こんにちは、太宰府アカデミーで広報/完全個別指導コースを担当している後藤です。
「浪人したから、もう推薦は関係ない」——面談でいちばんよく聞く思い込みです。実際、国公立医学部の年内入試(総合型選抜・学校推薦型選抜)は現役限定の枠が多いので、この感覚は半分は当たっています。
ただ、半分は外れています。そして今回、その一覧を作り直す過程で、こちらの方がよほど厄介だという問題に行き当たりました。
− 2浪だけど、出せる国公立の推薦はあるの?
− 県外に住んでいても出せる枠はある?
− ネットの一覧表を信じて出願先を決めていい?
この3つに、2027年度の募集要項・入学者選抜要項を1校ずつ開いて答えます。出願資格の原文から数え直した結果をそのまま載せます。
この記事の目次
2浪以上で出せる国公立医学部の年内入試は9方式
先に結論です。2027年度入試で、2浪以上(2025年3月以前に高校を卒業した人)でも出願できる国公立医学部の年内入試は、当校が確認できた範囲で9方式でした。内訳は2浪まで可が7方式、3浪まで可が1方式、卒業年次の制限がないものが1方式です。

大学でいうと佐賀大学・大分大学・宮崎大学・山梨大学・愛媛大学・鹿児島大学の6校です。全項目を次の表にまとめました。出願資格は原文のまま載せています。ここを自分の卒業年月と突き合わせてください。
| 大学 | 方式・枠 | 募集人員 | 何浪まで | 出願資格(卒業年)の原文 | 出身地の要件 | 評定 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 佐賀大学 | 佐賀県推薦入学特別選抜 | 10人 | 2浪まで | 2027年3月に卒業見込みの者若しくは2024年4月以降に卒業を認められた者 | なし(全国から出願可) | 学習成績概評A段階 |
| 大分大学 | 総合型選抜Ⅱ(一般枠) | 22名 | 2浪まで | 令和7年3月以降に卒業した者及び令和9年3月卒業見込みの者 | なし(全国から出願可) | 学習成績概評A段階 |
| 大分大学 | 総合型選抜Ⅱ(地域枠) | 13名 | 2浪まで | 令和7年3月以降に卒業した者及び令和9年3月卒業見込みの者 | 大分県内の小学校又は中学校を卒業 | 学習成績概評A段階 |
| 宮崎大学 | 学校推薦型選抜Ⅱ(地域枠B) | 15人 | 2浪まで | 宮崎県内の高等学校を令和7年3月以降に卒業の者又は令和9年3月に卒業見込みの者 | 宮崎県内の高等学校 | 学習成績概評A段階 |
| 宮崎大学 | 学校推薦型選抜Ⅱ(地域枠C) | 15人 | 2浪まで | 宮崎県を含めた全国の高等学校を令和7年3月以降に卒業の者又は令和9年3月に卒業見込みの者 | なし(全国から出願可) | 学習成績概評A段階 |
| 山梨大学 | 学校推薦型選抜Ⅱ(全国募集枠) | 10名以内 | 2浪まで | 日本国内に所在する高等学校等を2024年度以後に卒業した方又は2026年度中に卒業見込みの方 | なし(全国から出願可) | 学習成績概評A |
| 山梨大学 | 学校推薦型選抜Ⅱ(県内募集枠) | 5名以内 | 2浪まで | 山梨県内の高等学校等を2024年度以後に卒業した方又は2026年度中に卒業見込みの方 | 山梨県内の高等学校 | 学習成績概評A |
| 愛媛大学 | 総合型選抜Ⅱ(医学科) | 10人 | 3浪まで | 愛媛県内の高等学校を令和6年3月以降に卒業した者又は令和9年3月卒業見込みの者 | 愛媛県内の高等学校 | 規定なし |
| 鹿児島大学 | 学校推薦型選抜Ⅱ(医学科) | 20人 | 制限なし | 鹿児島県内の高等学校を卒業した者(卒業年次の下限の記載なし) | 鹿児島県内の高等学校 | 学習成績概評A |
表を見て「思ったより少ない」と感じたなら、その感覚が正しいです。国公立の年内入試は50校が実施していますが、そのうち2浪以上に開いているのはこれだけでした。
「2浪でも出せる」が誤りだった5大学
ここからが、この記事をどうしても書きたかった理由です。
当校が持っていた集計では、山形大学・徳島大学・東京大学・香川大学・高知大学の年内入試が「2浪以上でも出願可能」に分類されていました。ところが2027年度の要項を開いて出願資格の原文を読むと、徳島大学・香川大学・高知大学・東京大学はいずれも現役と1浪までしか出願できません。東京大学は「卒業年次の制限なし」とされていましたが、実際は1浪までです。

山形大学にいたっては、集計にあった「研究医枠ⅡD」という枠が要項のどこにも存在しませんでした。2027年度・2026年度の要項を全文検索しても「研究医」という語は1度も出てきません。山形大学医学科の年内入試は、学校推薦型選抜Ⅱの一般枠30人(現役のみ)と地域枠10人の2つだけです。
| 大学 | 方式 | 集計での区分 | 原文から数え直した区分 | 出願資格(卒業年)の原文 |
|---|---|---|---|---|
| 徳島大学 | 総合型選抜〈四国研究医型〉 | 2浪まで可 | 現役+1浪まで | 高等学校を令和7年4月1日から令和9年3月31日までに卒業又は卒業見込み |
| 香川大学 | 学校推薦型選抜Ⅱ(医学科) | 2浪まで可 | 現役+1浪まで | 高等学校を2025年4月以降に卒業した者及び2027年3月に卒業見込みの者 |
| 高知大学 | 総合型選抜Ⅰ/学校推薦型選抜Ⅱ | 2浪まで可 | 現役+1浪まで | 高等学校もしくは中等教育学校を2025年4月から2027年3月までに卒業又は卒業見込みの者 |
| 山形大学 | 学校推薦型選抜Ⅱ | 研究医枠ⅡDが2浪まで可 | 研究医枠は存在しない | 一般枠は令和9年3月卒業見込みの者(現役のみ) |
| 東京大学 | 学校推薦型選抜(医学部医学科) | 浪人制限なし | 現役+1浪まで | 高等学校又は中等教育学校を令和7(2025)年4月以降に卒業した者及び令和9(2027)年3月卒業見込みの者 |
5大学とも、当校が勝手に間違えたのではなく、元にした集計がそう書いていました。同じ数字を載せている一覧表は、おそらく他にもあります。
原因は「3月以降」と「4月1日以降」の1か月差
なぜこんなことが起きるのか。出願資格の書き方を2つ並べると、理由がはっきりします。2027年度入試では、現役が2027年3月卒、1浪が2026年3月卒、2浪が2025年3月卒です。
- 大分大学:「令和7年3月以降に卒業した者及び令和9年3月卒業見込みの者」→ 2025年3月卒を含むので2浪まで出せる
- 徳島大学:「令和7年4月1日から令和9年3月31日までに卒業又は卒業見込み」→ 2025年3月卒を含まないので1浪まで
どちらも「2年ぶんの幅」に見えます。ですが起点が3月か4月1日かで、出願できる浪人が1年ぶんずれます。期間の長さで数えると必ず間違えます。
この1か月を読み飛ばすと、2浪の受験生に「出願できない大学」を勧めてしまいます。実際、当校の集計はそれをやっていました。年内入試の出願資格だけは、まとめ記事や一覧表ではなく、必ず大学が出している要項の原文で確かめてください。この記事の表に原文の列を入れているのは、そのためです。
出身地の制限がなく、全国から出せる枠
もう一つ、多浪生が見落としがちな点があります。国公立の年内入試は地域枠が中心で、「県内の高校を出ていないと無理」と思われがちですが、出身地・出身高校の制限がない枠もあります。

佐賀大学・大分大学・宮崎大学・山梨大学が該当します。宮崎大学の地域枠Cは要項に「宮崎県を含めた全国の高等学校」と書かれていて、出身地の条件そのものが置かれていません。
| 大学 | 方式・枠 | 募集人員 | 何浪まで | 共通テスト | 評定 |
|---|---|---|---|---|---|
| 大分大学 | 総合型選抜Ⅱ(一般枠) | 22名 | 2浪まで | 6教科8科目・500点 | 学習成績概評A段階 |
| 佐賀大学 | 佐賀県推薦入学特別選抜 | 10人 | 2浪まで | 第2次選考で6教科8科目 | 学習成績概評A段階 |
| 宮崎大学 | 学校推薦型選抜Ⅱ(地域枠C) | 15人 | 2浪まで | 6教科8科目・1000点 | 学習成績概評A段階 |
| 山梨大学 | 学校推薦型選抜Ⅱ(全国募集枠) | 10名以内 | 2浪まで | 6教科8科目・1000点 | 学習成績概評A |
県外に住んでいて、なおかつ浪人しているという二重の条件でも、出願できる枠は残っています。ただし出身地が自由でも、卒業後の勤務地の縛りは別です。宮崎大学の地域枠は全国から出せる代わりに、宮崎県医師修学資金の貸与とキャリア形成プログラムへの参加が出願要件に入っています。山梨大学の全国募集枠も、山梨県医師修学資金第二種(月20万円)の利用確約が必要で、義務年限は医師免許取得後15年以内に9年間です。
なお山梨大学の全国募集枠は2027年度からの新設です。従来の県内枠は1浪までしか出せませんでしたが、今年度から県内枠・全国募集枠とも2浪まで出願できるようになりました。多浪生にとっては、今年いちばん門戸が開いた大学です。
認可されれば増える、山口大学の3枠
ここは書き方が難しいところなので、条件をそのまま書きます。山口大学には2浪まで出せる枠がありますが、実施されるかどうかがまだ決まっていません。
山口大学は医学科の入学定員90名を109名に増やす臨時定員増を申請する予定で、認可された場合にかぎり特別枠17名以内(下の3枠)が設置されます。認可されなければ学校推薦型選抜Ⅱは27名(全国枠5名・地域枠22名以内)だけになり、そのどちらも現役限定です。2026年8月19日の時点で、認可はまだ発表されていません。
| 大学 | 枠 | 募集人員 | 何浪まで | 出願資格(卒業年)の原文 | 出身地の要件 |
|---|---|---|---|---|---|
| 山口大学 | 学校推薦型選抜Ⅱ(特別枠:緊急医師確保対策枠) | 5名以内 | 2浪まで | 山口県内の高等学校を令和7年3月以降に卒業した者又は令和9年3月に卒業見込みの者 | 山口県内高校/県外高校でも出願時に山口県内に3年以上継続在住の保護者等 |
| 山口大学 | 学校推薦型選抜Ⅱ(特別枠:地域医療再生枠) | 10名以内 | 2浪まで | 同上(緊急医師確保対策枠と文言が完全に一致) | 同上 |
| 山口大学 | 学校推薦型選抜Ⅱ(特別枠:重点医師確保対策枠) | 2名以内 | 要項に記載なし | 「出願要件の詳細については学生募集要項で確認してください」とのみ記載 | 未確認 |
つまり認可されれば2浪まで出せる枠が17名分でき、認可されなければ山口大学の年内入試は現役だけのものになります。特別枠のうち重点医師確保対策枠は、出願要件が「学生募集要項で確認してください」としか書かれておらず、浪人可否も現時点では分かりません。志望に入れるなら、秋の発表を追いかけてください。
岡山大学は2027年度の出願資格がまだ出ていない
もう1校、注意が必要な大学があります。岡山大学の学校推薦型選抜Ⅱ 地域枠コースは、2027年度の募集人員も出願資格も未公表です。大学は「臨時定員を維持する方針は示されたが規模は公表されておらず、募集人員を減じる場合もあり得る」と告知しています。2026年度は岡山県4人・広島県2人・兵庫県2人で、2浪まで出願できました。
ここで気をつけてほしいことがあります。岡山大学については、まとめサイトに「共通テストの基準点は概ね780点」「鳥取県枠がある」と書かれていることがありますが、どちらも古い情報です。2026年度の実際の基準点は配点950点中の概ね820点で、鳥取県枠は2025年度・2026年度とも存在しません。出所をたどると、岡山大学自身のサイトに残っているセンター試験時代のページに行き着きました。大学の公式サイトに載っていても、更新されていないページがあります。
募集人員が「調整中」の大学がある
数字を使うときの注意です。2027年度は国の臨時定員の扱いが決まっておらず、募集人員を「調整中」と書いたまま要項を出している大学があります。
徳島大学は入学者選抜要項に「医学部医学科の募集人員は、調整中です。確定次第、本学ホームページ等でお知らせします」と明記しています。香川大学の地域枠、高知大学の学校推薦型選抜Ⅱも同じです。鹿児島大学の20人も、要項に「現時点において確定した人数ではありません」と書かれています。
大分大学の地域枠についても補足しておきます。臨時定員の審議結果は2026年10月下旬から11月上旬に出ますが、認可されてもされなくても、地域枠は13名で変わりません。要項には認可された場合とされなかった場合の表が両方載っていて、動くのは一般選抜前期の一般枠のほう(55名か45名か)です。ここは当校も「認可されなければ3名」と誤って把握していた箇所なので、あわせて訂正しておきます。
つまり、いま見えている募集人員は最終形ではありません。多くの大学は学生募集要項を9月下旬から11月にかけて公表します。出願を決める前に、必ずその最新版を見てください。
太宰府アカデミーの視点|多浪生が年内入試をどう使うか
年間約40名を指導していて、多浪生の相談でいつも感じるのは、出願できる入試を自分で狭めてしまっていることの多さです。「推薦は現役のもの」と決めつけて、最初から選択肢に入れていない。年内入試は一般選抜より前に終わります。受かれば早く決まりますし、落ちても一般選抜はそのまま残ります。受験機会が1回増えるという意味で、条件に当てはまるなら使わない手はありません。
ただ、今回の調べ直しで、逆のことも言えると分かりました。一覧表を鵜呑みにして「出せる」と思い込むのも、同じくらい危ない。当校が持っていた集計ですら、5大学ぶんを間違えていました。出願直前に「資格がありませんでした」と分かるのが、いちばん取り返しがつきません。11月の出願期間は数日しかなく、そこで1校失うと差し替えが効かないからです。
だから多浪生の面談では、志望校を絞る前に、必ず要項の出願資格のページを一緒に開きます。自分の卒業年月を書き出して、要項の日付と1つずつ突き合わせる。地味ですが、これをやるかどうかで出願できる大学の数が変わります。出願資格だけは、人の作った表ではなく、大学が出した要項の原文で確認してください。そこだけは他人任せにしない。今回はっきりしたのは、それに尽きます。
よくある質問
Q. 「2浪」の数え方は大学によって違いますか?
A. 数え方は同じですが、書き方が違います。「卒業後2年以内」「令和7年3月以降に卒業」「令和7年4月1日から令和9年3月31日までに卒業」はどれも同じ形式の条件ですが、含まれる卒業年が変わります。自分の卒業年月を要項の日付にそのまま当てはめて確認してください。境界にあたる場合は大学に直接問い合わせてください。
Q. 地域枠の卒業後の義務はどのくらいですか?
A. 多くは修学資金の貸与とセットで、卒業後9年前後の指定地域勤務が条件です。宮崎大学の地域枠はA・B・Cとも、キャリア形成プログラムへの参加と宮崎県医師修学資金の貸与が出願要件に入っています。募集人員だけを見て決めないでください。
Q. 評定平均が足りないと出せませんか?
A. 多くの枠が「学習成績概評A段階」(おおむね評定4.3以上)を求めています。ただし愛媛大学の総合型選抜Ⅱのように、評定の規定が置かれていない枠もあります。評定で諦める前に、要項の出願資格を確認してください。
まとめ
- 2027年度入試で2浪以上が出せる国公立医学部の年内入試は9方式(6大学)。2浪まで可7・3浪まで可1・卒業年次の制限なし1
- 集計で「2浪以上可」とされていた5大学は、実際には出せない(山形大学・徳島大学・東京大学・香川大学・高知大学)
- 原因は「◯年3月以降」と「◯年4月1日以降」の1か月差。期間の長さで数えると1年ずれる
- 出身地の制限がなく全国から出せる枠が4つある(佐賀大学・大分大学・宮崎大学・山梨大学)。山梨大学の全国募集枠は2027年度の新設
- 山口大学の2浪可の3枠は、臨時定員増が認可された場合だけ設置される(8月19日時点で未発表)。岡山大学は2027年度の出願資格そのものが未公表
- 募集人員が「調整中」の大学がある。学生募集要項は9月下旬〜11月に出そろう。出願前に必ず最新版を見る
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◆筆者プロフィール
後藤 登(Goto Noboru)
仕事:総務・広報・完全個別指導コース担当
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