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温故知新

2018年05月01日 更新

 

太宰府アカデミーで小論文を指導されている宮本先生より、ブログが届きましたので掲載いたします!

 

 

 一学期の授業が始まりました。医療倫理に関する最古の文書、ヒポクラテス(紀元前5~4世紀頃のギリシアの医師)の「誓い」について資料を作成するため、アリストテレスの著作を調べていたところ、以下のような一節を見つけました。

 

nigaoe_hippocrates

 

多くの経験から生じたいくつかの想念の間の類似性に関して、的なものとして一つの把握が生じる場合、技術が生まれる。例えば、「カリアス氏がこれこれの病気にかかっていた時これこれの対処法が有効であったし、ソクラテス氏の病気の時もこれこれの対処法が有効であったし、同じような他の人々の病気の時もこれこれの対処法が有効であった」との把握を持つことは経験に属する。そして、外見的な特徴によって分類され、これこれの同じ病気にかかったこのような人々全てに対して、例えば、「熱病にかかった粘液質の人々全てに対して、あるいは熱病にかかった胆汁質の人々全てに対して、その熱にこれこれの方法が有効であった」との把握は、技術に属する。(アリストテレス『形而上学』第一巻より私訳)

 

 

 ここに書かれている内容は、教える立場の者が肝に銘ずるべきもののように思え、気合を入れなおす必要を感じています。

 

 

 練習問題のみを解かせ、個々の問題を解けるようにさせるだけでは、(アリストテレスの言葉を借りるのであれば)「経験」を蓄積させるだけにすぎません。それら練習問題に「共通する外見的な特徴」に目を向けさせ、「このような特徴を共通して持つ問題であれば、その全てに、これこれのやり方で対処できる」という段階に至らせなければ、問題を解くための「技術」を身につけさせた、とは言えません。

 

 

 そして、練習問題を数多く解かせて「経験」を蓄積させるというプロセスを省いて、「このタイプの問題はこのやり方で対処せよ」という形でいきなり「技術」を教えようとしても、それは決して身に付いたものにはならないでしょう。「技術は経験の蓄積から生じる」ものなのですから。

 

 

 教える側もその方法を意識しなければ、おそらく生徒に「経験の蓄積から生じた知識」を持たせることは難しいでしょう。小論文に関しては、一学期は、「1.(小論文で頻出の)医療問題に関る基礎知識の提供。2.様々なタイプの問題の答案を作成させ、『経験』を蓄積させる」との二本柱で進めていこうと考えております。正しい「技術」を身につけさせるための準備段階です。生徒諸君にとっては苦しいこともあるかと思いますが、教える側も一切手を抜かず努力する覚悟です。

 

 

(国語科 宮本 均)

 


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