こんにちは、太宰府アカデミーで広報/完全個別指導コースを担当している後藤です。
「私立の医学部は、何の科目を受けるんですか」——高校1・2年生と保護者の方からよく聞かれます。
答えは「英語・数学・理科2科目の3教科4科目」です。これはどの記事にも書いてあります。ただ、この記事ではもう一歩踏み込みます。
私立医学部31校すべてに面接があります。そして配点を公表している14校では30点〜110点。多くの大学が「面接の評価が著しく低い場合は、学力の得点にかかわらず不合格とする」と募集要項に明記しています。
さらに「英・数・理2」が当てはまらない大学もあります。帝京大学は英語のほかに国語を選ぶこともでき、理科を1科目も使わずに受験できます。
この記事を開いた方は、たぶんこんなことを思っています。
− 私立医学部の受験科目って、結局どれ?
− 大学によって違うの?
− 面接や小論文はどれくらい効くの?
ひとつずつ答えます。
この記事の目次
結論:学科は英・数・理2。ただし合否は学科だけでは決まらない
先に答えを出します。
- 私立医学部の一般選抜の学科は、英語・数学・理科2科目の3教科4科目が基本形です
- ただし例外があります。帝京大学は英語+5科目から2科目選択(国語も選べる)、東海大学は理科1科目、金沢医科大学の後期は英語・数学の2科目だけです
- 面接は31校すべてで実施されます。配点を公表しているのは14校で、30点〜110点。残り17校は段階評価か非公表です
- 多くの大学が「面接の評価が著しく低い場合は、学力の得点にかかわらず不合格とする」と要項に明記しています。配点が小さくても、面接は実質的な関門です
私立医学部の受験科目|英語・数学・理科2科目が基本形

まず基本形です。
| 教科 | 科目 | 備考 |
|---|---|---|
| 外国語 | 英語 | ほぼすべての大学で必須 |
| 数学 | 数学Ⅰ・数学Ⅱ・数学Ⅲ・数学A・数学B・数学C | 範囲は大学により異なる |
| 理科 | 物理・化学・生物から2科目選択 | 「物理基礎・物理」のように基礎を含む形が一般的 |
| ― | 面接 | 私立31校すべてで実施される |
| ― | 小論文(または課題作文・基礎学力など) | 課さない方式もある |
学科は英語・数学・理科2科目。理科は物理・化学・生物から2科目を選ぶ形が一般的で、「物理基礎・物理」のように基礎を含めた範囲で出題されます。
数学の範囲は大学によって違います。数学Ⅲまで含む大学と含まない大学があるので、ここは志望校ごとに確認が必要です。帝京大学の2027年度一般選抜を例にとると、出題範囲は数学Ⅰ・数学Ⅱ・数学A(図形の性質、場合の数と確率)・数学B(数列)・数学C(ベクトル)で、数学Ⅲは入っていません。
そして学科のほかに、面接がほぼ必ずあります。小論文(大学によっては課題作文・基礎学力などの名称)を課す大学も多くあります。「私立医学部の受験科目」を学科だけで数えると、実際の入試とはずれます。
基本形が当てはまらない大学|理科なしで受けられる方式もある

「英・数・理2」と違う形をとっている大学を、大学公式の資料で確認できた範囲で出します。
| 大学 | 方式・年度 | 学科の科目 | 配点 | ここが違う | 出典 |
|---|---|---|---|---|---|
| 帝京大学 | 一般選抜(2027年度) | 英語必須+数学・物理・化学・生物・国語の5科目から2科目選択 | 各100点・計300点 | 理科を1科目も使わずに受験できる。国語は現代の国語と言語文化(古文・漢文を除く) | 帝京大学「入学試験要項2027」 |
| 東海大学 | 一般選抜(2025年度) | 英語+数学+理科1科目(物理・化学・生物から当日選択) | 各100点・計300点 | 理科は1科目。共通テスト利用選抜では理科2科目が必要 | 東海大学「2025年度 医学部医学科の各選抜」 |
| 金沢医科大学 | 一般選抜 後期(令和9年度) | 第1次試験は英語・数学の2科目 | 1次200点 | 後期は理科がない。前期とは科目が違う | 金沢医科大学「試験科目・配点」 |
いちばん形が違うのが帝京大学です。2027年度の一般選抜では、英語が必須で、数学・物理・化学・生物・国語の5科目から2科目を選びます。各100点で合計300点満点。国語(現代の国語・言語文化。古文・漢文を除く)が選択肢に入っているので、理科を1科目も使わずに受験することができます。
帝京大学はもう1つ特徴があります。一次選考が試験日自由選択制で、2027年度は1月21日・22日・23日の3日間。2日以上受験した場合は、学科3科目の合計点が最も高い日が採用されます。二次選考は課題作文(300字以内)と面接(受験者1名に対し教員2名で10分程度)です。
東海大学は理科が1科目です。2025年度の公表資料では、一般選抜の一次選考が英語100点・数学100点・理科1科目選択100点の計300点。理科は「物理基礎・物理」「化学基礎・化学」「生物基礎・生物」から試験当日に選びます。ただし同じ東海大学でも、共通テスト利用選抜では理科2科目が必要です。
金沢医科大学は、前期と後期で科目が変わります。後期の第1次試験は英語・数学の2科目(200点)で、理科がありません。
ここから言えるのは、「私立医学部=英数理2」と覚えてしまうと、出せるはずの方式を見落とすということです。とくに理科が1科目しかできあがっていない段階の受験生にとって、帝京大学や東海大学の形は選択肢になります。
私立医学部31校すべてに面接がある|配点は30点〜110点

ここからが、この記事でいちばん伝えたい部分です。面接は私立31校すべてで実施されます。
まず、配点を公表している14校です(一般選抜の前期)。
| 順 | 大学 | 面接の配点 | 形式 | 総合点に占める比率 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 金沢医科大学(前期) | 110点 | グループ面接(1グループ約20分) | 総合520点の21% |
| 2 | 昭和医科大学(Ⅰ期) | 100点 | 個人面接 約10分 | 総合520点の19% |
| 3 | 北里大学 | 100点 | グループ面接または個人面接、あるいは両方を複合(10分) | 総合700点の14% |
| 4 | 川崎医科大学 | 100点 | 個人面接(+段階評価) | 学科350点+面接100点=総合450点の22% |
| 5 | 兵庫医科大学(A・4科目型) | 80点 | 個人面接 | 総合630点の13% |
| 6 | 岩手医科大学 | 50点 | 個人面接(15分程度) | 2次=面接のみ/総合400点の12.5% |
| 7 | 東邦大学 | 50点 | 約40分 | 2次=基礎学力50+面接50/総合550点の9% |
| 8 | 聖マリアンナ医科大学 | 50点 | 形式は非公表 | 総合500点の10% |
| 9 | 久留米大学(前期) | 50点 | 形式は非公表 | 総合500点の10% |
| 10 | 福岡大学 | 50点 | グループ面接(受験生4〜6人に面接者3人・40分程度) | 2次=面接のみ/総合450点の11% |
| 11 | 東京医科大学 | 40点 | 2027年度からMMIへ(2026年8月3日のプレスリリース) | 総合500点の8% |
| 12 | 藤田医科大学 | 40点 | 個人面接2回+MMI 2回(5段階評価) | 2次=面接のみ/総合640点の6% |
| 13 | 東京慈恵会医科大学 | 30点 | MMI:1対1を異なる課題・評価者で計6回/約60分/評価者6名 | 総合480点の6% |
| 14 | 日本大学(N方式1期) | 30点 | 個人面接 約20分(複数の評価者) | 総合550点の5% |
いちばん高いのは金沢医科大学の110点で、総合520点の21%。次が昭和医科大学Ⅰ期・北里大学・川崎医科大学の100点です。川崎医科大学は学科350点+面接100点なので、面接が総合450点の22%を占めます。
面接の形式もさまざまです。東京慈恵会医科大学はMMI(1対1の面接を異なる課題・異なる評価者で計6回、約60分。評価者6名が5段階評価)、福岡大学はグループ面接(受験生4〜6人に面接者3人で40分程度)、藤田医科大学は個人面接2回+MMI 2回です。東京医科大学は2026年8月3日のプレスリリースで、2027年度入学者選抜から一般選抜の二次試験もMMIにすると公表しました。
残りの17校はこうなっています。
| 区分 | 大学 |
|---|---|
| 「段階評価」と明示(6校) | 埼玉医科大学/国際医療福祉大学/愛知医科大学/大阪医科薬科大学/関西医科大学/近畿大学 |
| 点数化するが配点は非公表(2校) | 東北医科薬科大学/杏林大学 |
| 配点欄が要項にない(8校) | 自治医科大学/獨協医科大学/慶應義塾大学/順天堂大学/帝京大学/東京女子医科大学/日本医科大学/東海大学 |
| 点数化しないと明示(1校) | 産業医科大学(ただし「合否判定の際に重視します」と明記) |
「段階評価」と明示しているのが6校、点数化するが配点は非公表が2校、配点欄そのものが要項にないのが8校、点数化しないと明示しているのが1校(産業医科大学)です。
「面接の評価が著しく低い場合は不合格」と要項に書いてある
ここが「面接30点だから軽い」という誤解のいちばん危ないところです。
多くの大学が、募集要項に次の趣旨の一文を置いています。「面接の評価が著しく低い場合は、学力試験の得点にかかわらず不合格とする」。
当塾が要項で確認できた大学は、岩手医科大学・東北医科薬科大学・杏林大学・昭和医科大学・東京医科大学・東京慈恵会医科大学・東京女子医科大学・東邦大学・日本大学・聖マリアンナ医科大学・大阪医科薬科大学・福岡大学ほかです。
配点が30点でも、この条項がある大学では面接は足切りとして働きます。合計点の何パーセントかという計算では、この構造は見えません。
もうひとつ知っておいてほしいのが、二次選考が面接だけで決まる大学があることです。岩手医科大学・藤田医科大学・福岡大学は二次が面接のみ。東邦大学も基礎学力50点+面接50点なので、実質的に面接が中心です。昭和医科大学Ⅱ期も面接のみです。この4〜5校では、一次を通ったあとの勝負が面接一本になります。
私立医学部の小論文|課さない6方式と、受けないと面接に進めない3校
小論文まわりも整理しておきます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 一般選抜で小論文を課さない(6方式) | 岩手医科大学(2022年度に廃止)/自治医科大学(2021年度以降なし)/日本大学(N方式)/藤田医科大学/関西医科大学(特色選抜のみ)/昭和医科大学Ⅱ期 |
| 小論文を1次試験日に実施し、2次の判定に使う(11校) | 埼玉医科大学/国際医療福祉大学/順天堂大学/東京医科大学/東京女子医科大学/東邦大学(基礎学力)/愛知医科大学/大阪医科薬科大学(前期)/兵庫医科大学/川崎医科大学/福岡大学 |
| 小論文を受けていないと面接に進めない(3校) | 順天堂大学/福岡大学/東海大学 |
| 名称が「小論文」ではない | 帝京大学=課題作文(30分・300字以内)/東邦大学=基礎学力 |
| 試験時間の幅 | 30分(帝京大学・大阪医科薬科大学)〜120分(産業医科大学)と4倍の開きがある |
一般選抜で小論文を課さないのは6方式(岩手医科大学・自治医科大学・日本大学N方式・藤田医科大学・関西医科大学・昭和医科大学Ⅱ期)。岩手医科大学は2022年度に廃止し、自治医科大学は2021年度以降実施していません。
そして受験生の実害に直結するのがこれです。順天堂大学・福岡大学・東海大学は、小論文を受けていないと面接に進めません。「一次の学科だけ受けて帰る」ということができない大学があるということです。
小論文を1次試験日に実施して、2次の判定に使う大学も11校あります。この場合、1次の日に小論文まで受けることになります。試験時間は30分(帝京大学・大阪医科薬科大学)から120分(産業医科大学)まで4倍の開きがあるので、対策の重さも大学によってまったく違います。
太宰府アカデミーの視点|科目より「配点の形」を見る
ここまでの内容を、受験生と保護者の方がどう使えばいいかを書きます。
まず「必要な科目」を調べたら、次は必ず配点を見てください。同じ英・数・理2でも、大学によって配点はまったく違います。国際医療福祉大学は一次が英語・数学・理科いずれも200点で同配点ですが、東京女子医科大学は2027年度から英語150点・理科150点(満点400点は据え置き)になります。得意科目の配点が高い大学を選ぶだけで、同じ実力でも通りやすさが変わります。
次に面接の準備を、学科と同じ土俵で考えてください。31校すべてにあり、二次が面接だけの大学もあります。「面接の評価が著しく低い場合は不合格」という条項がある以上、面接は加点要素ではなく前提条件です。MMIを採用する大学が増えているので、形式の違いも早めに知っておいたほうがいいと思います。
三つめに、理科の仕上がりが遅れている方は、科目の少ない方式を候補に入れてください。帝京大学は理科なしでも出願でき、東海大学は理科1科目、金沢医科大学の後期は英語・数学だけです。ただし「科目が少ない=入りやすい」ではありません。受験者が集まるぶん倍率は高くなります。あくまで「戦える形かどうか」で判断してください。
四つめに、小論文を受けないと面接に進めない大学があることは、出願前に必ず確認してください。順天堂大学・福岡大学・東海大学がそれにあたります。知らずに帰ってしまうと、その年の受験がそこで終わります。
最後に。科目も配点も、毎年動きます。この記事の数字も、年度と方式を必ず併記しています。出願する年度の学生募集要項を、必ず大学のサイトから自分でダウンロードして確認してください。予備校の一覧表は便利ですが、最後の一手は原文で確かめるのが確実です。
まとめ
「私立医学部の受験科目は何か」への答えをまとめます。
- 学科は英語・数学・理科2科目の3教科4科目が基本形です。理科は物理・化学・生物から2科目を選びます
- 数学の範囲は大学により違います。帝京大学の2027年度一般選抜には数学Ⅲが入っていません
- 基本形と違う大学があります。帝京大学は英語+5科目から2科目(国語も選べる)で理科なしでも受験でき、東海大学は理科1科目、金沢医科大学の後期は英語・数学の2科目です
- 面接は私立31校すべてで実施されます。配点を公表しているのは14校で30点〜110点。最高は金沢医科大学の110点です
- 多くの大学が「面接の評価が著しく低い場合は、学力の得点にかかわらず不合格」と要項に明記しています
- 二次が面接だけの大学があります(岩手医科大学・藤田医科大学・福岡大学、実質的に東邦大学、昭和医科大学Ⅱ期)
- 小論文を課さないのは6方式。順天堂大学・福岡大学・東海大学は、小論文を受けないと面接に進めません
この記事を書いたのは、「私立医学部の受験科目=英数理2」で終わっている説明が多く、実際に合否を分けている面接と小論文の話がほとんど書かれていないと感じたからです。学科の準備と同じくらい、どの方式に出せるかを早めに決めておいてください。
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後藤 登(Goto Noboru)
仕事:総務・広報・完全個別指導コース担当
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