先日、読売新聞を読んでいた際、「エイズは防ぐ時代へ」という特集記事を見ました。その記事がとても面白い内容で、医学部を受験される皆様も知っていて損はないと思います。今回のブログではHIV、エイズの基本知識とエイズの最新の予防法について調べた内容についてご紹介していこうと思います。
①そもそも「HIV」と「エイズ(AIDS)」の違いって…?
皆さん、HIVとエイズって同じ意味だと思っていませんでしたか?
恥ずかしながら、私は同じだと思っていました。笑
HIVはヒト免疫不全ウイルスというウイルスの名前。エイズ(AIDS)は後天性免疫不全症候群という病気の名前。つまりHIVウイルスに感染し、発症した時点でエイズ患者となるそうです。
②世界でどのぐらい人がHIV感染しているの?
~ 地域別の内訳 ~
北米、ヨーロッパ ・・・210万人
中南米 ・・・211万人
東欧・中東アジア ・・・160万人
日本を含むアジア・太平洋地域 ・・・510万人
中東・アフリカ ・・・2573万人
※UNAIDSの資料より
2016年末の時点でアフリカやアジアを中心に3,670万人程だと言われています。そのうち69%がサハラ以南アフリカ在住の人で占められており、深刻な状況です。その理由として、伝統的な男性優位社会や婚姻制度、宗教問題、それと貧困に基づく教育水準の低さが原因と言われています。サハラ以南アフリカの23ヵ国では、新規HIV感染者数は過去10年間で25%減少したと報告されていますが、未だに全世界で新たな感染者は毎年200万人近くに上るのが現状です。
③HIVの脅威。現在の治療法は?
HIVが体内で増える仕組みは巧みです。いったん、体内に入り込むと1日で約10億~100億個近く仲間を増やし、同時にウイルスなどから人の体を守っている免疫システムも壊します。しかも、HIVは増殖の際に変化しやすく、すべてのウイルスを排除するような薬を作るのが難しいそうです。このため、ワクチンによる感染予防やウイルス排除による根治が難しく、現在はウイルスが増えるのを抑える治療が行われています。
④エイズは防ぐする時代へ
こうした中でウイルスが増えない仕組みを体内に作り、エイズの発症を防ぐワクチンの開発が進められています。
1.HIVワクチン(※1)を点鼻して人に感染させる
2.ワクチンのウイルスが人の細胞にくっつき、RNAが入る
3.HIVの遺伝子を含むたんぱく質が作られる
4.免疫細胞の一種「樹状細胞」T細胞、危険なウイルスの特徴を知らせる
5.T細胞がHIV由来のたんぱく質を持つ細胞を攻撃
※1 HIVワクチン ・・・ HIVの一部の遺伝子をRNAに組み込んだセンダイウイルスを作る。人への毒性はない。
研究チームは人に無害な「センダイウイルス」のRNAに、HIVの遺伝子の一部を組み込む、疑似ウイルスを作成。これを鼻から人の細胞に感染させると、細胞内にRNAが送り込まれ、疑似ウイルスに組み込んだHIVの特徴を持ったたんぱく質が作られます。
これを粘膜などにある免疫細胞の一種の樹状細胞が認識し、HIVを「異物」と判断。その特徴を免疫システムに伝え、HIVを見分けて攻撃する免疫細胞「T細胞」が作られてHIVに備える。そして、HIVが大量に増える前に、T細胞が攻撃し、エイズ発症を抑える仕組みです。
※読売新聞引用
と、特集記事には書いてありました。まだ開発段階で実用化まであと10年程かかるそうです。しかし、今までの治療と違い、免疫細胞を利用したエイズの予防という新しい取り組みです。早く実用化され、HIVが蔓延している地域の救世主になることを願っています。
(後藤 登)