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整形外科医になるには?最短12年のルートと専攻医9年で+40%の実数

2026年08月15日 更新

こんにちは、太宰府アカデミーで広報/完全個別指導コースを担当している後藤です。

「スポーツで怪我をしたときに診てもらった整形外科の先生に憧れて」——志望理由を聞くと、この動機を挙げてくれる生徒が毎年います。骨折や捻挫で医師にかかった経験は多くの人にあるので、いちばんイメージしやすい科なのだと思います。

ただ、そこから先の「実際にどうやってなるのか」を調べると、制度の言葉だけが並んでいて、何歳で何を決めるのか、いま何人がその道を選んでいるのかまで書いてあるページが見つかりません。国の資料を読んで整理したところ、整形外科は専攻医が9年で40%増えているという、はっきりした事実が出てきました。

− 整形外科医になるには、何年かかるの?

− どの大学の医学部に行けばいいの?

− 人気の科って本当?これから目指しても大丈夫?

順番にお答えします。

結論|整形外科医になるには最短12年。専門医は30歳ごろ

まず全体の地図です。医学部6年+初期臨床研修2年+整形外科の専門研修4年=最短12年。現役で医学部に合格し、留年なしで進めば30歳ごろに整形外科専門医になります。

整形外科医になるまでの最短ルート図。医学部6年、初期臨床研修2年、整形外科の専門研修4年で、現役合格なら30歳ごろに整形外科専門医
出典:医師法(初期臨床研修2年)/日本整形外科学会 専門研修プログラム整備基準(専門研修4年)
段階 年数 年齢の目安 この段階で決まること
医学部(医学科) 6年 18→24歳 医師国家試験の受験資格
医師国家試験 24歳の2月 医師免許(第120回の新卒合格率94.7%)
初期臨床研修(必修) 2年 24→26歳 まだ科は決めない。全科を回る
整形外科の専門研修(専攻医) 4年 26→30歳 ここで整形外科を選ぶ。19の基本領域から1つ
整形外科専門医 30歳ごろ〜 研修修了後、年1回の試験に合格して取得

整形外科の専門研修は4年で、内科や産婦人科(3年)より1年長いのが特徴です。手術手技の習得に時間がかかる科だからで、研修を修了したあと日本整形外科学会が年1回実施する試験に合格して専門医になります。

出典:医師法(初期臨床研修2年)/日本整形外科学会「整形外科専門研修プログラム整備基準」(専門研修4年)。年齢は現役合格・留年なしの目安

ここで受験生に強調しておきたいのは、整形外科を選ぶのは医学部入学時ではなく、医師免許を取った後の26歳ごろだということです。初期臨床研修の2年間は全科を回るので、実際に整形外科の現場を見てから決められます。「整形外科に強い大学」を探して受験校を絞る必要はありません。どの大学の医学部からでも、この12年のルートは同じです。

整形外科の専攻医は9年で+40%|主要科で際立つ伸び

「整形外科は人気の科」とよく言われます。これが本当なのか、国が毎年公表している専攻医の採用数で確かめました。

整形外科の専攻医採用数の推移2018〜2026年度。552人から773人へ9年間で+40.0%
出典:厚生労働省 医師専門研修部会 資料1「令和8年度の専攻医採用と令和9年度の専攻医募集について」(2026年7月15日)
年度 整形外科の専攻医採用数 参考:産婦人科 参考:眼科
2018年度 552人 441人 328人
2020年度 671人 476人 344人
2022年度 644人 517人 343人
2024年度 739人 482人 331人
2026年度 773人(+40.0%) 478人(+8.4%) 341人(+4.0%)

2018年度の552人から2026年度は773人へ、+40.0%。同じ9年間で産婦人科は+8.4%、眼科は+4.0%ですから、整形外科の伸びが際立っていることが分かります。しかも2026年度の773人は9年間で最多です。

出典:厚生労働省 医道審議会 医師分科会 医師専門研修部会 資料1「令和8年度の専攻医採用と令和9年度の専攻医募集について」(2026年7月15日)をもとに太宰府アカデミー集計

他の科と並べると、規模の大きさも見えてきます。

2026年度の専攻医採用数が多い診療科。内科3,129人・外科996人に次いで整形外科が773人で3番目
出典:厚生労働省 医師専門研修部会 資料1(2026年7月15日)
順位 診療科 2026年度の専攻医採用数
1 内科 3,129人(全体の31.3%)
2 外科 996人
3 整形外科 773人
4 精神科 547人
5 小児科 543人
6 救急科 527人
7 麻酔科 495人
19領域の合計 9,998人(過去最多)

2026年度に専門研修へ進んだ専攻医は全体で9,998人(過去最多)。そのうち整形外科は773人で、内科3,129人・外科996人に次ぐ3番目です。医師全体で見ても、主たる診療科を整形外科とする医師は22,630人と内科に次ぐ2番目の規模。「人気の科」という評判は、実数の裏付けがあると言っていいと思います。

数字で見る「整形外科」という科の実像

志望する側から見た、科のプロフィールを表にまとめました。

指標 数字 何を意味するか
主たる診療科を整形外科とする医師 22,630人(全体の6.8%) 内科に次ぐ2番目の規模
2026年度の専攻医採用数 773人 内科・外科に次ぐ3番目(全体9,998人)
働く場所 病院14,659人/診療所など7,971人 病院勤務が中心(約65%)
平均年齢 52.5歳
女性比率(病院勤務) 7.6% 外科系はどこも1割未満(眼科42.9%・産婦人科49.2%)
年1,860時間超の長時間労働 2.1%(調査全体2.4%) 外科5.1%・産婦人科7.0%より低い
シーリング(採用上限) 対象:京都・奈良・福岡 この3府県は枠の争いがある

読み取れることが3つあります。①病院勤務が中心——約65%が病院で働いており、開業が主流の眼科(診療所64%)とは働き方の形が違います。手術設備が要る科なので当然とも言えます。②長時間労働は外科系のなかでは軽い——年1,860時間超の割合は2.1%で、調査全体の2.4%を下回ります。外科5.1%・産婦人科7.0%と比べても低い水準です。③女性医師が7.6%と少ない——眼科42.9%・産婦人科49.2%と比べると際立ちます。

出典:厚生労働省「令和6(2024)年 医師・歯科医師・薬剤師統計」表4・表5/医政局「医師の働き方改革の施行に向けた準備状況調査」(令和4年・全病院対象)/医師専門研修部会 資料1(2026年7月15日)

3つめについては、心臓血管外科7.0%・脳神経外科8.1%と、外科系はどこも1割未満です。体力面のイメージが先行しがちですが、整形外科の長時間労働率は2.1%と、数字の上では外科系のなかで軽いほう。女性の少なさが実態を正確に反映しているとは限らない、というのがデータを見た印象です。これから変わりうる分野だと思います。

知っておきたい注意点|京都・奈良・福岡はシーリング対象

ひとつ、進路を考えるうえで知っておくべき制度があります。専攻医が都市部に集中しすぎないよう、都道府県×診療科ごとに採用数の上限を置くシーリングという仕組みです。

整形外科は2027年度、京都・奈良・福岡の3府県がシーリングの対象になっています。産婦人科・外科・救急科のように上限のない科とは違い、この3府県で整形外科の専攻医になるには枠の争いがあるということです。

福岡で研修したいと考えている生徒には特に伝えておきたい点で、福岡県は13科中8科がシーリング対象(内科・精神科・整形外科・泌尿器科・放射線科・麻酔科・形成外科・リハビリテーション科)です。もっとも、これは10年以上先の話ですし、制度は毎年見直されます。いま気にしすぎる必要はありませんが、「地元で働きたい」という希望がある人は、そういう仕組みがあることだけ頭の隅に置いておくとよいと思います。

太宰府アカデミーの視点|受験生がいまやるべきこと

1つめ。大学選びで整形外科を意識する必要はありません。科を決めるのは26歳、初期研修で現場を見てからです。受験の段階では偏差値・配点・立地といった条件で志望校を選んで大丈夫です。ただし配点の相性だけで決めず、必ず過去問で出題形式を確かめてください。

2つめ。12年の最短ルートは「6年で卒業できて初めて」成立します。ここは大学差が大きいところで、文部科学省の公表データでは、6年でストレートに医師になれる割合は国公立トップの金沢大学で97.4%、第120回医師国家試験で新卒合格率100%だったのは自治医科大学・北海道大学・京都大学の3校でした。志望校を決める前に大学ごとのストレート卒業率ランキングで候補校の数字を確かめておくことをおすすめします。

3つめ。憧れの動機は、数字で確かめると強くなります。「怪我を治してくれた先生に憧れて」は立派な志望理由です。そこに「専攻医が9年で40%増えている科で、病院勤務が中心で、女性医師はまだ7.6%」という事実が加わると、面接で語れる解像度が変わります。診療科ごとの働き方を横断的に比べた19診療科の比較記事も、進路を考える材料になるはずです。

まとめ|整形外科医になるには

  • 最短ルートは医学部6年+初期臨床研修2年+専門研修4年=12年。現役合格なら30歳ごろに整形外科専門医
  • 専門研修は4年(内科・産婦人科の3年より1年長い)。修了後、年1回の試験に合格して取得
  • 科を決めるのは26歳。どの大学の医学部からでも同じルートで、受験校を絞る必要はない
  • 専攻医は9年で552→773人(+40.0%)。産婦人科+8.4%・眼科+4.0%と比べ際立つ伸びで、2026年度は内科・外科に次ぐ3番目
  • 医師22,630人が主たる診療科とする内科に次ぐ2番目の規模。病院勤務が約65%で、長時間労働率2.1%は外科系では軽いほう
  • 京都・奈良・福岡はシーリング対象。この3府県では専攻医の枠に上限がある

「整形外科医になりたい」と言う生徒に、僕がいま伝えられるのは「まず6年で卒業して、国家試験に1回で通ること。科の決断はそのあとで間に合う」ということだけです。その言葉に数字の裏づけを添えたくて、この記事を書き直しました。

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本日の記事は以上です。

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◆筆者プロフィール

後藤 登(Goto Noboru)
仕事:総務・広報・完全個別指導コース担当
自己PR:高校・大学ボクシング部。釣りや登山が好き。新卒で当校に勤めて13年目。医学部受験の情報を調べて、ブログやInstagram、Twitterを更新しています。4年前から完全個別指導コースのコース担当。

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