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アメリカの医学部は何年?メディカルスクールの学費と日本との違い

2026年08月15日 更新

こんにちは、太宰府アカデミーで広報/完全個別指導コースを担当している後藤です。

「アメリカの医学部って、8年もあるって本当ですか」——海外ドラマで医療ものを見た生徒から、ときどきこの質問を受けます。答えは半分本当で、半分誤解です。アメリカに「8年制の医学部」があるのではなく、大学4年+医学部4年で合計8年という仕組みなんです。

調べてみると、この説明はあちこちにあるのですが、学費がいくらで、誰が払っていて、医師になったらいくら稼げるのかという実額まで書いてあるページはほとんどありません。今回は米国医科大学協会(AAMC)などの一次資料から、その数字を全部並べます。

− アメリカで医者になるには、結局何年かかるの?

− 学費はいくら?日本の医学部より高いの?

− 日本の医学部からアメリカの医者にはなれるの?

この3つに、順番にお答えします。なお本文の円換算はすべて1ドル=150円で統一しています(為替で1〜2割は動く前提で見てください)。

結論|アメリカの医学部は「学部4年+4年」の8年制

まず全体の形を、日本と並べて1枚にします。

医師になるまでの年数の日米比較。日本は医学部6年で計11〜13年、アメリカは学部4年+メディカルスクール4年+レジデンシーで計11〜15年
出典:医師法・各学会の専門医制度(日本)/AAMC・NRMP(米国)
日本 アメリカ
高校卒業後の入口 医学部(6年制)へ直接入学 まず4年制大学へ(医学部は大学院
医学部に入るまで 学部4年(プレメディカル)+MCAT受験
医学部の年数 6年 4年(メディカルスクール)
医師免許試験 医師国家試験(卒業年の2月) USMLE(Step 1〜3)
卒業後の研修 初期研修2年(必修)+専門研修3年〜 レジデンシー3〜7年(科を決めてから研修
医師として独り立ちまで 計11〜13年 計11〜15年

いちばん大事な違いは、アメリカの医学部(メディカルスクール)は大学院だということです。高校からは直接入れません。まず4年制大学で学士号を取り、そのうえで医学部に4年通う。だから「8年制」と呼ばれます。

出典:医師法・各学会の専門医制度(日本)/AAMC・NRMP(米国)をもとに太宰府アカデミー作成

一方で、表の最後の行も見てほしいところです。研修まで含めて医師として独り立ちする年数は、日本が計11〜13年、アメリカが計11〜15年。入口の形がまったく違うのに、道の長さはほとんど同じです。日本の6年一貫教育は、世界的に見ると「早く医師になれる」制度だと分かります。

アメリカの医学部(メディカルスクール)の仕組み

① プレメディカル:まず4年制大学で準備する(18→22歳)

メディカルスクールに出願するには学士号が必要です。学部の4年間で生物学・化学・物理学・有機化学などの必修科目を取り、成績(GPA)を高く保ちながら、医療ボランティアや研究活動の実績を積みます。この準備期間を「プレメディカル(プレメド)」と呼びます。

そして出願前にMCAT(Medical College Admission Test)という共通試験を受けます。日本の共通テストにあたる関門が、大学入試ではなく大学の中にあるイメージです。

② メディカルスクール:4年間+USMLE(22→26歳)

メディカルスクールの4年間は、前半2年が基礎医学、後半2年が臨床実習という構成が標準です。在学中からUSMLE(米国医師免許試験)のStep 1・Step 2を受け、卒業後にStep 3まで通って医師免許となります。日本のように「卒業年の2月に国家試験を一発勝負」ではなく、段階を分けて数年がかりで受ける方式です。

③ レジデンシー:科を決めてから研修3〜7年(26歳〜)

卒業後は研修医(レジデント)として3〜7年の研修に入ります。日本と決定的に違うのは、研修先に応募する時点で診療科まで決めること。内科なら3年、外科なら5年以上と、科によって年数も変わります。

日本は逆で、初期研修の2年間は科を決めずに全科を回り、専門を選ぶのは26歳ごろです。「早く専門を極めたい人」にはアメリカ型、「現場を見てから決めたい人」には日本型が合う、と言えるくらいの違いがあります。

学費は4年で公立4,470万円・私立6,120万円|日本の国公立はその13分の1

ここからが、この記事でいちばん伝えたい数字です。AAMCが毎年公表している学費と、卒業生のローン残高を日本と並べます。

医学部の学費の日米比較2025年。日本の国公立6年約350万円に対し、米国公立4年約4,470万円・私立約6,120万円
出典:AAMC(2025-2026年度)。1ドル=150円換算・米国は学部4年ぶんを含まない
在学年数 総費用 誰が払うか
日本:国公立 6年 約350万円 親・奨学金が中心
日本:私立 6年 約1,850万〜4,550万円 親の負担が中心
米国:公立 4年 約4,470万円($297,745) 本人のローンが中心
米国:私立 4年 約6,120万円($408,150) 本人のローンが中心

米国のメディカルスクールの学費・諸経費は、州内学生向けの公立で年$42,648(約640万円)、私立で年$74,661(約1,120万円)が中央値。4年間の総費用は公立で約4,470万円、私立で約6,120万円です。しかもこれは医学部4年ぶんだけで、その前の学部4年間の費用は含みません

出典:AAMC(2025-2026年度 学費・諸経費の中央値/Class of 2025の教育ローン残高)。1ドル=150円換算

そして支払いの主体が日本と逆です。米国は本人が学生ローンを組むのが標準で、卒業時のローン残高は平均$223,130(約3,350万円)。前年から+5%増えています。

日本側を見ると、国公立の医学部は6年間で約350万円。米国公立の13分の1です。私立は1,850万〜4,550万円と幅がありますが(私立31校の学費一覧はこちら)、それでも日本でいちばん高い私立医学部が、アメリカの私立の平均より安い。「日本の医学部は高い」という感覚は、世界の相場と並べると変わって見えるはずです。

医師になってからの給料|平均は日本の約4.3倍、ただし差し引くものが大きい

「それでもアメリカは稼げるんでしょう」——はい、額面はその通りです。ただし、そのまま比較すると判断を誤ります。

日本 アメリカ
研修医1年目の年収 約435万円 $68,166(約1,022万円)
医師全体の平均年収 1,338万円(勤務医) $386,000(約5,790万円)
卒業時の借金 本人はゼロが多い(学費は親負担が中心) 平均$223,130(約3,350万円)を本人が返す

米国の医師の平均年収は$386,000(約5,790万円・Medscape 2026)。日本の勤務医の平均1,338万円(令和6年 賃金構造基本統計調査から集計)と比べると約4.3倍です。研修医の段階でも、米国のレジデント1年目は平均$68,166(約1,022万円)と、日本の初期研修医(約435万円)の2.3倍あります。

出典:Medscape Physician Compensation Report 2026/AAMC 2025 Survey of Resident/Fellow Stipends and Benefits/令和6年 賃金構造基本統計調査をもとに太宰府アカデミー集計。150円換算

ただし、ここから差し引くものがあります。約3,350万円の学生ローンを本人が返しながら働くこと。医療過誤保険の保険料を自分で負担する働き方があること。州によって税率が大きく違うこと。そして日本と違って公的な国民皆保険がないこと。「額面4.3倍=生活も4.3倍豊か」ではない点は、留学を考えるなら最初に知っておくべきだと思います。

日本の医学部からアメリカの医師になれるか

なれます。ただし、狭き門です。日本の医学部を卒業してから、USMLEに合格し、ECFMG認証(外国医学部卒業生向けの資格認証)を取り、米国のレジデンシーにマッチングで採用される——という手順を踏みます。

そのマッチングの実績が、NRMP(全米レジデンシー・マッチング・プログラム)の2026年結果に出ています。米国の医学部を出たばかりの学生のマッチ率が93.5%なのに対し、ビザが必要な外国医学部卒業生(非米国籍IMG)のマッチ率は54.4%。しかも、この数字はこの5年で最低でした。

つまり「日本の医学部→そのまま米国で臨床医」は、2人に1人がマッチできない勝負になっています。実際には、日本で医師免許と専門医を取ってから研究や臨床留学で渡米するルートのほうが現実的で、選ぶ人も多い。アメリカを目指すとしても、まず日本の医学部に合格して6年で卒業することがスタートラインになる点は変わりません。

太宰府アカデミーの視点|受験生がこの数字から持ち帰るべきこと3つ

1つめ。日本の国公立医学部は、世界的に見て突出して安い。6年で約350万円という学費は米国公立の13分の1です。経済的な理由で医学部を諦めかけている人ほど、国公立という選択肢の価値を数字で知っておいてほしいところです。

2つめ。「6年で医師になれる」日本の制度は、それ自体がアドバンテージ。アメリカでは大学4年を終えてからようやく医学部です。日本の受験生は18歳の入試で苦しみますが、そのぶん医師への道は世界最短クラスで開けます。だからこそ、入学後に留年せず6年で卒業できるか——大学ごとのストレート卒業率まで見て志望校を選ぶことをおすすめします。

3つめ。選抜の思想がまったく違うことは、受験の戦い方のヒントになる。アメリカは学部4年間のGPA・課外活動・MCATを総合する「積み上げ評価」で、一度成績を落とすと挽回に時間がかかります。日本は入試当日の得点で決まる「一発勝負」——厳しい制度に見えて、じつは浪人からでも、社会人からでも、その年の得点さえ取れば逆転できる制度です。多浪や再受験に道が開かれているのは日本型の良さだと、比べてみて改めて思います。

4つめ。英語は「留学しない人」にも無駄にならない。USMLEやECFMGという具体的な道があると知っているだけで、医学部での英語学習の意味は変わります。医学論文は英語が標準ですから、受験英語はそのまま医師のキャリアの土台になります。

まとめ|アメリカの医学部と日本の違い

  • アメリカの医学部は学部4年+メディカルスクール4年の8年制。高校からは直接入れない(医学部は大学院)
  • 医師として独り立ちまでは日本11〜13年・米国11〜15年で大差なし。日本の6年一貫は世界的に短い
  • 学費は米国公立4年で約4,470万円・私立約6,120万円(AAMC 2025・150円換算)。本人のローンが標準で、卒業時平均約3,350万円
  • 日本の国公立(6年約350万円)は米国公立の13分の1。日本最高額の私立でも米国私立の平均より安い
  • 年収は米国が平均約4.3倍($386,000 vs 1,338万円)。ただしローン・保険・税を引くと単純比較はできない
  • 日本の医学部卒から米国レジデンシーへの道はあるが、非米国籍IMGのマッチ率は54.4%(NRMP 2026)と狭き門

留学に憧れる生徒にも、学費に悩む親御さんにも、まず正確な相場を知ってから進路を考えてほしい——その一心で、曖昧な「数千万円」ではなく一次資料の実額でこの記事を書き直しました。

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本日の記事は以上です。

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◆筆者プロフィール

後藤 登(Goto Noboru)
仕事:総務・広報・完全個別指導コース担当
自己PR:高校・大学ボクシング部。釣りや登山が好き。新卒で当校に勤めて13年目。医学部受験の情報を調べて、ブログやInstagram、Twitterを更新しています。4年前から完全個別指導コースのコース担当。

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