こんにちは、太宰府アカデミーOBの柴山です。
福岡県内で精神科医として勤務するかたわら、医学部受験のお役立ち情報を発信しています。
「なぜこんなにも医学部受験は難しいのか」
このような疑問をお持ちの方はいませんか。
大学入試と言えば、東京大学や京都大学が難関と言われていますが、そのような難関大学の理系学部と比べてどのくらい難しいのでしょうか。
今回は、そんな医学部受験の難しさについて、また受験を乗り越えるポイントも合わせてご紹介します。
この記事の目次
医学部受験の難易度が高い理由を紹介!
なぜ医学部入試は他の学部と比べて難易度が高いとされているのでしょうか。
ここからはその理由についてご紹介していきます。
医学の世界では高い記憶力と理解力が必要だから
医学部に入学すること自体もちろん難しいですが、合格して一安心ではなく、むしろスタート地点です。
医学に関する専門的な授業と並行して、解剖実習やポリクリ(学生として病院の診療科を順に回る実習)をこなしたりと、膨大な知識を覚える必要があります。
実際には、通年して講義を真面目に聞くというよりは、普段はバイトや部活動を中心に大学ライフを満喫。
テスト前の数ヶ月で猛勉強して試験をクリアしていく学生が多いですが、一科目でも単位を落としてしまうとすぐに留年が決まってしまうため、入学前に一定の勉強スタイルを確立していなければ進級は難しいでしょう。
また、医師になると、新しい知識を速やかに実践レベルに落とし込む作業が求められます。
「この薬は○○という副作用があるんだな」と暗記として覚えるだけでは不十分で、患者やその家族に対して病状や治療方針を説明する際には、専門的な知識を分かりやすく説明する必要があります。
一方で、大学側にも事情があります。
彼らは大学の国家試験合格率を強く意識しているため、なるべく留年者や国試浪人を出したくありません。(合格率が例年よりよければ、「今年は○○%でした!」といったポスターを院内に貼っていたりします。)
授業にしっかりついてこれる人のみを入学させるために、入試の時点で難易度を上げて一定のフィルターをかけているのです。
これが医学部入試の難易度が高い理由の1つ目です。
本当に医師になりたい人を求めているから
日本の実質賃金が低下傾向にあることを反映してか、安定かつ高収入が見込める医師という職への関心、ひいては医学部受験の人気が高まっています。
そのこともあり、医師というステータスが欲しいが故に生半可な気持ちや覚悟で入学してしまう学生が増加しており、留年したり中退したりするケースも散見されます。
かくいう私も親の影響で医師を志した一人で、受験生の段階から医師になる覚悟があったかといわれると、そうではありませんでした。
ただ周囲の医師と話していても、「幼少期に入院して、医療従事者に命を救われた」といった、ドラマの筋書きのような動機で医学部受験をした方は明らかに少数派です。
動機の善悪を問う立場にはありませんが、医学生というポジションを取るのであれば、大学から求められる要求には最低限応じるべきでしょう。
先程も説明した通り、なるべく留年者数などを減らし、国家試験合格者を多く出したい大学側は、生半可な勉強では合格できないように試験の難易度を上げたり、小論文や面接を通してふるいにかけたりしているのです。
浪人生や再受験の比率が高いから
合格者に占める浪人生の割合、いわゆる「浪人率」の高さも医学部受験の難易度を上げています。
医学部受験者の現役比率は30%程度と言われており、医学部合格者の多くは浪人生、あるいは社会人経験や他学部卒業を経て医学部に挑戦する「再受験者」と言われる受験生です。
中には「医師と弁護士のダブルライセンス」を目指して受験してくる猛者もおり、実際、私の大学時代の同期にも法学部を卒業してから医学部生になった方がいました。
現実的には多浪であればあるほど不利な側面はあるのですが、少なくとも彼らの存在が平均レベルの底上げをしているのは間違いないでしょう。
これらの影響もあって医学部の倍率が高くなり、合格の難易度が高くなっているのです。
医学部の中でも国公立と私立で難易度が違う?
次に、国公立と私立の難易度の違いについてご紹介します。
国公立大学の難しさ
国公立大学の難しさの要因は、共通テストの受験科目の多さと、二次試験のレベルの高さにあります。
国公立大学では共通テストの受験が必須となっており、範囲は5教科7科目と膨大な学習量になっています。
国公立大学の医学部に合格するには、共通テストで80%以上の点数を取ることが目安とされています。
共通テストで失敗してしまうといわゆる足切りの対象となり、二次試験を受験できなくなる可能性もあるので注意が必要です。
(参照:河合塾医進塾,『医学部入試の基礎知識』)
二次試験では、ボーダー偏差値が65以上となっている医学部も多く、難関大学の中では前期試験のボーダー偏差値が70を超えるところもあります。
受験科目は、英語・数学・理科2科目が一般的で、東京大学・京都大学・名古屋大学・山形大学の4校に関しては国語も課されます。
理系の受験生にとって国語が課されるというのはネックになると思いますので、しっかり対策する必要があります。
【ボーダー偏差値が70以上の国公立大学医学部】(2022年度前期入試)
・東京大学 72.5
・東京医科歯科大学 70
・京都大学 72.5
・大阪大学 70
(参照:河合塾 医学部をめざす)
私立大学の難しさ
私立大学も国公立大学と比べて、ボーダー偏差値が65以上である大学も多く、難易度が高いことに変わりはありません。
しかし、一般選抜での受験であれば共通テストが必要ないため、勉強しなくてはならない科目や範囲は減ります。
文系科目を勉強対象から除外できることで、負担が少し軽減するので、国公立大学よりも難しくないと考えられています。
しかし、大学ごとに試験内容、出題形式、配点がバラバラであることが、私立大学入試の難しさです。
マーク式の大学、問題量が多くスピード勝負の大学など、過去問を反復練習して特徴を把握し、しっかりと対策する必要があります。
なお、一般選抜の受験科目は英語・数学・理科2科目と小論文・面接が一般的です。
産業医科大学に関しては、定員中の5名を除いて、共通テストの受験が必須であるため注意しましょう。
難関である医学部受験を突破するためのポイントとは?
ここからは、医学部受験を突破するためのポイントをご紹介します。
医学部受験に関する情報を集めること
医学部受験ではさまざまな不安を感じることになるでしょうが、不安感はよく分からないからこそ生じる感情です。
できるだけ受験に関する情報を持っておくことで、そういった不安を少しでも緩和することができます。
各試験科目の勉強はもちろんのこと、各大学の出題傾向といった、テクニック面も疎かにしてはならないということです。
特に私立大学では、大学別の特徴がバラバラですので、情報を集めて対策できているかが合格の鍵になります。
例えば、私の出身校である昭和大学の生物は、カッコ埋めだらけの奇問を出題してくることで一時話題になっていました。(参考:「解けるやついるんか……???」一回やると並大抵の入試問題に動じなくなる伝説的な医学部の悪問があります)
こうした各大学のクセを予め把握しておけば、試験当日に動揺する可能性を下げることができます。
受験本番で持っている力を最大限発揮できるよう、事前に情報収集を行い入念に準備することが大切です。
勉強時間を確保すること
医学部入試は、中途半端な学習時間で突破できるほど甘くありません。
一般的に、医学部に現役合格するためには高校三年間で5000時間以上、浪人生であるなら最低でも1日あたり10時間以上の勉強量が必要と言われています。
あくまで一つの目安であり、上記の条件を満たしたからといって自動的に合格できるわけではないことは留意すべきですが、いずれにしても圧倒的な量が必要なことには変わりありません。
医学部受験を決めた時点から、まずは生活スケジュールを見直して、勉強時間を確保することから始めましょう。
一方で、完全に自由な状態から学習スケジュールを立てるとなると、ものごとを決定する能力が低下する恐れがあります。
これは「選択肢過多効果」と呼ばれ、選択肢が増えるほど、選択が難しくなり、ストレスの原因になる心理現象です。選択肢が増えると、脳に負担がかかり、判断に時間と労力が必要になります。その結果、行動を諦める可能性が高くなると言われています。
(引用:【コラム】選択肢が多ければ良いという訳ではない?「ジャムの法則」とは?)
太宰府アカデミーでは各科目の講義に加え、朝テスト、自習時間、個別指導など様々な充実した学習カリュキュラムが設定されています。
また、土日祝日問わず3食が提供されるなど、勉強と関係ない部分での決断疲れを避ける工夫も。
「一人で学習計画を立てる自信がない・・・」という方には、予備校のスケジュールに乗っかり、プラスアルファの勉強時間を積み上げていくアプローチが有効かもしれません。
プロから受験指導を受けること
医学部受験では、学習量ももちろん大切ですが、それ以上に質が重要になります。
どんなに努力したとしても、誤った方向性の努力では成果に結びつかず、貴重な若い時期の1年を空費することになりかねません。
こうしたデメリットを考慮すれば、医学部受験のプロである専門予備校を利用することもひとつの選択肢です。
どのように努力すれば成果につながるのかを明確に示してくれるため、非効率な学習方法についても手遅れになる前に軌道修正することができます。
また、医学部受験予備校には、基本的には医学部受験を志す仲間のみが在籍しているため、「絶対に医学部に受かる!」という熱気が醸成されています。
当然、先に挙げた医学部に関する情報が抜けるリスクを避けることも可能です。
「餅屋は餅屋」といわれますが、その道のことはやはり専門家に頼るのが最短ルートであると卒業した後からでも実感しています。
まとめ
今回は医学部受験の難しさについて、また受験を乗り越えるポイントも合わせてご紹介しました。
難易度が高いことで知られる医学部ですが、正しい情報を入手することで、少しでも難易度を抑えて入試に臨めます。
もちろん勉強での努力はもちろんですが、それに加えて早いうちから情報収集をして対策を立てることが大切です。
私は予備校時代に培った学習習慣のお陰で、幸いなことに最短で医師になることができました。
医学部進学をお考えの方は、ぜひ太宰府アカデミーまでご相談ください。
では、本日の記事は以上です。
最後まで読んでいただきありがとうございます!
精神科医 柴山 寛
◆太宰府アカデミーの自己PR
当校は福岡県にある日本で唯一の全寮制医学部受験予備校です。【当校の特徴】定員30名|20年間の累計医学部医学科合格実績443名|田舎の全寮制|全国各地から入学(2024年度生は16の都道府県より入学)|異次元の生活サポート|圧倒的に食事が美味しい(土日祝日問わず提供)|講師との距離が近い|プロ講師の質問対応が充実|完全個別指導コースあり|選抜国公立コースあり|専用筋トレジムあり|同じ夢を持った仲間が1年間切磋琢磨し、医学部合格を目指す【校風】アットホームな大家族予備校
◆筆者プロフィール
柴山寛(Shibayama Kan)/精神科医|昭和大学卒|太宰府アカデミーOB|准看護学校講師
高校時代は鳴かず飛ばずで浪人することに…予備校時代は1年で偏差値を20上げ、なんとか医学部に合格。現在は医師をしながら、受験経験を元に医学部受験情報を発信しています。太宰府アカデミー経験者だけの、リアルな意見もぶっちゃけ中。
◆連絡先
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