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医学部の勉強時間5,000時間の根拠|授業は1,867時間

2026年08月19日 更新

こんにちは、太宰府アカデミーで広報/完全個別指導コースを担当している後藤です。

「医学部に合格するには5,000時間の勉強が必要」——この数字を、僕もあちこちで見かけます。ただ、その5,000時間がどう計算されたのかを示した資料を、僕は見つけられませんでした。

そこで今回は、文部科学省の学習指導要領から、授業時間だけで何時間になるかを計算しました。答えは私立3教科型で1,312時間、国公立型で1,867時間です。

そのうえで「5,000時間」という数字が何を指しているのかを分解します。

この記事を開いた方は、たぶんこんなことを思っています。

− 医学部合格に必要な勉強時間って、結局何時間なの?

− 5,000時間って、どこから出てきた数字なの?

− いまから始めて間に合うの?

ひとつずつ答えます。

結論:「5,000時間」に公的な根拠はない。ただし分解すると近い数字になる

先に答えを出します。

  • 「医学部合格に5,000時間」の出どころを示した公的な資料は見当たりません。合格者の学習時間を国が調べた統計もありません
  • ただし授業時間なら、学習指導要領で決まっています。医学部で使う科目だけで、私立3教科型が1,312時間、国公立型が1,867時間です
  • その1,867時間に「1日3時間の自習を3年間(3,285時間)」を足すと5,152時間。ほぼ5,000時間です

つまり「5,000時間」は特別な目標値ではなく、高校3年間をふつうに使ったときの総量に近い数字だということになります。ここが分かると、残り時間の見積もり方が変わってきます。

高校の授業だけで何時間あるのか

まず、計算の土台を説明します。高校の授業時間は学習指導要領で「1単位=35単位時間、1単位時間=50分」と決まっています。つまり1単位=29時間10分です。

そして科目ごとの標準単位数も、同じ学習指導要領に書かれています。医学部受験で使う科目を教科ごとに合計しました。

医学部受験で使う教科の授業時間は外国語496時間 数学467時間 理科350時間 国語350時間
医学部で使う科目の授業時間(出典:文部科学省「平成30年改訂 高等学校学習指導要領 各学科に共通する教科・科目等及び標準単位数」から計算)

いちばん多いのが外国語の496時間(17単位)。次いで数学の467時間(16単位)です。英語と数学だけで963時間あります。

科目ごとの内訳はこちらです。

教科 科目 標準単位数 授業時間 私立3教科型で必要
外国語 英語コミュニケーションⅠ 3 87時間30分
外国語 英語コミュニケーションⅡ 4 116時間40分
外国語 英語コミュニケーションⅢ 4 116時間40分
外国語 論理・表現Ⅰ 2 58時間20分
外国語 論理・表現Ⅱ 2 58時間20分
外国語 論理・表現Ⅲ 2 58時間20分
数学 数学Ⅰ 3 87時間30分
数学 数学A 2 58時間20分
数学 数学Ⅱ 4 116時間40分
数学 数学B 2 58時間20分
数学 数学Ⅲ 3 87時間30分
数学 数学C 2 58時間20分
理科 物理基礎 2 58時間20分
理科 物理 4 116時間40分
理科 化学基礎 2 58時間20分
理科 化学 4 116時間40分
国語 現代の国語 2 58時間20分
国語 言語文化 2 58時間20分
国語 論理国語 4 116時間40分
国語 古典探究 4 116時間40分
地理歴史 歴史総合 2 58時間20分
地理歴史 日本史探究 3 87時間30分
情報 情報Ⅰ 2 58時間20分
私立3教科型の合計 英語・数学・理科2科目 45 1312時間
国公立型の合計 上+国語・地理歴史・情報 64 1867時間

理科は物理・化学を選んだ場合の数字です。生物・化学でも単位数は同じ12単位になります。地理歴史は歴史総合+日本史探究の組み合わせで計算しました。

私立型と国公立型で554時間ちがう

ここが志望校選びに直結する部分です。

私立3教科型の授業は1312時間で国公立型は1867時間 差は554時間
私立3教科型と国公立型で授業時間は554時間ちがう(出典:文部科学省「平成30年改訂 高等学校学習指導要領」の標準単位数から計算)

私立3教科型(英語・数学・理科2科目)が45単位=1,312時間。国公立型(+国語・地理歴史・情報)が64単位=1,867時間。差は554時間です。

554時間というのは、1日3時間の自習なら185日ぶんにあたります。半年です。国公立を目指すか私立に絞るかで、必要な学習量がこれだけ変わります。

内訳 単位数 時間 「5,000時間」との関係
私立3教科型の授業 45単位 1312時間 「5,000時間」の26%
国公立型の授業 64単位 1867時間 「5,000時間」の37%
その差(国語・地理歴史・情報) 19単位 554時間 1日3時間なら185日ぶん
1日3時間の自習×3年(365日×3年) 3,285時間
国公立型の授業+上の自習 5,152時間 「5,000時間」とほぼ同じ

この表の最後の行を見てください。国公立型の授業1,867時間に、1日3時間の自習を3年続けた3,285時間を足すと5,152時間。よく言われる「5,000時間」とほぼ同じ数字になります。

これで「5,000時間」の正体がだいたい見えてきます。特別に多い量ではなく、高校3年間を授業+1日3時間で過ごしたときの合計です。逆にいえば、それだけでは足りない年もあれば、足りる年もあるということでもあります。時間そのものは合否を決めません。

残り時間はこう見積もる

ここからは実用的な話です。「いまから間に合うか」は、残りの日数×1日の勉強時間で計算できます。

国公立型の授業1867時間に1日3時間の自習を3年足すと5152時間になる
「5,000時間」は授業+1日3時間の自習を3年続けた総量に近い(出典:文部科学省「平成30年改訂 高等学校学習指導要領」の標準単位数から計算)

よく使う組み合わせを早見表にしました。自分の残り日数に近い行を見てください。

残りの日数 1日3時間 1日5時間 1日8時間 1日10時間
30日(1か月) 90時間 150時間 240時間 300時間
100日(3か月ちょっと) 300時間 500時間 800時間 1,000時間
150日(5か月) 450時間 750時間 1,200時間 1,500時間
200日(半年強) 600時間 1,000時間 1,600時間 2,000時間
365日(1年) 1,095時間 1,825時間 2,920時間 3,650時間
730日(2年) 2,190時間 3,650時間 5,840時間 7,300時間
1095日(3年(高1の4月から)) 3,285時間 5,475時間 8,760時間 10,950時間

読み方の例を挙げます。高3の夏、入試まで残り150日で1日8時間なら1,200時間。高1の4月から始めて1日3時間なら3,285時間です。

この表を「足りない」と読むためのものにしないでください。使い方は逆で、「残り時間が決まっているなら、何を捨てるかを決める」ための表です。1,200時間しかないなら、5教科すべてを均等に伸ばすことはできません。

太宰府アカデミーの視点|時間ではなく到達点で管理する

ここまでの計算を、受験生と保護者の方がどう使えばいいかを書きます。

まず勉強時間そのものを目標にすると、たいてい失敗します。「今日8時間やった」は達成感が残りますが、何ができるようになったかとは別の話だからです。管理するなら「時間」ではなく「範囲」にしてください。「今週で数学Bの数列を終わらせる」のほうが、進んだかどうかがはっきりします。

次に、志望校の合格最低点から逆算してください。必要な得点率は大学ごとにまったく違います。2025年度入試なら、帝京大学が81.7%、東邦大学が75.1%、慶應義塾大学が56.0%、東京慈恵会医科大学が47.0%。国公立の総合点は中央値75.5%で、いちばん高いのが奈良県立医科大学の83.5%、いちばん低いのが千葉大学の千葉県地域枠で60.5%でした。どこも満点は要りません。過去問を1年分そのまま解いて、いまの点数と必要な点数の差を出す——ここが出発点です。差が分かれば、残り時間をどの科目に割くかが決まります。

三つめに、国公立と私立のどちらを軸にするかは、早めに決めたほうが有利です。この記事の554時間の差は、決めるのが遅れるほど無駄になりやすい部分です。ただし配点や科目数だけで決めないでください。過去問との相性が合わなければ、時間をかけても点にはなりません。

最後に。この記事の授業時間は、学習指導要領の標準単位数から計算した理論値です。実際の授業時数は学校によって違いますし、学校の授業をどれだけ受験に使えるかも人によって違います。目安として使ってください。

まとめ

「医学部合格に必要な勉強時間」への答えをまとめます。

  • 「5,000時間」に公的な根拠は見当たりません。合格者の学習時間を国が調べた統計もありません
  • 授業時間なら計算できます。私立3教科型が45単位=1,312時間、国公立型が64単位=1,867時間です
  • その差は554時間。1日3時間なら185日、およそ半年ぶんです
  • 国公立型の授業+1日3時間の自習を3年で5,152時間。「5,000時間」はこの総量に近い数字です
  • 管理するのは時間ではなく到達点。合格最低点は私立で東京慈恵会医科大学47.0%〜帝京大学81.7%、国公立の総合点は中央値75.5%です

明日からできることを1つ挙げるなら、入試日までの残り日数を数えて、この記事の早見表で自分の総量を出すことです。そのうえで志望校の過去問を1年分解けば、「その時間で何を埋めるか」が具体的に決まります。

この記事を書いたのは、「5,000時間」という数字だけが一人歩きして、根拠を確かめないまま不安になっている受験生が多いと感じたからです。数えられるものは数えて、数えられないものは数えられないと書く。それが誠実だと思ってこの記事にしました。

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本日の記事は以上です。
最後まで読んでいただきありがとうございます!


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◆筆者プロフィール

後藤 登(Goto Noboru)
仕事:総務・広報・完全個別指導コース担当
自己PR:高校・大学ボクシング部。釣りや登山が好き。新卒で当校に勤めて13年目。医学部受験の情報を調べて、ブログやInstagram、Twitterを更新しています。4年前から完全個別指導コースのコース担当。

◆連絡先

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