こんにちは、福岡の医学部予備校で総務・広報を担当している後藤です。
今日は、当校の資料にも長いあいだ抜けていたテーマを書きます。医学部の学士編入です。
大学を出たあとに医師を目指す人から、年に何度か相談を受けます。ところが調べようとすると、情報が各大学のPDFに散らばっていて、まとまった一次情報の表が世の中にほとんどありません。「◯◯大学は入りやすい」といった話ばかりが出てきます。
そこで、大学の公式サイトと募集要項だけを見て、実施している大学を1校ずつ確かめました。皆さん、こんなふうに思っていませんか。
− 学士編入って、要は「社会人枠」で入りやすいんでしょ?
− 一般入試とどっちかを選ぶってことでしょ?
− 生命科学と英語だけやればいいんでしょ?
3つとも違います。順番に、大学が公表している中身で見ていきます。
この記事の目次
結論:学士編入は「第2年次に入る、まったく別の入試」です
まず制度の骨格から。学士編入は一般入試の一種ではありません。完全に別枠の入試です。

いちばん大きな違いは3つ。①入るのは第1年次ではなく、ほとんどが第2年次。②共通テストが要らない。③出願と試験が4月から11月に分散していて、一般入試(1〜3月)とまったく重ならない。
| 項目 | 一般入試(医学部医学科) | 学士編入 |
|---|---|---|
| 入る学年 | 第1年次 | ほとんどが第2年次 |
| 共通テスト | 国公立は必須 | 不要 |
| 出願・試験の時期 | 1月〜3月に集中 | 4月〜11月に分散 |
| 募集人員(1校あたり) | 60〜120名台 | 5〜20名 |
| 必要な学歴 | 高校卒業(見込みを含む) | 学士の学位(大学卒業・見込みを含む) |
| 試験の型 | 共通テスト+2次(学科・面接ほか) | 第1次=学力試験(生命科学・自然科学・英語)→ 第2次=面接(+小論文)が基本形 |
| 実施要項の日程の縛り | 受ける(2月1日以降ほか) | 受けない(社会人等を対象とする選抜のため。だから4月に試験ができる) |
3つめは制度上の理由があります。帰国生徒・社会人を対象とする選抜は、文部科学省の大学入学者選抜実施要項が定める試験期日の縛りを受けません。だから4月に試験ができるのです。
出願に必要なのは学士の学位(大学卒業または卒業見込み)。ただしほぼ全大学が「医学部医学科を卒業した者・在学中の者は除く」と明記しています。
2027年度に実施を確認できた大学(大学公式で18校)
2026年8月時点で、各大学の公式サイトまたは公式の募集要項PDFで実施を確認できたものを並べます。
| 大学 | 編入学年 | 募集人員 | 出願期間 | 第1次試験 | 第2次試験 | 確認 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 北海道大学 | 第2年次 | ― | 2026/7/14〜7/22 | ― | ― | 大学公式 |
| 弘前大学 | 第2年次 | 20名 | 2026/10/16〜10/22 17時 | ― | ― | 大学公式 |
| 秋田大学 | 第2年次 | 5名 | ― | ― | ― | 大学公式 |
| 群馬大学 | 第2年次 | 15名(一般10・地域医療5) | 2026/7/22〜7/27 | 2026/9/6 | 2026/10/18 | 大学公式 |
| 東京科学大学 | 第2年次 | ― | ― | ― | ― | 大学公式 |
| 富山大学 | 第2年次 | ― | 2026/7/27〜7/31 | 2026/9/6 | 2026/11/8 | 大学公式 |
| 浜松医科大学 | 第2年次 | ― | ― | ― | ― | 大学公式 |
| 名古屋大学 | 第2年次 | ― | ― | 1次発表 2026/6/19 | 2次発表 2026/7/21 | 大学公式 |
| 滋賀医科大学 | 第2年次 | ― | ― | 総合問題+英語 | 小論文・面接 | 大学公式 |
| 大阪大学 | 第2年次 | 10名 | ― | ― | ― | 大学公式 |
| 神戸大学 | 第2年次 | ― | ― | ― | ― | 大学公式 |
| 鳥取大学 | 第2年次 | ― | ― | ― | ― | 大学公式 |
| 島根大学 | 第2年次・第3年次 | ― | ― | ― | ― | 要確認 |
| 岡山大学 | 第2年次 | ― | 2026/4/8〜4/16 17時必着(郵送のみ) | ― | ― | 大学公式 |
| 山口大学 | 第2年次 | ― | 2026/7/27〜7/30(ネット出願のみ) | ― | ― | 大学公式 |
| 香川大学 | 第2年次 | ― | ― | ― | ― | 大学公式 |
| 愛媛大学 | 第2年次 | ― | ― | ― | ― | 大学公式 |
| 鹿児島大学 | 第2年次 | 10人 | 2026/4/30〜5/8 17時必着 | 2026/6/6(発表6/19) | 2026/7/4(発表7/14) | 大学公式 |
| 琉球大学 | 第2年次(特別編入学) | ― | ― | ― | ― | 大学公式 |
| 福井大学 | ― | 募集停止 | 令和9年度より医学科2年次学士編入学の募集を停止 | ― | ― | 大学公式 |
公式で確認できたのは18校(島根大学は第2年次・第3年次の記載がありますが要確認)。そして福井大学は令和9年度から募集を停止しました。
★大事な注意です。この表に載っていない=実施していない、ではありません。千葉・筑波・新潟・金沢・山梨・信州・岐阜・三重・広島・高知・長崎・大分・旭川医科・山形・奈良県立医科・和歌山県立医科・名古屋市立・大阪公立などは、この調査では確認まで至っていません。実施している可能性があります。志望する大学は必ず自分で公式サイトを確認してください。
出典:各大学の公式サイト・公式の学生募集要項(2026年8月19日確認)をもとに太宰府アカデミー集計。福井大学は国立大学法人福井大学 医学部長名の公表文(令和7年12月23日)
出願は4月から10月まで散らばっています
これが学士編入のいちばん大事な特徴です。1年のうち半年以上にわたって、出願と試験が続きます。

| 出願時期 | 大学(確認できたもの) |
|---|---|
| 4月上旬 | 岡山大学(4/8〜4/16) |
| 4月末〜5月上旬 | 鹿児島大学(4/30〜5/8) |
| 7月中旬 | 北海道大学(7/14〜7/22) |
| 7月下旬 | 群馬大学(7/22〜7/27)/富山大学(7/27〜7/31)/山口大学(7/27〜7/30) |
| 10月中旬 | 弘前大学(10/16〜10/22) |
確認できた範囲だけでも、いちばん早い岡山大学が4月8日〜4月16日(郵送のみ・必着)、いちばん遅い弘前大学が10月16日〜10月22日。鹿児島大学は4月30日〜5月8日、北海道大学は7月14日〜7月22日です。
一般入試と時期が重ならないので、「両方受ける」ことが物理的に可能です。ただし、学士編入どうしでは試験日が重なります。実際、群馬大学と富山大学は第1次試験がどちらも2026年9月6日で、この2校は併願できません。
出典:各大学の公式サイト・公式の学生募集要項(2026年8月時点)をもとに太宰府アカデミー集計
募集人員は5名から20名。一般入試の10分の1以下です
枠の大きさも見ておきます。募集人員を公表している5校を並べました。

| 大学 | 募集人員 | 備考 |
|---|---|---|
| 弘前大学 | 20名 | 前年度の実績は受験56名・合格20名(同校公式サイト) |
| 群馬大学 | 15名 | 一般10名・地域医療5名の内訳 |
| 大阪大学 | 10名 | 「選考の結果、成績によっては募集人員にかかわらず合格としないことがあります」と要項に明記 |
| 鹿児島大学 | 10人 | 第1次試験(学力)で30人程度を選考し、第2次は個別面接 |
| 秋田大学 | 5名 | ― |
いちばん多い弘前大学で20名、いちばん少ない秋田大学で5名。一般入試が1校あたり60〜120名台であることを考えると、10分の1以下の枠です。
ここで数字が1つあります。弘前大学は前年度の実績として受験56名・合格20名を公式サイトに載せています。倍率は2.8倍。「学士編入は超難関」と一括りにされがちですが、募集20名の弘前と5名の秋田では構造がまったく違います。
逆に、枠があるから入れるわけでもありません。大阪大学の募集要項には「選考の結果、成績によっては募集人員にかかわらず合格としないことがあります」と書かれています。定員が埋まらない年がありうるということです。
出典:各大学の公式の学生募集要項(2026年8月時点)/弘前大学の実績は同大学公式サイト掲載の数値
試験は「生命科学と英語」だけではありません
学士編入の試験は第1次=学力試験、第2次=面接(+小論文)が基本形です。問題は第1次の範囲です。

| よくある思い込み | 実際はどうか |
|---|---|
| 枠があるから入りやすい | 「選考の結果、成績によっては募集人員にかかわらず合格としないことがあります」と要項に書く大学がある(大阪大学)。定員が埋まらない年がありうる |
| 毎年同じ大学が実施している | 福井大学は令和9年度から募集を停止した(2025年12月23日・医学部長名の公表文)。枠は増えていない |
| 生命科学と英語だけやればいい | 滋賀医科大学は「生物学、物理学、化学、統計学及び数学」を大学教養教育修了程度の総合問題として課す |
| 英語は筆記だけ | 鹿児島大学は出願資格にTOEFL iBT 64点以上またはTOEIC L&R 720点以上(出願期間初日から2年以内)。大阪大学もスコア原本の提出が必要で、団体特別受験制度(TOEFL ITP・TOEIC IP)は使えない |
| 医学部を出ていても受けられる | ほぼ全大学が「医学部医学科を卒業した者・在学中の者は除く」と明記している |
滋賀医科大学の募集要項にはこうあります。「大学教養教育修了程度の総合問題(生物学、物理学、化学、統計学及び数学)及び外国語(英語)を課す」。生命科学だけでなく、統計学・数学まで範囲に入っています。
もう1つ見落とされやすいのが英語の外部試験です。鹿児島大学は出願資格としてTOEFL iBT 64点以上(Home Edition可)またはTOEIC L&R 720点以上を求めています。しかも出願期間初日から起算して2年以内に受験したスコアであること。大阪大学もスコア原本の提出が必要で、団体特別受験制度のTOEFL ITP・TOEIC IPは使えません。
つまり、受けると決めてから対策を始めるのでは、英語のスコアが間に合わない大学があるということです。
太宰府アカデミーの視点|検討するときに見る3点
ここまでの内容を、実際に調べるときの手順に落とします。
1つめ。志望する大学のページを、毎年その年に開く。この記事でいちばん強調したいのはここです。福井大学のように募集を停止する大学があり、枠は増えていません。去年の情報や、まとめサイトの一覧を信じないでください。大学の公式サイトの「学士編入学」のページを、その年の分で確認する。それだけで防げる事故がかなりあります。
2つめ。英語の外部試験のスコアを、いちばん先に確認する。学力試験は勉強すれば間に合いますが、TOEFLやTOEICのスコアは受験日と有効期限の制約があります。出願資格にスコアが要るかどうかを最初に調べ、要るなら受験計画から逆算してください。「出願期間初日から2年以内」といった条件がついていることもあります。
3つめ。一般入試と両方受けるかを、早い段階で決める。時期が重ならないので物理的には両立できます。ただし、学士編入の学力試験(生命科学・統計学など)と、一般入試の理科・数学は、勉強する中身がかなり違います。両方を中途半端にやるのがいちばん危ない。どちらを軸にして、もう一方はどこまでやるのかを先に決めるほうが、結果的に近道になります。
最後に条件を1つ。この記事の日程・募集人員は2026年8月時点で各大学が公表しているものです。実施の有無も、募集人員も、試験日も毎年変わります。出願前に必ず、その年の最新の学生募集要項をご確認ください。
まとめ
医学部の学士編入について、大学の公式資料で確かめた内容をまとめます。
- 学士編入は一般入試とはまったく別の入試です。入るのはほとんどが第2年次、共通テストは不要、出願と試験は4月から11月に分散します
- 2026年8月時点で大学公式で実施を確認できたのは18校(島根大学は要確認)。北海道・弘前・秋田・群馬・東京科学・富山・浜松医科・名古屋・滋賀医科・大阪・神戸・鳥取・岡山・山口・香川・愛媛・鹿児島・琉球。載っていない=実施していない、ではありません
- 福井大学は令和9年度から募集を停止しました(2025年12月23日 公表)。枠は増えていません
- 出願はいちばん早い岡山大学が4月8日〜16日、いちばん遅い弘前大学が10月16日〜22日。群馬大学と富山大学は第1次試験が同じ2026年9月6日で併願できません
- 募集人員は弘前20名・群馬15名・大阪10名・鹿児島10人・秋田5名。一般入試の10分の1以下の枠です。弘前大学の前年度実績は受験56名・合格20名で2.8倍
- 試験範囲は生命科学と英語だけではありません。滋賀医科大学は物理・化学・統計学・数学まで含みます
- 鹿児島大学はTOEFL iBT 64点以上またはTOEIC L&R 720点以上が出願資格。大阪大学は団体特別受験制度のスコアが使えません
大学を出てから医師を目指す道は、一般入試での再受験だけではありません。ただし、学士編入は「入りやすい抜け道」ではなく、枠が小さく、年ごとに動く入試です。まずは志望する大学の公式ページを、今年の分で開くところから始めてください。
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では、本日の記事は以上です。
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◆筆者プロフィール
後藤 登(Goto Noboru)
仕事:総務・広報・完全個別指導コース担当
自己PR:高校・大学ボクシング部。釣りや登山が好き。新卒で当校に勤めて13年目。医学部受験の情報を調べて、ブログやInstagram、Twitterを更新しています。4年前から完全個別指導コースのコース担当。
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