こんにちは、太宰府アカデミーで広報/完全個別指導コースを担当している後藤です。
「内科と外科って、結局どっちが大変なんですか」——進路の話になると、ほぼ毎年この質問が出ます。ドラマの影響もあって外科は「かっこいいけど激務」、内科は「地味だけど落ち着いている」というイメージで語られがちです。
ただ、これを裏づける数字を出しているページが、僕が探した限り見当たりませんでした。そこで厚生労働省が全病院を対象に行った労働時間の調査と、医師の統計、専攻医の採用数を読んで比べてみたところ、イメージが当たっている部分と、はっきり外れている部分の両方が見えてきました。
− 内科と外科、どっちが大変なの?
− 仕事内容はどう違うの?
− 外科医は減っているって本当?
順番にお答えします。
この記事の目次
結論|違いを1枚の表にまとめました
先に全体像を出します。国の統計から取れる範囲で、内科と外科を同じ物差しで並べました。
| 内科 | 外科 | |
|---|---|---|
| 主な仕事 | 薬・生活指導で治す(内科的治療) | 手術で治す(外科的治療) |
| 主たる診療科とする医師数 | 62,161人(全体の18.8%) | 12,341人(3.7%) |
| 平均年齢 | 59.3歳 | 53.9歳 |
| 女性比率(病院勤務) | 22.2% | 9.7% |
| 病院勤務の割合 | 21,865人(約35%) | 10,101人(約82%) |
| 年1,860時間超の長時間労働 | 1.8% | 5.1% |
| 専門研修(専攻医)の年数 | 3年 | 3年以上+規定の修練の修了 |
| 2026年度の専攻医採用数 | 3,129人(1位) | 996人(2位) |
| 9年間の伸び(2018→2026年度) | +17.2% | +23.7% |
| シーリング(採用上限) | 東京・福岡など10都府県が対象 | 対象外(全国どこでも可) |
いちばんの違いは、言うまでもなく「薬で治すか、手術で治すか」です。ただ、そこから派生して働く場所・年齢構成・労働時間・研修の長さまで、すべてが違ってくるのが表から読み取れます。とくに外科は約82%が病院勤務なのに対し、内科は約35%——内科は開業という選択肢が現実的にあるぶん、キャリアの形が大きく変わります。
出典:厚生労働省「令和6(2024)年 医師・歯科医師・薬剤師統計」表4・表5/医政局「医師の働き方改革の施行に向けた準備状況調査」(令和4年・全病院対象)/医師専門研修部会 資料1(2026年7月15日)
「どっちが大変か」を数字で見る|外科5.1%・内科1.8%
いちばん多い質問に、正面から答えます。厚生労働省が全病院を対象に、時間外・休日労働が年1,860時間相当を超える医師の割合を診療科別に集計した調査があります。

| 診療科 | 所属医師数 | 年1,860時間超 | 割合 |
|---|---|---|---|
| 産婦人科 | 2,128人 | 150人 | 7.0% |
| 外科 | 4,883人 | 248人 | 5.1% |
| 整形外科 | 2,257人 | 48人 | 2.1% |
| 内科 | 12,340人 | 220人 | 1.8% |
| 眼科 | 1,791人 | 11人 | 0.6% |
| 皮膚科 | 1,602人 | 4人 | 0.2% |
| 調査全体 | 43,718人 | 1,034人 | 2.4% |
外科は5.1%、内科は1.8%。極端な長時間労働をしている医師の割合は、外科のほうが約2.8倍多いという結果でした。「外科は激務」というイメージは、この指標では当たっています。
出典:厚生労働省 医政局「医師の働き方改革の施行に向けた準備状況調査 調査結果」(令和4年3〜4月調査・全病院対象/対象医師43,718人)診療科別の集計より
ただし、2つ補足させてください。1つめ。外科より上がいます。産婦人科は7.0%で、外科の5.1%を上回ります。診療科全体のなかで見れば、外科は「最も過酷」ではありません。2つめ。この指標が測っているのは極端な長時間労働だけです。当直の回数、夜間の呼び出し、手術の緊張感——大変さの中身は数字に出ません。内科が1.8%だからといって楽な科という意味にはならない、という点は強調しておきます。
仕事内容の違い|「治し方」がキャリアの形を決める
内科は、問診・検査・画像から病気の正体を突き止め、薬や生活指導で治療します。糖尿病や高血圧のように長く付き合う病気も多く、同じ患者さんを何年も診続けるのが特徴です。平均年齢59.3歳と全診療科でいちばん高いのは、開業して長く続ける医師が多いことの表れでもあります。

| 診療科 | 主たる診療科とする医師数 | 平均年齢 | 病院勤務の割合 |
|---|---|---|---|
| 内科 | 62,161人(全体の18.8%) | 59.3歳 | 21,865人(約35%) |
| 整形外科 | 22,630人(6.8%) | 52.5歳 | 14,659人(約65%) |
| 眼科 | 13,436人(4.1%) | 53.7歳 | 4,839人(約36%) |
| 外科 | 12,341人(3.7%) | 53.9歳 | 10,101人(約82%) |
この表が示すとおり、内科は医師数でも規模でも最大の診療科です。ただし内科は消化器内科・循環器内科・呼吸器内科などに細かく分かれており、それらを合算するとさらに大きくなります。
出典:厚生労働省「令和6(2024)年 医師・歯科医師・薬剤師統計」表4・表5
外科は、手術という手技で治します。だから設備と手術チームのある病院でこそ成り立つ——約82%が病院勤務という数字はここから来ています。専門研修の年数は内科・外科とも3年以上ですが、外科専門医の受験資格には規定の修練をすべて修了していることが加わります(基幹施設・連携施設それぞれで6か月以上の研修を含む)。手技の習得が要件に組み込まれているぶん、年数だけでは測れない密度があります。
出典:日本外科学会 外科専門医制度(外科領域の専門研修は満3年以上)/日本内科学会 内科専門研修プログラム(3年)
どちらが向いているかを判断する材料としては、「病気を推理して突き止める過程に惹かれるか」「自分の手で治した手応えを求めるか」という軸が実務的だと思います。もっとも、これは初期研修の2年間で両方を回ってから決められることなので、いま結論を出す必要はありません。19の診療科を同じ物差しで並べた記事も、判断の材料になるはずです。
「外科離れ」は本当か|専攻医は9年で+23.7%
「外科医のなり手が減っている」という話をよく聞きます。これも実数で確かめました。

| 年度 | 内科の専攻医 | 外科の専攻医 |
|---|---|---|
| 2018年度 | 2,670人 | 805人 |
| 2020年度 | 2,923人 | 829人 |
| 2022年度 | 2,915人 | 846人 |
| 2024年度 | 2,850人 | 807人 |
| 2026年度 | 3,129人(+17.2%) | 996人(+23.7%) |
結果は意外なものでした。外科の専攻医は2018年度の805人から2026年度は996人へ、+23.7%。内科の+17.2%を上回る伸びです。2026年度の996人は9年間で最多でした。
出典:厚生労働省 医道審議会 医師分科会 医師専門研修部会 資料1「令和8年度の専攻医採用と令和9年度の専攻医募集について」(2026年7月15日)をもとに太宰府アカデミー集計
少なくとも専門研修に進む人数という指標では、「外科離れ」は起きていません。むしろ増えています。ただし、外科医の平均年齢が53.9歳で医師数が12,341人にとどまっている点、そして手術を担う世代の層の厚さは別の論点です。「若い医師が外科を選ばなくなった」という通説は、採用数のデータとは食い違っている——ここまでが数字で言えることです。
研修先の自由度は、内科と外科で逆になる
進路を考えるうえで見落とされがちな制度の違いがあります。シーリング——専攻医が都市部に集中しないよう、都道府県×診療科ごとに採用数の上限を置く仕組みです。
外科はシーリングの対象外で、全国どこでも枠の制約なく研修先を選べます(ほかに産婦人科・救急科・病理・臨床検査・総合診療の計6科)。一方内科は東京・京都・和歌山・鳥取・岡山・徳島・福岡・長崎・熊本・鹿児島の10都府県が対象で、これらの地域では枠の争いがあります。
福岡で研修したい生徒には特に伝えておきたい点で、福岡県は13科中8科がシーリング対象。「九州は医師不足」という思い込みとは逆に、福岡は東京・京都・大阪・岡山と並ぶ「医師が足りている県」の扱いです。地元で内科を志すなら枠の争いがあり、外科なら制約がない——10年以上先の話ですが、こういう構造があることは知っておいて損はありません。
太宰府アカデミーの視点|いま決める必要はありません
1つめ。内科か外科かは、26歳に決めることです。医学部6年を終えて医師免許を取り、初期臨床研修の2年間で内科も外科も実際に回ってから選びます。受験の段階で決める必要はまったくありませんし、大学選びで「外科に強い大学」を探す必要もありません。
2つめ。それでも数字を知っておく価値はあります。「外科は激務」というイメージは長時間労働率5.1%(内科1.8%)という形で当たっていて、「外科離れ」という通説は専攻医+23.7%という形で外れている。イメージのどこが当たっていてどこが違うかを知っておくと、初期研修で実際に回ったときの見え方が変わります。面接で志望科を聞かれたときにも、印象論ではない言葉で話せます。
3つめ。いま確実にやるべきなのは、6年で卒業して国家試験に1回で通ること。ここは大学差が大きく、文部科学省の公表データでは、6年でストレートに医師になれる割合は国公立トップの金沢大学で97.4%、第120回医師国家試験で新卒合格率100%だったのは自治医科大学・北海道大学・京都大学の3校でした。志望校を決める前に大学ごとのストレート卒業率ランキングで候補校の数字を確かめておくことをおすすめします。
まとめ|外科医と内科医の違い
- 治し方が違う——内科は薬・生活指導、外科は手術。そこから働く場所・年齢構成・研修年数まで変わる
- 「どっちが大変か」は外科。年1,860時間超の割合は外科5.1%・内科1.8%で約2.8倍。ただし産婦人科7.0%より低い
- 規模は内科が5倍(62,161人 vs 12,341人)。病院勤務は外科約82%・内科約35%で、内科は開業という道がある
- 「外科離れ」は専攻医の実数では起きていない——外科+23.7%(805→996人)で、内科+17.2%を上回る
- 研修先の自由度は逆。外科はシーリング対象外、内科は東京・福岡など10都府県が対象
- 決めるのは26歳。初期研修で両方を回ってから選べるので、受験の段階で決める必要はない
- 受験の段階でできるのは大学選び。6年で医師になれる割合は金沢大学97.4%(国公立1位)など大学差が大きいので、進級・国試のデータまで見て志望校を決める
「どっちが大変か」という質問に、印象で答えるのが嫌でこの記事を書き直しました。数字で答えたうえで、「大変さの中身は数字に出ない」ことまで含めて伝えるのが、いちばん誠実だと思っています。
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本日の記事は以上です。
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【当校の特徴】
定員30名|21年間の累計医学部医学科合格実績518名(のべ数)|田舎の全寮制|全国各地から入学(2026年度生は全国20の都道府県より入学)|異次元の生活サポート|食事が美味しい(土日祝日問わず3食提供)|講師との距離が近い|プロ講師の質問対応が充実|完全個別指導コースあり|選抜国公立コースあり|専用筋トレジムあり|同じ夢を持った仲間と1年間切磋琢磨し、医学部合格を目指す
【校風】アットホームな大家族予備校
◆筆者プロフィール
後藤 登(Goto Noboru)
仕事:総務・広報・完全個別指導コース担当
自己PR:高校・大学ボクシング部。釣りや登山が好き。新卒で当校に勤めて13年目。医学部受験の情報を調べて、ブログやInstagram、Twitterを更新しています。4年前から完全個別指導コースのコース担当。
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