まれたらどうするか」、藤田医科大学の「飲食店のアルバイト中、汗だくの客がコーラを注文したが、店にはコーヒーしかない」がこの型にあたります。医療の場面とは限りません。
型③ロールプレイ型|面接官が患者役になります
3つめは、4つの中でいちばん練習が要る型です。ここだけは、読んで分かるようにはなりません。
川崎医科(2026年度):あなたは医師です。食欲不振を訴えて受診した40歳男性が、検査の結果、余命半年のすい臓がん末期と分かりました。あなたはその担当医です。私(面接官)を患者だと思って、その男性に何と伝えるのか実演してください。——実演後に「実演したときに気をつけたポイントは何ですか」と深掘りされます。
当塾の2027年度想定問題では、有害事象の説明で出しています。「あなたは研修医。担当患者に投与量の確認を怠り、本来の10倍の量の薬を投与してしまった。いまのところ目立った症状はないが、数日間の慎重な経過観察が必要。指導医から『あなたの口から患者さんに説明するように』と指示された。私を患者だと思って実演してください」。悪い知らせを、目の前の人に、自分の口で伝える——構造は同じです。
実演の型|前置き → 本題 → 確認 → これからどうするか
この型は、答えの内容ではなく話し方そのものが評価されます。順番を決めておくと、当日ぶれません。
1.前置きを置く。いきなり本題に入らないでください。「今日は検査の結果についてお話しします。少し落ち着いてお聞きいただきたいのですが」と一言置く。相手が身構える時間を作るのが目的です。無言の間を1〜2秒取れると、なお良いです。
2.本題は短く、はっきり言う。ここでぼかすと、かえって残酷になります。「検査の結果、すい臓にがんが見つかりました」まで言い切る。言いにくさから遠回しにするのが、この型でいちばん減点されるところです。
3.専門用語を言い換える。「10倍量を投与しました」ではなく「本来の量より多くお薬が入ってしまいました」。「予後」「増悪」も使わない。相手が高校生の自分だったら分かるかを基準にしてください。
4.途中で必ず区切って確認する。「ここまでで、分かりにくいところはありませんか」を1回入れる。これだけで印象がまるで変わります。一方的に話し続けないことが、この型の合格ラインです。
5.これからどうするかを必ず添える。悪い知らせで終わらせない。「これから数日間、私が毎日様子を確認します」「一緒に治療の方針を考えていきます」。相手を置き去りにしないことが伝われば十分です。
投薬ミスのように自分に非がある設定では、謝罪を先に、原因の説明はあとに。「申し訳ありません」を最初に置いて、なぜ起きたかは聞かれてから話してください。
深掘り質問「気をつけた点は」への答え方
実演のあとの質問まで含めて1問です。ここで「特に意識していませんでした」と答えると、実演がよくても評価が伸びません。
答え方は簡単で、上の型のうち自分が実際にやったことを2つ挙げるだけです。「専門用語を使わないようにしました」「途中で1回、分かりにくいところがないか確認しました」。やったことを言葉にできるかを見られているので、事前に型を持っている人が有利になります。
そしてこの型だけは、必ず声に出して練習してください。頭の中で組み立てても身につきません。家族でも友人でもいいので相手役を頼み、実際に喋る。初めて声に出した日と3回目とでは、話す速さがまるで違います。
型④資源配分型|2人のうち1人しか助けられないとき
4つめは、正解が存在しないと分かっている型です。
川崎医科(2026年度):あなたは離島にいて、医師はあなたしかいません。人工呼吸器も1つだけ。そこへ、飲酒運転で事故を起こした20歳の旅行者と、延命を望む80歳の村の功労者が同時に運ばれてきました。どちらも人工呼吸器が必要で、助けられるのは1人だけです。あなたはどちらを助けますか。理由も含めて教えてください。
この設問がよくできているのは、どちらを選んでも問い返せる材料が入っているところです。若さか、地域への貢献か。自業自得か、年齢か。どの理由を持ち出しても、その理由自体を深掘りできる作りになっています。
いちばんまずいのは「決められません」で終わることです。気持ちは分かりますが、医師は決めなければならない場面に立つ職業なので、決めないという答えは評価されません。
かといって、選んだ理由を強く語りすぎるのも危ういです。「若いほうが将来があるから」「村に貢献した人だから」と言い切ると、命に優劣をつける考え方だと受け取られかねません。とくに「飲酒運転をしたのだから」は、医師が患者を選別する理由としてはもっとも危ういので避けてください。
答え方の順番はこうです。まず自分がどんな基準で判断するかを先に述べる。医学的な救命可能性が同じなら次に何を見るのか、を言葉にします。次にその基準に照らして選ぶ。最後に選ばなかった側に対して何ができるかに触れる。この3つめを言えるかどうかで、印象が大きく変わります。
当塾の想定問題では、特効薬が1人分しか残っていない設定で、「小学生の子ども2人を1人で育てている35歳の女性」と「この地域で唯一の小児科を1人で開業している58歳の男性医師」を並べています。重症度も救命の見込みも同じ、と条件をそろえてあるので、医学以外の何を基準にするかだけが問われます。
東京慈恵会医科大学で報告されている「延命治療を拒否していた患者に病院が延命を続行した。清掃員として関わる立場でどう考えるか」のように、自分に決定権がない立場で問われることもあります。それでも「自分ならこう考える」まで言い切るのが、この型の作法です。
4つの型に共通する答え方と、やってはいけない準備
ここまで型ごとに書いてきましたが、共通する骨格が1つあります。
①結論を先に短く言う。②その理由を1つだけ挙げる。③反対の立場にも触れる。④それでも自分はこう考える、と戻る。この4手です。
MMIは1つの部屋が3〜7分しかありません。長く話す人が有利になる形式ではありません。最初の答えは60〜90秒で区切り、あとは追加の質問に答えていくほうが会話になります。③の「反対の立場にも触れる」がいちばん差がつきます。「一方で、こういう見方もあると思います」と一言入れられる受験生は多くありません。
それと、沈黙は減点ではありません。考える時間がほしいときは「少し考えます」と声に出してください。黙り込むより、はるかに印象がいいです。
逆に、やらないほうがいい準備を4つ挙げます。1つめ、想定問答を100個作って覚えること。MMIは志望動機を聞かれないことがあります。2つめ、医療ニュースを暗記すること。ここまで見てきた設問に、時事の知識が要るものは1つもありません。3つめ、「正解」を探すこと。②〜④の型には正解がありません。4つめ、志望校がMMIかどうかだけで判断すること。要項に「面接」としか書かれていないのにMMIが出た大学が、2026年度に実際にありました。
太宰府アカデミーの視点|いつから、どう練習するか
実務的な進め方を3つに絞ってお伝えします。
1つめ。始めるのは学科が仕上がってからで構いません。ただし1次の直前ではなく、1次が終わった直後からです。多くの大学で1次から2次までは1〜2週間しかありません。1次が終わってから形式を調べ始めると間に合わないので、秋のうちに志望校の形式だけ確認しておいて、練習は1次のあとに集中させるのが現実的です。
2つめ。練習は「答える」より「掘られる」ほうを増やしてください。MMIは1問につき必ず追加の質問が来ます。最初の答えを用意する練習を10回やるより、1つの答えに対して「なぜ」を3回重ねてもらう練習を3回やるほうが効きます。相手役は専門家でなくて構いません。
3つめ。ロールプレイ型だけは、必ず声に出してください。当塾でも志望校の形式に合わせたMMIの練習を個別に組んでいますが、この型は回数がそのまま効きます。この記事に載せた設問は、そのまま練習に使ってもらって構いません。川崎医科の4問を通しでやってみると、15〜20分という時間の短さが体感できるはずです。
くり返しになりますが、答えを用意する練習には使わないでください。設問は毎年変わります。使ってほしいのは、「この型が来たら、この順番で考える」を体に入れることのほうです。それさえできていれば、初めて見る設問でも手は動きます。
最後に1つ。MMIは、学科が届いていない受験生を救う制度ではありません。1次を通った人たちの中での比較です。ですが、1次を通ったあとの勝負が面接一本になる大学もあるので、そこを受けるなら学科と同じ重さで準備してください。どの大学がそれにあたるかは配点の記事に一覧があります。
まとめ|医学部のMMI
- MMIの質問は4つの型に分かれる。①自己理解型 ②状況設定型 ③ロールプレイ型 ④資源配分型
- 2026年度の川崎医科大学で実際に出た4問は、4つの型に1問ずつ対応していた(面接時間15〜20分)。ただし設問は毎年変わる。覚えるのではなく型の練習に使う
- ①自己理解型は「何を挙げるか」ではなく「その後どう行動を変えたか」を見られる。必ず深掘りされる
- ②状況設定型は、正しさから入らない。相手がそう言った理由を先に確かめにいく
- ③ロールプレイ型は話し方が評価される。前置き→本題は短く→専門用語を言い換える→途中で確認→これからどうするか
- ④資源配分型で「決められません」は評価されない。基準→選択→選ばなかった側への配慮の順で
- MMIは大学単位で覚えない。昭和医科はⅡ期だけ、横浜市立は特別公募制推薦だけ、藤田医科は4回のうち2回だけ
- 東京医科は2027年度から一般選抜・共通テスト利用にもMMIを導入(2026年8月3日発表)
- 医学部以外で「MMI」を公式に使う学部は確認できなかったが、面接の点数化と課題型は広がっている(昭和医科の薬学部は面接300点=総合の50%、大阪歯科は面接カードを実施)
MMIは「対策できない面接」だと言われることがありますが、そんなことはないと思っています。覚える対策ができないだけで、考える順番を身につける対策はできます。型で整理して、実際の設問まで載せたのは、そのためでした。
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本日の記事は以上です。
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当校は福岡県にある日本で唯一の全寮制医学部受験予備校です。
【当校の特徴】
定員30名|21年間の累計医学部医学科合格実績518名(のべ数)|田舎の全寮制|全国各地から入学(2026年度生は全国20の都道府県より入学)|異次元の生活サポート|食事が美味しい(土日祝日問わず3食提供)|講師との距離が近い|プロ講師の質問対応が充実|完全個別指導コースあり|選抜国公立コースあり|専用筋トレジムあり|同じ夢を持った仲間と1年間切磋琢磨し、医学部合格を目指す
【校風】アットホームな大家族予備校
◆筆者プロフィール
後藤 登(Goto Noboru)
仕事:総務・広報・完全個別指導コース担当
自己PR:高校・大学ボクシング部。釣りや登山が好き。新卒で当校に勤めて13年目。医学部受験の情報を調べて、ブログやInstagram、Twitterを更新しています。4年前から完全個別指導コースのコース担当。
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