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国立医学部はやばいのか|共テ平均は762〜919点

2026年08月24日 更新

こんにちは、福岡の医学部予備校で総務・広報を担当している後藤です。

本日のブログは、検索候補に出てくるのに誰もまともに答えていない言葉について書きます。

「国立 医学部 やばい」。Googleで「国立 医学部」まで入れると、この候補が出てきます。少し下には「地方国立 医学部 恥ずかしい」も並びます。

この2つ、実は正反対のことを心配しています。前者は「難しすぎてやばい」、後者は「地方だと格下に見られるのか」。どちらも数字で答えが出る話なのに、口コミしか出てこないのが現状です。

今回は、河合塾の入試結果調査と、文部科学省・厚生労働省の公表値だけを使って、国公立50校を1つの表に並べました。

− 国立の医学部って、地方でも東大並みに難しいんでしょ?

− でも倍率は3倍くらいでしょ?私立の20倍より簡単なんじゃないの?

− 地方の国立を出ても、都会の私立より下に見られるんでしょ?

この3つに、順番に数字でお答えします。

合格者の共通テスト平均は762点から919点|50校で157点の幅があります

まず「地方でも東大並みなのか」から。河合塾が公表している2026年度入試の入試結果調査で、実際に合格した人の共通テスト平均点(1000点換算)を、国公立50校ぶん並べ替えるとこうなります。

国公立医学部50校のうち共通テスト合格者平均が低い5校と最高の東京大学を比べた横棒グラフ。弘前大学762点から東京大学919点まで
出典:河合塾 入試結果調査(2026年度入試)をもとに太宰府アカデミー集計(合格者の共通テスト平均得点・1000点換算)
大学 共テ合格者平均 得点率 記述総合 国試合格率
弘前大学 762点 76.2% 61.2 96.9%
旭川医科大学 767点 76.7% 64.6 97.4%
島根大学 776点 77.6% 61.0 93.3%
高知大学 783点 78.3% 64.3 98.0%
愛媛大学 784点 78.4% 64.2 89.7%
香川大学 795点 79.5% 64.3 90.9%
長崎大学 797点 79.7% 65.8 94.9%
福島県立医科大学 798点 79.8% 63.1 98.5%
和歌山県立医科大学 799点 79.9% 65.1 91.1%
浜松医科大学 801点 80.1% 65.3 98.2%
東京大学(最高) 919点 91.9% 74.9 97.2%

いちばん高いのは東京大学の919点、いちばん低いのは弘前大学の762点。その差は157点あります。50校の平均は826.3点で、合格者平均が800点を割るのは9校だけでした。

出典:河合塾 入試結果調査(2026年度入試)をもとに太宰府アカデミー集計(合格者の共通テスト平均得点・1000点換算)/国家試験合格率は文部科学省「医学部医学科の入学状況及び国家試験合格状況等について」(令和7年12月公表)

ここで注意したいのは、762点という数字の中身です。得点率にすると76.2%。しかも共通テストは5教科7科目に「情報I」が加わった構成で、1科目や2科目の話ではありません。いちばん低い大学でも、8科目で4分の3以上を取った人が合格者の平均ということになります。

「東大並み」ではありません。ただ、「東大ほどではないから楽」でもない。ここが最初の答えです。

記述模試の合格者平均は61.0から74.9|低く見えるのには理由があります

次は偏差値です。同じ入試結果調査には、合格者の全統記述模試の平均偏差値も載っています。

国公立50校でいちばん低いのは島根大学の61.0、いちばん高いのは東京大学の74.9でした。

ここで「61.0なら私立のほうが上じゃないか」と思った方がいるはずです。実際、私立31校のうち27校が61.0を上回っています。数字だけを並べると、そう見えます。

ただ、この2つは背負っている科目数が違います。国公立を受ける人は共通テストで8科目を仕上げたうえで記述模試を受けています。私立の一般選抜は英語・数学・理科2科目の3教科4科目が中心です。同じ記述模試の偏差値でも、そこに至るまでの負荷が同じではありません。

もう1つ。この合格者平均には推薦・総合型で合格した人も含まれます。河合塾のボーダー偏差値(合格可能性50%ライン)とは別の数字なので、そちらと引き算しても意味がありません。

出典:河合塾 入試結果調査(2026年度入試)をもとに太宰府アカデミー集計(合格者の全統記述模試 英・数・理の平均偏差値)

数字は出しました。上下の解釈は読者にお任せしますが、少なくとも「記述模試の偏差値1つで国公立と私立を並べるのは無理がある」とは言えます。

実質競争倍率は平均3.15倍|私立の13.18倍より低いのに、なぜ難しいのか

3つめの「倍率が低いから簡単なのでは」。文部科学省が公表している2025年度入試の実数で計算すると、国公立50校の実質競争倍率は平均3.15倍。いちばん低いのが金沢大学の2.17倍、いちばん高いのが弘前大学の5.15倍です。私立31校の平均は13.18倍なので、数字の上では4分の1以下になります。

それでも国公立が簡単にならないのは、倍率が「難易度」ではなく「何人が来たか」しか表していないからです。国公立は共通テストの自己採点を見てから出願します。届かないと思った人は、出願する前に降りている。私立のように「とりあえず出す」ができません。

そのうえで、もう1段あります。

国公立医学部の第1段階選抜(足切り)の予告のしかたを4つの型に分けた区分数の比較。倍率のみ42区分、得点かつ倍率10区分、得点のみ3区分、人数2区分
出典:河合塾 Kei-Net「国公立大学 2段階選抜実施状況」(2026年度入試・前期日程)をもとに太宰府アカデミー集計
大学 第1段階選抜の基準点 得点率 倍率も見るか
奈良県立医科大学 730/900点 81.1% かつ15倍
横浜市立大学 750/1000点 75.0% かつ3倍
名古屋市立大学 438/600点 73.0% かつ3倍
京都大学 700/1000点 70.0% かつ3倍
大阪大学 700/1000点 70.0% かつ3倍
大阪公立大学 700/1000点 70.0% かつ3倍
和歌山県立医科大学 630/900点 70.0% かつ3.4倍
名古屋大学 650/950点 68.4% 点数のみ
岡山大学 374/550点 68.0% かつ3倍
徳島大学 600/900点 66.7% かつ5倍
鳥取大学 613/920点 66.6% 点数のみ

2026年度入試の前期日程では、57区分すべてが第1段階選抜(いわゆる足切り)を予告していました。「うちは足切りがない」大学は1校もありません。実際に実施されたのは36区分(63.2%)なので、予告=実施ではないのですが、13区分は倍率ではなく共通テストの点数そのものが基準です。上の表の大学は、志願倍率が低くても点が足りなければ切られます。

出典:河合塾 Kei-Net「国公立大学 2段階選抜実施状況」(2026年度入試・前期日程)をもとに太宰府アカデミー集計。基準は各大学の入学者選抜要項で最終確認してください

倍率3.15倍という数字の裏には、「出願前に降りた人」と「点数で切られた人」が入っていません。ここを見ずに倍率だけを比べると、判断を間違えます。

「地方国立は恥ずかしい」のか|医師免許は大学で分かれません

ここからが、もう1つの検索語の話です。

医師免許は医師法にもとづく国家資格で、医師国家試験に合格した人に与えられます。出身大学によって種類が分かれることはありません。「地方国立卒の医師免許」という区分は存在しない、ということです。

卒業後の進路も同じです。医師免許を取った人は2年間の初期臨床研修をどこで受けるかを自分で選び、医師臨床研修マッチング協議会の仕組みを通じて全国の病院に希望を出します。出身大学の所在地で応募先が制限されることはありません。

では出口の数字はどうか。上の表に、共通テスト合格者平均が低いほうから10校の国家試験合格率も入れてあります。この10校の平均は94.9%、6年ストレート卒業率は86.7%でした。国公立50校の平均が96.1%と88.3%なので、入口の点数ほどの差は付いていません。

出典:文部科学省「医学部医学科の入学状況及び国家試験合格状況等について」(令和7年12月公表)をもとに太宰府アカデミー集計(2019年度入学者が第119回国家試験を受けるまでの追跡)

入ったあとの6年間|ストレート卒業率88.3%・国家試験合格率96.1%

国公立50校と私立31校を、平均で並べるとこうなります。

国公立医学部50校と私立医学部31校を実質競争倍率・6年ストレート卒業率・医師国家試験合格率・6年間の学費で比べた対比図
出典:文部科学省「医学部医学科の入学状況及び国家試験合格状況等について」(令和7年12月公表)と各大学公表の学費をもとに太宰府アカデミー集計
項目 国公立50校 私立31校
実質競争倍率(2025年度入試・平均) 3.15倍 13.18倍
6年ストレート卒業率(平均) 88.3% 81.1%
医師国家試験の合格率(第119回・平均) 96.1% 95.0%
第120回 医師国家試験(設置区分別) 国立93.0%/公立93.5% 92.5%
6年間の学費 約350万円(国立の標準額) 1,850〜4,550万円
実質競争倍率の幅 金沢大学 2.17倍 〜 弘前大学 5.15倍 順天堂大学 13.87倍 〜 帝京大学 35.25倍

倍率だけが逆転していて、6年ストレート卒業率は88.3%対81.1%、医師国家試験の合格率は96.1%対95.0%と、出口の数字は国公立が上にきます。2026年2月に実施された第120回でも、設置区分別の合格率は国立93.0%・公立93.5%・私立92.5%で、全国の総合計は91.6%でした。

学費の差はさらにはっきりしています。国立の授業料は文部科学省令の標準額が年535,800円、入学料が282,000円なので、6年間で約350万円。私立は最も安い国際医療福祉大学が1,850万円、最も高い川崎医科大学が4,550万円です。ただし国立でも東京大学・千葉大学・東京科学大学・山口大学の4校は標準額を超える年642,960円を設定しているので、「国立は一律」ではなくなっています。

出典:文部科学省「医学部医学科の入学状況及び国家試験合格状況等について」(令和7年12月公表)/厚生労働省「第120回医師国家試験の合格発表について」(2026年3月16日)/各大学公表の学費と文部科学省令の標準額をもとに太宰府アカデミー集計

この2つの国家試験合格率は、集計しているところも範囲も違います。第119回のほうは文部科学省が2019年度入学者を追いかけた調査の一部、第120回のほうは厚生労働省が発表した設置区分別の合格状況です。並べて引き算をするための数字ではありません。

太宰府アカデミーの視点|国公立を受けるなら見ておきたい3点

ここまでの数字を踏まえて、国公立を受験校に入れるなら見ておきたいポイントを3つ挙げます。

1つめ。共通テストと2次試験の配点比率は、大学によってまるで違います。2次試験の配点比率は徳島大学の30.8%から大阪大学の75.0%まで開きがあります。共通テストで思うように取れなかった年に、どこへ出願できるかはこの比率で変わります。ただし、比率が有利だから受かる、という話ではありません。2次の科目と出題形式が自分に合うかどうかは、過去問を解かないと分かりません。配点表を眺めるだけで決めないでください。

2つめ。第1段階選抜の予告を、出願前に要項で必ず確認してください。上に挙げたとおり、点数そのものが基準の大学があります。倍率型でも、予告倍率が2.5倍と8倍では意味がまったく違います。「うちは足切りがない」大学は1校もないので、「たぶん大丈夫」で出願先を決めないほうがいいです。

3つめ。入口の点数と、6年間のデータは分けて見てください。合格者の共通テスト平均が低い10校でも、国家試験合格率の平均は94.9%です。大学にはそれぞれの教育方針があり、数字だけで良し悪しを語れるものではありませんが、入口の点数が低い=出口が弱い、という関係にはなっていないのがデータを見る限りの形です。

そもそも、この記事を書こうと思ったのは「地方国立 医学部 恥ずかしい」という検索候補を見たからです。8科目で76%以上を取り、足切りをくぐって、6年かけて国家試験に受かった人に向ける言葉ではないだろう、と正直思いました。

まとめ|「やばい」のは入口の総量で、卒業後の扱いではありません

国公立医学部50校について、国と河合塾の公表値だけで確かめた結果をまとめます。

  • 合格者の共通テスト平均は762〜919点。いちばん低い弘前大学でも76.2%を8科目で取っています。800点未満は9校だけ
  • 実質競争倍率は平均3.15倍(私立13.18倍)。低いのは共通テストの後に出願するからで、易しいからではありません
  • 前期は57区分すべてが第1段階選抜を予告し、36区分で実施。13区分は倍率ではなく点数が基準です
  • 6年ストレート卒業率88.3%・国家試験合格率96.1%で、どちらも私立平均(81.1%・95.0%)を上回ります
  • 共通テスト平均が低い10校でも、国家試験合格率の平均は94.9%。入口の点数ほどの差は出口に付いていません

まずやることは1つです。志望校の入学者選抜要項を開いて、第1段階選抜の予告と、共通テスト・2次の配点比率を見てください。金沢大学のように倍率2.17倍の大学もあれば、名古屋大学のように650/950点で切る大学もあります。そこが分かれば、共通テストの目標点が具体的な数字になります。

「地方国立は恥ずかしいのか」への答えは、ここに書いたとおりです。医師免許は大学で分かれず、研修先も全国から選べて、国家試験の合格率は入口の点数ほど差が付いていません。そう書いている人が、この数字を見て書いているかどうか。そこは考えてみてもいいと思います。

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では、本日の記事は以上です。

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◆筆者プロフィール

後藤 登(Goto Noboru)
仕事:総務・広報・完全個別指導コース担当
自己PR:高校・大学ボクシング部。釣りや登山が好き。新卒で当校に勤めて13年目。医学部受験の情報を調べて、ブログやInstagram、Twitterを更新しています。4年前から完全個別指導コースのコース担当。

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