こんにちは、太宰府アカデミーで広報/完全個別指導コースを担当している後藤です。
9月に入ると、年内入試(総合型・学校推薦型)の出願が始まります。締切は11月の第1〜2週に集中しているので、書類を書き始めるのはいまがちょうど締切です。
ところが「志望理由書は年内入試を受ける人だけのもの」と思われがちで、一般選抜でも提出させる大学があること、そして書類そのものが点数になる大学があることは、あまり知られていません。今回は各大学の2027年度(令和9年度)の募集要項・選抜要項から、そこを整理しました。
− 志望理由書って、どこの大学で必要なの?
− 点数がつくの?それとも出せばいいだけ?
− 結局、何を書けば読んでもらえるの?
一つずつ、深掘りしていきます。
この記事の目次
医学部の志望理由書は「出せば終わり」の書類ではない
先に結論です。志望理由書は、次の3つのどれかとして必ず使われます。
− 点数になる(東邦大学の総合入試は出願書類だけで40点)
− 面接の参考資料になる(弘前大学は「調査書・志望理由書を面接の参考資料とする」と明記)
− 質疑応答の題材になる(長崎大学は提出したレポートを基に質疑応答を行うと公表)
つまりどの大学でも、書いた内容は必ず読まれて、面接で触れられます。「出願書類のひとつ」として片づけると、面接で自分の書いた文章に足をすくわれます。
年内入試で出す4つの書類|自分で書くのは2つだけ
まず整理から。年内入試では、たいてい次の4つを出します。

| 書類 | 誰が書くか | 何を見られるか | 備考 |
|---|---|---|---|
| 志望理由書 | 受験生本人 | 志望の動機と将来像 | 「志願理由書」「自己推薦書」と呼ぶ大学もある |
| 活動報告書 | 受験生本人 | 何に取り組んできたか | 三重大学は活動実績証明書もあわせて提出 |
| 推薦書 | 学校長・担任 | 第三者から見た人物評価 | 学校推薦型選抜で必須 |
| 調査書 | 高等学校 | 成績と活動の記録 | 一般選抜でも必須。面接の参考資料になる |
4つのうち、自分の言葉で書くのは志望理由書と活動報告書の2つだけです。推薦書は学校長や担任が書き、調査書は高校が作ります。ここが差のつくところで、しかも代わりに書ける人がいません。
書類の名前は大学によって変わります。三重大学は「志願理由書」、金沢医科大学は「自己推薦書または志望理由書」という書き方です。名前が違っても、聞かれていることはほぼ同じだと思ってください。
書類そのものが点数になる大学がある
ここがいちばん見落とされている点です。出願書類に配点を置いている大学があります。

| 大学・区分 | 書類の配点 | 総合点 | 比率 |
|---|---|---|---|
| 東邦 総合入試・同窓生子女入試 | 出願書類40点 | 180点(書類40+基礎学力60+適性30+面接50) | 22% |
| 金沢医科 総合型・学校推薦型 | 自己推薦書または志望理由書60点 | 400点(基礎学力200+書類60+面接140) | 15% |
| 東京医科 学士選抜 | 書類審査12点 | 80点(書類12+小論文36+面接32) | 15% |
| 東京医科 全国ブロック別学校推薦型 | 書類審査12点 | 80点(書類12+小論文36+面接32) | 15% |
| 熊本 学校推薦型Ⅱ(熊本医療枠・みらい医療枠) | 点数は非公表(800字程度) | 共通テスト100+小論文15+面接15=130点 | 面接の参考資料 |
東邦大学の総合入試・同窓生子女入試は、出願書類だけで40点。総合180点なので22%です。ここに面接50点(28%)が乗るので、合計の半分が書類と人物の評価ということになります。基礎学力試験は60点しかありません。
金沢医科大学は、総合型選抜と学校推薦型選抜で自己推薦書または志望理由書に60点。基礎学力200点・面接140点と合わせて総合400点なので、書類が15%を占めます。
東京医科大学は学士選抜と全国ブロック別学校推薦型選抜で書類審査12点。総合80点のなかの12点です。
点数を公表していない大学のほうが多いのですが、「公表していない=軽い」ではありません。次の節で見るとおり、点数がつかない大学でも面接の土台として使われます。
一般選抜でも志望理由書を出す大学がある
「年内入試だけの書類」と思っていると、出願直前に慌てます。

| 大学・区分 | 志望理由書 | 書き方の指定 |
|---|---|---|
| 弘前 一般選抜(前期日程) | 医学科の志願者は必須 | 様式を出願サイトからダウンロードし直接入力。自書不可。A4片面印刷 |
| 川崎医科 地域枠選抜(岡山・静岡・長崎) | 判定に使用 | 日程・試験科目は一般選抜と同一。面接は150点+段階評価 |
| 長崎 学校推薦型選抜Ⅱ | 必須 | 本人自筆。面接は提出レポートを基に質疑応答 |
| 熊本 学校推薦型選抜Ⅱ | 必須 | 800字程度 |
| 多くの大学の一般選抜 | 提出不要 | ただし調査書は必須で、面接の参考資料になる |
弘前大学は、一般選抜(前期日程)の出願書類として、医学部医学科の志願者に志望理由書を求めます。要項には様式を出願サイトからダウンロードして「直接入力したものをA4サイズで片面印刷して提出」「自書不可」と書かれています。手書きではなくパソコンで入力する形式なので、様式を見ないまま原稿だけ書いていると作り直しになります。
川崎医科大学の地域枠選抜(岡山県・静岡県・長崎県)も、日程と試験科目は一般選抜と同じですが、志望理由書が判定に使われます。面接の配点も一般選抜の100点に対して150点と高くなっています。
多くの大学の一般選抜では志望理由書の提出は不要です。ただし調査書はどこでも必須で、面接の参考資料になります。出願の何を準備するかは、募集要項の「出願書類」の項目を最初に開いて確かめてください。
大学は志望理由書をどう使うと書いているか
「何を書けばいいか分からない」という相談をよく受けます。ここは想像で埋めるところではなく、大学が公表資料に書いています。

| 大学・区分 | 公表資料に書かれていること |
|---|---|
| 弘前 医学科(一般選抜) | 「【調査書・志望理由書】面接の参考資料とする」 |
| 熊本 学校推薦型Ⅱ(熊本医療枠) | 面接は「基礎学力、科学的・知的探究心、熊本医療に対する熱意と適性(特に、医療を通して熊本の社会・福祉・科学等にどのように貢献できるのか)」を見る。調査書・推薦書・志望理由書を参考にしながら個人面接を実施 |
| 愛媛 医学科 総合型選抜Ⅱ | 「出願書類(志望理由書、調査書、活動報告書)は面接に含めて評価する」 |
| 長崎 学校推薦型選抜Ⅱ | 調査書・推薦書・本人自筆の志望理由書・共通テストの成績・個人面接を総合して合格者を決定。面接は提出レポートを基に質疑応答 |
| 参考:弘前 心理支援科学科 | 志望理由書をA〜Dの4段階評価で点数化(A:40/B:30/C:20/D:10点) |
いちばん具体的なのが熊本大学です。2027年度に新設される学校推薦型選抜Ⅱ(熊本医療枠)では、志望理由書は800字程度。面接の評価基準として「医学科の教育を受けるために必要な基礎学力、科学的・知的探究心、熊本医療に対する熱意と適性(特に、医療を通して熊本の社会・福祉・科学等にどのように貢献できるのか)」と書かれています。「熊本にどう貢献するか」を書けと言われているのと同じです。
愛媛大学の医学科 総合型選抜Ⅱは、「出願書類(志望理由書、調査書、活動報告書)は面接に含めて評価する」。書類と面接が地続きだと明記されています。
長崎大学の学校推薦型選抜Ⅱは、志望理由書が本人自筆で、面接では出願時に提出したレポートを基に質疑応答を行うとしています。書いたことを説明できるかどうかが、そのまま評価になります。
参考までに、同じ弘前大学でも医学部心理支援科学科では志望理由書をA〜Dの4段階で評価して点数化(A:40点/B:30点/C:20点/D:10点)しています。医学科は点数化しませんが、大学が書類をどう採点しうるかが見える例です。
太宰府アカデミーの視点|書く前に決める3つ
ここまでの内容を、書く手順に落とします。
1つ目は、その大学が「何を見る」と書いているかを先に読むこと。 熊本大学は「熊本の医療にどう貢献するか」、東邦大学は出願書類に40点。書き出す前に募集要項の評価基準の欄を読むと、書く内容の半分は決まります。一般論の医師志望動機を1本作って全校に使い回すと、この部分が全部抜け落ちます。
2つ目は、面接で聞かれる前提で書くこと。 長崎大学は提出書類を基に質疑応答をすると明記していますし、弘前大学・愛媛大学は面接の参考資料・評価対象だと書いています。盛れば盛るほど、面接の持ち時間が「その話は本当ですか」の確認に消えます。自分が20分しゃべれない話は書かない、くらいでちょうどいいと思います。
3つ目は、様式と提出方法を先に確認すること。 弘前大学は自書不可でパソコン入力、長崎大学は本人自筆。真逆です。字数も熊本大学は800字程度と決まっています。中身より先に、器のほうが決まっているので、原稿を書き始める前に様式をダウンロードしてください。ここを間違えると、内容がよくても書き直しになります。
よくある質問
Q. 一般選抜しか受けないなら、志望理由書は書かなくていいですか?
A. 志望校によります。弘前大学のように一般選抜で提出を求める大学があり、川崎医科大学の地域枠選抜のように一般選抜と同じ日程で志望理由書を使う枠もあります。まず志望校の募集要項の「出願書類」を見てください。提出が不要でも、調査書は必ず提出しますし、面接がある大学がほとんどです。
Q. 何字くらい書けばいいですか?
A. 大学が指定します。熊本大学の学校推薦型選抜Ⅱは800字程度です。様式に記入欄の大きさが決まっている場合もあるので、字数の指定がなければ様式の欄に収まる量が答えになります。
Q. 同じ内容を複数の大学に使い回してもいいですか?
A. 経歴や動機の骨格は同じでかまいませんが、「なぜこの大学か」の部分は使い回せません。熊本大学のように「熊本の医療にどう貢献するか」を評価基準に挙げている大学では、そこが空白だと評価のしようがなくなります。
まとめ
医学部の志望理由書について、5点に絞ります。
− 年内入試で出す4つの書類のうち、自分で書くのは志望理由書と活動報告書の2つだけ
− 書類そのものが点数になる大学がある。東邦大学の総合入試は出願書類40点=総合180点の22%
− 一般選抜でも出す大学がある。弘前大学は医学科の志願者に志望理由書が必須(自書不可)
− 点数がつかない大学でも、面接の参考資料・質疑応答の題材として必ず使われる
− 何を書くかは大学が公表している。熊本大学は「熊本の医療にどう貢献するか」と明記
この記事を書いたのは、志望理由書の相談が毎年9月に集中するのに、「どこの大学で必要か」をまとめた資料がほとんど無かったからです。書き方の記事はたくさんありますが、その前に「自分の志望校で要るのか」「点数になるのか」が分からないと、力の入れどころが決まりません。様式のダウンロードだけでも、今日のうちにやっておくと後が楽になります。
あわせて読みたい記事も置いておきます。
− 医学部の面接落ち|不合格の基準を公表する大学|2027年度入試
本日の記事は以上です。
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◆筆者プロフィール
後藤 登(Goto Noboru)
仕事:総務・広報・完全個別指導コース担当
自己PR:高校・大学ボクシング部。釣りや登山が好き。新卒で当校に勤めて13年目。医学部受験の情報を調べて、ブログやInstagram、Twitterを更新しています。4年前から完全個別指導コースのコース担当。
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