こんにちは、太宰府アカデミーで広報/完全個別指導コースを担当している後藤です。
今日は、ずっと形にしたかったものをようやく記事にします。福岡大学医学部の過去問を、5科目まとめて10年分ぶん解体した結果です。うちは福岡大の受験生を毎年見ているので、科目ごとに過去問を単元レベルまで分解したデータベースを作ってきました。英語5年・数学8年・物理8年・化学10年・生物12年ぶんです。
正直に言うと、作っている最中に「ここまで動かないのか」と驚きました。福岡大の入試は、大問の型がほとんど変わりません。
− 福大の傾向って、結局どこが出るの?
− 過去問は何年分やればいいの?
− 理科は物理と生物、どっちが有利?
この3つに、データで答えていきます。
この記事の目次
結論|福岡大学医学部は「大問の型」が何年も動いていません
先に結論を出します。福岡大学医学部の一般選抜(系統別日程)は、大問の構成が長期間まったく変わっていません。年度をまたいでも、同じ場所に同じ分野が来ます。

いちばん極端なのが化学です。大問4は、集計した10年間すべてで有機化学でした。大問3も理論化学でほぼ固定されています。数学は大問Ⅲが8年連続で微分積分の記述式。物理は8年間ずっと3題構成で、英語にいたっては5年間、Ⅰ〜Ⅴの中身が一度も入れ替わっていません。
| 科目 | 動いていない期間 | 固定されている内容 | 集計した年数 |
|---|---|---|---|
| 化学 大問4 | 10年 | 有機化学で固定(大問3も理論でほぼ固定) | 10年分 |
| 数学 大問Ⅲ | 8年 | 微分積分の記述式(接線・面積・極値) | 8年分 |
| 物理 大問構成 | 8年 | 3題構成。力学が8年中6年で大問Ⅲ | 8年分 |
| 英語 大問構成 | 5年 | Ⅰ和訳/Ⅱ内容一致/Ⅲ文法/Ⅳ発音/Ⅴ整序 | 5年分 |
これが何を意味するか。「何が出るか」を当てにいく必要がない、ということです。出る場所はもう分かっている。あとは、その場所で点を取れる状態にしておくだけ。福岡大の対策が立てやすいと言われるのは、この構造のためです。
数学は大問Ⅲが8年連続で微分積分|データの分析も6回
数学は3題・90分(数学単独)。大問Ⅰ・Ⅱが空所補充の小問集合、大問Ⅲだけが記述式という構成が8年間続いています。

その大問Ⅲは、8年間すべて微分積分でした。接線・面積・極値・変曲点といった定番の流れです。ここは「出るかもしれない」ではなく「出る」と考えて、記述の答案が書ける状態まで仕上げておくべき単元です。
| 単元 | 8年での出題回数 | 内容 |
|---|---|---|
| 微分積分(大問Ⅲ) | 8回 | 接線・面積・極値・変曲点。記述式 |
| データの分析 | 6回 | 平均・分散・標準偏差・共分散 |
| 確率 | 4回 | 反復試行・条件付き確率 |
| 指数・対数 | 4回 | 方程式と不等式 |
| 整数 | 4回 | 約数の個数・n進法・最大公約数 |
| 平面ベクトル | 3回 | 内分点・正多角形・垂直条件 |
もう1つ、見落とされやすいのがデータの分析(8年で6回)です。平均・分散・標準偏差・共分散あたりが繰り返し出ています。共通テスト向けの単元という印象で軽く扱う受験生が多いのですが、福岡大では主役級の頻度です。ここを捨てると、8年のうち6年で失点することになります。
確率(反復試行・条件付き確率)と指数対数、整数がそれぞれ4回。この4単元だけで、大問Ⅰ・Ⅱの中身のかなりの部分が説明できます。
化学は大問3=理論・大問4=有機で10年固定|酸化還元が8回
化学は4題・理科2科目で120分(化学に割けるのは実質60分前後)。マーク式が主体で、化学反応式・構造式・数値の記述が混ざります。
構成は10年間ほぼ不動です。大問1が理論・無機・有機を混ぜた小問集合、大問2が無機、大問3が理論、大問4が有機。大問2だけは理論が入る年(2025年度)もありますが、それ以外は驚くほど安定しています。

単元で見ると、酸化還元・電池・電気分解が10年で8回と突出しています。中和滴定(逆滴定を含む)・化学平衡・金属イオンの系統分析・非金属元素がそれぞれ6回。
| 単元 | 10年での出題回数 | 内容 |
|---|---|---|
| 酸化還元・電池・電気分解 | 8回 | 半反応式・起電力・電気分解の量的関係 |
| 酸塩基・中和滴定 | 6回 | 多段階・逆滴定・指示薬・実験器具 |
| 化学平衡・平衡移動 | 6回 | Kc/Kp・解離度・反応速度 |
| 金属イオンの系統分析 | 6回 | 沈殿の色・錯イオン |
| 非金属元素 | 6回 | 炭素・ケイ素・ハロゲン・硫黄・窒素 |
| 電離平衡・緩衝液 | 4回 | Ka・pH計算・塩の加水分解 |
ここから言えることは1つです。福岡大の化学は「量的計算」で差がつきます。電池・電気分解の計算、逆滴定、平衡定数。どれも手順が決まっていて、練習した人が確実に取れる問題です。60分という時間を考えると、計算の速さがそのまま得点になります。
物理は8年間、原子物理の独立出題がゼロでした
物理も3題・理科2科目で120分。ここで1つ、はっきりした事実が出ました。
集計した8年間(2018〜2025年度)で、原子物理が独立した大問として出題されたことは一度もありません。大問は力学・電磁気・波動・熱力学の4分野で回っています。力学は8年のうち6年で大問Ⅲ(記述式)に置かれていました。
頻出は円運動(4回)・運動量保存と反発係数(4回)・2物体の連成(3回)・気体の状態変化(3回)。力学の中でも「複数の物体が絡む問題」に寄っているのが特徴です。
解答形式には1年だけ例外がありました。2022年度は3題すべてが記述式(答えのみ)で、選択肢がありませんでした。ほかの年は大問Ⅰ・Ⅱがマーク式、大問Ⅲが記述式です。1年だけ形式が変わった年があるということは、頭の片隅に置いておいてください。
英語は5年間まったく同じ5題構成|発音問題が毎年出ます
英語は5題・英語単独70分。集計した5年間、大問の中身が一度も入れ替わっていません。
Ⅰ 下線部和訳(記述)/Ⅱ 長文の内容一致(4つ選択)/Ⅲ 文法・語法の空所補充/Ⅳ 発音・アクセント/Ⅴ 語句整序英作文。記述はⅠの和訳だけで、自由英作文・要約・リスニングはありません。
| 大問 | 内容 | 形式 | 5年での出題 |
|---|---|---|---|
| Ⅰ | 下線部和訳 | 記述(唯一の記述問題) | 5回 |
| Ⅱ | 長文の内容一致 | 選択肢から4つ選ぶ | 5回 |
| Ⅲ | 文法・語法の空所補充 | 4択・独立8文 | 5回 |
| Ⅳ | 発音・アクセント | 8問・同じ母音/異なる母音を選ぶ | 5回 |
| Ⅴ | 語句整序英作文 | 日本文4題・各7語句から6空所 | 5回 |
特筆すべきはⅣの発音問題が5年連続で出ていることです。しかも形式が決まっていて、ある単語と同じ母音(または異なる母音)を選ぶ8問構成。頻出の母音は /e/・/æ/・/ɒ/ で、それぞれ5年中4回登場しています。発音は多くの私立医学部で出題されない分野なので、対策を後回しにしがちです。福岡大では毎年出ます。
長文のジャンルにも偏りがあります。Ⅰの和訳は学術書・教養書から、Ⅱの内容一致は報道・科学記事から。心理学・脳科学、哲学・認知科学、社会・経済といったテーマが繰り返し登場しています。
生物は遺伝子発現と発生が12年で9回ずつ
生物は12年分(2013〜2025年度、2016年度を除く)を集計しました。

遺伝子発現(転写・翻訳・複製・オペロン)と、動物の発生・再生が、それぞれ12年で9回。4年に3年の割合で出ている計算です。ニューロンと筋収縮、植生・遷移・生態系、同化と呼吸・光合成がそれぞれ6回で続きます。
| 単元 | 12年での出題回数 | 内容 |
|---|---|---|
| 遺伝子発現 | 9回 | 転写・翻訳・複製・オペロン |
| 動物の発生・再生 | 9回 | 核移植・受精・ショウジョウバエ・ウニ |
| ニューロン・筋収縮 | 6回 | サルコメア・興奮の伝導 |
| 植生・遷移・生態系 | 6回 | 光合成曲線・物質循環 |
| 同化・呼吸・光合成 | 6回 | 発酵を含む |
| 免疫 | 5回 | MHC・移植・抗体の多様性 |
免疫(MHC・移植・抗体の多様性)も5回出ています。医学部らしいテーマが上位に並ぶのが福岡大の生物です。
ここで理科の選択について1つ書いておきます。物理は原子物理が出ず、範囲が実質的に4分野に絞られます。生物は12年で上位5単元がはっきりしていて、こちらも的が絞りやすい。どちらが有利かは、正直なところ「その人がどちらを速く正確に処理できるか」で決まります。範囲の絞りやすさでは大きな差はありません。
太宰府アカデミーの視点|過去問は何年分やるべきか
「過去問は何年分やればいいですか」とよく聞かれます。福岡大に関して、僕の答えははっきりしています。直近5年を2周してから、そこで見えた頻出単元だけを10年分さかのぼってください。
理由は、この記事で見てきたとおりです。大問の型が動かない以上、古い年度をやる価値は「同じ場所の別バージョン」を増やせることにあります。10年分を漫然と1周するより、大問Ⅲの微分積分だけを8年分、大問4の有機だけを10年分まとめて解くほうが、はるかに効率がいい。
もう1つ。時間配分が福岡大の裏テーマです。理科2科目で120分、英語70分、数学90分。とくに理科は1科目あたり60分しかありません。化学の量的計算も物理の連成問題も、解法を知っているかどうかではなく「知っている解法を60分でさばけるか」が問われます。過去問は必ず時間を計って解いてください。
そして九州の受験生にとっては、日程も大きな要素です。2027年度の一次試験は2月2日で、久留米大学の2月1日の翌日にあたります(いずれも公表情報の集計。募集要項で最終確認を)。2日連続で本番が来るという前提で、体力と移動の計画まで含めて組んでおいてください。
注意点|「傾向」は保証ではありません
ここまで「動かない」と書いてきましたが、当然ながら入試は変わりうるものです。実際、物理は2022年度に1年だけ全問記述になりました。英語の文法問題も「適当なもの」を選ぶ年と「適当でないもの」を選ぶ年が交替しています。
この記事のデータは、あくまで当塾が過去問から集計したものです。大学が公表している出題範囲ではありません。2027年度の試験科目・配点・出題範囲は、必ず大学の募集要項でご確認ください。福岡大学の2027年度入学試験要項は、11月上旬に公開される予定です。
傾向は「賭けるもの」ではなく「優先順位をつけるもの」です。頻出単元から手をつけて、時間が許すかぎり範囲を広げる。この順番だけは間違えないでください。
福岡大学医学部の出題傾向 よくある質問
Q1. 過去問は何年分やればいいですか?
A. 直近5年を2周したうえで、頻出単元だけ10年分さかのぼるのがおすすめです。大問の型が動かないので、年度を横に増やすより「同じ大問の別バージョン」を縦に積むほうが効きます。
Q2. 理科は物理と生物のどちらが有利ですか?
A. 範囲の絞りやすさでは大きな差はありません。物理は8年間で原子物理の独立出題がなく実質4分野、生物は12年で上位5単元がはっきりしています。60分で正確に処理できるほうを選んでください。
Q3. 英語で対策が抜けやすいのはどこですか?
A. 発音・アクセントです。5年連続で出題されていますが、出題しない私立医学部も多いため後回しになりがちです。/e/・/æ/・/ɒ/ の3つが頻出でした。
Q4. 数学で捨ててはいけない単元は?
A. データの分析です。8年で6回出ています。共通テスト向けの単元という印象で軽視されがちですが、福岡大では頻出単元です。
まとめ|福岡大学医学部の対策で押さえる4つ
- 大問の型が動かない。化学の大問4は10年連続で有機、数学の大問Ⅲは8年連続で微分積分の記述式
- 物理は8年間、原子物理の独立出題がゼロ。力学・電磁気・波動・熱力学の4分野で回っている
- 英語は5年間まったく同じ5題構成。発音問題が毎年出るのに、対策が抜けやすい
- 時間が最大の壁。理科2科目で120分=1科目60分。解法を知っているかではなく、60分でさばけるかが問われる
福岡大学の過去問を10年分ぶん並べて分かったのは、この大学が「準備した人が報われる入試」だということでした。出る場所が分かっているのですから、あとはそこを潰しきるだけです。
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本日の記事は以上です。
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当校は福岡県にある日本で唯一の全寮制医学部受験予備校です。
【当校の特徴】
定員30名|21年間の累計医学部医学科合格実績518名(のべ数)|田舎の全寮制|全国各地から入学(2026年度生は全国20の都道府県より入学)|異次元の生活サポート|食事が美味しい(土日祝日問わず3食提供)|講師との距離が近い|プロ講師の質問対応が充実|完全個別指導コースあり|選抜国公立コースあり|専用筋トレジムあり|同じ夢を持った仲間と1年間切磋琢磨し、医学部合格を目指す
【校風】アットホームな大家族予備校
◆筆者プロフィール
後藤 登(Goto Noboru)
仕事:総務・広報・完全個別指導コース担当
自己PR:高校・大学ボクシング部。釣りや登山が好き。新卒で当校に勤めて13年目。医学部受験の情報を調べて、ブログやInstagram、Twitterを更新しています。4年前から完全個別指導コースのコース担当。
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