こんにちは、太宰府アカデミーOBの柴山です。
福岡県内で精神科医として勤務するかたわら、医学部受験のお役立ち情報を発信しています。
医学部受験、その道は多くの人にとって険しい坂道とも言えるでしょう。
特に、現役での合格は難しく、多くの人が浪人生活を経験します。
この記事では、そんな医学部受験生とその親御さんに向けて、医学部受験における浪人の興味深いデータ、浪人生活で心掛けるべきポイント、そして浪人する際の注意点について詳しく解説していきます。
この記事の目次
医学部受験における浪人の興味深いデータ
浪人率の現実
医学部受験の厳しさを物語る一つの指標が、浪人率です。
浪人率とは、全合格者のうち浪人生が何割占めているかを表した数字です。
一般的に、医学部の浪人率は約7割とされています。
つまり、現役で医学部に合格できるのは全体のおおよそ30%のみであり、狭き門であると言えます。
(参考:PRESIDENT Online なぜ医学部の現役合格生は「中高一貫校」ばかりなのか…)
浪人年数の比率
次に医学部生における、格浪人年数の比率を確認していきましょう。
文部科学省のデータ※によると、現役生が35%、1浪生が35%、2浪生が14%、3浪生が5%、4浪以上が7%となっています。
このデータから、現役生の約2倍が浪人生を経験しているということが分かりました。
一方で、浪人年数が長くなるほど合格が難しくなる傾向があることも読み取れます。
(※ 平成27年〜30年における国公立私立大学医学部の合格者の年齢別のデータ)
私立と国立の違い
私立か国立かによって浪人率は大きく異なります。
医学部の浪人率は学校によっても異なりますが、国公立大学が約5割、私立大学で約7割と、私大で高くなる傾向にあります。
しかし、この傾向は偏差値の高い私立学校では逆転することもあります。
つまり、偏差値が高い学校ほど、現役での合格者が多い可能性が高いのです。
例えば、私立医学部の新御三家と呼ばれる「慶応義塾大学」「東京慈恵会医科大学」「順天堂大学」の現役生の比率は約60〜70%にも達します。
推薦入試の年齢制限
一部の大学では、推薦入試の出願資格年齢を22歳以下(4浪)までとしています。
先に言及したように、様々な観点から「浪人年数が長くなるほど合格が難しくなる傾向がある」と言えそうです。
このような年齢制限が医学生の浪人率に与える影響は、決して少なくはないでしょう。
このセクションでは、医学部受験における浪人の興味深いデータと、その背後にある現実を探りました。
次のセクションでは、浪人生活を有意義に過ごすためのポイントについて詳しく解説します。
浪人生に伝えたいこと3点
バランスの取れた学習が成功の鍵
医学部受験において、科目バランスの取れた学習を行うことは非常に重要です。
当然ながら医学部の受験では、すべての科目で高得点を取ることが求められます。
特定の科目で高得点を取っても、他の科目で低得点だと総合点が伸びず、合格は難しくなります。
不幸にも医学部に合格できなかった場合、浪人生は何かしらの苦手分野を抱えているものです。バランスの取れた学習で苦手な科目を克服し、総合点の底上げを図りましょう。
医学部に進学した後も、基礎医学から臨床まで幅広い知識が求められます。
「循環器は苦手だからパス」といった学習態度では進級は困難です。(そういった姿勢でズルズル留年していく方も中にはいます。)
逆に言うと、浪人生のうちからバランスの取れた勉強に取り組み、苦手を克服する習慣を身につけておけば、医学生や医師になっても行き詰まることはなくなるでしょう。
学習スケジュールの設定で迷いを排除
学習スケジュールの設定は、浪人生活においても非常に重要な要素です。
予定を設定することで、勉強の進捗が滞る可能性を大幅に減らせます。
一例を挙げるとすると、if-thenルールというアプローチがあります。
if-thenルールは、「もしXが起きたら、Yをする」と事前に決めておくことで、行動しやすくなるメソッドです。
<例>
・起床したら、前日の小テストのミスを5つ復習する
・自習時間が始まったら、数列分野の未着手問題から進める
極めて単純なルールで拍子抜けされた方もいるかもしれませんが、その有効性は確かなものがあります。
「やり抜く人の9つの習慣」で紹介されている研究では、if-thenルールを使った人の91%が運動プログラムを継続できたのに対し、普通に目標設定をしただけの人は39%しか運動を習慣化できなかったそうです。
事前にスケジューリングしておくことで、スマホや友人からの呼びかけといった誘惑を断つことができます。
医学部合格は詰まる所、こうした日々のスケジュールを淡々とこなし、小さな成功を蓄積していけるか否かにかかっています。
学習スケジュールを設定して、迷いを排除していきましょう。
孤独な戦いは避け、外部のサポートを求めよう
浪人生活は孤独な戦いとなることが多いですが、その孤独を乗り越えるためには外部のサポートが不可欠です。
具体的には、予備校や家庭教師、オンライン教材など、多くのサポートが存在します。
特に、医学部専門の予備校では、医学部受験の専門家からの貴重なアドバイスや指導が受けられます。
また、同じ医学部合格の目標を持つ仲間との交流を通じて、目標達成を断念するリスクを回避することができます。
「ピア・プレッシャー」と呼ばれる、他者から監視されている状況を作り出すことで、挫折する可能性が低くなるためです。(参考:ピアプレッシャーとは?同調圧力ではなく企業の成長に活かす方法)
このように、外部のサポートを有効活用することで、浪人生活をより充実したものにできます。
完全な独学で合格する方も稀にはいますが、医師になると、結局は看護師や薬剤師と共にチーム医療を展開していく必要があります。
様々な観点から、積極的に外部のサポートを活用することは、メリットが多いと言えるでしょう。
医学部浪人にはいくつかの注意点があります!
自動的に成績が向上するわけではない
浪人生活に入ると、多くの人は成績が自動的に上がると考えがちです。
しかし、そのような甘い考えは捨てた方が良いでしょう。
現役時代と同じ勉強法では、成績が伸び悩む可能性が高いです。
そのため、浪人期間に入ったら、まずは自分の勉強法を見直す必要があります。
一番手っ取り早いのは、医学部受験の専門家である講師の意見を素直に聞いて、軌道修正することです。
私は研修医時代に東大関連の市立病院に勤務していたので、東大理Ⅲや旧帝大出身の同僚を間近で観察する機会に恵まれました。
少なくとも受験戦争の覇者である彼らに、当初は他人の意見に聞く耳を持たない独善的なイメージを持っていました。
しかし、実際には優秀な人こそ先をいく専門家の意見を素直に聞き入れることが多く、驚いたことを記憶しています。
浪人したからといって、オートマチックに成績が上がるわけではありません。
受験のプロフェッショナルである講師の意見を取り入れながら、学習計画を柔軟に更新してきましょう。
友人の誘惑に負けない強い意志
浪人生活は、多くの誘惑に溢れています。
特に、友人からの遊びの誘いは、勉強に対する集中力を削ぐ大きな要因となります。
しかし、そのような誘惑に負けず、自分自身の目標に対して誠実でいることが重要です。
先に挙げたようなif-thenルールを取り入れるなどは、有効な誘惑の回避策になりえるでしょう。
時には遊びに行くことでリフレッシュする場合もありますが、自分に課した学習のデュティーを終えてからにするなど、バランスを崩さないように心掛けましょう。
健康管理も勉強の一環
浪人生活は精神的、肉体的にも厳しいものがあります。
そのため、健康管理も非常に重要な要素となります。
特に、長時間の勉強が続くと体調を崩しやすくなるため、適度な休憩と睡眠は必須です。
オススメは20分程度のショートナップ。
NASA(アメリカ航空宇宙局)の実証実験では、昼に26分間の仮眠をとることで、その後の認知能力が34%、注意力は54%も向上することが分かっています。
(参考:パワーナップ(積極的仮眠)で 人生のパフォーマンスが上がる)
私も予備校生時代から現在にかけて、基本的には20分程度の仮眠を欠かさないようにしています。
また、バランスの取れた食事も、集中力を高めるためには欠かせません。
このように、健康管理も勉強の一環と考え、しっかりとケアをすることが成功への道です。
情報収集とアップデート
医学部受験は、毎年のように見直しされる試験内容や出願条件に対応する必要があります。
そのため、最新の情報を常にチェックし、自分の勉強プランをアップデートすることが重要です。
例えば、新しい出願資格や試験内容が発表された場合、それに対応するための新しい教材や勉強法を速やかに取り入れる必要があります。
このように、情報収集とそのアップデートは、浪人生活を成功に導くための重要なステップとなります。
まとめ
医学部の浪人生活は、多くの人にとって厳しいものとなるでしょう。
その厳しさを乗り越えるためのポイントと注意点を理解し、適切に行動することが重要です。
バランスの取れた学習、学習スケジュールの設定、外部のサポートの有効活用など、多角的なアプローチが成功への鍵となります。
この記事が、医学部の浪人生活を有意義に過ごす一助となれば幸いです。
私は予備校時代に培った学習習慣のお陰で、幸いなことに最短で医師になることができました。
医学部進学をお考えの方は、ぜひ太宰府アカデミーまでご相談ください。
では、本日の記事は以上です。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
精神科医 柴山 寛
◆太宰府アカデミーの自己PR
当校は福岡県にある日本で唯一の全寮制医学部受験予備校です。【当校の特徴】定員30名|20年間の累計医学部医学科合格実績443名|田舎の全寮制|全国各地から入学(2024年度生は16の都道府県より入学)|異次元の生活サポート|圧倒的に食事が美味しい(土日祝日問わず提供)|講師との距離が近い|プロ講師の質問対応が充実|完全個別指導コースあり|選抜国公立コースあり|専用筋トレジムあり|同じ夢を持った仲間が1年間切磋琢磨し、医学部合格を目指す【校風】アットホームな大家族予備校
◆筆者プロフィール
柴山寛(Shibayama Kan)/精神科医|昭和大学卒|太宰府アカデミーOB|准看護学校講師
高校時代は鳴かず飛ばずで浪人することに…予備校時代は1年で偏差値を20上げ、なんとか医学部に合格。現在は医師をしながら、受験経験を元に医学部受験情報を発信しています。太宰府アカデミー経験者だけの、リアルな意見もぶっちゃけ中。
◆連絡先
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