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医師免許の取り方|5つの関門と最短24歳・既卒は54.6%

2026年08月25日 更新

こんにちは、福岡の医学部予備校で総務・広報を担当している後藤です。

本日のブログは、受験生よりもむしろ保護者の方から聞かれることの多い話です。

「医学部に入れば、医者にはなれるんですよね?」。この質問に、いつも少しだけ間を置いてから答えています。

医師免許は、医学部を卒業しただけでは手に入りません。入試のあとに、国の試験が2つと大学の試験が1つ待っています。そして最後に、医籍という名簿に登録して初めて医師になります。

今回は、その手順を最初から最後まで数字で並べます。使うのは厚生労働省の告示と公表資料、それに医師法の条文だけです。

− 医学部を出れば、そのまま医者になれるんでしょ?

− 国家試験は9割受かるんだから、そんなに難しくないんでしょ?

− 免許を取ったら、すぐに医者として働けるんでしょ?

この3つに、順番に数字でお答えします。

結論|医師免許を取るまでの5段階と、最短24歳

先に全体像を出します。

医師免許を取るまでの5段階を順に並べた図。医学部入試・4年次の共用試験・卒業試験・医師国家試験・医籍登録と臨床研修2年
出典:厚生労働省「医師国家試験の施行について」(令和8年7月1日告示)/医師法第16条の2/厚生労働省 医学生共用試験部会「令和5年度 共用試験の実施状況について」
# 関門 いつ だれが行うか 落ちるとどうなるか
1 医学部医学科の入試 高校卒業まで 各大学 全国81校(国公立50・私立31)。令和8年度の入学定員は9,376人
2 共用試験(CBT・OSCE) 4年次 国(医師法に位置づけ) 臨床実習に進めない=実質的に留年
3 卒業試験 6年次 各大学が独自に実施 卒業できず、国家試験を受験できない
4 医師国家試験 6年次の2月 国(厚生労働省) 国試浪人(既卒として翌年に再受験)
5 医籍への登録 合格発表のあと 厚生労働省 登録して医師免許。続けて臨床研修2年(医師法第16条の2)

関門は入試を入れて5つです。このうち国の試験は2つ(共用試験と医師国家試験)で、卒業試験だけは各大学が独自に行うものです。

18歳で入学して、留年も国試浪人もなくまっすぐ進んだ場合、医師免許が手元に来るのは24歳。そこから臨床研修が2年あるので、専門研修(専攻医)に進むのは26歳です。

出典:厚生労働省「医師国家試験の施行について」(令和8年7月1日 厚生労働大臣告示)/医師法第16条の2/厚生労働省 医道審議会 医師分科会 医学生共用試験部会「令和5年度 共用試験の実施状況について」/厚生労働省 医師偏在対策等検討会 資料(令和8年度の入学定員)

①医学部医学科に入る|全国81校・令和8年度の定員は9,376人

入口は医学部医学科です。全国に81校(国公立50校・私立31校)あり、令和8年度の入学定員は9,376人。ここに入らないと、次の段階に進めません。

なお、日本の医学部を出ていない場合の道もあります。外国の医学校を卒業した人は、厚生労働大臣の認定を受けるか予備試験に合格すれば国家試験を受けられますが、厚生労働省は「一律に認定することはありません」と注意喚起しています。「海外の医学部なら簡単」という前提で進路を決めないでください。

②4年次の共用試験|2023年度から国の試験になりました

ここが、いちばん知られていない関門です。

4年次に共用試験(CBT・OSCE)があります。CBTはコンピュータで受ける知識の試験、OSCEは医療面接や身体診察などの実技試験です。もともとは各大学が自主的に行っていましたが、2023年度から公的化され、医師法に位置づけられた国の試験になりました。

合格するとStudent Doctorとして、臨床実習で医業の一部を行えるようになります。医学生が患者さんに触れられる法的な根拠が、ここで初めてできました。

そして第121回(2027年)の国家試験からは、受験資格に「共用試験に合格した者に限る」が入っています。2025年4月1日より前に卒業した人には経過措置がありますが、これから入学する人にとっては共用試験に受からないと国家試験にも進めないという関係になりました。

よく聞かれる「CBTは何割で合格ですか」には、実は得点率では答えられません。受験者ごとに違う問題が出るため、採点はIRT標準スコアという難易度を補正した数字で行います。合格基準は2023年度からIRT標準スコア396で全国統一されました(それ以前は359が最低基準で、合格ラインは大学ごとでした)。

③卒業試験|ここだけは国の試験ではありません

6年次には卒業試験があります。これは各大学が独自に行うもので、国の試験ではありません。回数も難しさも大学によって違い、総合試験を何度も課す大学もあります。

落ちると卒業できないので、医師国家試験を受験できません。ここが効いてくるのが、次の数字の読み方です。

④医師国家試験|第121回は2027年2月6日(土)・2027年2月7日(日)

まず、直近の結果から。

医師免許までの関門ごとの通過率の比較。共用試験の本試験96.6%に対し、CBTの再試験は68.5%、医師国家試験の既卒は54.6%
出典:厚生労働省「第120回医師国家試験の合格発表について」(2026年3月16日)/厚生労働省 医学生共用試験部会「令和5年度 共用試験の実施状況について」
関門 通過した割合 母数 出典の年
共用試験(本試験・CBTとOSCEの両方) 96.6% 受験9,380人/不到達317人 令和5年度
 うちCBT(本試験) 97.2% 受験9,371人/不到達259人 令和5年度
 うちOSCE(本試験) 98.9% 受験9,355人/不到達105人 令和5年度
 CBTの再試験 68.5% 再試743人/不到達234人 令和5年度
医師国家試験(全体) 91.6% 受験9,980人/合格9,139人 第120回・2026年
 うち新卒 94.7% 受験9,205人 第120回・2026年
 うち既卒 54.6% 受験775人 第120回・2026年

第120回(2026年2月)は受験9,980人に対して合格9,139人で91.6%。ただし内訳を見ると、新卒94.7%に対して既卒は54.6%です。同じ試験なのに、40ポイントの差が付いています。

出典:厚生労働省「第120回医師国家試験の合格発表について」(2026年3月16日)/厚生労働省 医道審議会 医師分科会 医学生共用試験部会「令和5年度 共用試験の実施状況について」(令和6年10月7日)をもとに太宰府アカデミー集計

「9割受かる」は新卒の話です。そして分母は、卒業試験を通った人だけ。入学した人数から数えた割合ではありません。この点は共用試験の再試験でも同じ形が出ていて、CBTの本試験は97.2%が通るのに、再試験になると68.5%まで落ちます。1回で通れば9割以上、落ちた次はぐっと厳しくなる——これがこの道のいちばんの特徴だと思っています。

次に、試験そのものが難しくなっているのかを11年分で見ます。

医師国家試験の合格基準(必修を除く問題)の得点率の推移。第112回69.6%から第118回76.7%へ6年で7.1ポイント上昇
出典:厚生労働省「第◯◯回医師国家試験の合格発表について」(第110〜120回)をもとに太宰府アカデミー集計
受験者 合格率 新卒 既卒 必修の基準 必修を除く問題の基準
第110回(2016年) 9434人 91.5% 94.3% 60.1% 160/200 125/199(一般問題のみ)
第111回(2017年) 9618人 88.7% 91.8% 54.3% 160/200 128/198(一般問題のみ)
第112回(2018年) 10010人 90.1% 93.3% 63.9% 160/200 208/299(69.6%)
第113回(2019年) 10146人 89.0% 92.4% 56.8% 160/200 209/296(70.6%)
第114回(2020年) 10140人 92.1% 94.9% 69.2% 158/197 217/299(72.6%)
第115回(2021年) 9910人 91.4% 94.4% 54.5% 160/200 209/300(69.7%)
第116回(2022年) 10061人 91.7% 95.0% 54.0% 158/197 214/297(72.1%)
第117回(2023年) 10293人 91.6% 94.9% 55.2% 160/200 220/295(74.6%)
第118回(2024年) 10336人 92.4% 95.4% 58.9% 160/200 230/300(76.7%)
第119回(2025年) 10282人 92.3% 95.0% 59.0% 160/200 221/300(73.7%)
第120回(2026年) 9980人 91.6% 94.7% 54.6% 160/200 224/300(74.7%)

合格率は第110回から第120回まで88.7〜92.4%でほとんど動いていません。ところが合格の基準点のほうは上がっています。必修を除く問題の基準は、第112回の69.6%から第118回の76.7%へ、6年で7.1ポイント。第120回は74.7%でした。

出典:厚生労働省「第◯◯回医師国家試験の合格発表について」(第110〜120回の11本)をもとに太宰府アカデミー集計。必修問題の基準は11年とも160/200(80.0%)前後で変わっていません。第111回以前は一般問題と臨床実地問題で基準が別だったため、第112回から比べています

合格率が一定なのに基準点が上がっている、ということは、受験する人の得点そのものが上がっているということです。この試験は、その年の受験者のなかでの相対的な位置で決まる部分があります。「何点取れば受かる」を固定の数字で覚えるのは、あまり意味がありません。

第121回(2027年)の日程は、厚生労働大臣の告示で確定しています。

項目 内容
試験日 2027年2月6日(土)・2027年2月7日(日)
受験書類の受付 2026年11月2日(月)〜2026年11月30日(月)(郵送は最終日の消印有効・書留)
受験手数料 15,300円(収入印紙。受理後は返還されません)
試験地 12都道府県=北海道・宮城・東京・新潟・愛知・石川・大阪・広島・香川・福岡・熊本・沖縄
卒業証明書の提出期限 2027年3月9日(火)14:00(卒業見込みで出願した場合)
合格発表 2027年3月16日(火)14:00・厚生労働省ホームページ
受験資格 共用試験に合格した者に限る(2025年4月1日より前に卒業した人は経過措置あり)

いちばん見落とされやすいのが出願の受付期間です。2026年11月2日(月)から2026年11月30日(月)までで、試験日の3か月前に終わります。試験地は12都道府県で、九州は福岡・熊本・沖縄の3県。福岡が入っています。

出典:厚生労働省「医師国家試験の施行について」(令和8年7月1日 厚生労働大臣告示)

⑤医籍に登録して、臨床研修2年へ

国家試験に合格したら、医籍への登録を申請します。ここで初めて医師免許です。合格発表と同時に免許が届くわけではありません。

そして、免許を取ったからといってすぐに一人で診療するわけでもありません。医師法第16条の2により、臨床研修2年が必修です。研修先は自分で希望を出し、マッチングという仕組みで決まります。出身大学の所在地で応募先が制限されることはありません。

太宰府アカデミーの視点|受験生と保護者に見ておいてほしい3点

ここまでの数字を踏まえて、いま高校生・受験生の段階で知っておくと役に立つことを3つ挙げます。

1つめ。「医学部に入れば医者になれる」ではありません。入試のあとに関門が4つあり、そのうち2つは国の試験です。志望校を選ぶときに、偏差値や学費と一緒に6年ストレート卒業率と国家試験の合格率を見ておくと、入学後の姿がイメージしやすくなります。ただし大学にはそれぞれの教育方針があり、数字だけで良し悪しを語れるものではありません。進級判定の厳しさがそのまま出る数字なので、低いこと自体が質の話ではないという点は押さえておいてください。

2つめ。「1回で通る」ことの価値が、この道はとても大きいです。新卒94.7%対既卒54.6%、CBT本試験97.2%対再試験68.5%。同じ試験でも、2回目は別の試験のような数字になります。これは大学受験にもそのまま当てはまる話で、現役で1回通す価値はここにもつながっています。

3つめ。保護者の方は、24歳と26歳という2つの年齢を覚えておいてください。18歳で入学した場合、免許が来るのが24歳、専門研修に入るのが26歳です。学費の支払いが終わるのは6年後でも、一人前として働き始めるまでにはもう数年あります。資金計画は、そこまでの幅で考えておくと安心です。

この記事を書こうと思ったのは、「医師免許 取り方」という検索語に、まともに答えているページが少なかったからです。制度は毎年少しずつ変わります。ここに書いた日程と基準は、必ず厚生労働省の発表でご確認ください。

まとめ|医師免許までの関門は5つ、最短24歳

医師免許を取るまでの流れを、国の公表資料だけで確かめた結果をまとめます。

  • 関門は入試を入れて5つ。国の試験は共用試験と医師国家試験の2つで、卒業試験は各大学が独自に行います
  • 共用試験は2023年度から国の試験に。合格基準はIRT標準スコア396で全国統一。第121回からは国家試験の受験資格にもなりました
  • 第120回の医師国家試験は91.6%(受験9,980人・合格9,139人)。新卒94.7%に対し既卒は54.6%です
  • 合格率は11年で88.7〜92.4%と横ばいですが、基準点は第112回69.6%→第118回76.7%と7.1ポイント上がりました
  • 第121回は2027年2月6日(土)・2027年2月7日(日)。出願は2026年11月2日(月)〜2026年11月30日(月)、手数料15,300円、合格発表は2027年3月16日(火)14:00です

高校生・受験生の段階でやることは1つです。志望校の6年ストレート卒業率と国家試験の合格率を、いま見ておいてください。入試の偏差値と同じ資料に載っています。6年後に自分が通る関門の数字を先に知っておくと、大学の選び方が変わります。

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では、本日の記事は以上です。

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◆筆者プロフィール

後藤 登(Goto Noboru)
仕事:総務・広報・完全個別指導コース担当
自己PR:高校・大学ボクシング部。釣りや登山が好き。新卒で当校に勤めて13年目。医学部受験の情報を調べて、ブログやInstagram、Twitterを更新しています。4年前から完全個別指導コースのコース担当。

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