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医者になるまでの費用はいくら?生活費まで入れて779万〜5,439万円

2026年08月19日 更新

こんにちは、太宰府アカデミーで広報/完全個別指導コースを担当している後藤です。

保護者面談でいちばん多い質問は、成績のことではありません。「結局、いくらかかるんですか」です。

この質問に「国公立なら約350万円、私立なら3,000万円くらい」と答えるのは、実はもう正確ではありません。2026年の時点で、国立大学のうち4校は6年で414万円になっていますし、公立大学では県外から入ると入学料が3倍になる大学もあります。

そこでこの記事では、各大学が公表している学納金を1校ずつ確認し直して、実際にいくらかかるのかを整理しました。あわせて、親御さんが本当に気にされている「その費用は取り返せるのか」にも、国の統計から計算した数字で答えます。

− 国公立と私立で、どれくらい違うの?

− 学費のほかに、何にお金がかかるの?

− 私立に行っても、元は取れるの?

順番に見ていきます。

 

 

6年間の学費は350万〜4,550万円|同じ「医学部」で13倍

まず全体像です。6年間に大学へ納める学費(学納金)を並べると、こうなります。

医学部6年間の学費を比べた図。国公立350万円、国立の例外4校414万円、私立最安1,850万円、私立平均3,231万円、私立最高4,550万円で13倍の開きがあることを示している
出典:各大学公表の学納金をもとに太宰府アカデミー集計(2026年8月16日確認・学納金ベース)
区分 6年間の学納金 内訳・備考
国公立(多くの大学) 約350万円 入学料282,000円+授業料535,800円×6年
国立の例外4校 約414万円 東京大学・千葉大学・東京科学大学・山口大学(授業料642,960円)
私立 最安 1,850万円 国際医療福祉大学
私立 平均 3,231万円 31校の平均。中央値は3,482万円
私立 最高 4,550万円 川崎医科大学(学納金ベース)

いちばん安い国公立と、いちばん高い私立で13倍の差があります。そして注目していただきたいのは、私立の中だけでも1,850万円から4,550万円と2.5倍の開きがあることです。「私立は高い」とひとくくりにできません。

私立31校の内訳は私立医学部の学費一覧2027にまとめています。

 

国立でも4校は414万円|「一律53万円」はもう成り立ちません

国立大学の授業料には標準額535,800円という国の基準があります。2005年から動いていません。

ただし各大学は、その120%=642,960円まで独自に引き上げることができます。そして医学部を置く国立大学のうち、4校がすでにこの上限を採用しています

大学 授業料(年額) 適用開始 6年総額
多くの国立大学 535,800円(標準額) 約349.7万円
千葉大学 642,960円 2020年度入学者から 約414.0万円
東京科学大学(医歯学系) 642,960円 2021年4月入学者から 約414.0万円
東京大学 642,960円 2025年4月入学者から 約414.0万円
山口大学 642,960円 2026年4月入学者から 約414.0万円

入学料282,000円を足すと、この4校は6年間で413万9,760円。標準額の大学(349万6,800円)より64万3,000円高い計算です。

大事なのは国が一律に上げているわけではないという点です。上げるかどうかは各大学の判断なので、同じ「国立」でも大学ごとに違います。志望校が決まったら、その大学の授業料を必ず確認してください。

なお東京大学は、値上げと同時に授業料免除も拡大しています。2025年4月入学者から、世帯収入600万円以下の日本人学生は全額免除(従来は400万円以下)。値上げの面だけを見て諦めるのは、もったいない判断です。

 

公立8校は入学料が居住地で変わります|県外は最大846,000円

公立大学には、国立にはない仕組みがあります。入学料が「地元か、地元以外か」で変わります。

公立医学部の県外入学料を比べた図。福島県立医科846,000円、奈良県立医科802,000円、和歌山県立医科752,000円に対し、札幌医科は道内外の区分がなく282,000円
出典:各大学公式サイト(2026年8月16日確認)
公立大学 入学料(地元) 入学料(地元以外)
福島県立医科大学 282,000円 846,000円 3.0倍
奈良県立医科大学 282,000円 802,000円 2.8倍
和歌山県立医科大学 282,000円 752,000円 2.7倍
横浜市立大学 141,000円(市内) 282,000円 2.0倍
札幌医科大学 282,000円 282,000円 区分なし

福島県立医科大学は、県内282,000円に対して県外846,000円で3倍です。奈良県立医科大学が802,000円、和歌山県立医科大学が752,000円と続きます。

一方で札幌医科大学には区分そのものがありません(道内・道外とも282,000円)。「公立は地元が有利」は、全校に当てはまるわけではないのです。

逆に横浜市立大学と名古屋市立大学は、地元の入学料が標準額より安く設定されています(横浜市立は市内141,000円=市外の半額)。

ここで必ず知っておいていただきたい条件があります。どの大学も「入学の1年以上前から住民票がある」ことを求めます。合格してから引っ越しても間に合いません。京都府立医科大学にいたっては本人の住所だけで判定し、親の住所は見ません

 

学費のほかにかかるお金|生活費は6年で約778万円

学納金のほかに、必ずかかるものがあります。

費目 内容 注意点
受験費用 共通テスト検定料・各大学の検定料・交通費・宿泊費 私立は1校ごとにかかる。受験校数がそのまま効く
諸会費 後援会費・同窓会費・自治会費・保険料など 「学費」の公表額に含まれないことが多い。埼玉医科は6年で約260万円
実習・教材 白衣・器具・教科書・実習にかかる経費 大学により学納金に含む場合と別途の場合がある
生活費 家賃・食費・光熱費(自宅外の場合) 6年と期間が長いため、学費より大きくなることもある

とくに見落とされがちなのが諸会費です。大学が「学費」として公表する金額に含まれていないことが多く、後から請求されます。埼玉医科大学は6年間で約260万円(毛呂山会費など)と大学自身が公表しており、学納金3,700万円に対して無視できない額です。

私立の一次試験は2027年度入試で2月1日から4日の4日間に18校が集中します。受けられる校数には日程上の上限がありますが、1校あたりの検定料は数万円かかります。受験校数は、学力だけでなく費用でも決まります。

生活費はいくらか|下宿は年130万円・仕送りは月12万円

この記事を最初に書いたとき、生活費の相場だけは数字を出せませんでした。医学部生に限った調査が見つからなかったからです。

2026年3月に、日本学生支援機構(JASSO)が令和6年度の学生生活調査を公表しました。医学部だけを取り出した集計はありませんが、大学学部(昼間部)の全国推計なら出せます。学費のほうは実額に差し替えて使えばいいので、生活費はここから引きます。

費目(年額) 下宿・私立 下宿・国立 自宅・私立 自宅・国立
食費 324,700円 325,700円 127,500円 133,600円
住居・光熱費 553,800円 493,000円
保健衛生費 53,800円 47,000円 49,600円 38,600円
娯楽・し好費 187,300円 181,700円 199,100円 194,300円
その他の日常費(通信費含む) 178,400円 150,100円 128,600円 128,200円
生活費の合計 1,298,000円 1,197,500円 504,800円 494,700円
6年ぶん 約778万円 約719万円 約303万円 約297万円

下宿している私立大学生の生活費は、年間1,298,000円。月にすると約10万8千円です。いちばん大きいのが住居・光熱費で年553,800円(月約4万6千円)。自宅生はこの欄が0円で計上されるため、年間で約79万円、6年で約476万円の差がつきます。

保護者の方がいちばん知りたい数字も出ています。家庭からの支援(=仕送り)は、私立・下宿で年1,440,300円=月12.0万円、国立・下宿で年956,900円=月8.0万円でした。

もうひとつ、6年間の計画に必ず入れてほしいことがあります。下宿している学生はアルバイトで年48万円ほど(月4万円前後)を稼いでいますが、医学部の5・6年生は臨床実習に入るため、この時期に他学部の平均どおり働くのは難しくなります。「後半はアルバイト収入がほぼ無い」前提で組んでおくほうが安全です。

なお、この調査では学生生活費(学費+生活費)が2年前より19.4万円増えて年202万円になりました。学費の伸びが6.5%なのに対し、生活費は17.7%増。学費が据え置きでも、6年間の総額は上がっています。

初年度に必要なお金|私立医学部の入学料は平均137万円

もうひとつ、国の集計から出せる数字があります。文部科学省が毎年、私立大学の初年度納付金を学部系統別に集計しています。「医」だけを取り出した数字があります。

区分 授業料 入学料 施設設備費 小計 実験実習料・その他 初年度の総計
2,708,609円 1,375,271円 1,052,224円 5,136,104円 1,705,144円 6,841,248円
3,026,060円 594,837円 544,605円 4,165,502円 960,647円 5,126,150円
理科系(平均) 1,195,313円 245,362円 161,378円 1,602,053円 114,661円 1,716,714円
文科系(平均) 850,392円 219,951円 141,892円 1,212,235円 88,327円 1,300,561円
私立大学 全平均 968,069円 240,365円 172,550円 1,380,983円 126,664円 1,507,647円

私立医学部の入学料の平均は1,375,271円。私立大学の全平均240,365円の5.7倍です。歯学部(594,837円)と比べても2.3倍で、入学料だけが突出して高いのが医学部の特徴です。

ここが併願で効いてきます。入学を辞退しても、入学金は返ってきません。2006年11月27日の最高裁判決で、入学金は「その大学に入学し得る地位を取得するための対価」とされているためです。授業料や施設設備費、諸会費は3月31日までに辞退を申し出れば原則として返還されますが、入学金だけは戻りません(専願・学校推薦型で合格した場合は、授業料等も原則として返還されません)。

ただし、いま制度が動いています。2025年6月26日に文部科学省が全私立大学へ「入学しない学生が納付する入学料の負担を軽減してほしい」と要請し、2026年3月にはその考え方をまとめたQ&Aも公表されました。辞退の時期に応じて入学料の一部を返す、入学料を分割で納めさせる、納付期限を後ろにずらすといった対応が例に挙がっています。2027年度の募集要項から入り始める可能性があるので、出願前に必ず確認してください。

 

学費+生活費の6年総額|779万〜5,439万円

ここまでの数字を足します。学納金は各大学の実額、生活費と修学費・課外活動費・通学費はJASSOの平均を使いました。

医学部6年間の学費と生活費の合計。国公立で自宅なら約779万円、私立で最も高い大学に下宿すると約5,439万円
出典:学納金は各大学公表の学費(2026〜2027年度)、生活費・修学費・課外活動費・通学費は日本学生支援機構「令和6年度 学生生活調査結果」(令和8年3月公表)の大学学部・昼間部の平均
通い方 学納金(6年) 生活費(6年) 修学費・課外活動費・通学費(6年) 6年の合計
国公立・自宅 349.7万円 297万円 133万円 約779万円
国公立・下宿 349.7万円 719万円 75万円 約1,143万円
私立 最安・下宿 1,850万円 778万円 111万円 約2,739万円
私立 3,700万・自宅 3,700万円 303万円 145万円 約4,148万円
私立 3,700万・下宿 3,700万円 778万円 111万円 約4,589万円
私立 最高・下宿 4,550万円 778万円 111万円 約5,439万円

国公立に自宅から通えば約779万円、私立で最も高い大学に下宿すると約5,439万円。差は約4,660万円です。

そして、この記事でいちばんお伝えしたいのはここです。同じ大学でも、自宅か下宿かで6年間の総額が364万〜442万円変わります。国公立でも約364万円、私立3,700万円の大学でも約442万円。「浪人してでも自宅から通える大学を狙うか」を考えるときの、現実的な材料になります。

2つ注意があります。1つめは、寮費・食費が学納金と別に必要な大学(川崎医科大学など)では二重計上になること。その場合は生活費を足さず、大学が公表している「諸費用込み」の総額を使ってください。2つめは、自治医科大学・産業医科大学のように貸与で実質負担が下がる大学は、学納金の欄を実質負担額に置き換えることです。

 

その費用は取り返せるのか|生涯賃金の差は約2.63億円

ここからが、親御さんが本当に知りたい部分だと思います。

生涯賃金の比較図。勤務医は24歳から60歳まで約5.26億円、大学卒男性は2億6,280万円で、差は約2.63億円
出典:厚生労働省 令和7年賃金構造基本統計調査/JILPT ユースフル労働統計2025 図21-1をもとに太宰府アカデミー算出
区分 生涯賃金(24〜60歳) 出どころ 条件
医師(勤務医) 約5.26億円 厚生労働省 令和7年賃金構造基本統計調査から算出 退職金なし・税引き前・開業医は含まない
大学卒 男性 約2億6,280万円 JILPT ユースフル労働統計2025 図21-1 60歳まで・退職金なし
約2.63億円 学費の差(最大約4,200万円)の約6倍

厚生労働省の令和7年賃金構造基本統計調査から、勤務医の年齢階級別の年収を24歳から60歳まで積み上げると約5.26億円になります(退職金なし・税引き前・開業医は含まない)。

比べる相手は、JILPT(労働政策研究・研修機構)のユースフル労働統計2025にある大学卒 男性の2億6,280万円です。こちらも「60歳まで・退職金なし」なので、条件がそろっています

差は約2.63億円最も高い私立と国公立の学費差(約4,200万円)は、この差の6分の1にあたります。金額だけの話をすれば、答えは「取り返せる」です。

ただし正直に書いておきたいことが2つあります。

1つはいつ取り返せるかです。医師は2年遅く働き始め、学費も先に出ていきます。累計で大卒平均を追い抜くのは国公立で34歳ごろ、私立最高でも40歳ごろ30代半ばまでは、累計では負けています。

もう1つは「大卒3億円台」という数字と比べてはいけないことです。ネットでよく見るその数字は退職金と60歳以降の収入を含んだ別のもので、並べると差を7,670万円ぶん小さく見せてしまいます。

 

負担を下げる方法|地域枠・修学資金・授業料の減免

学費そのものを下げる制度があります。

地域枠・修学資金は、卒業後に指定された地域や医療機関で一定期間働くことで返還が免除される貸与制度です。「返済不要の奨学金」ではありません——働けば返さなくてよくなる、が正確です。金額は大きく、東北医科薬科大学のA方式で3,000万円、岩手県の地域枠Aで3,050万円にのぼります。

ただし義務年限は9年が標準ですが、東北医科薬科は実質12年、岩手県Aは11年と幅があります。年数と、臨床研修の2年が含まれるかどうかまで確認してください。詳しくは医学部の地域枠にまとめています。

大阪公立大学には注目すべき制度があります。大阪府の支援制度により、2026年度から所得制限と資産要件を撤廃した授業料等の無償化が実施される予定です。医学部も対象で、全額免除に該当すれば入学料282,000円も免除されます。

ただし大阪府民なら自動で無料になる制度ではありません。大学が「自動的に適用される制度ではありません」と明記しており、申請が必要です。条件は①府内在住3年以上 ②高校卒業から2年以内(目安として2浪まで)③学業成績の3つ。3浪以上と再受験は対象外になります。

多子世帯の「大学無償化」は、国立と私立でまるで効き方が違います

2025年度から、扶養する子どもが3人以上の世帯は、所得制限なしで授業料と入学金が減免されるようになりました(高等教育の修学支援新制度)。ただし「無償化」という言葉から想像する額とは、だいぶ違います。

減免には上限があります。国公立は授業料が年54万円まで・入学金が28万円まで。私立は授業料が年70万円まで・入学金が26万円までです。

これを医学部に当てはめると、こうなります。

国立医学部なら、6年間の自己負担は2,000円になります。授業料535,800円は上限54万円の中に収まり、入学料282,000円のうち28万円が免除されるからです。授業料が642,960円の4校(東京大学・千葉大学・東京科学大学・山口大学)でも、6年間の自己負担は約62万円にとどまります。

私立医学部では、6年間で減免されるのは最大446万円です。入学金26万円+授業料70万円×6年。6年総額3,700万円の大学なら12.1%、川崎医科大学(4,550万円)なら9.8%しか消えません。しかも減免の対象は「入学金」と「授業料」だけで、施設設備費・教育充実費は対象外です。

そして、見落とされやすい条件が3つあります。

1つめ。上のお子さんが就職して扶養から外れると、下のお子さんも対象外になります。文部科学省のFAQに「第1子が卒業等により扶養から外れ、扶養する子供の数が2人となった場合は、多子世帯としての支援は終了します」と明記されています。医学部は6年制なので、在学中に上のきょうだいが就職する可能性は低くありません。(大学院に進んで扶養に入ったままなら、カウントは続きます)

2つめ。留年が確定した時点で支援が打ち切られます。「修業年限で卒業できないことが確定した場合は、支援の対象となりません」とされています。ただし、正規の手続きを経た休学は例外で、その場合は修業年限ぶんの支援を受けられます。医学部は6年で卒業できない人が7人に1人いる学部なので、ここは現実的な話です。

3つめ。学業成績の基準があります。修得単位が標準の6割以下や、GPA等が学部の下位4分の1に2回続けて該当すると、警告や停止・廃止の対象になります。「下位4分の1」は相対評価なので、どの学年にも必ず該当者が出ます。

借りる制度|医学部は6年制なので教育ローンは450万円まで

それでも足りないぶんは、借りることになります。制度ごとに条件がかなり違います。

制度 いくら 利率 押さえておくこと
国の教育ローン(日本政策金融公庫) 子ども1人につき450万円 固定 年4.05% 医学部は「修業年限5年以上の大学」に当たるので自宅通学でも450万円。世帯年収の上限は子1人790万円・2人890万円だが、自宅外通学の予定があれば子2人以内でも990万円まで緩和
JASSO 第一種(無利子) 私立・自宅外で月64,000円(6年で460.8万円) 無利子 家計と学力の基準がある。給付奨学金と併せて受けると月額に上限がかかる
JASSO 第二種(有利子) 私立の医・歯学課程だけ月160,000円(6年で1,152万円) 令和8年7月に貸与終了なら固定 年3.000% 増額できるのは私立だけ。国公立は月120,000円まで
入学時特別増額貸与奨学金 10万〜50万円から選択 有利子(上限 年3%) 国の教育ローンに申し込んで利用できなかった世帯が対象。順番に注意

まず知っておいてほしいのは、医学部は「修業年限5年以上の大学」に当たるので、国の教育ローンの上限が自宅通学でも450万円になることです。4年制の学部だと自宅通学は350万円までなので、ここは医学部の有利な点です。

次に、JASSOの第二種は、私立大学の医・歯学課程だけ月額を12万円から16万円に増額できます。6年間で1,152万円。国公立の医学部は増額の対象外です。

最後に、いちばん大事なことを書きます。金利が上がっています。国の教育ローンは年4.05%(2026年7月時点)。JASSOの第二種(利率固定方式)は令和7年4月に貸与終了した人が1.612%だったのに対し、令和8年7月は3.000%です。1年3か月で約1.9倍になりました。

450万円を年4.05%・20年で返すと、毎月27,388円・総返済額は約657万円で、利息だけで約207万円になります。「奨学金やローンは利子がほとんどつかない」という数年前までの感覚は、もう通用しません。借りる額と返す年数は、必ず今の金利で計算し直してください。

 

太宰府アカデミーの視点|金額より先に「誰がいつ払うか」を決める

費用の相談を受けるとき、僕が最初にお聞きするのは総額ではありません。「いつ、いくら要るのか」です。

医学部の学費は、6年間に均等にかかるわけではありません。初年度に集中する大学がほとんどで、たとえば北里大学は初年度900万円・4年次以降570万円、福岡大学は特別教育充実費が3年次で終わるため4年次から年460万円に下がります。「6年で3,890万円」より「初年度に900万円」のほうが、家計にとっては重い情報です。

もう一つ。公立の入学料の居住地要件は、知っていれば間に合う話です。「入学の1年以上前から住民票」という条件は、受験のタイミングで動いても遅い。中学・高校の段階で県外への転居を考えているご家庭は、ここを頭の片隅に置いておく価値があります。

そして生涯賃金の話。2.63億円という数字を、僕は「だから医学部はお得です」という意味では使いません。30代半ばまでは累計で負けている、という事実のほうが受験生には大事だと思うからです。医師という仕事を選ぶ理由が「収入」だけだと、その10年を越えるのはしんどい——面談ではそうお伝えしています。

 

医者になるまでの費用でよくある質問

Q1. 国公立は本当に約350万円ですか?
A. 多くの大学ではそうです。ただし東京大学・千葉大学・東京科学大学(医歯学系)・山口大学の4校は授業料が642,960円で、6年間では約414万円になります。

Q2. 私立でいちばん安いのはどこですか?
A. 国際医療福祉大学の1,850万円です(学納金ベース)。次いで順天堂大学2,080万円、関西医科大学2,100万円、藤田医科大学2,152万円と続きます。

Q3. 公立は地元の人のほうが安いのですか?
A. 多くの大学ではそうですが、札幌医科大学には道内・道外の区分がありません。また「地元」の判定には入学の1年以上前からの住民票が必要です。

Q4. 学費が払えない場合はどうすればいいですか?
A. 地域枠・修学資金(卒業後の勤務で返還免除)、国の高等教育の修学支援新制度、大学独自の授業料減免があります。ただし国の制度には「高校卒業から2年以内」という条件があり、3浪以上は対象外です。

Q5. 私立の学費は毎年変わりますか?
A. 変わる大学があります。2027年度は近畿大学が+174万円、東海大学が+25.2万円の値上げ、東京女子医科大学は220万円の減額を公表しています。出願前に必ず最新の要項で確認してください。

 

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まとめ|医者になるまでの費用

  • 6年間の学納金は国公立 約350万円(例外4校は約414万円)/私立 1,850万〜4,550万円
  • 生活費まで入れると6年で779万〜5,439万円。下宿の生活費は私立で年1,298,000円=月約10.8万円
  • 自宅か下宿かで6年間の総額が364万〜442万円変わる(国公立でも約364万円)
  • 仕送りの平均は私立・下宿で月12.0万円、国立・下宿で月8.0万円(日本学生支援機構 令和6年度)
  • 私立医学部の入学料は平均1,375,271円で、私立大学の全平均の5.7倍。辞退しても返らない
  • 授業料や施設設備費、諸会費は3月31日までに辞退を申し出れば原則として返還される(専願・学校推薦型を除く)
  • 多子世帯の無償化は国立医学部なら6年間の自己負担2,000円、私立医学部では最大446万円まで
  • 留年が確定すると修学支援は打ち切られる(正規の休学は例外)
  • 医学部は6年制なので国の教育ローンは自宅通学でも450万円。ただし金利は年4.05%(2026年7月時点)
  • 生涯賃金の差は約2.63億円。学費の差はその6分の1で、金額だけを見れば取り返せる範囲にある

費用の話は、金額そのものより「いつ、いくら要るのか」を先に決めておくことのほうが効きます。入学金と初年度納付金は合格の直後に、生活費は6年間ずっと。この2つの山を家族で共有できていれば、受験校を費用で削らずに済みます。

本日の記事は以上です。

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◆筆者プロフィール

後藤 登(Goto Noboru)
仕事:総務・広報・完全個別指導コース担当
自己PR:高校・大学ボクシング部。釣りや登山が好き。新卒で当校に勤めて13年目。医学部受験の情報を調べて、ブログやInstagram、Twitterを更新しています。4年前から完全個別指導コースのコース担当。

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