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医学部に年齢制限はない|ただし年齢で閉まる扉が3つある

2026年07月22日 更新

こんにちは、太宰府アカデミーで広報/完全個別指導コースを担当している後藤です。

「実際のところ、医学部は何歳まで受けられるんですか」——再受験を考えている方から、いちばん多く届く質問です。「30歳を過ぎると厳しい」「35歳が限界」といった数字をよく見かけますが、その根拠を示した資料を、僕は見つけられませんでした。

そこでこの記事では、条文と大学の公表データだけで書きます。答えは先に出します。

医学部の一般選抜にも、医師国家試験にも、医師免許にも、法令上の年齢の上限はありません。学校教育法と医師法の条文を e-Gov法令検索で確認しました。年齢で閉まる扉は3つだけあり、しかもそれは「年齢」ではなく「高校を卒業した年度」で決まっています。

この記事を開いた方は、たぶんこんなことを思っています。

− 医学部って、結局何歳まで受けられるの?

− 医者になれるのは何歳から?

− 何浪までなら、まだ合格者が出ているの?

ひとつずつ答えます。

結論:医学部に年齢制限は無い。閉まる扉は3つだけ

先に答えを出します。

  • 法令に年齢の上限はありません。学校教育法第90条(大学の入学資格)、医師法第11条(国家試験の受験資格)、医師法第4条(免許の欠格事由)のどこにも年齢は書かれていません
  • 医師免許を受けられるのは最短で24歳です。18歳で入学して医学部6年、6年次の2月に国家試験を受けます
  • 「合格した最高齢」を示した公的なデータはありません。代わりに確かめられるのは、大学が公表している高校卒業年度別の合格者数です。4浪以上でも合格者は出ています
  • 年齢で閉まる扉は3つ。年内入試(学校推薦型・総合型)の出願資格、国の修学支援新制度、大学が独自に置く条件です

医学部の年齢制限|条文のどこにも書かれていない

学校教育法第90条と医師法第11条第4条第16条の2のどこにも年齢の要件は書かれていない
医学部にも医師免許にも法律の年齢の上限は無い(出典:学校教育法 昭和22年法律第26号/医師法 昭和23年法律第201号。条文はe-Gov法令検索で確認)

まず法令です。「医学部 年齢制限」で調べると解説記事はたくさん出てきますが、条文そのものを引いている記事は多くありません。e-Gov法令検索で4つの条文を確認しました。

法令 何を定めているか 年齢について書かれていること
学校教育法 第90条 大学に入学することのできる者 高等学校を卒業した者・12年の学校教育を修了した者・これと同等以上の学力があると認められた者。年齢の要件は書かれていない
医師法 第11条 医師国家試験の受験資格 大学で医学の正規の課程を修めて卒業した者(共用試験の合格者に限る)。年齢の要件は書かれていない
医師法 第4条 免許を与えないことがある者(欠格事由) 心身の障害・麻薬等の中毒・罰金以上の刑・医事に関する犯罪や不正の4つ。年齢は入っていない
医師法 第16条の2 臨床研修 診療に従事しようとする医師は2年以上の臨床研修を受ける。年齢の要件は書かれていない

学校教育法第90条は、大学に入学できる者を「高等学校若しくは中等教育学校を卒業した者若しくは通常の課程による十二年の学校教育を修了した者……又は文部科学大臣の定めるところにより、これと同等以上の学力があると認められた者」と定めています。年齢の要件はここにありません。

医師法第11条は国家試験の受験資格を「大学において、医学の正規の課程を修めて卒業した者(共用試験に合格した者に限る)」と定めています。こちらにも年齢はありません。医師法第4条が定める免許の欠格事由も、心身の障害・麻薬等の中毒・罰金以上の刑・医事に関する犯罪や不正の4つで、年齢は入っていません。

つまり「医学部は何歳まで」という問いに、法律は答えを持っていません。上限を作っているのは法律ではなく、大学ごとの出願資格と、支援制度の要件のほうです。これは後半で見ます。

医者になれるのは何歳から|最短24歳で医師免許

下のほうの年齢も見ておきます。「医師免許は何歳から取れるのか」への答えです。

段階 年齢の目安と根拠
高校を卒業して医学部に入学 18歳。学校教育法第90条に年齢の上限は無い
医学部で6年間学ぶ 18歳→24歳。4年次に共用試験(CBT・OSCE)がある
医師国家試験に合格する 6年次の2月に受験、3月に発表。受験資格は医師法第11条
医籍に登録され、医師免許を受ける 最短で24歳。3月生まれの方は23歳のこともある
2年以上の臨床研修を受ける 医師法第16条の2。ここまでで最短26歳

18歳で医学部に入り、留年せずに進むと、医師免許を受けられるのは最短で24歳です。医師国家試験は6年次の2月上旬に行われ、合格発表は3月中旬。そのあと医籍に登録されて医師になります。3月生まれの方は、このタイミングで23歳のこともあります。

ただし免許を取った日から自由に診療できるわけではありません。医師法第16条の2で、診療に従事しようとする医師は2年以上の臨床研修を受けることになっています。ここまで含めると最短26歳です。

医学部に合格した最高齢|公表データは無い。分かるのは何浪まで合格者が出ているか

岩手医科大学の高校卒業年度別合格率は現役6.3パーセント4浪以上5.7パーセント
4浪以上でも509人中29人が合格。3浪は2浪と同率(出典:岩手医科大学「令和8年度入試 医学部 男女別及び高校卒業年度別合格率について」)

「医学部に合格した最高齢は何歳か」を示した公的なデータは、僕が探した範囲では見つかりませんでした。文部科学省が毎年公表している医学部の集計は、令和7年度分から男女別のみで、年齢別の表がありません(年齢別があったのは2019〜2020年度の緊急調査のときだけです)。

代わりに確かめられるのが、各大学が公表している高校卒業年度別の合格率です。2018年の医学部入試の問題を受けて、多くの大学が毎年出すようになりました。岩手医科大学の2026年度入試(全方式)がこちらです。

高校卒業年度 受験者 合格者 合格率
現役 777 49 6.3%
1浪 966 116 12.0%
2浪 602 62 10.3%
3浪 321 33 10.3%
4浪以上 509 29 5.7%
外国の学校等 19 5 26.3%
高卒認定等 19 1 5.3%
合計 3,213 295 9.2%

4浪以上でも509人が受験して29人が合格しています。合格率5.7%は現役の6.3%とほぼ同じです。3浪の合格率10.3%は2浪と同率でした。「浪人を重ねるほど落ちていく」という単純な形にはなっていません。

入学者の内訳も出ています。

高校卒業年度 入学者に占める割合
現役 18%
1浪 35%
2浪 25%
3浪 8%
4浪以上 11%
外国の学校等 3%

入学者の11%が4浪以上、8%が3浪。浪人を経験した人が約8割を占めます。

他の大学も見ておきます。ただし合格率をそのまま横に並べてはいけません。分母が受験者か志願者か、分子に繰上合格を含むかどうかが大学ごとに違うためです。下の表では、藤田医科大学(最終合格=繰上を含む)と大阪医科薬科大学(正規合格のみ・繰上67名は年度別の内訳が非公表)を、それぞれの定義のまま載せています。

大学 区分 受験者 合格者 合格率 入学者
藤田医科大学 現役 1,115 141 12.6% 47
藤田医科大学 1浪 855 169 19.8% 38
藤田医科大学 2浪 357 57 16.0% 20
藤田医科大学 3浪以上・その他 416 31 7.5% 13
藤田医科大学 合計 2,743 398 14.5% 118
大阪医科薬科大学 現役 1,027 85 8.3% 35
大阪医科薬科大学 卒後1年 1,128 94 8.3% 45
大阪医科薬科大学 卒後2年 485 30 6.2% 16
大阪医科薬科大学 卒後3年以上他 718 15 2.1% 16
大阪医科薬科大学 合計 3,358 224 6.7% 112

藤田医科大学では1浪の合格率19.8%が現役の12.6%を上回り、3浪以上でも31人が合格して13人が入学しています。大阪医科薬科大学では現役と卒後1年が同率8.3%で、卒後3年以上は正規合格率2.1%まで下がりますが、入学者は16人。繰上合格で入った分がここに出ています。

読み取れるのは、大学によって形がかなり違うということです。「3浪から急に厳しくなる」大学もあれば、岩手医科大学のように3浪が2浪と同率の大学もあります。平均で語らず、志望校の公表データを1つ見るほうが確実です。なお、合格率は受験する層によっても動くので、この数字がそのまま「その大学の多浪への姿勢」を表すわけではありません。

年齢で閉まる3つの扉|どれも「高校を卒業した年度」で決まる

年齢で閉まる扉は年内入試の出願資格と修学支援新制度と大学独自の条件の3つ
年齢で閉まる扉は3つ。どれも高校を卒業した年度で決まる(出典:文部科学省 高等教育の修学支援新制度/各大学の2027年度入学者選抜要項)

ここが、この記事でいちばん実用的な部分です。一般選抜に年齢の上限はありませんが、年齢(正確には高校を卒業した年度)で閉まる扉は確かに3つあります。

年齢で区切られるところ 内容
年内入試(学校推薦型・総合型)の出願資格 「令和7年3月以降に卒業した者」のように卒業年度で区切られる。現役のみ/1浪まで/2浪まで/3浪まで、と大学ごとに違う
国の高等教育の修学支援新制度 高校を初めて卒業した年度の翌年度の末日から入学日までが2年を超えていないこと。3浪以上は対象外になる
大学が独自に置く年齢・卒業年度の条件 獨協医科大学の総合型選抜は2027年度から30歳未満→25歳以下に、東邦大学の同窓生子女入試は実質5浪までに。国際医療福祉大学が2027年度に新設する総合型選抜は現役のみ

1つめは年内入試(学校推薦型選抜・総合型選抜)の出願資格です。ここは「令和7年3月以降に卒業した者」のように卒業年度で区切られていて、現役のみの方式もあります。読み方に注意が必要で、「令和7年3月以降」なら2浪まで、「令和7年4月1日から」なら1浪までです。同じ2年ぶんの幅に見えますが、起点が3月か4月1日かで1年ずれます。

2つめは国の高等教育の修学支援新制度です。「高等学校等を初めて卒業した年度の翌年度の末日から、入学日までが2年を経過していないこと」という要件があり、3浪以上は対象外になります。2026年3月に高校を卒業した方なら、2028年4月入学(2浪)までが対象です。合格はできても学費の支援が受けられない、という形の不利がここにあります。

3つめは大学が独自に置く条件です。獨協医科大学の総合型選抜は2027年度から年齢要件が30歳未満から25歳以下に、東邦大学の同窓生子女入試は実質5浪までになりました。国際医療福祉大学が2027年度に新設する総合型選抜は現役のみです。ここは毎年変わるので、出願前に必ず最新の募集要項を見てください。

30代・社会人からの医学部|学士編入は第2年次から

大学をすでに卒業している方には、一般選抜とは別に学士編入学という入口があります。

大学 編入学年 募集人員 出願期間
北海道大学 第2年次 2026/7/14〜7/22
弘前大学 第2年次 20名 2026/10/16〜10/22
秋田大学 第2年次 5名
群馬大学 第2年次 15名(一般10・地域医療5) 2026/7/22〜7/27
富山大学 第2年次 2026/7/27〜7/31
大阪大学 第2年次 10名
岡山大学 第2年次 2026/4/8〜4/16
山口大学 第2年次 2026/7/27〜7/30
鹿児島大学 第2年次 10名 2026/4/30〜5/8
福井大学 募集停止(令和9年度から)

ほとんどが第2年次への編入で、共通テストは要りません。試験は第1次が学力(生命科学・自然科学・英語)、第2次が面接(+小論文)というのが基本形です。出願資格は学士の学位で、年齢の条件を置く大学は確認できませんでした。

いちばんの特徴は日程です。出願が4月から10月まで散らばっていて、一般選抜(2〜3月)とまったく重なりません。岡山大学は4月上旬、鹿児島大学は4月末、北海道大学・群馬大学・富山大学・山口大学は7月、弘前大学は10月です。ただし群馬大学と富山大学は第1次試験が同じ日なので、併願は組み方次第になります。

枠は増えていません。福井大学は令和9年度から募集を停止しました。倍率は大学差が大きく、弘前大学は公表されている実績で受験56名に対し合格20名(2.8倍)ですが、募集5名の大学もあります。「枠があるから入りやすい」とは言えません。複数の大学が「選考の結果、成績によっては募集人員にかかわらず合格としないことがある」と要項に明記しています。

太宰府アカデミーの視点|「何歳まで」より「いつ出願できるか」

ここまでの数字を、受験生と保護者の方がどう使えばいいかを書きます。

まず「◯歳を過ぎたら医学部は無理」という話を聞いたら、出どころを確かめてください。法律にその線はありません。上で見たとおり、大学が公表しているデータでは4浪以上でも合格者が出ています。年齢そのものを理由に受験を止める必要はない、というのがデータから言えることです。

次に本当に確認すべきなのは「何歳まで」ではなく「自分はどの方式に出願できるか」です。一般選抜は誰でも出せますが、年内入試は卒業年度で切られます。年内入試は募集人員に対して受験者が少ない方式もあるので、ここに出せるかどうかで受験の設計がかなり変わります。出願資格の原文を、「3月以降」なのか「4月1日から」なのかまで見てください。

三つめに、3浪以上になる方は、学費の設計を先に考えてください。国の修学支援新制度が使えなくなるためです。国公立でも6年間の授業料は約350万円、私立は1,850万円から4,550万円まで開きがあります。合否の話と、お金の話は別々に準備しておく必要があります。

四つめに、すでに大学を出ている方は、学士編入と一般選抜の両方を見てください。日程が重ならないので、両方に出願することが物理的に可能です。ただし学士編入は募集人員が5〜20名と小さく、実施する大学も年によって変わります。一般選抜を土台に置いて、学士編入を上乗せする形が現実的だと思います。

最後に。年齢の話は、データが無いところに数字が出回りやすい分野です。「合格した最高齢」も「何歳まで大丈夫」も、公的な裏づけはありません。裏が取れるのは、志望校が公表している卒業年度別のデータと、出願資格の条文だけです。その2つを見てから決めてください。

まとめ

「医学部は何歳まで受けられるのか」への答えをまとめます。

  • 法令に年齢の上限はありません。学校教育法第90条・医師法第11条・医師法第4条・医師法第16条の2のどこにも年齢の要件は書かれていません
  • 医師免許を受けられるのは最短24歳(3月生まれの方は23歳のことも)。臨床研修2年まで含めると最短26歳です
  • 「合格した最高齢」の公的データはありません。文部科学省の集計に年齢別の表がないためです
  • 4浪以上でも合格者は出ています。岩手医科大学では509人が受験して29人が合格(5.7%)、入学者の11%が4浪以上でした
  • 大学によって形が違います。藤田医科大学は1浪19.8%が現役12.6%を上回り、大阪医科薬科大学は卒後3年以上の正規合格率が2.1%です
  • 年齢で閉まる扉は3つ。年内入試の出願資格、国の修学支援新制度(高校卒業から2年以内)、大学独自の条件(獨協医科大学は25歳以下へ)です
  • 学士編入は第2年次から。出願は4月〜10月で一般選抜と重ならず、募集は5〜20名。福井大学は令和9年度から募集を停止しました

この記事を書いたのは、根拠のない「◯歳が限界」という話で、再受験をあきらめてしまう方が多いと感じているからです。法律に線は無く、大学のデータには合格者がいます。決めるべきなのは年齢ではなく、出願できる方式と資金計画のほうです。

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後藤 登(Goto Noboru)
仕事:総務・広報・完全個別指導コース担当
自己PR:高校・大学ボクシング部。釣りや登山が好き。新卒で当校に勤めて13年目。医学部受験の情報を調べて、ブログやInstagram、Twitterを更新しています。4年前から完全個別指導コースのコース担当。

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