こんにちは、太宰府アカデミーで広報/完全個別指導コースを担当している後藤です。
「医学部の難しさって、何かに例えるとどのくらいですか」——この質問が、この記事にいちばん多く来ている検索です。
「東大より難しい」「甲子園に出るくらい」といった例えをよく見かけますが、根拠が書かれていないものがほとんどです。そこで文部科学省の統計だけを使って、席がどれだけ少ないかを数えました。
結論だけ先に言うと、同学年の約102人に1人。全国の高校4,761校に、1校あたり2人ぶんの席しかありません。
この記事を開いた方は、たぶんこんなことを思っています。
− 医学部の難しさって、何かに例えるとどのくらい?
− なんでそんなに難しいの?
− 結局、何割取れば受かるの?
ひとつずつ、数字で答えます。
この記事の目次
結論:難しいのは点数ではなく、席が少ないから
医学部が難しい理由を3つに分けます。
- 席が少ない。医学部医学科の入学定員は全国で9,393人。同学年で高校を卒業するのは955,335人です
- 席が増えない。定員は2017年度の9,420人がピークで、そこから増えていません
- それでいて、合格最低点は9割ではない。私立は47.0%〜81.7%、国公立の総合点は中央値75.5%です
3つめが意外に思われるかもしれません。医学部の難しさは「満点近くを取らないと受からない」ことではなく、「その点数を取る人が定員の何倍もいる」ことにあります。
医学部の難しさを数字で例えると|高校1校あたり2人
まず、席の少なさを見ていただきます。文部科学省の学校基本調査(令和7年度確定値)の数字です。

令和7年3月に高校を卒業したのは955,335人。そのうち大学の学部に進学したのが557,170人。それに対して医学部医学科の席は9,393人です。
割合にすると、高校卒業者の0.98%、大学進学者の1.69%。言い換えると次のようになります。
| 比べるもの | 人数・校数 | 医学部の席9,393との関係 |
|---|---|---|
| 同学年で高校を卒業する人 | 955,335人 | 約102人に1人(0.98%) |
| そのうち大学(学部)へ進学する人 | 557,170人 | 約59人に1人(1.69%) |
| 大学・短期大学への進学者 | 586,639人 | 約62人に1人 |
| 全国の高等学校 | 4,761校 | 1校あたり2.0人 |
| 医学部医学科の入学定員(2025年度) | 9,393人 | ― |
いちばん実感しやすいのは最後の行だと思います。全国に高等学校は4,761校あり、医学部の席は9,393。1校あたり2人です。学年で200人いる高校なら、上位2人ぶんしか席がない計算になります。
ただし、これはあくまで「同学年で割ったら」の話です。実際には浪人した人も同じ席を取り合います。医学部入学者の6〜8割は浪人経験者なので、1つの席をめぐる人数は、この計算よりさらに多くなります。
席の数は2017年から増えていない
「昔より難しくなったのか」への答えです。医学部の定員は、実は2000年代後半に大きく増えました。

2007年度の7,625人から、2017年度の9,420人まで1,795人増えています。医師不足を受けた臨時増員によるもので、これは医学部18校ぶんに相当します。
ただし、増えたのはここまでです。2017年度の9,420人が過去最高で、2020年度には初めて減少(9,330人)。以降は9,330〜9,403人で横ばいのままです。
| 年度 | 医学部総定員 | 2007年度からの増減 | うち地域枠等 | 地域枠等以外 |
|---|---|---|---|---|
| H19(2007年度) | 7,625 | +0 | 173 | 7,452 |
| H20(2008年度) | 7,793 | +168 | 418 | 7,375 |
| H21(2009年度) | 8,486 | +861 | 736 | 7,750 |
| H22(2010年度) | 8,846 | +1,221 | 1,186 | 7,660 |
| H23(2011年度) | 8,923 | +1,298 | 1,242 | 7,681 |
| H24(2012年度) | 8,991 | +1,366 | 1,304 | 7,687 |
| H25(2013年度) | 9,041 | +1,416 | 1,406 | 7,635 |
| H26(2014年度) | 9,069 | +1,444 | 1,462 | 7,607 |
| H27(2015年度) | 9,134 | +1,509 | 1,543 | 7,591 |
| H28(2016年度) | 9,262 | +1,637 | 1,639 | 7,623 |
| H29(2017年度) | 9,420 | +1,795 | 1,657 | 7,763 |
| H30(2018年度) | 9,419 | +1,794 | 1,676 | 7,743 |
| R1(2019年度) | 9,420 | +1,795 | 1,689 | 7,731 |
| R2(2020年度) | 9,330 | +1,705 | 1,690 | 7,640 |
| R3(2021年度) | 9,357 | +1,732 | 1,725 | 7,632 |
| R4(2022年度) | 9,374 | +1,749 | 1,738 | 7,636 |
| R5(2023年度) | 9,384 | +1,759 | 1,773 | 7,611 |
| R6(2024年度) | 9,403 | +1,778 | 1,808 | 7,595 |
| R7(2025年度) | 9,393 | +1,768 | ― | ― |
もうひとつ、この表で見ていただきたいのが右の2列です。増えた1,778人のうち、大半は地域枠等の枠でした。2007年度に173人だった地域枠等は、2024年度には1,808人になっています。一方で地域枠等以外の枠は7,452人→7,595人と、ほとんど変わっていません。
「医学部の定員が増えたから入りやすくなった」という話は、一般枠に関しては当てはまりません。
「9割取らないと受からない」は本当か
ここからは点数の話です。「医学部は9割必要」という言い方をよく聞きますが、これは共通テストの得点率の話であって、合格最低点そのものではありません。
2025年度入試で各大学が公表した、私立医学部の合格最低点を得点率にそろえました。

いちばん高い帝京大学が81.7%、いちばん低い東京慈恵会医科大学が47.0%。その差は34.7ポイントあります。そして偏差値の順とは一致していません。慈恵はボーダー偏差値70.0、帝京は65.0です。
理由はシンプルで、問題が難しい大学ほど、低い得点率で合格ラインに届くからです。全受験生が取れない問題なら、合格最低点も下がります。
私立23校の全順位はこちらです。
| 順 | 大学 | 方式・段階 | 合格最低点 | 満点 | 得点率 | 河合塾ボーダー偏差値 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 帝京大学 | 一般 2次 | 245 | 300 | 81.7% | 65.0 |
| 2 | 東邦大学 | 一般 2次正規 | 375.5 | 500 | 75.1% | 65.0 |
| 3 | 川崎医科大学 | 一般 1次 | 258.5 | 350 | 73.9% | 60.0 |
| 4 | 福岡大学 | 一般 1次 | 281 | 400 | 70.2% | 62.5 |
| 5 | 順天堂大学 | 一般A 1次 | 351 | 500 | 70.2% | 70.0 |
| 6 | 埼玉医科大学 | 一般前期 1次 | 280 | 400 | 70.0% | 62.5 |
| 7 | 産業医科大学 | 一般A 2次 | 636 | 950 | 66.9% | 65.0 |
| 8 | 大阪医科薬科大学 | 一般前期 2次正規 | 267 | 400 | 66.8% | 67.5 |
| 9 | 国際医療福祉大学 | 一般 2次正規平均 | 359.2 | 550 | 65.3% | 67.5 |
| 10 | 東京医科大学 | 一般 1次 | 261 | 400 | 65.2% | 67.5 |
| 11 | 岩手医科大学 | 一般 1次 | 226 | 350 | 64.6% | 62.5 |
| 12 | 近畿大学 | 一般前期 1次 | 251 | 400 | 62.7% | 65.0 |
| 13 | 金沢医科大学 | 一般前期 1次 | 218 | 350 | 62.3% | 62.5 |
| 14 | 関西医科大学 | 一般前期 2次正規 | 305 | 500 | 61.0% | 70.0 |
| 15 | 兵庫医科大学 | 一般A 2次正規 | 384 | 630 | 61.0% | 65.0 |
| 16 | 昭和医科大学 | 一般Ⅰ期 1次 | 232 | 400 | 58.0% | 67.5 |
| 17 | 日本大学 | 一般N方式前期 1次 | 230.6 | 400 | 57.6% | 65.0 |
| 18 | 藤田医科大学 | 一般前期 2次 | 339 | 600 | 56.5% | 65.0 |
| 19 | 慶應義塾大学 | 一般 1次 | 280 | 500 | 56.0% | 72.5 |
| 20 | 北里大学 | 一般 2次正規 | 270 | 500 | 54.0% | 62.5 |
| 21 | 愛知医科大学 | 一般 2次 | 261 | 500 | 52.2% | 65.0 |
| 22 | 東京女子医科大学 | 一般 2次(入学者) | 203 | 400 | 50.7% | 60.0 |
| 23 | 東京慈恵会医科大学 | 一般 2次正規 | 188 | 400 | 47.0% | 70.0 |
国公立も見ておきます。2026年度前期について、共通テストと2次を合わせた総合点の合格最低点を得点率にすると、中央値75.5%、最高83.5%(奈良県立医科大学)、最低60.5%(千葉大学の千葉県地域枠)でした(49区分で計算)。総合点で9割を超える大学は1つもありません。
ただし段階(1次/2次)や配点の考え方は大学ごとに違うので、この数字で大学の難易度を単純に比べることはできません。使い方は「自分の志望校が何割を求めているか」を知ることです。
本当の難しさは「取りこぼせない」こと
ではなぜ、7割前後で受かるはずの試験が難しいのか。理由はその7割の中身にあります。
医学部の一般選抜は、私立でも英語・数学・理科2科目が基本です。国公立ならこれに共通テストの国語と社会が加わります。科目数が多く、しかも配点がほぼ均等に割られているため、1科目でも大きく崩すと他で取り返しにくい構造になっています。
たとえば4科目400点満点で7割=280点を目指すとき、3科目で8割(240点)取れていても、残り1科目が4割(40点)なら合計280点でちょうど届く程度です。1科目の穴が、そのまま合否に直結します。
もうひとつが倍率です。2025年度入試の実質競争倍率(受験者÷合格者)は、私立31校の平均で13.18倍、国公立50校の平均で3.15倍でした。合格最低点の7割は「7割取れば受かる点数」ではなく、「7割取った人のうち上位から定員ぶんだけが受かる点数」です。
太宰府アカデミーの視点|難しさの正体が分かると、対策が変わる
ここまでの数字を、受験生と保護者の方がどう使えばいいかを書きます。
まず「医学部は特別に頭のいい人だけの世界」という捉え方は、正確ではありません。合格最低点は7割前後です。満点を取る必要はありません。必要なのは、全科目を穴なく7〜8割に乗せることで、これは才能というより設計と時間配分の問題です。
次に、志望校ごとに必要な得点率がまったく違うことを、早い段階で確かめてください。この記事の表で自分の志望校の得点率を見て、過去問を1年分そのまま解いてみる。それだけで、あと何点必要かがはっきりします。ただし得点率だけで受験校を決めないでください。問題形式との相性が合わなければ、その点数には届きません。
三つめに、「席が増えない」という前提は、志望校選びのしかたに影響します。定員が横ばいということは、受験人口が減っても倍率が自動的に下がるわけではないということです。1校に絞らず、相性の合う大学を複数持っておくほうが現実的です。
最後に。この記事の数字は全国の平均です。大学ごと、年ごとに数字は動きます。志望校の合格最低点は、大学の公式サイトで最新のものを確かめてください。
まとめ
「医学部が難しいのはなぜ」への答えをまとめます。
- 席が少ない。医学部医学科の定員9,393人に対して、同学年の高校卒業者は955,335人。約102人に1人、高校1校あたり2人です
- 席が増えない。2017年度の9,420人がピークで、以降は横ばい。増えた1,778人の大半は地域枠等でした
- 合格最低点は9割ではない。私立は東京慈恵会医科大学47.0%〜帝京大学81.7%、国公立の総合点は中央値75.5%です
- 得点率と偏差値は一致しない。問題が難しい大学ほど、低い得点率で合格ラインに届きます
- 難しさの正体は「全科目で穴が作れないこと」。実質競争倍率は私立平均13.18倍・国公立平均3.15倍です
明日からできることを1つだけ挙げるなら、志望校の合格最低点を調べて、過去問を1年分そのまま解いてみることです。「あと何点足りないか」が分かれば、難しさは漠然とした不安ではなく、埋めるべき数字に変わります。
この記事を書いたのは、「医学部は難しい」という言葉だけが独り歩きしていると感じていたからです。難しさの中身が分かれば、対策は具体的になります。国が公表している数字だけで、ここまでは分かります。
「難しい」の中身を大学別に見るなら、医学部偏差値ランキング2027(全81校)で全国の偏差値の並びを確認してください。
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本日の記事は以上です。
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後藤 登(Goto Noboru)
仕事:総務・広報・完全個別指導コース担当
自己PR:高校・大学ボクシング部。釣りや登山が好き。新卒で当校に勤めて13年目。医学部受験の情報を調べて、ブログやInstagram、Twitterを更新しています。4年前から完全個別指導コースのコース担当。
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