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藤田医科大学は「恥ずかしい」のか|合格者平均は私立9位

2026年08月22日 更新

こんにちは、福岡の医学部予備校で総務・広報を担当している後藤です。

本日のブログも、ずっと気になっていた検索ワードについて書きます。

「藤田医科大学 恥ずかしい」。Googleで大学名を入れると、検索候補にこの言葉が出てきます。あわせて「Fランク」「やばい」も並びます。

Fランク——本来は「入試の合格ラインが成立しないほど志願者が少ない大学」を指す言葉です。ではその定義に、藤田医科大学は当てはまるのか。

結論から言うと、当てはまりませんでした。今回は口コミを1つも使わず、文部科学省・河合塾・医師臨床研修マッチング協議会が公表している数字だけで確かめます。

− Fランクって言われてるけど、誰でも入れる大学なんでしょ?

− 学費を828万円も下げたのは、人が集まらないからでしょ?

− 卒業しても、就職や研修先で苦労するんでしょ?

この3つに、順番に数字でお答えします。

2025年度は3,061人が志願して、合格は407人でした

まず「誰でも入れる」という話から。文部科学省が公表している2025年度入試の実数——志願者・受験者・合格者の人数を、全国81大学で並べ替えるとこうなります。

2025年度入試の実質競争倍率 全国上位と藤田医科大学の比較。藤田医科大学は7.05倍で28位
出典:文部科学省「医学部医学科の入学状況及び国家試験合格状況等について」(令和7年12月公表)1〜2ページをもとに太宰府アカデミー集計(2025年度入試)
順位 大学 実質競争倍率 志願者数 合格者数
1位 帝京大学 35.25倍 9,826人 268人
2位 埼玉医科大学 24.54倍 5,234人 193人
3位 聖マリアンナ医科大学 23.35倍 5,334人 205人
4位 獨協医科大学 20.66倍 4,568人 202人
5位 金沢医科大学 19.97倍 5,763人 267人
28位 藤田医科大学 7.05倍 3,061人 407人

藤田医科大学は3,061人が志願し、2,871人が受験して、合格は407人。実質競争倍率7.05倍で、全国81大学中28位でした。受験した人の14.2%しか合格していません。

出典:文部科学省「医学部医学科の入学状況及び国家試験合格状況等について」(令和7年12月公表)1〜2ページをもとに太宰府アカデミー集計(2025年度入試・実質競争倍率=受験者数÷合格者数)

Fランクの定義は「合格ラインが成立しないほど志願者が少ない」でした。3,061人が志願して407人しか受からない大学は、その定義の正反対にあります。

偏差値は1985年の40.0から、2027年予想65.0まで上がっています

次に「昔から入りやすかったんでしょ」という話。河合塾のボーダー偏差値を、公表されている年でさかのぼって並べました。

藤田医科大学の河合塾ボーダー偏差値の推移。1985年の40.0から2027年予想65.0へ
出典:河合塾 全統模試ボーダー偏差値(2026一般前期時点)をもとに太宰府アカデミー集計
ボーダー偏差値
1975 47.5
1985 40.0
1995 60.0
2010 65.0
2015 65.0
2023 65.0
2024 65.0
2025 65.0
2026 65.0
2027(予想) 65.0

いちばん低かった1985年が40.0で、2027年度入試の予想は65.0。25ポイント上がっています。親世代が受験した頃の記憶で語られている「入りやすい大学」というイメージは、いまの数字とは合いません。

出典:河合塾 全統模試ボーダー偏差値(2026年度一般前期時点・2027年度は予想値)をもとに太宰府アカデミー集計

医学部の偏差値がどこも上がっているのは事実ですが、それでも「昔と同じ感覚で見てはいけない」というのは、大学選びをするうえで押さえておきたいところです。

研修先としては、むしろ選ばれている大学です

3つめの「就職や研修先で苦労するんでしょ」。ここがいちばん正直な数字が出るところだと思っています。

医師免許を取った人は、2年間の初期臨床研修をどこで受けるかを自分で選んで希望を出します。その大学で6年間を過ごした学生が、そのまま残りたいと思うかどうか——評判を測るには、口コミよりよほど確かな材料です。

藤田医科大学の初期臨床研修プログラムの第1希望充足率と、全国の大学病院平均37.1%の比較
出典:医師臨床研修マッチング協議会「2025年度 中間公表」をもとに太宰府アカデミー集計
プログラム 募集定員 第1希望者数 充足率
藤田医科大学ばんたね病院研修プログラム 6人 5人 83.3%
小児科コース 2人 2人 100.0%
産科・婦人科コース 2人 1人 50.0%
外科系コース 1人 0人 0.0%
基本コース 28人 24人 85.7%
藤田医科大学岡崎医療センター研修プログラム 3人 4人 133.3%
合計 42人 36人 85.7%
(参考)全国の大学病院405プログラム平均 37.1%

藤田医科大学の関連プログラム合計は、募集42人に対して第1希望が36人で充足率85.7%。全国405ある大学病院プログラムの平均37.1%を上回りました。とくに岡崎医療センターの研修プログラムは定員3人に第1希望4人(133.3%)小児科コースは定員2人に第1希望2人(100.0%)と、定員を満たしたコースが2つあります。いちばん枠の大きい基本コース(定員28人)も第1希望24人で85.7%でした。

出典:医師臨床研修マッチング協議会「2025年度 中間公表」をもとに太宰府アカデミー集計(充足率=第1希望者数÷募集定員)

入学してからの6年間はどうか

入試の話だけでは片手落ちなので、入ったあとの数字も置いておきます。

指標 藤田医科大学 私立31校の平均
入学者数 120人
6年次への進級率(同) 75.8%
ストレート卒業率(2019年度入学者) 75.0% 81.1%
医師国家試験 合格率(第119回・2025年) 98.1% 95.0%
医師国家試験 合格率(第120回・2026年) 94.7%(新卒96.4%) 91.6%(全国)

ストレート卒業率は75.0%で、私立31校の平均81.1%を下回っています(私立23位)。医師国家試験の合格率は98.1%で、私立平均95.0%を上回っています。

出典:文部科学省「医学部医学科の入学状況及び国家試験合格状況等について」(令和7年12月公表)8〜9ページをもとに太宰府アカデミー集計(2019年度入学者が第119回国試を受けるまでの追跡)

国家試験は年に1回なので、直近の第120回(2026年2月実施)の数字も併記しました。藤田医科大学は114人が受験して108人が合格=94.7%(新卒96.4%・既卒33.3%)。全国の総合計は91.6%でした。新卒に限れば96.4%で、全国の新卒平均94.7%を上回りました。既卒は33.3%ですが、これは受験者数そのものが少ない区分の数字です。年によって数字は動くので、1年だけを見て判断しないでください。

出典:厚生労働省「第120回医師国家試験の合格発表について」(2026年3月16日)

この2つの数字は、集計しているところも範囲も違います。上の第119回は文部科学省が2019年度入学者を追いかけた調査の一部で、下の第120回は厚生労働省が発表した学校別の合格状況です。並べて引き算をするための数字ではありません。

ストレート卒業率は「入学した人数のうち、6年ちょうどで卒業できた人の割合」です。留年する人が一定数いるのはどの医学部でも同じで、この数字が低いこと自体は大学の質とは別の話になります。進級判定の厳しさがそのまま出るためです。

合格者の記述模試平均は66.0。私立31校のなかで9位です

上のボーダー偏差値には弱点があります。2.5刻みなので、65.0の大学がいくつも横並びになってしまうことです。そこで、実際に合格した人の模試の平均点で並べ直します。河合塾が毎年公表している入試結果調査の数字です。

2026年度入試で藤田医科大学に合格した人の記述模試の平均は66.0(英65.5・数66.1・理66.4)。この数字で並べると私立31校中9位、国公立を含む全81校では35位でした(防衛医科大学校を除く)。前年の65.8から+0.2で、すぐ上の昭和医科大学(65.9)とは0.1差です。

私立医学部の合格者の記述模試平均トップ10と6年間の学費。藤田医科大学は66.0で9位、学費は2,152万円
出典:河合塾 入試結果調査(2026年度入試)と各大学公表の学費をもとに太宰府アカデミー集計
私立の順位 大学 合格者の記述模試平均 6年間の学費(学納金)
1位 慶應義塾大学 72.1 2,266万円
2位 東京慈恵会医科大学 69.5 2,250万円
3位 順天堂大学 68.2 2,080万円
4位 日本医科大学 68.1 2,200万円
5位 関西医科大学 67.9 2,100万円
6位 国際医療福祉大学 67.6 1,850万円
7位 東京医科大学 66.4 2,940万円
8位 大阪医科薬科大学 66.2 2,841万円
9位 藤田医科大学 66.0 2,152万円
10位 昭和医科大学 65.9 2,700万円
(参考)私立31校の中央値(16位の水準) 64.0

この表には学費も並べました。私立の上位10校のうち7校が、6年間の学費2,300万円以下です。藤田医科大学は2026年度入学生から828万円下げて2,152万円になり、この帯に入りました。いちばん下に置いた私立31校の中央値は64.0(16位の水準)で、66.0はそれを2.0ポイント上回ります。

ひとつ、断っておきます。学費が安いから難しいのか、難しいから学費を下げられるのかは、この表からは分かりません。1年ぶんの数字で因果を語ることはできません。ただ、「学費が安い医学部は入りやすい」という言い方が、この10校を見るかぎり成り立っていないことは、はっきり分かります。

もう1つ、冒頭の「学費を下げたのは人が集まらないからでしょ?」に数字で答えておきます。値下げが適用された2026年度入試の志願者は2,757人で、前年の2,314人から443人増えました(+19.1%)。内訳は一般前期が1,625人→1,938人、共通テスト利用が689人→819人です。同じ年、私立31校の合計は+4.8%でした。

ただしこれも「値下げしたから増えた」とは書けません。同じ年に一般前期の募集人員が87名→100名に増えていますし、志願者の増減は入試日程や併願の組み方でも大きく動きます(→ 私立医学部の志願者数と倍率の増減一覧【全31校】2026年度入試)。言えるのは「人が集まっていない大学ではない」ということまでです。

出典:河合塾 入試結果調査(2026年度入試)をもとに太宰府アカデミー集計/学費は各大学公表の学納金(2026年度以降の入学者・学納金ベース)

太宰府アカデミーの視点|検討するうえで見ておきたい3点

ここまでの数字を踏まえて、藤田医科大学を志望校として検討するなら見ておきたいポイントを3つ挙げます。

1つめ。倍率7.05倍は「難易度」ではなく「受けやすさ」も含んだ数字です。倍率が高い大学は、たいてい受験しやすい大学でもあります。試験日程が複数あったり、科目数が少なかったりすると志願者が集まって倍率が上がるからです。倍率の高さ=入試問題の難しさ、ではありません。難易度はボーダー偏差値(65.0)と合格最低点のほうで判断してください。

2つめ。学費は6年で2,152万円です。私立医学部は最も安い国際医療福祉大学が1,850万円、最も高い川崎医科大学が4,550万円で、その間に31校が並びます。2,152万円は私立31校のうち高いほうから28番目で、平均より下の帯に入ります。ただし、学費の高さと「お金で入れる」かどうかは別の話です。3,061人が志願して407人しか受からない入試を、お金でどうにかすることはできません。この金額は大学公式で確認済みですが、年度で変わるので出願前に募集要項をご確認ください。2026年度入学生から2,980万円→2,152万円へ、828万円(約30%)下げました(大学のプレスリリース・2025年5月29日/2027年度も同額)。内訳は1年次492万円+2年次以降332万円×5年で、委託徴収金まで含めた6年間の合計は2,212.6万円と大学が公表しています。

3つめ。総額が同じでも、初年度に集中するか6年間に分散するかで資金計画はまるで変わります。大学によって年次別の内訳が違うので、募集要項の納入時期まで必ず見てください。ここを見落とすと、合格してから慌てることになります。

そのうえで、過去問は必ず解いてください。この大学の出題形式が自分に合うかどうかは、配点表を眺めるだけでは判断できません。どの大学を選ぶにしても、そこだけは変わらない話です。

まとめ|「Fランク」は定義の面でも数字の面でも当てはまりません

藤田医科大学について、国と河合塾の公表値だけで確かめた結果をまとめます。

  • 実質競争倍率7.05倍で全国81大学中28位。3,061人が志願し、合格は407人。受験者の14.2%しか受かっていません
  • ボーダー偏差値は1985年の40.0から2027年予想65.0へ。親世代の記憶にある「入りやすい大学」という像は、いまの数字と合いません
  • 研修先としての第1希望は充足率85.7%で、全国405ある大学病院プログラムの平均37.1%を上回りました。6年間を過ごした学生がそのまま残りたいと言っています
  • ストレート卒業率75.0%(私立31校の平均81.1%)。直近の第120回 医師国家試験は94.7%(新卒96.4%/全国総合計91.6%)
  • 学費は6年で2,152万円。私立31校のうち高いほうから28番目です

Fランクの定義は「合格ラインが成立しないほど志願者が少ない大学」でした。3,061人が志願する大学は、この定義に当てはまりません。

最後にひとつだけ。ここに並べたのは全部、誰でも見られる公表資料の数字です。「恥ずかしい」と書いている人が、この数字を見て書いているかどうか。そこは考えてみてもいいと思います。

私立9位という順位が全国では何番目になるのか。医学部偏差値ランキング2027|全81校の一覧で、国公立を含めた並びを確認できます。

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では、本日の記事は以上です。

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後藤 登(Goto Noboru)
仕事:総務・広報・完全個別指導コース担当
自己PR:高校・大学ボクシング部。釣りや登山が好き。新卒で当校に勤めて13年目。医学部受験の情報を調べて、ブログやInstagram、Twitterを更新しています。4年前から完全個別指導コースのコース担当。

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