こんにちは、福岡の医学部予備校で総務・広報を担当している後藤です。
本日のブログは、私立医学部の共通テスト利用です。国公立が第一志望の方から、毎年この時期に同じ質問をいただきます。「共テ利用って、何割取れば通るんですか」。
調べると、たいていは予備校のボーダー予想が出てきます。それも参考にはなるのですが、大学自身が「何点で合格を出したか」を公表していることはあまり知られていません。そちらのほうが確かな数字です。
そこで、大学が公表している共通テスト利用の合格最低点を集めて、得点率に直して並べました。同じ大学の一般選抜と比べられるように、そちらの数字も横に置いています。
この記事で答えたいのは、次の3つです。
− 共通テスト利用って、結局何割取れば通るの?
− 一般選抜と比べて、どれくらい違うの?
− 併願先として、どう使えばいいの?
数字の高い順に見ていきます。
この記事の目次
結論|共通テスト利用は、一般選抜とはまったく別の試験です
先に答えを書きます。
①合格ラインは76〜91%。大学が公表している共通テスト利用の合格最低点を得点率に直すと、いちばん高い藤田医科大学で91.1%、いちばん低い埼玉医科大学でも76.4%でした。9割前後を要求する方式が並びます。
②同じ大学の一般選抜より、平均18.9ポイント高い。両方を公表している6大学で比べると、差は6.4〜34.6ポイント。藤田医科大学は一般56.5%に対して共テ利用91.1%で、34.6ポイント違います。同じ大学の同じ学部なのに、通るために必要な水準がまるで違うということです。
③理由は、枠が小さいことです。共通テスト利用の募集人員は、多い東海大学で38名、少ない近畿大学の後期は2名。5〜10名という大学が並びます。枠が小さければ、上から順に取っていったときのラインは上がります。聖マリアンナ医科大学は募集5名に514名が受験して合格5名、102.8倍でした。
順番に見ていきます。
共通テスト利用の合格ライン|76〜91%が並びます
まず、大学が公表している合格最低点です。満点も配点も大学ごとに違うので、得点率に直して並べました。

| 大学・方式 | 年度 | 合格最低点/満点 | 得点率 | 1次か2次か |
|---|---|---|---|---|
| 藤田医科大学 共通テスト利用 前期 |
2025年度 | 638/700 | 91.1% | 2次 |
| 関西医科大学 共通テスト利用 後期 |
2025年度 | 540.5/600 | 90.1% | 1次 |
| 近畿大学 共通テスト利用 後期 |
2025年度 | 268/300 | 89.3% | 1次 |
| 大阪医科薬科大学 共通テスト利用 |
2026年度 | 613/700 | 87.6% | ― |
| 関西医科大学 共通テスト利用 前期 |
2025年度 | 696.1/800 | 87.0% | 1次 |
| 東京医科大学 共通テスト利用 |
2025年度 | 772/900 | 85.8% | 1次 |
| 順天堂大学 共通テスト・一般併用 |
2025年度 | 1,026/1,200 | 85.5% | 1次 |
| 近畿大学 共通テスト利用 中期 |
2025年度 | 337/400 | 84.3% | 1次 |
| 近畿大学 共通テスト利用 前期 |
2025年度 | 419/500 | 83.8% | 1次 |
| 埼玉医科大学 共通テスト利用 |
2025年度 | 420/550 | 76.4% | 1次 |
上から、藤田医科大学の共通テスト利用前期が91.1%(2次・638点/700点)、関西医科大学の共テ後期が90.1%、近畿大学の共テ後期が89.3%と続きます。9割を超える方式が実際にあります。
いちばん低いのが埼玉医科大学の76.4%(1次・420点/550点)です。とはいえ76.4%も、共通テストで4分の3以上を取るということです。「共テ利用は保険」と考えていると、この数字で足元をすくわれます。
もうひとつ注意点があります。1次の最低点と2次の最低点が混ざっています。藤田医科大学は2次(=面接まで終えたあとの合計)、東京医科大学や近畿大学は1次(=共通テストの点だけ)です。同じ土俵で比べるときは、この列を必ず見てください。
出典:各大学が公表している入試結果より太宰府アカデミー集計(2026年8月28日時点)。予備校のボーダー予想ではなく、大学が公表した合格最低点です
同じ大学で並べる|一般選抜より平均18.9ポイント高い
「9割」と聞いても、一般選抜と比べないと重さが分かりません。一般と共通テスト利用の両方で合格最低点を公表している6大学を並べます。

| 大学 | 一般選抜 | 共通テスト利用 | 差 | 比べているもの |
|---|---|---|---|---|
| 藤田医科大学 (2025年度) |
56.5% | 91.1% | +34.6pt | 2次の合格最低点どうし |
| 近畿大学 (2025年度) |
62.8% | 83.8% | +21.0pt | 1次の合格最低点どうし(共テは前期) |
| 東京医科大学 (2025年度) |
65.3% | 85.8% | +20.5pt | 1次の合格最低点どうし |
| 大阪医科薬科大学 (2026年度) |
71.8% | 87.6% | +15.8pt | 公表されている合格最低点どうし |
| 順天堂大学 (2025年度) |
70.2% | 85.5% | +15.3pt | 1次の合格最低点どうし(共テ・一般併用) |
| 埼玉医科大学 (2025年度) |
70.0% | 76.4% | +6.4pt | 1次の合格最低点どうし |
| 6大学の平均 | ― | ― | +18.9pt | ― |
差は6.4〜34.6ポイント、平均で18.9ポイント。いちばん大きいのが藤田医科大学で、一般前期の2次が56.5%なのに対し、共テ利用前期の2次は91.1%。34.6ポイントの差です。
近畿大学は一般前期の1次62.8%に対して共テ前期83.8%で21.0ポイント、東京医科大学は65.3%に対して85.8%で20.5ポイント。20ポイント前後というのが、ひとつの相場だと思ってください。
いっぽうで埼玉医科大学は6.4ポイントしか違いません(一般70.0%・共テ76.4%)。共テ利用の合格ラインは大学によって差があり、「共テ利用はどこも9割」と一括りにするのは正確ではありません。
なぜここまで上がるのか。答えは学力の話ではなく、枠の話です。
出典:各大学が公表している入試結果より太宰府アカデミー集計。1次どうし・2次どうしなど、比べられる組み合わせだけを並べています
なぜラインが上がるのか|枠が2〜38名しかありません
共通テスト利用の募集人員を並べると、事情がすぐ分かります。

| 大学・方式 | 募集人員 | 補足 |
|---|---|---|
| 東海大学 共通テスト利用 |
38名 | 神奈川県地域枠10名・静岡県地域枠5名は別枠 |
| 関西医科大学 共通テスト利用 前期 |
12名 | 共テ・一般併用13名/共テ後期2名も実施 |
| 大阪医科薬科大学 共通テスト利用 |
10名 | 総合型「至誠仁術」併願制(共テ利用)5名も実施 |
| 東京医科大学 共通テスト利用 |
8名 | 2027年度は8名以内(2026年度は9名以内) |
| 帝京大学 共通テスト利用 前期 |
8名 | 2025年度は受験1,084名・合格17名 |
| 聖マリアンナ医科大学 共通テスト利用 |
5名 | 2025年度からの新設。710点満点 |
| 東北医科薬科大学 共通テスト利用 |
5名 | 一般枠5名 |
| 北里大学 共通テスト利用 前期・後期 |
10名 | 後期5名は2026年度新設、前期5名は2027年度新設 |
| 近畿大学 共通テスト利用 後期 |
2名 | 前期5名・中期3名も実施 |
いちばん多い東海大学でも38名。関西医科大学の共テ前期が12名、大阪医科薬科大学が10名、東京医科大学が8名以内、聖マリアンナ医科大学と東北医科薬科大学が5名。近畿大学の共テ後期にいたっては2名です。
いっぽうで出願は殺到します。共通テストを受けた人なら誰でも出せて、個別の学科試験を受けに行く必要がないからです。結果、倍率が跳ね上がります。
2025年度の実績で、聖マリアンナ医科大学は募集5名に514名が受験して合格5名の102.8倍。帝京大学の共テ利用前期は募集8名に1,084名が受験して合格17名で63.8倍でした。一般選抜の倍率が10〜40倍前後であることを考えると、桁がひとつ違う世界です。
枠が小さいから、ラインが上がる。共通テスト利用が難しいのは、問題が難しいからではありません。ここは分けて理解してください。
出典:各大学が公表している募集要項・入試結果より太宰府アカデミー集計。近畿大学の倍率は受験者数が非公表のため志願者数から算出しています
2027年度はここが動きます|久留米が新設、北里が前期を追加
2027年度入試では、共通テスト利用まわりで4つの動きがあります。

| 2027年度に動くこと | 中身 |
|---|---|
| 久留米大学が共通テスト利用を新設 | A日程 約5名(出願12/15〜1/7)・B日程 約3名(出願2/6〜2/25)。2次は小論文・面接 |
| 北里大学が共通テスト利用の前期を追加 | 2026年度に後期5名を新設。2027年度は前期5名を加えて前期・後期の2本立てに |
| 東京医科大学は募集人員を縮小 | 共通テスト利用は9名以内 → 8名以内。一般選抜も70名 → 65名 |
| 東京医科大学は共通テスト利用の2次もMMIへ | 2026年8月3日のプレスリリースで確定。配点40点は据え置き |
| 倍率の実績(参考) | 聖マリアンナ医科大学共テ 102.8倍/帝京大学共テ 前期 63.8倍/近畿大学共テ 後期 55.5倍 |
いちばん大きいのは久留米大学の新設です。久留米大学医学部はこれまで共通テスト利用を実施していませんでしたが、2027年度からA日程 約5名・B日程 約3名で導入されます。A日程は出願が2026年12月15日〜2027年1月7日、B日程は2027年2月6日〜2月25日。2次は小論文と面接です。九州の受験生には併願先が1つ増えることになります。
北里大学は2年連続で枠を足しています。2026年度に共テ利用の後期5名を新設し、2027年度は前期5名を加えて前期・後期の2本立てに。科目は英語(リーディング・リスニング)・数学ⅠA・数学ⅡBC・理科2科目です。
逆に東京医科大学は縮小します。共通テスト利用は9名以内から8名以内へ、一般選抜も70名から65名へ。さらに2026年8月3日のプレスリリースで、共通テスト利用の2次もMMI(短い面接を複数回行う方式)になることが確定しました。配点40点は据え置きです。共テ利用だから面接が軽い、ということにはなりません。
出典:久留米大学・北里大学・東京医科大学の公式発表(変更点・予告)/東京医科大学のMMIは2026年8月3日のプレスリリース。正式な内容は秋に公表される学生募集要項でご確認ください
共通テスト利用がない大学もあります
ここは見落とされやすいところです。私立医学部のすべてに共通テスト利用があるわけではありません。
今回の調べで、実施していないことをはっきり確認できたのは次の2校です。
・昭和医科大学……大学の入試情報に「大学入学共通テスト利用入試は歯・薬・保健医療のみで、医学部の設定はありません」と明記されています
・自治医科大学……令和9年度の募集要項に載っている選抜は学校推薦型・総合型・一般の3つだけで、共通テストは使いません。1次試験は各都道府県が独自に実施します
また、「共通テスト利用」と「共通テスト併用」は別ものです。順天堂大学の共テ・一般併用や、産業医科大学の一般選抜A・Cは、共通テストの点と大学独自の試験の点を合わせて判定します。共通テストだけで1次が決まる方式とは、対策の組み方が変わります。日本医科大学のグローバル特別選抜も共テ併用型です。
志望校に共通テスト利用があるかどうかは、その大学の入学者選抜要項(例年7〜8月に公表)で確認してください。募集要項(9〜11月)を待たなくても、選抜の区分と募集人員はここで分かります。
共通テスト利用をどう使うか|出願を決める3つの問い
ここまでの数字を、出願の判断にどう使うか。3つの問いに落とします。
問い1|共通テストで、その大学のラインに届く見込みがあるか。上の表を見て、志望校の得点率を確認してください。自己採点で85%に届かないなら、9割台の方式に出す意味は薄くなります。逆に85%を超えているなら、共テ利用は非常に有利な札になります。個別の学科試験を受けずに1次を通過できるからです。
問い2|2次で何が課されるか。共通テスト利用でも2次はあります。多くは面接と小論文ですが、学科試験が加わる大学もあります。東京医科大学のように2次がMMIに変わる大学も出てきました。「共テだけで決まる」と思って準備を後回しにすると、ここで止まります。
問い3|2次の日程が、他大学とぶつからないか。共通テスト利用の2次は2月中旬に集中します。愛知医科大学のように、一般選抜と共通テスト利用の2次を同じ日程で行う大学もあります(この場合、両方に出願して両方1次を通っても面接は1回で済みます)。出願の前に、2次の日を私立の一次日程と並べて置いてください。
受験料は一般選抜より安く設定されていることが多く、共通テストを受けるならもともと出願のハードルは低い方式です。「出すかどうか」ではなく「どこに出すか」で考えるほうが実際的だと思います。
太宰府アカデミーの視点|国公立志望の方へ3つ
この方式をいちばん使うのは、国公立が第一志望の受験生です。3つ書きます。
1つめ。共テ利用のために国語や社会の対策を厚くしない。共通テスト利用の配点は大学によってまるで違い、国語を課さない方式もあれば、久留米大学のA日程のように国語100点を含む800点満点の方式もあります。国公立の第一志望に必要な科目構成が先で、私立の共テ利用はその結果を使う、という順番を崩さないでください。私立の共テ利用に合わせて国公立の勉強配分を変えるのは、順番が逆です。
2つめ。共テ利用は「受かる方式」ではなく「早く決まる方式」と考える。ここまで見たとおり、ラインは9割前後で枠は数名です。本命の併願先を共テ利用だけに頼るのは現実的ではありません。ただし通れば1月中〜2月上旬に1つ確保できます。2月の連戦を何校で組むかを決めるための材料として使うのが、いちばん噛み合う使い方だと思います。
3つめ。合格最低点は年によって動きます。この記事の数字は2025年度・2026年度のものです。埼玉医科大学の一般前期が1年で51点(12.7ポイント)上がった例もあるように、私立医学部の合格ラインは年による振れが大きい。表の数字は「去年はこうだった」であって「今年もこう」ではありません。目標は、表の数字より少し高いところに置いてください。
まとめ|私立医学部の共通テスト利用で押さえる5点
最後に、この記事の要点を5つにまとめます。
・大学が公表している共通テスト利用の合格最低点は、得点率で76.4〜91.1%。最高は藤田医科大学の共テ利用前期91.1%、最低は埼玉医科大学の76.4%です
・一般選抜と両方を公表している6大学で比べると、共テ利用のほうが平均18.9ポイント高い(差は6.4〜34.6ポイント)。藤田医科大学は34.6ポイント違います
・理由は枠の小ささ。募集人員は東海大学38名から近畿大学の共テ後期2名まで。聖マリアンナ医科大学は102.8倍、帝京大学の共テ利用前期は63.8倍でした
・2027年度は久留米大学が新設(A日程約5名・B日程約3名)、北里大学が前期を追加、東京医科大学は8名以内に縮小し2次もMMIへ
・すべての大学にあるわけではありません。昭和医科大学と自治医科大学は医学部で共通テスト利用を実施していません。「共テ利用」と「共テ併用」も別ものです
この記事を書き直したのは、以前の内容が制度の一般論だけで、「で、何割取ればいいのか」に答えていなかったからです。共通テスト利用は、受験料が安く出願の手間も少ないぶん、数字を知らないまま「とりあえず出す」になりやすい方式だと思っています。9割前後という水準と、2〜38名という枠の大きさ。その2つを知ったうえで出すなら、これは間違いなく良い札です。
共通テストの自己採点が出たら、まずこの表に戻ってきてください。自分の得点率が、どの大学のラインを超えているかが分かります。
あわせて読みたい
・2025 全私立大学医学部の合格最低点まとめ(最大14年分)……一般選抜のほうの合格ラインはこちらに
・2027年度 私立医学部 入試日程カレンダー……2次の日程が他大学とぶつからないかを確かめるならこちら
・医学部受験の年間スケジュール2027|共テ出願9月15日……共通テストの出願から合格発表までの流れはこちらに
・私立医学部偏差値ランキング2027|5年で上がったのは1校だけ……大学同士の難易度を比べるならこちら
本日の記事は以上です。
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後藤 登(Goto Noboru)
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自己PR:高校・大学ボクシング部。釣りや登山が好き。新卒で当校に勤めて13年目。医学部受験の情報を調べて、ブログやInstagram、Twitterを更新しています。4年前から完全個別指導コースのコース担当。
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